70 / 184
学園ロワイヤル編 7・8日目
1-7-5 殺すための理由?【フェイク】?
しおりを挟む
俺を中心に男女が左右に分かれて対峙している。
俺から見て右側に美弥ちゃん先生・桜・菜奈、左側に教頭の坂下・英語教師の大谷・高2の男子生徒泉本だ。
これから3対3のチーム戦が行われるのだが、女性陣は死闘のつもりで決死の覚悟で殺気を孕んでいる。一方男性陣は4レベルほど上なので余裕を見せている。俺の鑑定では大谷がレベル19になっていた。主なコロニーは先回りで潰して狩らせていないが、教頭たちは周辺の雑魚を狩って今日半日で2レベルも上げているのだ。おそらくコロニーから狩りに出ていたオークをくまなく探して狩ったんだろう。
一方菜奈たちは俺の経験値増量があるのだが、30人の大所帯だった為1レベル上がっただけで現在レベルが15、美弥ちゃん先生はB班だった為レベル13しかない。
パーティー内の人数が増えると安全性は高まるが、経験値が人数割りになってしまうのでレベル上げの場合その分魔獣の数を倒す必要がある。レイドPTを組むとメリットとデメリットがあるという事だ。
「審判として確認する。この決闘はお互いの生殺与奪を掛けた死闘って事でいいんだな?」
「「「ああ、そうだ」」」
「「「それでいいわ」」」
「1つ審判に確認だ。俺たちが勝った場合、その娘らを好きにしていいんだな? 決着後、お前が邪魔したりするんじゃないか?」
「絶対邪魔しないとは言い切れないな。菜奈とは兄妹だしな。目の前で嬲り殺されそうだったり、レイプされそうなら助けに入るのが普通じゃないか? 俺を審判に選ぶ方がおかしいと思うぞ?」
「確かにそうだな。まぁいい。彼女たちに大怪我を負わすつもりはない。だから戦闘中に邪魔はするなよ? 流石に4対3はズルイからな」
「そんな事はしないよ」
「ならいい。始めてくれ」
大谷のやつ、レベル差が4つもあると思ってメッチャ余裕をかましていやがる。実際4レベル差というのはかなり優位なんだよな。レベルが上がる際に基本ステータスもレベルアップ補正が掛かって1レベルでも筋力や素早さ、知力、HP・MP全てに於いてプラスされる。獲得しているジョブ補正も入ると魔術師なら知力や精神とMPが大幅に上がるし、戦士系なら筋力や防御力やHPがプラス補正される事が多い。4レベルも差があるとどの項目も10~100ほど数値に差が出るのだ。この差が大きいと致命的になる。
だが菜奈たちが負ける事は100%ないだろう。理由は俺が奈菜にコピーしてあげた中の4つのスキルのせいだ。【マジックシールド】【無詠唱】【多重詠唱】【ホーミング】この4つがあれば負ける事は絶対ない。
俺が心配しているのは勝敗でなく、殺人をしようとしている彼女たちの心の方だ。
10年も一緒にいる菜奈の事は理解している。おそらく奈菜は教頭を殺せないだろう。相手が佐竹ならひょっとしたらあり得るかもしれないが、幾ら嫌悪する教頭が相手でも、まだ未遂でもないのだ。事を起こしたのならまだしも、卑猥な発言をした程度で菜奈が本気で人を殺すとは思えないのだ。
美弥ちゃん先生も皆の事を想って汚れ役をかって自分で手を下そうとしているようだが、先生は菜奈以上に優しくて甘い人だ。殺すどころか躊躇して怪我をしないか心配だ。
一番心配しているのは桜の事だ。
俺は正直彼女の事をあまり知らない……結婚する気でいるのに実際桜の事は何も知らないのだ。美弥ちゃん先生ほど解りやすければいいが、桜は時々感情を隠して見せないから、性格の方も本性はよく分からない。間違いなく良い娘だが、もっとお互いを知る必要がある。
桜が本当に人を殺すかも知れないと思うと、殺したその後が凄く心配だ。
俺はバスケ部キャプテンの藤井を殺してから、あいつの助けてくれという叫び声が耳から離れない。あいつは女子に恨みを買って嬲り殺されたのだ。失血死で死ぬまですぐ死なないようにヒールを掛けながら何度も苦痛を与えられてあいつは逝った。
もし桜が人を殺したら、同じようにその最後の言葉や悲鳴や叫びが一生耳に残るだろう。本当にやつらが襲ってきたのならこのような後悔も薄れるのだろうが、今の状況はヤラレル前にヤル……というちょっと行き過ぎた自衛の為の殺人なのだ。本当に殺してしまうと一生尾を引くはずだ。
俺がこうやって殺人をしたことを引きずっているのは、藤井や吉本が俺に直接殺すほどの関係性が無かったからだ。あいつらが殺したり犯したりしたのは俺に全く関係が無い第三者だからこうやって尾を引いているのだ。もし体育館のレイプ事件が、俺の留守中に料理部の子がレイプされていたとかなら、藤井を殺した事に一切後悔も迷いもないだろう。
人の感情とは不思議なものだ。
殺すのにちょっとした理由があれば、そこに正統性を自分で勝手に付けて、罪の意識を薄くする。この殺人に意味が無いとは言わないが、きっと後悔する。奴らはまだ殺すほどの事は何もしてないからだ。理由付けはできても、自分で正当性を見い出せない限りは、罪の意識は薄くならないはずだ。
「両者準備はいいか?」
全員が頷く。
「じゃあ、始め!」
戦闘は予想どおり僅か5秒で終わった。散々皆には教え込んでいたから、訓練どおりともいえる。
結果を先に言うと彼女たちは誰も殺していない。思った通り殺せなかった。
5秒の間に何が起こったかだが、俺の開始の合図と同時に泉本が大谷に支援魔法の詠唱を、教頭がおそらく美弥ちゃんを狙って攻撃魔法の詠唱に入り、大谷が詠唱中断されないよう守るために一歩前に出た。
スムーズな動きで良く練習された連携だが、悪いがうちはチートスキル持ちだ。
こっちは向こうが詠唱に入ってすぐ、菜奈が【無詠唱】で3人に【サンダラボール】を放ち硬直させる。間を置かず【マジックシールド】【プロテス】【シェル】を張るが、必要も無かった。
桜は菜奈がスキルを放ったのを確認して、硬直中の泉本に剣を突き刺した。一瞬俺は『あっ!』っと思ったが、刺した場所は心臓でなく左肩だった。俺の訓練では狙うのは心臓か喉元なのだが、心臓を狙った攻撃は、躊躇して刺せなかったようだ。急所を外して刺した個所は心臓のかなり上の肩なのだ。
俺的には桜が人を殺さなくて本当に良かったと思っている。
美弥ちゃんは桜が突っ込んだ後、追従するように教頭に突っ込んでいき、杖で顎を打ち砕いていた。これも本当は殺すのが前提なら、頭を直殴りで即死させる筈なのだが、顎を殴って昏倒させている。
菜奈が大谷に再度【サンダラボール】を打ち込みそうなのでここで俺が決闘を止めた。
魔法職の教頭と泉本は魔術耐性が高いので菜奈の魔法も耐えられたが、剣士の大谷は最初の菜奈の魔法で既に瀕死状態だ。これ以上食らうと本当に死んでしまう。
桜に刺された泉本と、瀕死の大谷に死なないように初級ヒールを掛けてやる。初級じゃ全回復しないが、それ以上は自分たちでやれ。教頭たちは負けて悔しそうな顔をしていたが、それ以上に沈んだ顔をしていたのがうちの勝った3人の方だ。
「龍馬君ごめん……偉そうなこと言ったのに」
「兄様、ごめんなさい。菜奈は殺せませんでした……」
「ヒック……グスン」
美弥ちゃん先生に至っては鼻水を流しながら泣いている。殴っただけでも死ぬかもしれないと思い怖かったんだろう。
「3人ともこれでいいんだ。殺すほどの罪状がないのに決闘とかでこじつけて殺しちゃいけない。それやっちゃうと一生後悔するからね。そのうち本当に人を殺さないといけない事はあるかもしれないけど、それは今じゃない」
「でも……この人たち、生かしておくとうちの可愛い生徒に……手出ししてくるかもしれないよ。グスッ……先生そんなの絶対嫌だから、私が頑張って殺してしまおうと思ってたのに……グスン」
泣きながらしゃべるから聞き取りにくい……涙と鼻水で顔はグシャグシャだが、それでも可愛い先生だ。
「そうかもだけど、未遂でもない今は殺すのは違うと思うな」
「白石、俺たちをどうする気だ?」
負けると思ってなかった大谷が不安げに俺に聞いてきた。なにせ勝った方に生殺与奪の権利があるのだ。
「タカナシだ! 泉本、もう1回俺に鑑識を掛けてみろ」
俺は【フェイク】で種族レベルを63に見せかけている。スキルや称号や祝福なども見せないようにしている。ステータスもHP21792とか適当に見せかけた。実際はこんなにないのだがハッタリだ。
「なっ! 何だそのレベルは!」
「どうした泉本?」
「大谷先生! あいつのレベル、63もある。HPも21792とか……それに全部見えない。何かステータスに細工してあるんだ……ひょっとしたら、他の3人も隠ぺい魔法で細工しているのかもしれない……そうじゃなきゃ、俺たちの方が高いレベルなのに、こうもあっさり負けるはずがない! 騙してやがったんだ!」
「何だと!?」
「そういう事だ。言っておくが他の女子も皆レベル高いぞ。お前らなんか奈菜1人いれば十分だ。いや違うな……誰でもいいや、うちのグループの女子の誰が相手でも、お前らが束になっても勝てないよ! あはは! いつでも殺せるし、お前らなんか殺す価値もない。お前たちが【クリスタルプレート】で現在閲覧できるのはレベル30の上級スキル程度までだ。お前たちが知らない高レベル専用の禁呪スキルも俺は山のように持っているぞ。もういいから出て行けよ、目障りだ! 二度とちょっかい出すんじゃないぞ? 次は殺すからな」
『ヒッ!』っと言って奴らは這うように出て行った。
この辺の魔獣だけでレベル63とかになるには数年かかると思う。こんな短期間では絶対無理な数字だ。あいつらも頑張ってレベルをちょっと上げても、もううちに挑もうとは思わないだろう。
「あの? 龍馬君? レベル63って本当?」
「嘘だよ。【フェイク】って言うスキルでそう見せかけただけだ。俺の本当のレベルは26だ。ハッタリだけど、桜たちのレベルも隠ぺいしているものだと勘違いしてくれたみたいだから、これで教頭たちは2度と襲ってこないだろう。他の料理部の女子もレベルを隠していて強いかもと思ったはずだ。怖くてそうそう手出しできないだろうね」
「そうね、でも私たちに本当のレベルを教えてくれて良かったの? 【フェイク】ってスキルも人に教えたくないから獲得したスキルなんだよね?」
「うん。桜の言うとおり秘匿するために獲得したスキルだけど、今更婚約者に隠す必要も無いだろ? もう、桜や美弥ちゃんの事は信用している」
「そう! 嬉しいわ!」
これまでいろいろ秘密主義で通してきたから、桜は嬉しかったのか凄く良い笑顔を見せてくれた。
桜、その笑顔は可愛すぎだ!
俺から見て右側に美弥ちゃん先生・桜・菜奈、左側に教頭の坂下・英語教師の大谷・高2の男子生徒泉本だ。
これから3対3のチーム戦が行われるのだが、女性陣は死闘のつもりで決死の覚悟で殺気を孕んでいる。一方男性陣は4レベルほど上なので余裕を見せている。俺の鑑定では大谷がレベル19になっていた。主なコロニーは先回りで潰して狩らせていないが、教頭たちは周辺の雑魚を狩って今日半日で2レベルも上げているのだ。おそらくコロニーから狩りに出ていたオークをくまなく探して狩ったんだろう。
一方菜奈たちは俺の経験値増量があるのだが、30人の大所帯だった為1レベル上がっただけで現在レベルが15、美弥ちゃん先生はB班だった為レベル13しかない。
パーティー内の人数が増えると安全性は高まるが、経験値が人数割りになってしまうのでレベル上げの場合その分魔獣の数を倒す必要がある。レイドPTを組むとメリットとデメリットがあるという事だ。
「審判として確認する。この決闘はお互いの生殺与奪を掛けた死闘って事でいいんだな?」
「「「ああ、そうだ」」」
「「「それでいいわ」」」
「1つ審判に確認だ。俺たちが勝った場合、その娘らを好きにしていいんだな? 決着後、お前が邪魔したりするんじゃないか?」
「絶対邪魔しないとは言い切れないな。菜奈とは兄妹だしな。目の前で嬲り殺されそうだったり、レイプされそうなら助けに入るのが普通じゃないか? 俺を審判に選ぶ方がおかしいと思うぞ?」
「確かにそうだな。まぁいい。彼女たちに大怪我を負わすつもりはない。だから戦闘中に邪魔はするなよ? 流石に4対3はズルイからな」
「そんな事はしないよ」
「ならいい。始めてくれ」
大谷のやつ、レベル差が4つもあると思ってメッチャ余裕をかましていやがる。実際4レベル差というのはかなり優位なんだよな。レベルが上がる際に基本ステータスもレベルアップ補正が掛かって1レベルでも筋力や素早さ、知力、HP・MP全てに於いてプラスされる。獲得しているジョブ補正も入ると魔術師なら知力や精神とMPが大幅に上がるし、戦士系なら筋力や防御力やHPがプラス補正される事が多い。4レベルも差があるとどの項目も10~100ほど数値に差が出るのだ。この差が大きいと致命的になる。
だが菜奈たちが負ける事は100%ないだろう。理由は俺が奈菜にコピーしてあげた中の4つのスキルのせいだ。【マジックシールド】【無詠唱】【多重詠唱】【ホーミング】この4つがあれば負ける事は絶対ない。
俺が心配しているのは勝敗でなく、殺人をしようとしている彼女たちの心の方だ。
10年も一緒にいる菜奈の事は理解している。おそらく奈菜は教頭を殺せないだろう。相手が佐竹ならひょっとしたらあり得るかもしれないが、幾ら嫌悪する教頭が相手でも、まだ未遂でもないのだ。事を起こしたのならまだしも、卑猥な発言をした程度で菜奈が本気で人を殺すとは思えないのだ。
美弥ちゃん先生も皆の事を想って汚れ役をかって自分で手を下そうとしているようだが、先生は菜奈以上に優しくて甘い人だ。殺すどころか躊躇して怪我をしないか心配だ。
一番心配しているのは桜の事だ。
俺は正直彼女の事をあまり知らない……結婚する気でいるのに実際桜の事は何も知らないのだ。美弥ちゃん先生ほど解りやすければいいが、桜は時々感情を隠して見せないから、性格の方も本性はよく分からない。間違いなく良い娘だが、もっとお互いを知る必要がある。
桜が本当に人を殺すかも知れないと思うと、殺したその後が凄く心配だ。
俺はバスケ部キャプテンの藤井を殺してから、あいつの助けてくれという叫び声が耳から離れない。あいつは女子に恨みを買って嬲り殺されたのだ。失血死で死ぬまですぐ死なないようにヒールを掛けながら何度も苦痛を与えられてあいつは逝った。
もし桜が人を殺したら、同じようにその最後の言葉や悲鳴や叫びが一生耳に残るだろう。本当にやつらが襲ってきたのならこのような後悔も薄れるのだろうが、今の状況はヤラレル前にヤル……というちょっと行き過ぎた自衛の為の殺人なのだ。本当に殺してしまうと一生尾を引くはずだ。
俺がこうやって殺人をしたことを引きずっているのは、藤井や吉本が俺に直接殺すほどの関係性が無かったからだ。あいつらが殺したり犯したりしたのは俺に全く関係が無い第三者だからこうやって尾を引いているのだ。もし体育館のレイプ事件が、俺の留守中に料理部の子がレイプされていたとかなら、藤井を殺した事に一切後悔も迷いもないだろう。
人の感情とは不思議なものだ。
殺すのにちょっとした理由があれば、そこに正統性を自分で勝手に付けて、罪の意識を薄くする。この殺人に意味が無いとは言わないが、きっと後悔する。奴らはまだ殺すほどの事は何もしてないからだ。理由付けはできても、自分で正当性を見い出せない限りは、罪の意識は薄くならないはずだ。
「両者準備はいいか?」
全員が頷く。
「じゃあ、始め!」
戦闘は予想どおり僅か5秒で終わった。散々皆には教え込んでいたから、訓練どおりともいえる。
結果を先に言うと彼女たちは誰も殺していない。思った通り殺せなかった。
5秒の間に何が起こったかだが、俺の開始の合図と同時に泉本が大谷に支援魔法の詠唱を、教頭がおそらく美弥ちゃんを狙って攻撃魔法の詠唱に入り、大谷が詠唱中断されないよう守るために一歩前に出た。
スムーズな動きで良く練習された連携だが、悪いがうちはチートスキル持ちだ。
こっちは向こうが詠唱に入ってすぐ、菜奈が【無詠唱】で3人に【サンダラボール】を放ち硬直させる。間を置かず【マジックシールド】【プロテス】【シェル】を張るが、必要も無かった。
桜は菜奈がスキルを放ったのを確認して、硬直中の泉本に剣を突き刺した。一瞬俺は『あっ!』っと思ったが、刺した場所は心臓でなく左肩だった。俺の訓練では狙うのは心臓か喉元なのだが、心臓を狙った攻撃は、躊躇して刺せなかったようだ。急所を外して刺した個所は心臓のかなり上の肩なのだ。
俺的には桜が人を殺さなくて本当に良かったと思っている。
美弥ちゃんは桜が突っ込んだ後、追従するように教頭に突っ込んでいき、杖で顎を打ち砕いていた。これも本当は殺すのが前提なら、頭を直殴りで即死させる筈なのだが、顎を殴って昏倒させている。
菜奈が大谷に再度【サンダラボール】を打ち込みそうなのでここで俺が決闘を止めた。
魔法職の教頭と泉本は魔術耐性が高いので菜奈の魔法も耐えられたが、剣士の大谷は最初の菜奈の魔法で既に瀕死状態だ。これ以上食らうと本当に死んでしまう。
桜に刺された泉本と、瀕死の大谷に死なないように初級ヒールを掛けてやる。初級じゃ全回復しないが、それ以上は自分たちでやれ。教頭たちは負けて悔しそうな顔をしていたが、それ以上に沈んだ顔をしていたのがうちの勝った3人の方だ。
「龍馬君ごめん……偉そうなこと言ったのに」
「兄様、ごめんなさい。菜奈は殺せませんでした……」
「ヒック……グスン」
美弥ちゃん先生に至っては鼻水を流しながら泣いている。殴っただけでも死ぬかもしれないと思い怖かったんだろう。
「3人ともこれでいいんだ。殺すほどの罪状がないのに決闘とかでこじつけて殺しちゃいけない。それやっちゃうと一生後悔するからね。そのうち本当に人を殺さないといけない事はあるかもしれないけど、それは今じゃない」
「でも……この人たち、生かしておくとうちの可愛い生徒に……手出ししてくるかもしれないよ。グスッ……先生そんなの絶対嫌だから、私が頑張って殺してしまおうと思ってたのに……グスン」
泣きながらしゃべるから聞き取りにくい……涙と鼻水で顔はグシャグシャだが、それでも可愛い先生だ。
「そうかもだけど、未遂でもない今は殺すのは違うと思うな」
「白石、俺たちをどうする気だ?」
負けると思ってなかった大谷が不安げに俺に聞いてきた。なにせ勝った方に生殺与奪の権利があるのだ。
「タカナシだ! 泉本、もう1回俺に鑑識を掛けてみろ」
俺は【フェイク】で種族レベルを63に見せかけている。スキルや称号や祝福なども見せないようにしている。ステータスもHP21792とか適当に見せかけた。実際はこんなにないのだがハッタリだ。
「なっ! 何だそのレベルは!」
「どうした泉本?」
「大谷先生! あいつのレベル、63もある。HPも21792とか……それに全部見えない。何かステータスに細工してあるんだ……ひょっとしたら、他の3人も隠ぺい魔法で細工しているのかもしれない……そうじゃなきゃ、俺たちの方が高いレベルなのに、こうもあっさり負けるはずがない! 騙してやがったんだ!」
「何だと!?」
「そういう事だ。言っておくが他の女子も皆レベル高いぞ。お前らなんか奈菜1人いれば十分だ。いや違うな……誰でもいいや、うちのグループの女子の誰が相手でも、お前らが束になっても勝てないよ! あはは! いつでも殺せるし、お前らなんか殺す価値もない。お前たちが【クリスタルプレート】で現在閲覧できるのはレベル30の上級スキル程度までだ。お前たちが知らない高レベル専用の禁呪スキルも俺は山のように持っているぞ。もういいから出て行けよ、目障りだ! 二度とちょっかい出すんじゃないぞ? 次は殺すからな」
『ヒッ!』っと言って奴らは這うように出て行った。
この辺の魔獣だけでレベル63とかになるには数年かかると思う。こんな短期間では絶対無理な数字だ。あいつらも頑張ってレベルをちょっと上げても、もううちに挑もうとは思わないだろう。
「あの? 龍馬君? レベル63って本当?」
「嘘だよ。【フェイク】って言うスキルでそう見せかけただけだ。俺の本当のレベルは26だ。ハッタリだけど、桜たちのレベルも隠ぺいしているものだと勘違いしてくれたみたいだから、これで教頭たちは2度と襲ってこないだろう。他の料理部の女子もレベルを隠していて強いかもと思ったはずだ。怖くてそうそう手出しできないだろうね」
「そうね、でも私たちに本当のレベルを教えてくれて良かったの? 【フェイク】ってスキルも人に教えたくないから獲得したスキルなんだよね?」
「うん。桜の言うとおり秘匿するために獲得したスキルだけど、今更婚約者に隠す必要も無いだろ? もう、桜や美弥ちゃんの事は信用している」
「そう! 嬉しいわ!」
これまでいろいろ秘密主義で通してきたから、桜は嬉しかったのか凄く良い笑顔を見せてくれた。
桜、その笑顔は可愛すぎだ!
30
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!!
2巻2月9日電子版解禁です!!
紙は9日に配送開始、12日ごろに発売となります。
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる