隣の二階堂さん

阪上克利

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結婚式の料理は食べた気がしないのか否か

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   隣の二階堂さんには変な癖がある。
 考え事をして煮詰まってくると部屋の壁を叩くのだ。
 最初はびっくりしたけど、変な癖だと知ってからは何も怖くはない。
 最近では彼女が何かに煮詰まってきている時にお茶に誘って話を聞くことをあたしも夕凪ゆうなも楽しみにしている。

 どんどんどんどん……

 でも残念なことにあたしたちは今日、実家に帰る予定なのでアパートにはいない。
 あの壁の音は今日もしているのだろうか……。


 --------------


 疲れた。
 結婚式。
 足……むくんでるし……。
 そういえば顔もむくんでるし……

 あたしはアパートの扉を開いて部屋に入った。
 そういえばお隣は留守のようだ。
 時計の針が19時を回っているところを見るとお隣さんは実家に帰ったのかもしれない。

 いや……それにしてもいい結婚式だった。
 新婦は幸せそうだったし、旦那さんになる人は誠実そうないい人だった。
 新婦の友人代表のスピーチはあたしではなかったので結婚式は盛り上がった。
 いやあ……。
 よく泣いてたなあ。
 身体中の水分全部出たんじゃない……あれで。

 そういえば……お腹が空いた。
 おかしな話だが…結婚式でけっこう食べたはずなのだ。
 それなのになんだか食べた気がしないのだ。
 お酒もそれなりに呑んだのだけど……全然酔わなかった。
 おかしい。
 そんなにお酒……強くないのに……。
 確かに……結婚式の席なので、お酒はいつもより少なめにした。
 ウイスキーは山崎だったけど、ロックで6、7杯ほどで我慢した。

 もう少し呑みたかったなあ……

 呑み足りないぐらいなのだから、酔わないのは当然なのだが、それにしてもほろ酔いのほろも酔っていない。
 だのになぜ顔がむくんでいる?
 あ……疲れたからか……。

 そういえば結婚式の料理も普段は食べられないような食事ばかりだった。
 美味しいには美味しいのだが……なんか緊張したのも覚えている。

 ああ……だから肩が凝っているのか。
 顔がむくんでいるのもそのせいか。
 足も……。

 はあ……。

 思わずため息がでた。
 なんか無性に焼き鳥とか食べたい。
 そういえば焼き鳥の缶詰がどこかにあったはず。
 あたしは缶詰を探して冷蔵庫を見た。
 冷えたビールが何本か入っている。

 おお。

 いやいや……待って。
 落ち着け、あたし。
 まずは焼き鳥をキープしてから…。
 シンク下を覗き込もうとしたら、あたしの目には嫌なものが飛び込んできた。

 体重計だ。

 そういえば少し太ったんだっけな…。
 えーーと。
 どうしようかな。
 一応、ビールだけにしとこうかな。
 いや…お腹は空いている。
 ストレスが一番いけないのだ。
 ダイエットは明日から。

 シンク下には焼き鳥の缶詰があった。
 そうだ。冷蔵庫にはレタスとトマトがあったはず。生野菜に和えて食べよう。

 あれ?
 あたし……何か考え事してたんだっけ?

 たぶん、今日はやらかしていないはず。
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