星のプリン王子と夜のおうち

６．

今夜こんやこそ、夜よるのおうに　行いってみたい。

「ねえ、おかあさん」
今日きょうは、意地いじでも　ふとんに入はいらない。

ふとんに　入はいってしまえば、目めを閉とじて　開ひらけば　また朝あさなんだ　もの。

だから　かけぶとんを　ぎゅっと抱だいて、
眠ねむったぼくが　連つれていかれる　ところに　ついていく。

「夜よるの　おうちで、みんな　どんなことを　しているの？」

「お歌うたを　うたったり　おどったり
おいしい　お食事しょくじをしたり。
ドレスを　着きた　ウサギもいれば、
フルートを　吹ふく　タコもいるのよ」

「ほんとう？」
「ええ、きっと」

でも　ぼくは　知しっている。
おかあさんは、つくり　ばなしを　しているんだ。
ほんとうは、そんな　夢ゆめみたいな　ところは　ないって　思おもってる。

だけど　ぼくは　気きにしちゃいない。

ぼくだけが　知しっていて、
ぼくだけが、行いけるところは　あるんだもんね。

ほんとう　だよ。

「もし　そんなところに　行いけたなら　きっと　楽たのしいでしょうね」と　おかあさんは　少すこしだけ　信しんじようと　している　みたいだった。
「わくわく　しそうね　その世界せかい」
おかあさんたら、なんだか　おんなのこ　の目めをしてた。

それから　おかあさんは　にこにこしながら、おちゃめに　ウインク　してみせた。