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7. 通帳の記載
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退院した次の日の午後には街でスマホを購入して貰い、その日の夜には仲間とSNSから繋がることが出来た。
『おいハユル、大丈夫だったか? もう一日連絡が遅ければ、警察に届けるところだったぞ!』
一番仲のいい仲間からそうメッセがきて、俺は首を傾げる。
『悪い、この一年の記憶がないんだ。どういう意味?』
『嘘だろ? お前、今の家にいたくないって、泊まらせて欲しいって俺に連絡したあと、音信不通になったんだよ!』
『え……? そうなの?』
『そうだよ! 今は大丈夫なのか?』
『ああ。多分大丈夫……かな?』
『とにかく、無事でよかった。また何かあったら、連絡しろよ』
『ありがと。心配かけて悪かったな』
そんな連絡をしたあと、俺はスマホから手を離してベッドに横たわる。
今の家にいたくないって、イドさんの家のことだよな?
階段から落ちた日に、泊めてくれってお願いしたってことか?
……どういうことだ?
イドさんに騙されているのだろうか、という疑惑が胸に巣食い、俺はイドさんから聞いた話の裏付けになるようなものを探そうとした。
半年前に、仕事を辞めたって言ってたよな。
それは本当なんだろうか。
俺は自分の荷物から通帳を捜し出して、中を確認する。
イドさんの言っていた通りで、家事代行サービスをしていた頃の給与はきちんと退職金も一緒に、半年ほど前に振り込まれていた。
そして、それ以降は「ミョン・イド」の個人口座からきちんと月々三十万、振り込まれている。
それ以外に、二十万が結構な頻度で振り込まれていた。
これが、バイト代か。
自分の恥ずかしい写真データや動画を思い出して、身体がじわりと熱を帯びた気がした。
疼きのようなものをお尻に感じてしまい、慌てて思考を切り替えようと、もう一度通帳に目を通す。
つい最近まで、イドさんからの給与もバイト代もしっかり振り込まれており、俺の口座が今まで見たことのない金額に膨れ上がっている。
そして月イチくらいの頻度で、十万と五万が別々にカードで引き落とされていた。
「……あれ?」
ふと、俺は何かの違和感を覚える。
五万は恐らく、養護施設への振り込み用だ。
じゃあ、この十万はなんだろう。
半年前くらいから毎月引き落とされている。
その時、ドアがノックされた。
「ハユル、入っても大丈夫ですか? 私もそろそろ寝ようかと思いまして」
「あ、はい。すみません、ちょっと待って下さい」
俺は慌てて通帳を元の位置に戻すと、ドアを開けてイドさんを迎え入れた。
俺たちは以前、毎晩イドさんのベッドで一緒に寝ていたらしいのだが、イドさんの部屋は二階にあるので、ひとまず今日は俺のベッドで一緒に寝ることにしたのだ。
「狭くてすみません」
とは言っても、セミダブルの広さはある。
俺の家具じゃないから、きっと俺のためにイドさんが準備してくれたものなのだろう。
イドさんが準備してくれたベッドなのに、狭くてすみませんと俺が言うのもどうかとは思うが。
「いいえ。今度、ハユルのベッドを私のベッドと入れ替えるか、新しいベッドを買うかしましょう」
「新しいベッドはもったいないからいいですよ」
一人用のベッドとしては、むしろ贅沢な大きさだ。
「まあ、狭いことを理由にくっつけることは嬉しいですが」
イドさんは嬉しそうに笑うと、俺を抱き締めてキスをする。
全く覚えていないそのキスを、俺は少し戸惑いながらも受け止める。
覚えていないのに、気持ち良いのは確かだ。
男とのキスなのに。
イドさんと俺の息子は自然と硬くなり、寝間着ごしに互いのモノが擦れて、変な気持ちになる。
ふと、えっちな動画を思い出す。
「……イドさん」
「はい」
「その、もう少しだけ、します?」
「……いいのですか?」
「はい。何か思い出すかも、しれませんし」
決して動画の自分が気持ち良さそうだったから、とかではない……記憶を取り戻したいという建前を使って、俺は頷いた。
「わかりました。ちょっと待っていてください」
「はい」
イドさんは一度俺の部屋から出ると、ガチャガチャと音を鳴らしつつ段ボールを抱えて戻って来た。
「君の好きなオモチャ、たくさん持って来ました。興味があるものから、試してみましょう」
「はい」
俺は期待と緊張で、喉をゴクリと鳴らした。
『おいハユル、大丈夫だったか? もう一日連絡が遅ければ、警察に届けるところだったぞ!』
一番仲のいい仲間からそうメッセがきて、俺は首を傾げる。
『悪い、この一年の記憶がないんだ。どういう意味?』
『嘘だろ? お前、今の家にいたくないって、泊まらせて欲しいって俺に連絡したあと、音信不通になったんだよ!』
『え……? そうなの?』
『そうだよ! 今は大丈夫なのか?』
『ああ。多分大丈夫……かな?』
『とにかく、無事でよかった。また何かあったら、連絡しろよ』
『ありがと。心配かけて悪かったな』
そんな連絡をしたあと、俺はスマホから手を離してベッドに横たわる。
今の家にいたくないって、イドさんの家のことだよな?
階段から落ちた日に、泊めてくれってお願いしたってことか?
……どういうことだ?
イドさんに騙されているのだろうか、という疑惑が胸に巣食い、俺はイドさんから聞いた話の裏付けになるようなものを探そうとした。
半年前に、仕事を辞めたって言ってたよな。
それは本当なんだろうか。
俺は自分の荷物から通帳を捜し出して、中を確認する。
イドさんの言っていた通りで、家事代行サービスをしていた頃の給与はきちんと退職金も一緒に、半年ほど前に振り込まれていた。
そして、それ以降は「ミョン・イド」の個人口座からきちんと月々三十万、振り込まれている。
それ以外に、二十万が結構な頻度で振り込まれていた。
これが、バイト代か。
自分の恥ずかしい写真データや動画を思い出して、身体がじわりと熱を帯びた気がした。
疼きのようなものをお尻に感じてしまい、慌てて思考を切り替えようと、もう一度通帳に目を通す。
つい最近まで、イドさんからの給与もバイト代もしっかり振り込まれており、俺の口座が今まで見たことのない金額に膨れ上がっている。
そして月イチくらいの頻度で、十万と五万が別々にカードで引き落とされていた。
「……あれ?」
ふと、俺は何かの違和感を覚える。
五万は恐らく、養護施設への振り込み用だ。
じゃあ、この十万はなんだろう。
半年前くらいから毎月引き落とされている。
その時、ドアがノックされた。
「ハユル、入っても大丈夫ですか? 私もそろそろ寝ようかと思いまして」
「あ、はい。すみません、ちょっと待って下さい」
俺は慌てて通帳を元の位置に戻すと、ドアを開けてイドさんを迎え入れた。
俺たちは以前、毎晩イドさんのベッドで一緒に寝ていたらしいのだが、イドさんの部屋は二階にあるので、ひとまず今日は俺のベッドで一緒に寝ることにしたのだ。
「狭くてすみません」
とは言っても、セミダブルの広さはある。
俺の家具じゃないから、きっと俺のためにイドさんが準備してくれたものなのだろう。
イドさんが準備してくれたベッドなのに、狭くてすみませんと俺が言うのもどうかとは思うが。
「いいえ。今度、ハユルのベッドを私のベッドと入れ替えるか、新しいベッドを買うかしましょう」
「新しいベッドはもったいないからいいですよ」
一人用のベッドとしては、むしろ贅沢な大きさだ。
「まあ、狭いことを理由にくっつけることは嬉しいですが」
イドさんは嬉しそうに笑うと、俺を抱き締めてキスをする。
全く覚えていないそのキスを、俺は少し戸惑いながらも受け止める。
覚えていないのに、気持ち良いのは確かだ。
男とのキスなのに。
イドさんと俺の息子は自然と硬くなり、寝間着ごしに互いのモノが擦れて、変な気持ちになる。
ふと、えっちな動画を思い出す。
「……イドさん」
「はい」
「その、もう少しだけ、します?」
「……いいのですか?」
「はい。何か思い出すかも、しれませんし」
決して動画の自分が気持ち良さそうだったから、とかではない……記憶を取り戻したいという建前を使って、俺は頷いた。
「わかりました。ちょっと待っていてください」
「はい」
イドさんは一度俺の部屋から出ると、ガチャガチャと音を鳴らしつつ段ボールを抱えて戻って来た。
「君の好きなオモチャ、たくさん持って来ました。興味があるものから、試してみましょう」
「はい」
俺は期待と緊張で、喉をゴクリと鳴らした。
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