仮タイトル 異世界転生？

第一章

転生したわけ

「…で？俺に何の用？」
自称女神様が何の用もなく出てくることはないだろう、流石に。
「ああ、そうそう。お主が転生した理由を説明してやろうと思ってな」
「転生？」
またどっかで聞き覚えのある言葉が出てきた。
「お主の世界では『異世界転生』というものが流行っておるそうじゃの…、おい、嫌そうな顔をするな」
流行ってるのは知ってる。
しかし、自分がそれに巻き込まれるとは誰も思わないだろう。
だいたい、そういうのは創作の中だけにしてほしい。
「…仕方ないのう。お主がここに来たのは、お主が理解しやすいように『異世界転生』という言葉を使って説明してやるが、正確には違う」
「は？」
そんなものに違うも同じもあるのか？
「今、この世界は滅亡の危機に瀕しておる」
「いや、ありがちじゃん」
「最後まで聞け。…滅亡の危機に瀕しておる理由は、お主のせいじゃ」
「……」
なるほど？確かに普通なら「この世界を救えるのはお前だけじゃ！」とか言われそうだが、そうではないと。
いや、なら何故俺はここにいる？
「元々この世界はお主のいた世界とは違い、争いの絶えない世。そこで、勇者として適当に何十人か異世界から連れてきたところ、問題が生じた」
「一々雑過ぎんだろ」
「聞けと言うに。大半の人間には何の問題もなかった。ただの無能だったからな。ただ、一人だけ天才が混ざっておった」
「へー、良かったじゃん」
「馬鹿者。その者が時空の歪みを引き起こし、お主をこの世界に連れてきた。そして、その歪みのせいでこの世界は崩壊しかけている」
「待って？話が見えないんだけど？」
何がどうして天才が俺なんかを呼び出すんだ。
「そんなことはこっちが聞きたいわ。とにかく、お主の使命は、お主を呼び出した者をどうにか落ち着かせ、共に元の世界に帰ること」
「…帰れなかったらどうなんの？」
「この世界ごと、お主も我も消滅する」
なんかとんでもないことになった。