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学園ロワイヤル編 4~6日目
1-4-1 アニマルセラピー?真の敵?
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早朝5時、お腹の上でごそごそ動かれて目が覚める。どうやら昨晩の子狼が俺の服の中に潜り込んでいるようだ。暖かいが早朝から動かれると困るな。上着の胸元から顔をだし、俺と目が合って尻尾をこれでもかというくらい振ってくる。
フサフサの尻尾がお腹をふりふり撫でて凄く気持ちがいい。
『ナビー、おはよう。なぁ、こいつもう目が開いてるみたいだぞ? 2、3日かかるんじゃなかったのか?』
『……おはようございます。マスターの魔素を食べているせいでしょうか? 通例通りのテイマーのスキルでの従魔契約と違い、前例がないので解りかねます。あ! その子、おしっこがしたいようです』
『ちょっとまて! 服の中でしたら許さないぞ!』
慌てて服から出してテントの外に連れ出す。まだ日も出ておらず暗い。
排尿し終わった後【クリーン】で浄化して体を清める。この子メスだな。トイレの躾はメスの方が楽だが、犬も半年に一度生理とかがあって結構面倒だ。それに避妊手術してないと子供を勝手に作ってくる可能性もある。狼だし放し飼いをするつもりはないが、その辺の考慮もしないといけない。街に行ったとき散歩とか面倒だよな。
普通の犬と違い魔獣の子なのだ、飼うにしてもいろいろ配慮がいりそうだ。
『こいつ牛乳飲むかな?』
『……大丈夫だと思います』
『食事は要らないって言ってたけど、食べないと便もおしっこも出なくなるのかな?』
『……量はかなり少なくなりますが、少量は食べなくても出るようです。マスターの魔素から水分や食事の代用になるものが体内で作り出されるようです』
『餌をやってもやらなくても、どうせ出るなら与えてあげた方がいいな。味覚はあるのだろうし、食の楽しみがないのは可哀想だよな』
『……食べなくてもいいといっても、美味しいものを食べれば誰でも嬉しいですからね』
ヨタヨタとだが、もう俺の後ろを付いて回っている。抱き上げて口の中を確認するが、まだ歯は流石に生えていないようだ。
紙パックの牛乳を【インベントリ】から取出し、俺の口に含み人肌になるまで温めストローでゆっくりと流し込む。チューチューとストローを舐めるように吸って飲んでいく。美味しいのか尻尾がせわしなく振られている。3回ほど繰り返した頃、お腹が一杯になったのか吸うのをやめた。満足したのか尻尾をふりふり俺に擦り寄ってくる。
超可愛い!
『本当なら生まれたばかりの子犬には2、3時間置きにミルクやりしないといけないはずだけど、俺の魔素で賄えて、その手間がない分楽だな』
『……そうですね。どの種でも赤ちゃんの世話というのは大変ですからね。特に授乳期は母親にまともな睡眠は出来ないですから、それを考えれば楽なものでしょう。それにしても半日ほどでヨチヨチですが歩けるとはびっくりです』
自分は残った分の牛乳と携帯食で朝食を済ます。味は悪くないが、料理部の朝食と比べると味気ないものだ。
『……マスター、その子の名前は決めましたか?』
『ん? 名前か……シロかポチ』
『……却下です! シロはともかくポチは酷いですね。その子メスですよ。シロも見たまんまじゃないですか』
『そもそも俺に名づけさせるのが間違っている。帰ったら皆に決めさせるよ』
『……その方がいいですね。その子可愛いので、皆にひっぱりだこでしょうね』
『そうだろうな。それに、アニマルセラピーだったかな? 丁度良いかもな、結構傷心してる娘多いだろ? この子が癒しになればいいな』
あまりの可愛さにしばらく遊んでモフモフしてたら、ナビーに注意された。
『……マスター、いつまで遊んでおられるのですか? とっくに日が昇ってもう9時近いですよ』
どうやら3時間ほども戯れていたようだ。モフモフわんこ恐るべし……。
『そうだな、どっちに向かえば効率よく狩れる?』
『……そうですね、経験値と食用ということを考えれば、熊と猪が良いかと思われます。この辺では単体で一番強いのが熊の魔獣ですね』
『やはり熊は強いんだ?』
『……はい、ですが1番危険なのはその子の群れの狼ですね。ホワイトウルフ3匹でこの近辺最強のレッドベアーを狩れるほどです。ですので、襲ってくることはまずないでしょうが、念のために狼の群れとは逆の方向にお進みください』
『解った。もし熊と遭遇したとして、今の俺で勝てるかな?』
『……余裕ですが、先に種族レベル20になって、上級魔法を習得してからがいいかと思われます。熊の毛皮が厚く、しかも魔法抵抗がとても高いので中級魔法では仕留めるのに時間がかかるやもしれません。肉も毛皮も傷みますので、上級魔法を覚えてから一撃で倒す方がいいでしょう』
『解った。オークの方に動きはあるか?』
『……特に動きはないです……連れ去られた娘たちの半数が亡くなられたようですけど』
『なっ! 産床に選ばれた娘は大事にされ、治療行為が行われるんじゃなかったのか?』
『……治療行為はされて大事にされていますが、弱った体に魔素が影響して死亡しているようです』
『レベル1にならないことには、魔素は毒なんだったな。最長で10日とか言ってたけど、4日目で半数が亡くなったのか』
『……見殺しにするのを気に病んでるようですが、助けるのは簡単でしょう。ですがその後の面倒まで見れないのならやってはいけない行為です。そのわんこと同じですね。拾って命を助けたのなら、その子が自立できるまで面倒を見ないことには意味がありません。今置いて行けば間違いなくその子狼も死んでしまいます。オークの巣から助け出すのも同じですね。助け出して「はい後は勝手に生き残ってネ」じゃ彼女たちは町まで辿り着けません。かといって草原を突っ切れるほどに皆のレベルを上げるには食料が持たないでしょう。魔獣と違って肉のみでは人は生きていけませんから……』
『生存者が20人切ったら教えてくれるか?』
『……助けるつもりですか?』
『うーん、まだ分かんないけど』
『……フィリア様のためですか?』
『ぶっちゃけそうだな。連れ去られたのってほとんど高等部の女子だろ?』
『……現在コロニーで生存している中等部の女子は2名だけですね』
『俺とほとんど面識のない2、3年生はともかく、俺が殴る蹴るされていても、誰も声すらかけてこなかったからな。可哀想とは思うが、助けた後の皆の負担を考えれば助ける気にならないんだよね。気分的には海外事件のニュースをみている感じかな。性奴隷にするためにどっかの過激派テロリストが学校を襲って集団で女子を攫ったのをちょっと前に見たけど、だからといってどうするわけでもなく、ただ可哀想だなって思っただけだったしね。ただ、攫われた娘が全滅だと、フィリアに心的ダメージが大きいかなって思って。数人ほど助けて、フィリアにその娘たちの面倒を見させれば、その行為自体がフィリアの心の救済に少しはならないかなって考えなんだけどね』
『……うーん、微妙な判断ですね。そもそもフィリア様からすれば、オークですら愛すべき対象です。コロニーには非戦闘のオークの子供も沢山居ます。人としては皆殺しが当然ですが、その行為はフィリア様にしてみれば心を痛めるのではないでしょうか?』
『忘れてた……そうだったな。人族よりの考えだった。女神からすれば生物全てが平等に愛すべき存在だった。どう動いてもフィリアは傷つくわけだ……元女神ってのも難儀だな。フィリアの為には何をすれば1番良いのかな?』
『……マスターが今思っているとおりです』
『やっぱそうなるのか……勇者召喚の本来の目的達成が1番だよな。その失敗のせいで学園の生徒が死んだんだしな。せめて本来の目的を達成させるのがフィリアにとって1番だよな。はぁ、フィリアは勇者召喚をなぜ行ったんだ?』
『……あえてこれまで避けてらっしゃったのに良いのですか?』
『こっちの世界にフィリアが来ちゃったしね。態々ピンポイントで俺のところにフィリアを送ってきたのって、そういう事だろ? 皆を町まで送った後になるけど協力するよ』
『……そうですか、解りました。一言でいえば、敵は邪神です』
『うわー、神が相手なの? それ、勝てるの? 普通邪竜とか魔王が相手なのが鉄板なのに』
『……魔王は居ますが、あくまで魔族の王という意味で、善政をして皆に慕われております。もともとありとあらゆる世界は神力を集めるために創主様がお創りになられたものです。詳しくは禁句コードにかかって話せませんが、その神力とは生物の神に対する信仰心のようなものです。それを管理するのが各世界に駐在する管理神なのですが、必ずと言っていいほど知恵ある生物の邪の心から邪神が誕生してしまいます』
『邪な心ね……それから誕生したものが邪神なんだね』
『……そうです。賊心・犯意・殺意・害意・物恨・悪念・怨念・遺恨・醜悪・意趣・害心・邪気・恨み・妬み・僻み・嫉妬、まだまだ負の感情は無数にあります。この人々の邪気が集まって邪神が誕生するのです』
『その邪神を倒すのが勇者なんだね』
『……はい、勇者召喚が本来多数ではなく「柳生美咲」ただ1人なのは邪神や邪教徒が使う術に毒されない純善な心が必要なためです』
『それって俺ダメじゃん! 俺、精神弱いよ……多分すぐ毒されちゃうよ?』
『……ですね。ですが、マスターには【魔法創造】のスキルがあります! 【精神攻撃無効】とか創れば対抗できるのです! 素晴らしいです! チートの極みです!』
『対抗できちゃうんだ……敵は邪神とそれを崇拝する邪教徒ってことでいい?』
『……はい、邪神は倒しても一時的なもので、また人の邪気が溜まれば復活しちゃいますが、無理やり邪気を当てられたり煽られたりする者がいなくなりますので、それだけで国や世界が安定します』
『解った。皆を街まで送って、生活が安定したら美咲先輩と協力するかどうかフィリアと話し合うよ』
『……はい、そうしてあげてください。きっと喜ぶと思います』
『桜たちはどうしてる?』
『……マスターの思惑以上の結果でしたので、フィリア様がフォローしてくれたようですね』
『ん? どういうことだ?』
『……「主犯の桜たちはともかく、1、2年の幼子にはちとやりすぎじゃ」だそうです。置いて行かれるかもと予想以上に皆が意気消沈していたようなので、2日ほどで帰ってくるからその時ちゃんと謝ればよいとフォローしてくれたようです』
『そこまでとは思っていなかった……早めに帰るようにするよ。この子もいるしな。生まれたばかりの子を連れ歩くのも可哀想だし、さっさとレベルと材木集めて帰るよ』
子狼を服の中に入れ、みぞおち辺りを布で縛ると、子狼が胸元から顔を出すのにちょうどいい高さになる。服の胸元から前足と顔だけちょこんと出してる姿は超可愛い。
時々こっちを見て尻尾をふりふり顔を舐めてくるのをできれば止めてほしい。可愛いのだが顔ペロはご勘弁だ。
子狼を胸元に入れ、レベル上げを兼ねた肉狩りに10時になってやっと向かうのだった。
フサフサの尻尾がお腹をふりふり撫でて凄く気持ちがいい。
『ナビー、おはよう。なぁ、こいつもう目が開いてるみたいだぞ? 2、3日かかるんじゃなかったのか?』
『……おはようございます。マスターの魔素を食べているせいでしょうか? 通例通りのテイマーのスキルでの従魔契約と違い、前例がないので解りかねます。あ! その子、おしっこがしたいようです』
『ちょっとまて! 服の中でしたら許さないぞ!』
慌てて服から出してテントの外に連れ出す。まだ日も出ておらず暗い。
排尿し終わった後【クリーン】で浄化して体を清める。この子メスだな。トイレの躾はメスの方が楽だが、犬も半年に一度生理とかがあって結構面倒だ。それに避妊手術してないと子供を勝手に作ってくる可能性もある。狼だし放し飼いをするつもりはないが、その辺の考慮もしないといけない。街に行ったとき散歩とか面倒だよな。
普通の犬と違い魔獣の子なのだ、飼うにしてもいろいろ配慮がいりそうだ。
『こいつ牛乳飲むかな?』
『……大丈夫だと思います』
『食事は要らないって言ってたけど、食べないと便もおしっこも出なくなるのかな?』
『……量はかなり少なくなりますが、少量は食べなくても出るようです。マスターの魔素から水分や食事の代用になるものが体内で作り出されるようです』
『餌をやってもやらなくても、どうせ出るなら与えてあげた方がいいな。味覚はあるのだろうし、食の楽しみがないのは可哀想だよな』
『……食べなくてもいいといっても、美味しいものを食べれば誰でも嬉しいですからね』
ヨタヨタとだが、もう俺の後ろを付いて回っている。抱き上げて口の中を確認するが、まだ歯は流石に生えていないようだ。
紙パックの牛乳を【インベントリ】から取出し、俺の口に含み人肌になるまで温めストローでゆっくりと流し込む。チューチューとストローを舐めるように吸って飲んでいく。美味しいのか尻尾がせわしなく振られている。3回ほど繰り返した頃、お腹が一杯になったのか吸うのをやめた。満足したのか尻尾をふりふり俺に擦り寄ってくる。
超可愛い!
『本当なら生まれたばかりの子犬には2、3時間置きにミルクやりしないといけないはずだけど、俺の魔素で賄えて、その手間がない分楽だな』
『……そうですね。どの種でも赤ちゃんの世話というのは大変ですからね。特に授乳期は母親にまともな睡眠は出来ないですから、それを考えれば楽なものでしょう。それにしても半日ほどでヨチヨチですが歩けるとはびっくりです』
自分は残った分の牛乳と携帯食で朝食を済ます。味は悪くないが、料理部の朝食と比べると味気ないものだ。
『……マスター、その子の名前は決めましたか?』
『ん? 名前か……シロかポチ』
『……却下です! シロはともかくポチは酷いですね。その子メスですよ。シロも見たまんまじゃないですか』
『そもそも俺に名づけさせるのが間違っている。帰ったら皆に決めさせるよ』
『……その方がいいですね。その子可愛いので、皆にひっぱりだこでしょうね』
『そうだろうな。それに、アニマルセラピーだったかな? 丁度良いかもな、結構傷心してる娘多いだろ? この子が癒しになればいいな』
あまりの可愛さにしばらく遊んでモフモフしてたら、ナビーに注意された。
『……マスター、いつまで遊んでおられるのですか? とっくに日が昇ってもう9時近いですよ』
どうやら3時間ほども戯れていたようだ。モフモフわんこ恐るべし……。
『そうだな、どっちに向かえば効率よく狩れる?』
『……そうですね、経験値と食用ということを考えれば、熊と猪が良いかと思われます。この辺では単体で一番強いのが熊の魔獣ですね』
『やはり熊は強いんだ?』
『……はい、ですが1番危険なのはその子の群れの狼ですね。ホワイトウルフ3匹でこの近辺最強のレッドベアーを狩れるほどです。ですので、襲ってくることはまずないでしょうが、念のために狼の群れとは逆の方向にお進みください』
『解った。もし熊と遭遇したとして、今の俺で勝てるかな?』
『……余裕ですが、先に種族レベル20になって、上級魔法を習得してからがいいかと思われます。熊の毛皮が厚く、しかも魔法抵抗がとても高いので中級魔法では仕留めるのに時間がかかるやもしれません。肉も毛皮も傷みますので、上級魔法を覚えてから一撃で倒す方がいいでしょう』
『解った。オークの方に動きはあるか?』
『……特に動きはないです……連れ去られた娘たちの半数が亡くなられたようですけど』
『なっ! 産床に選ばれた娘は大事にされ、治療行為が行われるんじゃなかったのか?』
『……治療行為はされて大事にされていますが、弱った体に魔素が影響して死亡しているようです』
『レベル1にならないことには、魔素は毒なんだったな。最長で10日とか言ってたけど、4日目で半数が亡くなったのか』
『……見殺しにするのを気に病んでるようですが、助けるのは簡単でしょう。ですがその後の面倒まで見れないのならやってはいけない行為です。そのわんこと同じですね。拾って命を助けたのなら、その子が自立できるまで面倒を見ないことには意味がありません。今置いて行けば間違いなくその子狼も死んでしまいます。オークの巣から助け出すのも同じですね。助け出して「はい後は勝手に生き残ってネ」じゃ彼女たちは町まで辿り着けません。かといって草原を突っ切れるほどに皆のレベルを上げるには食料が持たないでしょう。魔獣と違って肉のみでは人は生きていけませんから……』
『生存者が20人切ったら教えてくれるか?』
『……助けるつもりですか?』
『うーん、まだ分かんないけど』
『……フィリア様のためですか?』
『ぶっちゃけそうだな。連れ去られたのってほとんど高等部の女子だろ?』
『……現在コロニーで生存している中等部の女子は2名だけですね』
『俺とほとんど面識のない2、3年生はともかく、俺が殴る蹴るされていても、誰も声すらかけてこなかったからな。可哀想とは思うが、助けた後の皆の負担を考えれば助ける気にならないんだよね。気分的には海外事件のニュースをみている感じかな。性奴隷にするためにどっかの過激派テロリストが学校を襲って集団で女子を攫ったのをちょっと前に見たけど、だからといってどうするわけでもなく、ただ可哀想だなって思っただけだったしね。ただ、攫われた娘が全滅だと、フィリアに心的ダメージが大きいかなって思って。数人ほど助けて、フィリアにその娘たちの面倒を見させれば、その行為自体がフィリアの心の救済に少しはならないかなって考えなんだけどね』
『……うーん、微妙な判断ですね。そもそもフィリア様からすれば、オークですら愛すべき対象です。コロニーには非戦闘のオークの子供も沢山居ます。人としては皆殺しが当然ですが、その行為はフィリア様にしてみれば心を痛めるのではないでしょうか?』
『忘れてた……そうだったな。人族よりの考えだった。女神からすれば生物全てが平等に愛すべき存在だった。どう動いてもフィリアは傷つくわけだ……元女神ってのも難儀だな。フィリアの為には何をすれば1番良いのかな?』
『……マスターが今思っているとおりです』
『やっぱそうなるのか……勇者召喚の本来の目的達成が1番だよな。その失敗のせいで学園の生徒が死んだんだしな。せめて本来の目的を達成させるのがフィリアにとって1番だよな。はぁ、フィリアは勇者召喚をなぜ行ったんだ?』
『……あえてこれまで避けてらっしゃったのに良いのですか?』
『こっちの世界にフィリアが来ちゃったしね。態々ピンポイントで俺のところにフィリアを送ってきたのって、そういう事だろ? 皆を町まで送った後になるけど協力するよ』
『……そうですか、解りました。一言でいえば、敵は邪神です』
『うわー、神が相手なの? それ、勝てるの? 普通邪竜とか魔王が相手なのが鉄板なのに』
『……魔王は居ますが、あくまで魔族の王という意味で、善政をして皆に慕われております。もともとありとあらゆる世界は神力を集めるために創主様がお創りになられたものです。詳しくは禁句コードにかかって話せませんが、その神力とは生物の神に対する信仰心のようなものです。それを管理するのが各世界に駐在する管理神なのですが、必ずと言っていいほど知恵ある生物の邪の心から邪神が誕生してしまいます』
『邪な心ね……それから誕生したものが邪神なんだね』
『……そうです。賊心・犯意・殺意・害意・物恨・悪念・怨念・遺恨・醜悪・意趣・害心・邪気・恨み・妬み・僻み・嫉妬、まだまだ負の感情は無数にあります。この人々の邪気が集まって邪神が誕生するのです』
『その邪神を倒すのが勇者なんだね』
『……はい、勇者召喚が本来多数ではなく「柳生美咲」ただ1人なのは邪神や邪教徒が使う術に毒されない純善な心が必要なためです』
『それって俺ダメじゃん! 俺、精神弱いよ……多分すぐ毒されちゃうよ?』
『……ですね。ですが、マスターには【魔法創造】のスキルがあります! 【精神攻撃無効】とか創れば対抗できるのです! 素晴らしいです! チートの極みです!』
『対抗できちゃうんだ……敵は邪神とそれを崇拝する邪教徒ってことでいい?』
『……はい、邪神は倒しても一時的なもので、また人の邪気が溜まれば復活しちゃいますが、無理やり邪気を当てられたり煽られたりする者がいなくなりますので、それだけで国や世界が安定します』
『解った。皆を街まで送って、生活が安定したら美咲先輩と協力するかどうかフィリアと話し合うよ』
『……はい、そうしてあげてください。きっと喜ぶと思います』
『桜たちはどうしてる?』
『……マスターの思惑以上の結果でしたので、フィリア様がフォローしてくれたようですね』
『ん? どういうことだ?』
『……「主犯の桜たちはともかく、1、2年の幼子にはちとやりすぎじゃ」だそうです。置いて行かれるかもと予想以上に皆が意気消沈していたようなので、2日ほどで帰ってくるからその時ちゃんと謝ればよいとフォローしてくれたようです』
『そこまでとは思っていなかった……早めに帰るようにするよ。この子もいるしな。生まれたばかりの子を連れ歩くのも可哀想だし、さっさとレベルと材木集めて帰るよ』
子狼を服の中に入れ、みぞおち辺りを布で縛ると、子狼が胸元から顔を出すのにちょうどいい高さになる。服の胸元から前足と顔だけちょこんと出してる姿は超可愛い。
時々こっちを見て尻尾をふりふり顔を舐めてくるのをできれば止めてほしい。可愛いのだが顔ペロはご勘弁だ。
子狼を胸元に入れ、レベル上げを兼ねた肉狩りに10時になってやっと向かうのだった。
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