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子猫
子猫1
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違和感を感じながら暮らすうちに時が経ち、輝李は12歳になっていた。
相変わらず、乙は夕方から忽然と姿を消すことがあった。
昔ほど連日ではないが、ごくまれに居なくなるときがある。
唯一変わった事は、乙が笑わなくなった事…
いつの日も冷静に周りを見て判断する。
とても同じ年とは思えないほど大人の目をする。
『やっぱり…まだ、父様に…』
数年前、輝李が偶然見てしまった父と乙の関係…
乙に厳しく手を上げる父…
夜にどこかへ行く母…
──そして、笑わなくなった乙…
原因が父にある事くらいは、輝李にも解っていた。
しかし、乙に問いただすたびに、
『俺の為だから…』
と濁すだけだった。
この頃から父は、海外へ出張するようになった。
さすがに海外にいくつも会社を持っていると、ずっと日本に居るわけにもいかなくなったのだろう。
元々、あまり家には帰ってこなかったが乙の事はしっかり監視してたらしい。
相変わらず乙とは遊ぶことも出来ず、輝李が押し掛けては乙の教育係にお説教を食らう。
そんな毎日を送っていた。
ある日、輝李は学校から帰る下校時に【友達と帰りたい!!】と駄々をこね、屋敷からの迎えを断った。
初めての友達との下校。
初めての寄り道。
ジャンケンをして、勝ったものが進んでいく遊び。
自分の知らなかった沢山のものが新鮮で、楽しくて仕方なかった。
そして友達と別れ、もうすぐ敷地の門という所で、輝李は小さな鳴き声を聴いた。
輝李が周りを見渡すと、ずいぶん放置されていたのかもしれない段ボール箱に、一匹の子猫を見つけた。
たくさん鳴いたのだろう。
すでに鳴き声は弱々しく、今にも鳴き声が聞えなくなりそうになるのではないかという程、弱りきっていた。
輝李は、段ボールの前にしゃがむと恐る恐る、そうっと子猫の頭を撫でた。
子猫は、震えながら力なく輝李を見つめると小さく鳴いた。
『こんなに弱って…
このまま、この子を置いて行ったら…』
輝李は、子猫を両手ですくうと優しく抱き締めるように胸の中におさめた。
子猫を大切に抱え、門を潜るとカートに乗り、屋敷へと急いだ。
『早くしないと、子猫が…!!』
相変わらず、乙は夕方から忽然と姿を消すことがあった。
昔ほど連日ではないが、ごくまれに居なくなるときがある。
唯一変わった事は、乙が笑わなくなった事…
いつの日も冷静に周りを見て判断する。
とても同じ年とは思えないほど大人の目をする。
『やっぱり…まだ、父様に…』
数年前、輝李が偶然見てしまった父と乙の関係…
乙に厳しく手を上げる父…
夜にどこかへ行く母…
──そして、笑わなくなった乙…
原因が父にある事くらいは、輝李にも解っていた。
しかし、乙に問いただすたびに、
『俺の為だから…』
と濁すだけだった。
この頃から父は、海外へ出張するようになった。
さすがに海外にいくつも会社を持っていると、ずっと日本に居るわけにもいかなくなったのだろう。
元々、あまり家には帰ってこなかったが乙の事はしっかり監視してたらしい。
相変わらず乙とは遊ぶことも出来ず、輝李が押し掛けては乙の教育係にお説教を食らう。
そんな毎日を送っていた。
ある日、輝李は学校から帰る下校時に【友達と帰りたい!!】と駄々をこね、屋敷からの迎えを断った。
初めての友達との下校。
初めての寄り道。
ジャンケンをして、勝ったものが進んでいく遊び。
自分の知らなかった沢山のものが新鮮で、楽しくて仕方なかった。
そして友達と別れ、もうすぐ敷地の門という所で、輝李は小さな鳴き声を聴いた。
輝李が周りを見渡すと、ずいぶん放置されていたのかもしれない段ボール箱に、一匹の子猫を見つけた。
たくさん鳴いたのだろう。
すでに鳴き声は弱々しく、今にも鳴き声が聞えなくなりそうになるのではないかという程、弱りきっていた。
輝李は、段ボールの前にしゃがむと恐る恐る、そうっと子猫の頭を撫でた。
子猫は、震えながら力なく輝李を見つめると小さく鳴いた。
『こんなに弱って…
このまま、この子を置いて行ったら…』
輝李は、子猫を両手ですくうと優しく抱き締めるように胸の中におさめた。
子猫を大切に抱え、門を潜るとカートに乗り、屋敷へと急いだ。
『早くしないと、子猫が…!!』
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