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学園ロワイヤル編 7・8日目
1-8-1 また問題児?襲撃計画?
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現状、魔素ですぐにでも死にそうな娘が4名居るので、まずはその娘たちの処置を優先する。
「菜奈、フィリア、女子寮のベッドに連れて行ってその娘たちに【アクアフロー】を使って体に溜まってしまった魔素を霧散させるようなイメージで散らしてあげてほしい」
「解りました、兄様」
「了解じゃ」
「美弥ちゃん先生は残りの女子にオークに止めを刺させて、レベル1にしてあげて。先に簡単にスキルの説明をして【身体強化】に全部振るように言っておいてほしい。他には一切振らないように説明もお願い」
「話を聞けないほど弱ってそうな娘もいるけど、その娘はどうしようか?」
「女子寮で順次魔素毒を散らすので、起き上がれないほどだったら危険なので、先に連れてきてください。他の戦闘職の人はオークの襲撃に備えて警戒していてください」
「「「分かりました!」」」
かなり危険だった娘から順番に魔素を散らしていく。裸を気にする余裕のある娘なんかいなかった……皆、瀕死でぐったりしている。ある程度魔素を体から抜いてあげると顔色も少し良くなり話せるほどになったのだが、何人かが殺してほしいと言ってきた。
「せっかく助けてくれたけど、私は死にたい……」
「え~と、それほど辛い目に遭ったって事ですか?」
そのまましくしく泣いて俯いてしまった。
『……マスター、オークの子が宿ってるとオークの上位種に伝えられたようです。オークの子を産むくらいなら死にたいと思ってるようですね』
『人の言葉を喋れるヤツもいるのか!?』
『……口頭での会話ではなく、念話で意思疎通ができる程度のモノですね』
でも、死にたい理由がそういう事なら、何とかなりそうだな。
「あの、もしオークの子供の事を気にしているのなら、オークの子供はまだ生命とみなされないために【クリーン】というスキルで浄化できます。産む必要はないのですよ?」
「「化け物を産まなくて済むのですか!?」」
「ええ、まだ子供というほど育ってないのです。生命として認知されるまでに10日の余裕があります。今から直ぐに対処しますので妊娠の心配はしなくて大丈夫です」
3時間ほどかけて一応全員の処置を終える。この間オークの襲撃はなかった。
だが、助けた娘の中に問題児が1人いて困った。
「あの……どうして【身体強化】じゃなくて【剣術】に全振りしたのですか?」
「ポイントの無駄振りをしたくなかったからよ。私、あの部屋でいろいろ考えたのだけど、剣士になりたいの」
MMO好きでそういう知識があるようだが、どうもこの人は格技場の奴らと思考が同じなのかもしれない。この世界に転移した初期の頃で、時間と魔獣に余裕があるならいいが、今から街に向かおうかという時にこういう自己中で我が儘な考えの娘は迷惑にしかならない。
「あなたの希望は分かりましたが、それは街に着いてから自分の実力で行ってくれませんか? 今は【身体強化】を上げてまず街に行く事が大事です。付いてくる体力のない者を連れて行くわけにはいきませんので、我を通すのならここに置いていくことになります」
「自分の一生に係わるスキルの獲得なのに、自分で好きに選択しちゃいけないって言うの?」
「2、3日後にはここを出ようと考えています。その為に皆、最低【身体強化】をLv5まで上げたのです。新たに加わったあなたたちは種族レベルを後2レベル上げないと【身体強化】をLv5にできないので、もう少し魔獣を狩る必要があります。ですが周囲のオークのコロニーはほぼ狩ってしまっていますので、足らない分をスライムや兎なんかを狙って狩らないといけません。これ以上無駄に時間を過ごすと食料が足らなくなります。どうしてもあなたが自分の好きにするというなら止めませんが、同行基準に達してないのに勝手に付いてくることは許しません。他の100人があなた1人の為に危険に晒されてしまいますからね。食料は差しあげますが、殴って気絶させてでもその場合は置いていきます」
俺の説明を静かに聞いてくれている。
「解りました……我が儘を言ったのは分かっているけど、MMOとかラノベ好きからすれば夢のような世界なの。折角スキル獲得で強くなれるのなら、思いどおりにしたいじゃない? 解るかな? この気持ち……」
解るとも!
「あなた、俺と同類です! 解りますよ! でも、あなた随分逞しいですね。オークに捕らわれて死に掛けてた人とは思えません」
「捕まってからは何度ももうダメだと思ったけど、折角助かったのだから悲観に暮れるよりは前向きに生きて楽しんだ方が良いでしょ?」
「そうですね。起こったことで落ち込むより、前向きに考えて楽しんだ方が絶対良いです」
心の強い人だ。
「あなたたちをレベル1にするのに、捕らえてきたオーク29頭のうち11頭使っていますので、残りは18頭います。レイドPTを組みますので、名前をフルネームで教えてもらえますか?」
俺と助けた女子11名でレイドPTを組んで残りのオークを殺したのだが、1レベルは上がったが後1レベルを上げるにはやはり足らなかった。
【剣術】に全振りした彼女の名は柴崎友美さん。この秋で引退したが新体操部の3年生だそうだ。体操部というだけあって、すごく身体能力が高そうな人だ。彼女だけは余計な事をしているので【身体強化】をレベル5にするのに、種族レベルを後2レベル上げる必要がある。
他の女子は最初に貰えるスキル2つのうちの1つを【身体強化】、もう1つを【クリーン】にしてもらった。そしてレベルが上がって得たポイントを使い現在【身体強化】Lv3まで上がっている。Lv5にするにはあと9ポイント必要で、次にレベルが上がると丁度9ポイント得られるので後1つ上げるだけでいい状態だ。
俺は個人的に柴崎先輩を呼び出して、今後の方針と先輩の希望を聞いてみた。
「私としては、メインパーティーに入りたいけど今からだと厳しいんでしょ?」
「そうですね、レベル差があり過ぎて足手まといにしかなりません。ですがMMOとかやりこんでて職種別に全体の流れがある程度理解できて動ける人材が欲しいっていうのが今のここの集団の状態です。格技場の男子は戦闘特化ですが、MMOの経験はなくて集団戦は苦手のようです。連携とかより各個撃破が好きなようで、使いにくいっていうのが本音です。もし先輩が全体の流れを見ながら動けるような人材なら、少しレベル上げに付き合ってもいいのですが、時間がないってのが現状ですね。キングがいつ攻めてくるかもしれないので今はメインパーティーでPTを組んでおきたいです」
「いろいろ話を聞いた感じではかなり切羽詰まってる状態だったんだね。知らなかったとはいえ勝手な事してごめんね。食糧事情とか、魔獣の残数とか知らなかったから……」
「素直に非を認めてくれるなら今回の事はもういいです。それと【身体強化】はLv10にするだけで人間辞められるほどの最強パッシブスキルなので、どのジョブに就くにも真っ先に取る方が良いですよ。普通のオークならLv5あれば殴ったり蹴るだけで殺せますしね」
「そうだったんだ。そこまで強化されるとは思ってなかったから、まずは剣術かなと思ったのよね」
その後いくつか質問して、彼女は集団戦も自信有りとの事なので一度実戦を見せてもらって前線に組み入れるか決める事になった。
助けた女子にまだ相当量の魔素が残っていて辛そうだったが、人数が多いので重度の者以外は様子見させてもらった。フィリアは桜にスキルをコピーして【アクアフロー】を使える人手を増やさないかと言ってきたが、桜と婚約はしたが、スキルコピーの人数制限もあるし、桜が本当にずっと一緒に居てくれるかちょっと自信がなくて躊躇してしまった。
だって婚約はしてくれたけど、桜とはキスどころか手すら握った事ないんだもん。口約束だけで完全に手放しで受け入れる事はまだできない。なにせ彼女は誰もが認める学園1の美少女でお嬢様なのだ……気後れしても仕方ないだろ?
拠点に戻り仲間内だけで最終会議を行う。
「明日の早朝にキングのコロニーをこちらから攻めようと思う」
「体育館のメンバーにはやはり知らせないの?」
「雑魚程度は大丈夫だろうけど、体育館組じゃジェネラルクラスには対処できないと思う。なので美咲先輩にだけ加勢に来てもらおうと思っている。あの人の刀はシールドの結界すら切断するからね。俺と雅と3人で突っ込んでもらってシールド持ちのクイーンとプリーストを優先して排除してもらいたいんだよね」
オークが攻めてくる前にこっちから攻めることにした。巣の洞窟から出てきて分散されたら、数が圧倒的に多いので狩るのが厄介になる。洞窟から出てくる奴を片っ端から狩っていく方が狩り漏れもなく、一方向さえ気を付ければ良いので、楽に狩れる筈だ。
夜、排卵周期の桜がきてくれるかもと、ちょっと淡い期待をして待っていたのだけど、誰も来なかった。
別に誰も来てくれなくても寂しくないもん。
翌朝、美咲先輩にも朝4時にこっちに来てもらって、今、皆と朝食を食べている。
「美咲先輩だけ無理を言ってすみません」
「いえ、呼んでくれてありがとう。勝手に君たちだけで行かれたら凄く悲しかったと思うよ」
「体育館組には言ってないですけどね。同行したいとか言われたら困るのですよ。足手纏いを守りながらとかマジ勘弁です」
「そう思って私も高畑先生以外には伝えていません」
美咲先輩も体育館組はまだ実力不足と思っているようだ。
「美咲先輩にも分かるように、このキング戦の参加メンバーを再確認します。主戦力に俺・美咲先輩・雅の3人、この3人は最初のスキル奇襲が終わった後、最前線に突っ込みます。雅の補助にフィリアが、美咲先輩の補助に菜奈が付いてパッシブ効果が切れないようにサポートしてあげてほしい」
「解りました、兄様」
「了解じゃ」
「桜・綾・穂香・薫の4人は魔法職の前に立ち、洞窟から出てくる雑魚の掃討だ」
「「「了解」」」
「美加・沙織は狩り漏れを近い順にスキルで倒してくれ」
「「はい」」
「回復職の者だけど、未来と美弥ちゃんは全体を見ながらMP温存しつつ、皆のステータス管理だ。弓兵発見時にだけスキルを使って速攻倒してほしい。優は前衛職に【ヘイスラ】の魔法が切れないように頼む」
「「「了解です」」」
「菜奈とフィリアは【多重詠唱】も解禁する。魔力切れに注意して適度に撃ってくれていい。だがあくまで【マジックシールド】【プロテス】【シェル】を張るのが優先だ」
「了解じゃ」
今回生産スキルで量産した各種回復剤を皆に持たせてある。特に魔力回復剤は魔法職には10本と大量に持たせた。
さて、いよいよキングとの決戦だ! 日が出る前にこちらから寝込みを襲う。
まだ装備をしていない無防備な状態を襲う計画だ……敵はシールドも張ってないから簡単に狩れるだろう。
「菜奈、フィリア、女子寮のベッドに連れて行ってその娘たちに【アクアフロー】を使って体に溜まってしまった魔素を霧散させるようなイメージで散らしてあげてほしい」
「解りました、兄様」
「了解じゃ」
「美弥ちゃん先生は残りの女子にオークに止めを刺させて、レベル1にしてあげて。先に簡単にスキルの説明をして【身体強化】に全部振るように言っておいてほしい。他には一切振らないように説明もお願い」
「話を聞けないほど弱ってそうな娘もいるけど、その娘はどうしようか?」
「女子寮で順次魔素毒を散らすので、起き上がれないほどだったら危険なので、先に連れてきてください。他の戦闘職の人はオークの襲撃に備えて警戒していてください」
「「「分かりました!」」」
かなり危険だった娘から順番に魔素を散らしていく。裸を気にする余裕のある娘なんかいなかった……皆、瀕死でぐったりしている。ある程度魔素を体から抜いてあげると顔色も少し良くなり話せるほどになったのだが、何人かが殺してほしいと言ってきた。
「せっかく助けてくれたけど、私は死にたい……」
「え~と、それほど辛い目に遭ったって事ですか?」
そのまましくしく泣いて俯いてしまった。
『……マスター、オークの子が宿ってるとオークの上位種に伝えられたようです。オークの子を産むくらいなら死にたいと思ってるようですね』
『人の言葉を喋れるヤツもいるのか!?』
『……口頭での会話ではなく、念話で意思疎通ができる程度のモノですね』
でも、死にたい理由がそういう事なら、何とかなりそうだな。
「あの、もしオークの子供の事を気にしているのなら、オークの子供はまだ生命とみなされないために【クリーン】というスキルで浄化できます。産む必要はないのですよ?」
「「化け物を産まなくて済むのですか!?」」
「ええ、まだ子供というほど育ってないのです。生命として認知されるまでに10日の余裕があります。今から直ぐに対処しますので妊娠の心配はしなくて大丈夫です」
3時間ほどかけて一応全員の処置を終える。この間オークの襲撃はなかった。
だが、助けた娘の中に問題児が1人いて困った。
「あの……どうして【身体強化】じゃなくて【剣術】に全振りしたのですか?」
「ポイントの無駄振りをしたくなかったからよ。私、あの部屋でいろいろ考えたのだけど、剣士になりたいの」
MMO好きでそういう知識があるようだが、どうもこの人は格技場の奴らと思考が同じなのかもしれない。この世界に転移した初期の頃で、時間と魔獣に余裕があるならいいが、今から街に向かおうかという時にこういう自己中で我が儘な考えの娘は迷惑にしかならない。
「あなたの希望は分かりましたが、それは街に着いてから自分の実力で行ってくれませんか? 今は【身体強化】を上げてまず街に行く事が大事です。付いてくる体力のない者を連れて行くわけにはいきませんので、我を通すのならここに置いていくことになります」
「自分の一生に係わるスキルの獲得なのに、自分で好きに選択しちゃいけないって言うの?」
「2、3日後にはここを出ようと考えています。その為に皆、最低【身体強化】をLv5まで上げたのです。新たに加わったあなたたちは種族レベルを後2レベル上げないと【身体強化】をLv5にできないので、もう少し魔獣を狩る必要があります。ですが周囲のオークのコロニーはほぼ狩ってしまっていますので、足らない分をスライムや兎なんかを狙って狩らないといけません。これ以上無駄に時間を過ごすと食料が足らなくなります。どうしてもあなたが自分の好きにするというなら止めませんが、同行基準に達してないのに勝手に付いてくることは許しません。他の100人があなた1人の為に危険に晒されてしまいますからね。食料は差しあげますが、殴って気絶させてでもその場合は置いていきます」
俺の説明を静かに聞いてくれている。
「解りました……我が儘を言ったのは分かっているけど、MMOとかラノベ好きからすれば夢のような世界なの。折角スキル獲得で強くなれるのなら、思いどおりにしたいじゃない? 解るかな? この気持ち……」
解るとも!
「あなた、俺と同類です! 解りますよ! でも、あなた随分逞しいですね。オークに捕らわれて死に掛けてた人とは思えません」
「捕まってからは何度ももうダメだと思ったけど、折角助かったのだから悲観に暮れるよりは前向きに生きて楽しんだ方が良いでしょ?」
「そうですね。起こったことで落ち込むより、前向きに考えて楽しんだ方が絶対良いです」
心の強い人だ。
「あなたたちをレベル1にするのに、捕らえてきたオーク29頭のうち11頭使っていますので、残りは18頭います。レイドPTを組みますので、名前をフルネームで教えてもらえますか?」
俺と助けた女子11名でレイドPTを組んで残りのオークを殺したのだが、1レベルは上がったが後1レベルを上げるにはやはり足らなかった。
【剣術】に全振りした彼女の名は柴崎友美さん。この秋で引退したが新体操部の3年生だそうだ。体操部というだけあって、すごく身体能力が高そうな人だ。彼女だけは余計な事をしているので【身体強化】をレベル5にするのに、種族レベルを後2レベル上げる必要がある。
他の女子は最初に貰えるスキル2つのうちの1つを【身体強化】、もう1つを【クリーン】にしてもらった。そしてレベルが上がって得たポイントを使い現在【身体強化】Lv3まで上がっている。Lv5にするにはあと9ポイント必要で、次にレベルが上がると丁度9ポイント得られるので後1つ上げるだけでいい状態だ。
俺は個人的に柴崎先輩を呼び出して、今後の方針と先輩の希望を聞いてみた。
「私としては、メインパーティーに入りたいけど今からだと厳しいんでしょ?」
「そうですね、レベル差があり過ぎて足手まといにしかなりません。ですがMMOとかやりこんでて職種別に全体の流れがある程度理解できて動ける人材が欲しいっていうのが今のここの集団の状態です。格技場の男子は戦闘特化ですが、MMOの経験はなくて集団戦は苦手のようです。連携とかより各個撃破が好きなようで、使いにくいっていうのが本音です。もし先輩が全体の流れを見ながら動けるような人材なら、少しレベル上げに付き合ってもいいのですが、時間がないってのが現状ですね。キングがいつ攻めてくるかもしれないので今はメインパーティーでPTを組んでおきたいです」
「いろいろ話を聞いた感じではかなり切羽詰まってる状態だったんだね。知らなかったとはいえ勝手な事してごめんね。食糧事情とか、魔獣の残数とか知らなかったから……」
「素直に非を認めてくれるなら今回の事はもういいです。それと【身体強化】はLv10にするだけで人間辞められるほどの最強パッシブスキルなので、どのジョブに就くにも真っ先に取る方が良いですよ。普通のオークならLv5あれば殴ったり蹴るだけで殺せますしね」
「そうだったんだ。そこまで強化されるとは思ってなかったから、まずは剣術かなと思ったのよね」
その後いくつか質問して、彼女は集団戦も自信有りとの事なので一度実戦を見せてもらって前線に組み入れるか決める事になった。
助けた女子にまだ相当量の魔素が残っていて辛そうだったが、人数が多いので重度の者以外は様子見させてもらった。フィリアは桜にスキルをコピーして【アクアフロー】を使える人手を増やさないかと言ってきたが、桜と婚約はしたが、スキルコピーの人数制限もあるし、桜が本当にずっと一緒に居てくれるかちょっと自信がなくて躊躇してしまった。
だって婚約はしてくれたけど、桜とはキスどころか手すら握った事ないんだもん。口約束だけで完全に手放しで受け入れる事はまだできない。なにせ彼女は誰もが認める学園1の美少女でお嬢様なのだ……気後れしても仕方ないだろ?
拠点に戻り仲間内だけで最終会議を行う。
「明日の早朝にキングのコロニーをこちらから攻めようと思う」
「体育館のメンバーにはやはり知らせないの?」
「雑魚程度は大丈夫だろうけど、体育館組じゃジェネラルクラスには対処できないと思う。なので美咲先輩にだけ加勢に来てもらおうと思っている。あの人の刀はシールドの結界すら切断するからね。俺と雅と3人で突っ込んでもらってシールド持ちのクイーンとプリーストを優先して排除してもらいたいんだよね」
オークが攻めてくる前にこっちから攻めることにした。巣の洞窟から出てきて分散されたら、数が圧倒的に多いので狩るのが厄介になる。洞窟から出てくる奴を片っ端から狩っていく方が狩り漏れもなく、一方向さえ気を付ければ良いので、楽に狩れる筈だ。
夜、排卵周期の桜がきてくれるかもと、ちょっと淡い期待をして待っていたのだけど、誰も来なかった。
別に誰も来てくれなくても寂しくないもん。
翌朝、美咲先輩にも朝4時にこっちに来てもらって、今、皆と朝食を食べている。
「美咲先輩だけ無理を言ってすみません」
「いえ、呼んでくれてありがとう。勝手に君たちだけで行かれたら凄く悲しかったと思うよ」
「体育館組には言ってないですけどね。同行したいとか言われたら困るのですよ。足手纏いを守りながらとかマジ勘弁です」
「そう思って私も高畑先生以外には伝えていません」
美咲先輩も体育館組はまだ実力不足と思っているようだ。
「美咲先輩にも分かるように、このキング戦の参加メンバーを再確認します。主戦力に俺・美咲先輩・雅の3人、この3人は最初のスキル奇襲が終わった後、最前線に突っ込みます。雅の補助にフィリアが、美咲先輩の補助に菜奈が付いてパッシブ効果が切れないようにサポートしてあげてほしい」
「解りました、兄様」
「了解じゃ」
「桜・綾・穂香・薫の4人は魔法職の前に立ち、洞窟から出てくる雑魚の掃討だ」
「「「了解」」」
「美加・沙織は狩り漏れを近い順にスキルで倒してくれ」
「「はい」」
「回復職の者だけど、未来と美弥ちゃんは全体を見ながらMP温存しつつ、皆のステータス管理だ。弓兵発見時にだけスキルを使って速攻倒してほしい。優は前衛職に【ヘイスラ】の魔法が切れないように頼む」
「「「了解です」」」
「菜奈とフィリアは【多重詠唱】も解禁する。魔力切れに注意して適度に撃ってくれていい。だがあくまで【マジックシールド】【プロテス】【シェル】を張るのが優先だ」
「了解じゃ」
今回生産スキルで量産した各種回復剤を皆に持たせてある。特に魔力回復剤は魔法職には10本と大量に持たせた。
さて、いよいよキングとの決戦だ! 日が出る前にこちらから寝込みを襲う。
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