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王都街道編 4・5日目
2-5-5 ハティの里帰り?白王狼?
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優ちゃんから学園の友人に連絡してもらった後に、転移魔法で華道室に飛んだ。
「龍馬先輩、魔法ってやっぱり凄いですね!? 何日か分の移動距離が一瞬です!」
「そうだね、だから危険なんだよ。この便利な魔法を利用しようと狙ってくる奴が後を絶たないだろうね」
「そうですね。便利な足代わりに利用されるのは嫌ですね……あ! 先輩を足代わりに使っちゃってる! ごめんなさい!」
「あはは、そうだけど、ちゃんとお願いしてきたし、友人が気になるのも解るから良いよ」
「龍馬先輩ありがとう!」
教員棟の地下に行き、扉を開けてもらう。
「小鳥遊君、わざわざ来てくれてありがとう! カレーライスを持ってきてくれたんだって?」
狸おやじが愛想笑いを浮かべているが、嫌いな奴の作り笑いはイラッとするだけだ。
「ええ、でも礼ならこの娘と料理部の娘たちに言ってあげてください。俺は付き添いです」
中に入ったのだが、う~~ん何やら空気が淀んでいる。匂いも臭い……【クリーン】がある筈なのになぜ臭う?
風魔法で一気に空気を入れ替える。そして全員に【クリーン】を掛ける。匂いは無くなったけど、室内の気温がかなり下がったな。火を使わないで温風を発生させて地下室を温めた。どうやらこの臭いは野郎どもの寝具の臭いのようだ……これらも全て【クリーン】を掛ける。
「あはは……小鳥遊君すまないね……」
「【クリーン】はあるのでしょう? 義務化してこまめに掛けることをお勧めします。皮膚病やウイルス系の風邪の予防にもなるのです。しない手はないでしょう?」
「分かった、今後は日課にする事にしよう」
そして料理部から預かった、カレーを出す。後は優ちゃんと女子に任せて、俺は自分の用を済ませに行く。
「優ちゃん、俺はちょっと出かけてくるよ。カレーライスにこの牛のステーキを付けてあげて」
「あ! それも良いのですか!? 皆喜ぶと思います! 龍馬先輩ありがとう! でもちゃんと迎えに来て下さいよ? 置いて行ったら嫌ですからね?」
「勿論だよ。この地を去る前に、ハティを家族に会わせて来ようかと思ってね」
「ああ、そういう事ですか。分かりました。待ってますので気を付けていってらっしゃい」
「うん。1時間ほどの予定だけど長くなる可能性もあるので、心配しないで待ってて」
「はい、友人とこれまでの道中談でも話して待ってますので、ゆっくり会わせてあげてください」
ハティを連れて、白狼たちの縄張りの付近に転移する。
陣地内に入りハティを胸から取り出して、声を掛けさす。
「ミャオ~~~ン!」
何とも可愛い遠吠えだ。
すぐに狼たちの移動が始まった。MAPを見ていたら、もの凄い速さで赤い光点が20個ほど近づいてくる。
どうやら、様子見に何頭かがきたようだ。偵察部隊だな。
「グルルル~~!」
俺たちの周りを威嚇の唸り声をあげながら5頭がゆっくり周回し始めた。ハティはかなり緊張はしているが、ビビった様子はない。
「ミャン! ミャン!」
ハティが2回鳴いたら、白狼の中から1頭近づいて来た。
『……マスター、ハティの母親です』
鼻をヒクヒクさせながら、3mほど離れた位置から匂いでハティの情報を得ようとしているみたいだ。
『彼女は人語は理解できるか?』
『……いえ、できないですね。ですが、後ろに潜んでいる白王狼なら念話で会話できます』
「おい! 隠れてないで出てこいよ! その仔はその雌狼の子供だ。2週間ちょっと前に産み落として、仕方なく見捨てた未熟児がいただろう? それがその仔だ」
『へ~、良く私の気配に気づいたわね』
いえ、気づけませんでした!【気配察知】MAXでも全く分かりませんでした! ナビーに言われてMAPでやっと場所を特定したのです! インチキです!
「何だ? 白王狼のリーダーは雌狼だったのか?」
『雌だといけないの?』
「いや。黒狼と違い頭が良くて決して人を襲わないと聞いていたので興味があったんだよ」
『そうなんだ……私は以前人間のテイマーの従魔だったの。なので人の怖さも優しさも十分知っているわ。黒狼のように人を襲っていたら、軍がやってきて、いつか全滅させられてしまう。黒王狼はそんな事も解らない馬鹿なやつ……』
「でも、あいつは『魔獣が人を恐れてどうする!』って言ってたぞ?」
『黒狼の王に会ったの? よく無事で生きてるわね?』
「襲ってきたから、あいつ以外は全滅させた。60頭ほど居たかな……」
『それは本当なの!?』
「疑うのか?」
『あいつらは馬鹿だけど、それなりに強いのよ? それこそ軍が出張って倒すような魔獣よ?』
俺は、この場に黒狼たちの死骸を全て出して見せた。62頭の若い雄中心の狼だ。俺たちの会話が理解できていない白狼たちの警戒心が一気に高まった。
『あなたたちは森の中にあんなでっかい建物を作って何をしているの? しかも周囲の魔獣を狩りつくしてしまったでしょ? もうすぐ冬が来るというのに魔獣が少なくなって、冬眠前の腹を空かせた赤熊の上位種がこの辺をうろついていい迷惑なのよ!』
「え? そうなのか? それは申し訳ない……」
黒狼をインベントリに戻してMAP検索を掛けたら、確かに熊が居た。ここから5kmほどの場所か……魔法でも届く範囲なのだけど、ここはハティの見せ場だな。
「ハティ! MAPの☆の奴を今すぐ狩ってこい。どうもハティの仲間たちがこいつのせいで迷惑しているらしいので、ちょっと行って仕留めてこい! 熊のレバーも美味しいそうだから、倒してきたらご褒美にあげるぞ。上位種だから絶対美味しいぞ」
『ほんとう!? ハティ、すぐとってくる!』
俺の話を最後まで聞かないで、すっ飛んで行った。慌てて白王狼が何やら指示を出したようで、10頭ほどがハティの後を追ったみたいだ。
『なんて愚かな指示を出すのですか! あの子死んじゃうわよ! この辺で最強の赤熊なのよ! なんで私が狩らないで避けてると思ってるのよ!』
「お前なら余裕で熊如き狩れるだろ?」
『狩れないわよ! あの熊も王種なのよ? 簡単に狩れるわけないじゃない!』
「上位種とか言うから、ちょっと強いくらいの奴かと思ってた! その熊、王種なのか?」
『そうよ! 私の仲間まで死んだら許さないからね! 覚悟しなさい!』
『……マスター、何も心配いりません。リアルタイム映像を出しますね。録画もしておきましょう♪』
『おい! ノリノリだな!?』
ハティを追った白狼たちだが、ハティが風魔法と雷魔法の2発で赤熊を瞬殺したころ、まだ半分の距離にいた。
しかも帰りには重力魔法の【レビテガ】まで使って帰ってきたので、白狼がハティの匂いを辿って熊の居た場所に着いたころには、もう俺の下に帰ってきていた。
「ミャン!」
『ごしゅじんさま! 熊、弱かったよ? 2発で死んじゃった……』
「どれ見せてみろ! おお! ちゃんと肉を傷めないように首筋を狙ってるな! でも1回で落とせなかったのか? 中級魔法を使ったのか?」
『一番つよいやつで撃ったけど、くび落ちなかったよ? でもその傷の所に雷を落としたらたおせた!』
「そか、こいつの毛に魔法耐性があるみたいだ。だから威力が半減して傷がちょっとしかつかなかったんだな。でもその傷を狙われたから、内部に電気が通って感電死したようだ……良い作戦だ、偉いぞ!」
褒めてもらえて嬉しいのか、尻尾がせわしなく振られている。
『そんな赤ちゃんが……どうなってるの? あなたその子に何したのよ!』
「俺の従魔だから、愛情たっぷりに強くしてあげたんだよ。お前も王種に成ってるほどだ。以前の飼い主に可愛がってもらっていたのだろ? それよりハティを追ったお前の仲間がハティを見失って困ってるみたいだぞ?」
「ウォオ~~ン!」
遠吠えで仲間を呼び戻したようだ。さすがにハティと比べたら迫力がある。
でもやっぱ雌の遠吠えは、黒王狼と比べたら可愛いな。
あいつの遠吠えは野太く体が震えるほど迫力があった。
「狼も人間のように狼同士で会話できるのか?」
『人ほど複雑な言葉はないわね。片言の単語をつないで意思疎通ができる感じ?』
「ふ~ん。日常会話で困らないんだな……」
『そんな事より、何か用があるのでしょ?』
なんかこの白王狼……大影先輩に感じが似てるな。
「実は俺たちは異世界人でな……異世界人、解るか?」
『この世界と違うとこから来た人の事でしょ?』
「うん。女神フィリアのミスで、学校ごと勇者召喚に巻き込まれちゃったんだよね。あの建物は俺たちの世界の建物なんだよ。あそこで建てた物じゃないんだ」
『勇者召喚? あなたたち勇者様なの!?』
「勇者は1人だよ。俺たちは巻き込まれたんだ。でも、勇者の能力を神の計らいで俺たちも持っているので強いんだよ。その能力で、ハティも救って強くしたんだ。今日はこの地を去る前に、ハティを仲間に会わせてやろうかと思ってね。もしハティが母親たちと居たいというならお前の仲間に加えてあげてほしい」
『ハティはごしゅじんさまといたい! はなればなれはイヤ!』
『随分可愛がってくれてるようじゃない……凄い懐いているではないですか。え!? その子【念話】で流調に会話してる!?』
「今、気付いたのか!」
『どういう事? 人の従魔になっても、そんなに急に賢くはなれない筈よ?』
「この娘、お前と同じ王種に既になっているんだよ」
『そんな訳ないでしょ!? エッ……本当なの?』
15分ほどしてハティの母親と、さっき向かった白狼たちが帰ってきた。
母狼はさっきと違い、ハティに直ぐ近寄ってクンクンしてから尻尾を振ってペロペロし始めた。
「自分の子供って分かったのか?」
『ええ、死んだものと思っていたので嬉しいようね……でも、その子連れてっちゃうのでしょ?』
「ハティが俺と居たいって言ってくれたからな。俺もできれば一緒に居たい」
『おかあさんと会えたのはうれしいけど、ハティはごしゅじんさまといっしょがいい!』
赤熊の王種を【インベントリ】に入れ、ナビーに解体してもらう。
『……マスター、この熊の王種のレバーは、スタミナ回復剤の上級薬になる貴重品なのですが……』
『そうなのか? でも、ハティにあげるって言っちゃったしな……とりあえず牛の肉を300gほどここにいる狼たちに出してやる。そのサイズに切ってくれるか』
「白王狼、これはハティからの手土産だ。牛の肉だ、旨いぞ」
17頭いたのでその数を出してやる。
『ホント! それは嬉しい! 牛の肉は美味しいからね!』
「お前【亜空間倉庫】持ってるか?」
『勿論あるわよ?』
「この牛、何頭いける? 入る分だけやるぞ?」
『本当!? 何頭入るかな……ああ、4頭か! もっと入ると思ったのに!』
黒王狼より1頭多かった。流石人に飼われていただけの事はある。俺たちのようにAPを振って拡張できないので、飼い主に拡張のコツとかを教わったのだろう。思ったより入ったな……ハティの仲間なんだし、まぁいいか。
ハティも母親に甘えて嬉しそうだしね。
「龍馬先輩、魔法ってやっぱり凄いですね!? 何日か分の移動距離が一瞬です!」
「そうだね、だから危険なんだよ。この便利な魔法を利用しようと狙ってくる奴が後を絶たないだろうね」
「そうですね。便利な足代わりに利用されるのは嫌ですね……あ! 先輩を足代わりに使っちゃってる! ごめんなさい!」
「あはは、そうだけど、ちゃんとお願いしてきたし、友人が気になるのも解るから良いよ」
「龍馬先輩ありがとう!」
教員棟の地下に行き、扉を開けてもらう。
「小鳥遊君、わざわざ来てくれてありがとう! カレーライスを持ってきてくれたんだって?」
狸おやじが愛想笑いを浮かべているが、嫌いな奴の作り笑いはイラッとするだけだ。
「ええ、でも礼ならこの娘と料理部の娘たちに言ってあげてください。俺は付き添いです」
中に入ったのだが、う~~ん何やら空気が淀んでいる。匂いも臭い……【クリーン】がある筈なのになぜ臭う?
風魔法で一気に空気を入れ替える。そして全員に【クリーン】を掛ける。匂いは無くなったけど、室内の気温がかなり下がったな。火を使わないで温風を発生させて地下室を温めた。どうやらこの臭いは野郎どもの寝具の臭いのようだ……これらも全て【クリーン】を掛ける。
「あはは……小鳥遊君すまないね……」
「【クリーン】はあるのでしょう? 義務化してこまめに掛けることをお勧めします。皮膚病やウイルス系の風邪の予防にもなるのです。しない手はないでしょう?」
「分かった、今後は日課にする事にしよう」
そして料理部から預かった、カレーを出す。後は優ちゃんと女子に任せて、俺は自分の用を済ませに行く。
「優ちゃん、俺はちょっと出かけてくるよ。カレーライスにこの牛のステーキを付けてあげて」
「あ! それも良いのですか!? 皆喜ぶと思います! 龍馬先輩ありがとう! でもちゃんと迎えに来て下さいよ? 置いて行ったら嫌ですからね?」
「勿論だよ。この地を去る前に、ハティを家族に会わせて来ようかと思ってね」
「ああ、そういう事ですか。分かりました。待ってますので気を付けていってらっしゃい」
「うん。1時間ほどの予定だけど長くなる可能性もあるので、心配しないで待ってて」
「はい、友人とこれまでの道中談でも話して待ってますので、ゆっくり会わせてあげてください」
ハティを連れて、白狼たちの縄張りの付近に転移する。
陣地内に入りハティを胸から取り出して、声を掛けさす。
「ミャオ~~~ン!」
何とも可愛い遠吠えだ。
すぐに狼たちの移動が始まった。MAPを見ていたら、もの凄い速さで赤い光点が20個ほど近づいてくる。
どうやら、様子見に何頭かがきたようだ。偵察部隊だな。
「グルルル~~!」
俺たちの周りを威嚇の唸り声をあげながら5頭がゆっくり周回し始めた。ハティはかなり緊張はしているが、ビビった様子はない。
「ミャン! ミャン!」
ハティが2回鳴いたら、白狼の中から1頭近づいて来た。
『……マスター、ハティの母親です』
鼻をヒクヒクさせながら、3mほど離れた位置から匂いでハティの情報を得ようとしているみたいだ。
『彼女は人語は理解できるか?』
『……いえ、できないですね。ですが、後ろに潜んでいる白王狼なら念話で会話できます』
「おい! 隠れてないで出てこいよ! その仔はその雌狼の子供だ。2週間ちょっと前に産み落として、仕方なく見捨てた未熟児がいただろう? それがその仔だ」
『へ~、良く私の気配に気づいたわね』
いえ、気づけませんでした!【気配察知】MAXでも全く分かりませんでした! ナビーに言われてMAPでやっと場所を特定したのです! インチキです!
「何だ? 白王狼のリーダーは雌狼だったのか?」
『雌だといけないの?』
「いや。黒狼と違い頭が良くて決して人を襲わないと聞いていたので興味があったんだよ」
『そうなんだ……私は以前人間のテイマーの従魔だったの。なので人の怖さも優しさも十分知っているわ。黒狼のように人を襲っていたら、軍がやってきて、いつか全滅させられてしまう。黒王狼はそんな事も解らない馬鹿なやつ……』
「でも、あいつは『魔獣が人を恐れてどうする!』って言ってたぞ?」
『黒狼の王に会ったの? よく無事で生きてるわね?』
「襲ってきたから、あいつ以外は全滅させた。60頭ほど居たかな……」
『それは本当なの!?』
「疑うのか?」
『あいつらは馬鹿だけど、それなりに強いのよ? それこそ軍が出張って倒すような魔獣よ?』
俺は、この場に黒狼たちの死骸を全て出して見せた。62頭の若い雄中心の狼だ。俺たちの会話が理解できていない白狼たちの警戒心が一気に高まった。
『あなたたちは森の中にあんなでっかい建物を作って何をしているの? しかも周囲の魔獣を狩りつくしてしまったでしょ? もうすぐ冬が来るというのに魔獣が少なくなって、冬眠前の腹を空かせた赤熊の上位種がこの辺をうろついていい迷惑なのよ!』
「え? そうなのか? それは申し訳ない……」
黒狼をインベントリに戻してMAP検索を掛けたら、確かに熊が居た。ここから5kmほどの場所か……魔法でも届く範囲なのだけど、ここはハティの見せ場だな。
「ハティ! MAPの☆の奴を今すぐ狩ってこい。どうもハティの仲間たちがこいつのせいで迷惑しているらしいので、ちょっと行って仕留めてこい! 熊のレバーも美味しいそうだから、倒してきたらご褒美にあげるぞ。上位種だから絶対美味しいぞ」
『ほんとう!? ハティ、すぐとってくる!』
俺の話を最後まで聞かないで、すっ飛んで行った。慌てて白王狼が何やら指示を出したようで、10頭ほどがハティの後を追ったみたいだ。
『なんて愚かな指示を出すのですか! あの子死んじゃうわよ! この辺で最強の赤熊なのよ! なんで私が狩らないで避けてると思ってるのよ!』
「お前なら余裕で熊如き狩れるだろ?」
『狩れないわよ! あの熊も王種なのよ? 簡単に狩れるわけないじゃない!』
「上位種とか言うから、ちょっと強いくらいの奴かと思ってた! その熊、王種なのか?」
『そうよ! 私の仲間まで死んだら許さないからね! 覚悟しなさい!』
『……マスター、何も心配いりません。リアルタイム映像を出しますね。録画もしておきましょう♪』
『おい! ノリノリだな!?』
ハティを追った白狼たちだが、ハティが風魔法と雷魔法の2発で赤熊を瞬殺したころ、まだ半分の距離にいた。
しかも帰りには重力魔法の【レビテガ】まで使って帰ってきたので、白狼がハティの匂いを辿って熊の居た場所に着いたころには、もう俺の下に帰ってきていた。
「ミャン!」
『ごしゅじんさま! 熊、弱かったよ? 2発で死んじゃった……』
「どれ見せてみろ! おお! ちゃんと肉を傷めないように首筋を狙ってるな! でも1回で落とせなかったのか? 中級魔法を使ったのか?」
『一番つよいやつで撃ったけど、くび落ちなかったよ? でもその傷の所に雷を落としたらたおせた!』
「そか、こいつの毛に魔法耐性があるみたいだ。だから威力が半減して傷がちょっとしかつかなかったんだな。でもその傷を狙われたから、内部に電気が通って感電死したようだ……良い作戦だ、偉いぞ!」
褒めてもらえて嬉しいのか、尻尾がせわしなく振られている。
『そんな赤ちゃんが……どうなってるの? あなたその子に何したのよ!』
「俺の従魔だから、愛情たっぷりに強くしてあげたんだよ。お前も王種に成ってるほどだ。以前の飼い主に可愛がってもらっていたのだろ? それよりハティを追ったお前の仲間がハティを見失って困ってるみたいだぞ?」
「ウォオ~~ン!」
遠吠えで仲間を呼び戻したようだ。さすがにハティと比べたら迫力がある。
でもやっぱ雌の遠吠えは、黒王狼と比べたら可愛いな。
あいつの遠吠えは野太く体が震えるほど迫力があった。
「狼も人間のように狼同士で会話できるのか?」
『人ほど複雑な言葉はないわね。片言の単語をつないで意思疎通ができる感じ?』
「ふ~ん。日常会話で困らないんだな……」
『そんな事より、何か用があるのでしょ?』
なんかこの白王狼……大影先輩に感じが似てるな。
「実は俺たちは異世界人でな……異世界人、解るか?」
『この世界と違うとこから来た人の事でしょ?』
「うん。女神フィリアのミスで、学校ごと勇者召喚に巻き込まれちゃったんだよね。あの建物は俺たちの世界の建物なんだよ。あそこで建てた物じゃないんだ」
『勇者召喚? あなたたち勇者様なの!?』
「勇者は1人だよ。俺たちは巻き込まれたんだ。でも、勇者の能力を神の計らいで俺たちも持っているので強いんだよ。その能力で、ハティも救って強くしたんだ。今日はこの地を去る前に、ハティを仲間に会わせてやろうかと思ってね。もしハティが母親たちと居たいというならお前の仲間に加えてあげてほしい」
『ハティはごしゅじんさまといたい! はなればなれはイヤ!』
『随分可愛がってくれてるようじゃない……凄い懐いているではないですか。え!? その子【念話】で流調に会話してる!?』
「今、気付いたのか!」
『どういう事? 人の従魔になっても、そんなに急に賢くはなれない筈よ?』
「この娘、お前と同じ王種に既になっているんだよ」
『そんな訳ないでしょ!? エッ……本当なの?』
15分ほどしてハティの母親と、さっき向かった白狼たちが帰ってきた。
母狼はさっきと違い、ハティに直ぐ近寄ってクンクンしてから尻尾を振ってペロペロし始めた。
「自分の子供って分かったのか?」
『ええ、死んだものと思っていたので嬉しいようね……でも、その子連れてっちゃうのでしょ?』
「ハティが俺と居たいって言ってくれたからな。俺もできれば一緒に居たい」
『おかあさんと会えたのはうれしいけど、ハティはごしゅじんさまといっしょがいい!』
赤熊の王種を【インベントリ】に入れ、ナビーに解体してもらう。
『……マスター、この熊の王種のレバーは、スタミナ回復剤の上級薬になる貴重品なのですが……』
『そうなのか? でも、ハティにあげるって言っちゃったしな……とりあえず牛の肉を300gほどここにいる狼たちに出してやる。そのサイズに切ってくれるか』
「白王狼、これはハティからの手土産だ。牛の肉だ、旨いぞ」
17頭いたのでその数を出してやる。
『ホント! それは嬉しい! 牛の肉は美味しいからね!』
「お前【亜空間倉庫】持ってるか?」
『勿論あるわよ?』
「この牛、何頭いける? 入る分だけやるぞ?」
『本当!? 何頭入るかな……ああ、4頭か! もっと入ると思ったのに!』
黒王狼より1頭多かった。流石人に飼われていただけの事はある。俺たちのようにAPを振って拡張できないので、飼い主に拡張のコツとかを教わったのだろう。思ったより入ったな……ハティの仲間なんだし、まぁいいか。
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本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
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