6 / 6
6 【黒猫の独白】
※読まなくても問題のない、黒猫視点の小話です※
今回は随分と元のストーリーから外れたが、それなりに楽しいものを見れた、と黒猫は笑った。
配役を間違えると、こうして時々とんでもない話になってしまう。
それは黒猫にはマイナス点になることだったが、五十回中一回くらい、こうして面白い結果が得られればまあいいかと思うのだ。
それにしても……今回は自分がこの世界を司ると知ってなお、脅してくる人間がいるとは思わず久々にちびりそうになった。
まあ、ダリウスにとってはジョアンがいない世界なんて壊れてもいいものだったからこそ、脅すことができたのだけど。
「コノ私ガ、嘘ノ情報ヲ伝エルコトニナルナンテ」
下っ端とはいえ、確実に創造神失格である。
ジョアンに伝えた嘘情報は、処刑場での言葉だ。
元の世界に戻れるかどうかを問われて、「モウ戻レマセン」と答えたが、あれは嘘だ。
以前ダリウスに拘束された時、「異世界ノ誰カト結バレテモ戻レナクナリマス」と私が発言したことについて、それはもうしつこくしつこく尋ねられたのだ。
結ばれる、とは身体を交わせることではなく、誰かと相思相愛になること。
だからあの時点で、まだジョアンには元の世界に戻れる可能性はあった。
しかし、ダリウスに目を付けられた時点で、もう無理だと思った。
本来なら彼は、誰を害すこともなく、その辺に生えている雑草のように、いずれ悪意をもって踏みつけられて、誰に知られることもなく散っていくはずの存在だった。
それがどうだ。
たった一つの配役ミスが、この世界で波紋を広げ、あんな化け物を育ててしまった。
だから世界のストーリーを読み返した時、悪役令息の行為の数々が、ほぼあのダリウスの仕業だとわかった時には流石に驚いた。
「君ガコノ世界デ悪役令息ヲスル理由ッテナンナンダイ?」
つい好奇心で、黒猫は最後にそう尋ねた。
ダリウスは笑って言った。
「俺が悪役令息をする理由? そんなの決まってる――」
ダリウスは黒猫にした宣言通り、第一王子と第二王子を失墜させ、自分が王位を継承することに成功した。
それもこれも、ジョアンをこの世界に縛り、娶るためだ。
ジョアンを迎え入れても誰にも文句を言わせないため、伯爵家の処刑劇の功労者には、ジョアンの名を筆頭にあげている。
自らの身分を捨ててでも世に尽くしたジョアンが王妃となれば、平民に歓迎される夫夫となるだろう。
元々悪役令息の素質のないジョアンのことだ、そのうち貴族たちの誤解も解いて、ネルロのように総愛される受に……いや、それは血が流れるな。
ともかくここまでこの世界が変化したことは初めてで、今回はマイナスどころかプラスの評価が下された。
人選ミスをしたにしては、たまたまとはいえ上々の出来と言えよう。
ネルロがハッピーエンドを迎えたあとは特に用のない世界だが、またしばらくしたら様子を見にきてみよう。
黒猫はそう思いながら、真っ白な空間から次の世界のための悪役令息スカウトへと飛んだのだった。
今回は随分と元のストーリーから外れたが、それなりに楽しいものを見れた、と黒猫は笑った。
配役を間違えると、こうして時々とんでもない話になってしまう。
それは黒猫にはマイナス点になることだったが、五十回中一回くらい、こうして面白い結果が得られればまあいいかと思うのだ。
それにしても……今回は自分がこの世界を司ると知ってなお、脅してくる人間がいるとは思わず久々にちびりそうになった。
まあ、ダリウスにとってはジョアンがいない世界なんて壊れてもいいものだったからこそ、脅すことができたのだけど。
「コノ私ガ、嘘ノ情報ヲ伝エルコトニナルナンテ」
下っ端とはいえ、確実に創造神失格である。
ジョアンに伝えた嘘情報は、処刑場での言葉だ。
元の世界に戻れるかどうかを問われて、「モウ戻レマセン」と答えたが、あれは嘘だ。
以前ダリウスに拘束された時、「異世界ノ誰カト結バレテモ戻レナクナリマス」と私が発言したことについて、それはもうしつこくしつこく尋ねられたのだ。
結ばれる、とは身体を交わせることではなく、誰かと相思相愛になること。
だからあの時点で、まだジョアンには元の世界に戻れる可能性はあった。
しかし、ダリウスに目を付けられた時点で、もう無理だと思った。
本来なら彼は、誰を害すこともなく、その辺に生えている雑草のように、いずれ悪意をもって踏みつけられて、誰に知られることもなく散っていくはずの存在だった。
それがどうだ。
たった一つの配役ミスが、この世界で波紋を広げ、あんな化け物を育ててしまった。
だから世界のストーリーを読み返した時、悪役令息の行為の数々が、ほぼあのダリウスの仕業だとわかった時には流石に驚いた。
「君ガコノ世界デ悪役令息ヲスル理由ッテナンナンダイ?」
つい好奇心で、黒猫は最後にそう尋ねた。
ダリウスは笑って言った。
「俺が悪役令息をする理由? そんなの決まってる――」
ダリウスは黒猫にした宣言通り、第一王子と第二王子を失墜させ、自分が王位を継承することに成功した。
それもこれも、ジョアンをこの世界に縛り、娶るためだ。
ジョアンを迎え入れても誰にも文句を言わせないため、伯爵家の処刑劇の功労者には、ジョアンの名を筆頭にあげている。
自らの身分を捨ててでも世に尽くしたジョアンが王妃となれば、平民に歓迎される夫夫となるだろう。
元々悪役令息の素質のないジョアンのことだ、そのうち貴族たちの誤解も解いて、ネルロのように総愛される受に……いや、それは血が流れるな。
ともかくここまでこの世界が変化したことは初めてで、今回はマイナスどころかプラスの評価が下された。
人選ミスをしたにしては、たまたまとはいえ上々の出来と言えよう。
ネルロがハッピーエンドを迎えたあとは特に用のない世界だが、またしばらくしたら様子を見にきてみよう。
黒猫はそう思いながら、真っ白な空間から次の世界のための悪役令息スカウトへと飛んだのだった。
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
断罪回避のはずが、第2王子に捕まりました
ちとせ
BL
美形王子×容姿端麗悪役令息
——これ、転生したやつだ。
5歳の誕生日、ノエル・ルーズヴェルトは前世の記憶を取り戻した。
姉が夢中になっていたBLゲームの悪役令息に転生したノエルは、最終的に死罪かそれ同等の悲惨な結末を迎える運命だった。
そんなの、絶対に回避したい。
主人公や攻略対象に近づかず、目立たずに生きていこう。
そう思っていたのに…
なぜか勝手に広まる悪評に、むしろ断罪ルートに近づいている気がする。
しかも、関わるまいと決めていた第2王子・レオンには最初は嫌われていたはずなのに、途中からなぜかグイグイ迫られてる。
「お前を口説いている」
「俺が嫉妬しないとでも思った?」
なんで、すべてにおいて完璧な王子が僕にそんなことを言ってるの…?
断罪回避のはずが、いつの間にか王子に捕まり、最後には溺愛されるお話です。
※しばらく性描写はないですが、する時にはガッツリです
シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました
無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。
前世持ちだが結局役に立たなかった。
そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。
そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。
目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。
…あれ?
僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?
弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。
あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。
だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。
よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。
弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。
そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。
どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。
俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。
そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。
◎1話完結型になります
過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される
中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」
夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。
相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。
このお話はムーンライトでも投稿してます〜
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。