女神様から同情された結果こうなった

回復師

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学園ロワイヤル編 3日目

1-3-10 三者会談?守護の剣?

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 予想以上に早く性犯罪が起きてしまった。大人が少なく、思春期真っ盛りの男子と女子が同じ空間に長い時間要るのだ。起こるべくして起こったのかもしれない。


「皆、聞いてたとおりだけど、どうする?」

「最初の被害が男子寮じゃなく、体育館とは思わなかったわね」
「桜の言うとおり、俺も予想外だよ。一部の女子を助けて届けたの俺たちだし、お昼の事も因果が多少はある。それにどうも事の発端は俺の猪みたいだから、俺としてはこのまま見捨てたくない」

「見捨てる気は無いけど、その後どうするかだよね。女子には殆ど戦力無いのでしょ?」
「戦力か……そうだ! 柳生先輩にも意見を聞いてみるか」

 俺は柳生さんにコールして相談する事にした。

「柳生先輩、龍馬です。今、お時間よろしいですか?」
『はい大丈夫ですよ。どうしました?』

「あれ? そっちに情報行ってないのですか?」
『ん? 何の情報ですか?』

 どうやら女子の少ない格技場には、何の情報もまわってないようだ。

「今、大変な事が起こっているんですよ。体育館組のバスケ部員が江口先生とバレー部男子を殺して、女子十数人を監禁してレイプしているみたいです」

『え!? それっていつの事ですか!』
「つい今さっきの情報です。ブスは要らないって20人ぐらいの女子が追い出されたみたいで……その娘たちからの最新情報です」

『すぐ助けないといけないじゃないですか!』
「そうなんですけど、行くと確実に殺し合いになりますよ。柳生先輩にその覚悟がありますか? 確認しただけでも、既に奴らは3名殺しているそうです。赤の他人の為に殺人をする覚悟はありますか?」

『私なら多分そう苦労しないで簡単に無力化できると思います』
「そんな中途半端にするなら、行かない方が良いですよ。助け出した後、奴らをどうするのですか?」

『うーん、追放とかどうでしょう?』
「追放された後、オークを殺しまくって、めちゃくちゃ強くなって帰ってきて、自分の仲間が殺されたら後悔しませんか?」

『多少強くなった程度で、私は負ける気はしません』
「柳生先輩はそうでしょうけど、うちの料理部員に手出しされたらどうするのです? 中庭での今日の騒動を覚えているでしょう? またエッチ目的で、復讐も兼ねて帰ってくる可能性が高いですよ?」

『そうですね……殺すしかないのでしょうか?』
「俺にはそれしか考え付かなかったので相談しているのですけど……それと助け出した女子をどうするかですね」

『助けた後か~、いろいろ事後処理もあるのですね。どうしたらいいでしょう?』

「柳生先輩の所の剣道部の女子は強いのですか?」

『レベルは私と同じくらいですが、そこそこ強いと思います』
「柳生先輩がリーダーになって、体育館を女子専用にできませんか? あー、でも格技室の男たちが可愛い柳生先輩を手放したくないかな?」

『もう、可愛いとかこんな時になにを言っているのですか。体育館を女子だけにするのですか?』
「そうです。それだと戦力不足で困ってる女子寮組も安心して合併できますし、教員棟の女子も男の目にビクビクしながら生活しなくて良いでしょう? 剣道部の女子もやはり男と分けた方が良いのではないですか? 今回の元の原因が、排卵周期の女子の匂いを嗅いだ3年のバスケ部男子だったみたいです。性欲が強くなるってのは本当のようですし、今回のように事後になってからだと、被害者が可哀想です。事前に手を打ってトラブルの元は回避した方が良くないでしょうか?」


『排卵周期ですか……こんな事言うの恥ずかしいけど、計算すると私ももうすぐです』

「柳生先輩は返り討ちにできるからいいでしょうけど、それ以外の娘が危険なんですよ。それに体育館には保存食がしこたまあるようですので、食糧問題も解決しますよ。ランタンやテントなどのキャンプ用品や茹でるだけのお米もあるそうです。フルーツ缶もあるし、発電機なんかもあって災害グッズは万全になります」

『なんか、物で煽られてる気が……でも私がリーダっていうのはちょっと……』
「リーダーが嫌なら女子寮の高畑先生に任せればいいのですよ。あそこも前回の襲撃で、俺たちが行かなければオークに防御線を破られてましたからね。現に前衛で頑張ってくれた娘が1人亡くなったそうです。柳生先輩や剣道部女子が入れば、戦力アップで安心できます」

『そうか、高畑先生にリーダーは頼めばいいのですね。解りました……ちょっと今から皆と相談してみます』

「できるだけ急いであげてください。現在も残された女子が強姦されているかもしれないですから、早いにこした事はないです」

『解りました。すぐ話し合います』


 そのまま続けて高畑先生にコールを入れる。


「龍馬です。今お時間よろしいですか?」
『ええ、体育館の事ね?』

「そうです。やはり女子の連絡網は侮れないですね。高畑先生のとこ、拠点を体育館に移動しませんか? あそこなら元々防空壕を兼ねて地下に造っていますから防衛は完璧ですよ。それに女子だけ集めて、剣道部女子の柳生さんたちを取り込めれば戦力もアップできますよ? ランタンやテントなどのキャンプ用品や茹でるだけのお米もあるそうです。フルーツ缶もいろいろあるし、発電機なんかもあって災害グッズは万全になります」


『お米か~。ちなみに剣道小町の柳生さんってやはり強いのかな?」

 脈はありそうだ。

「レベルは俺より低かったですが、今の俺じゃ全く勝てないぐらい強いです。オークのコロニーをヒーラー1人連れて行けば全滅させることができる感じです」

『そんなに強いの!?』
「なんてったって彼女こそが、この世界に本来1人で召喚されるはずだった勇者様ですからね」

『え!? そうなの?』
「そうなのです。俺たちは所詮彼女を召喚する際に失敗で巻き込まれちゃっただけなんです。でも神の恩恵でスキルアップシステムは勇者だけじゃなく、俺たちにも反映してくれたので、この世界では俺たちもめちゃくちゃ強くなれますけどね。さっき柳生先輩に先に声掛けして、今、格技場の方も相談中なのですが、戦力アップの為に先生の方からもお願いしてみたらどうですか? 柳生さんはリーダーは嫌みたいなので、それは先生が引き受けるという事でうまく回ると思うのですが、どうでしょう?」

『格技場の男子生徒はどうするの?』
「男どもは好きにさせればいいと思います。柳生先輩がいうには結構強いらしいので、教員棟に行っても良いし、格技場に残って彼らだけでやっていけそうなほどの戦力はあるそうです。優先的に食料なんかを回してあげれば自活するんじゃないですか? 問題は男どもが可愛い剣道小町を手放すかどうかですよ」

『了解したわ。じゃあ、柳生さんたちの了承はまだなのね?』
「ええ、今相談中だと思います。襲われてる女子が可哀想だから早くしてねとは言っておきましたが」

『うちとしては剣道部の女子との合併は是非お願いしたいわ』
「女子寮内で相談しなくて良いのですか?」

『一応そういう案が出た事あるの。でも、恐らく男子部員が反対するだろうからって没になったんだけどね。今回は実際事件があったのだから勧誘できる可能性は高いわよね』

「ですね、剣道部の話がまとまる前に、先生からも声を掛けてみてはどうです? どうせ男たちに引き止められてるでしょうから、通話をオープン通話にして先生が男どもを説得するのも手ですよ」

『成程、じゃあ、そうしてみるわ。情報ありがとう、いったん切るわね。柳生さんに上手く泣き付いてみるわ』
「あはは、それじゃ~また後で。勧誘頑張ってください」


 間に入って、やれるだけの事はやった……後は柳生先輩たちがどう動くかだ。


「桜、うちはどうするんだ? 女子ばかりなら合併の意思はあるのか?」
「皆、あなたに付いていくと言ったじゃない。合併したら男のあなたはそこに入れないでしょ? なら料理部は合併には不参加ね」

「皆もそれでいいのか?」

 全員が頷いている。俺に英雄願望は全くないが、頼られているのがちょっと嬉しい。

「龍馬君、あなたのこれまでの誠意ある行動と、さっきの『もしもフォルダ』? あれを聞いてここから離れる人なんか先生居ないと思うな~」

「ですよ兄様、桜先輩のレシピ集だけでもお金に困る事は無くなると思います。兄様と桜先輩は害のない優良な金蔓なのです。その権利を自分から手放して出ていく愚か者はこの部にはいませんよ」

「解った。一応聞いておくけど、救出に際してA・B班でバスケ部員を殺せないって人いる? 居るなら手を挙げてほしい」

 全員だった……。
 そりゃ誰しも人は殺したくないだろうけど、それじゃあどうやって助け出すのって話じゃん。

「えーと、お昼に平気で何人か殺し掛けた桜もダメなの?」
「えっ! 平気で殺し掛けてないわよ! 失礼ね! ちょっと力が入っちゃっただけじゃない! 意図して殺すのと訳が違うわ!」

「だよな……意図して殺すのってかなりの覚悟がいるよな。俺だって教頭の目を抉っただけでもかなりの覚悟がいったもんな」

「覚悟って具体的にどう思ったのかな? 私たちもいずれはやらなきゃならない時があるかもだし、参考までに良かったら聞かせて」

「そうだな。俺の場合は最初から仕返しする気だったから、とっくに覚悟はできていたからね。あの時は、まずナイフを刺す時に、ひょっとしたら失敗して殺しちゃうかもって覚悟はしたな。あと、教頭に恨まれる覚悟もしたかな。やるからにはやり返される覚悟もないとね」

「私、人を殺せるかな?」
「桜はA班だからな。今は必要ないし俺がいる時は俺がやるけど、この世界では誘拐犯や窃盗犯が沢山いるようだから、もし冒険者とかになるなら必ずと言っていいほど殺人はしないといけないようだよ。護衛任務とかで盗賊を殺せないと依頼も受けられないからね。俺が常に一緒にいる訳じゃないから、一応A班はずっと先の話になるけど覚悟だけはしておいてね」

 皆、不安げな顔だが、俺の言ってる事は理解してくれている。俺がいる時は、汚れ仕事は俺が全部受け持つ気でいるが、覚悟だけはしておいてもらわないと咄嗟の時に全く動けず、格下のやつに殺されてしまう可能性もある。

 皆にもいろんな想定で考える習慣をつけさせた方が良い。



 10分ほど待っていたら柳生先輩からコールが鳴った。

『小鳥遊君、今いいですか?』
「はい、待っていました。どうなりましたか?」

『あの後、高畑先生からすぐにコールがあり、剣道部の女子に戦力として助けてほしいとお願いされました。小鳥遊君がそう誘導したみたいですね?』

「はい、勝手な事をしてすみませんでした。でも、男子部員に泣き付かれたら、人の良さそうな柳生先輩はそこから出ないだろうなって思ったので、高畑先生に直接説得してもらった方が良いかと思いました。それで、結局どうなったのですか?」

『高畑先生がリーダーで女子だけで体育館を占拠する事にしました。その……ここの男子部員との話し合いの段階で、高畑先生の口から小鳥遊君の名前が出ちゃって、ちょっと面倒なことになっちゃっています。ごめんなさい』

「え? 面倒なことって、どういうことです?」
『この会話を、格技場にいる全員と話せるように、オープン会話に切り替えていいですか?』

 なんか嫌な気がしたが、嫌とは言えないだろう。

『白石! お前1発殴ってやるからな! ぜってー許さん!』

 オープン会話に切り替えて、聞こえた第一声がこれである。
 うわー、なんかメッチャ怒ってる!

 俺は格技場の奴らと揉めた事はない。という事は、おそらく剣道小町を説得で奪われた逆恨みしかないだろう。
 女子寮に強力な守り手ができた事は喜ばしいが、面倒な事この上ない。

 まぁ、気持ちは解るんだけどね……。


「はぁ……」

 俺はため息しか出なかった。
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