2 / 9
2 幼かった子らと再会
「カリスト様、お久しぶりです!」
「カリスト様、戻って参りました!」
名前を呼ばれたカリストは、落ち葉を掻き集めていた箒の動きを止めて、振り返る。
大きく手を振りながら近付いてくるその青年たちを目にした彼は一度首を傾げたあと、その二人の姿をまじまじと見ながら瞳を大きく見開いた。
「もしかして、君は……アダン、ですか? わぁ、久しぶりですね。それと、ジウズ? 二人とも、こんなに大きくなって……!」
カリストはいったん箒を木に立て掛けると、笑顔で両腕を広げる。
二人の青年たちは代わる代わるその腕に飛び込み、その存在を確認するかのようにキツく、ギュッと抱き締めた。
以前はカリストのほうが背が高かったはずなのに、今では頭ひとつ分、青年たちのほうが背が高い。
背が高いだけでなく、かなり鍛えているのか筋肉が付き体格も良くなっている。
「君たちが孤児院を出て行ってから、もう四年……いや、五年は経つのかな? 二人とも、本当に立派になりましたね」
カリストは、その綺麗な青い瞳に涙を滲ませながら微笑んだ。
カリストがこの辺境の地にある教会に身を寄せることになった理由は、彼らにあった。
もう少し詳しく説明すれば、この村から一番近い人口五万人程度の街の教会に在籍していたカリストが、孤児院で日常的に行われていた虐待を領主に告発し、最終的には孤児院で行われていた横領やら人身売買やらが露見することとなったのだ。
この事件は領民を巻き込んでの大騒動となったため、領主はその孤児院を厚遇するようになったが、この騒動をきっかけにカリストはすっかり有名人になってしまった。
そのため、その教会に在籍した責任者である高位聖職者が、もっとカリストが落ち着いて仕事ができるよう、また他者からの好奇の目にこれ以上晒されることのないよう配慮した結果が、この辺境にある村の教会への異動だったのだ。
そして街の教会に在籍していた時、カリストが虐待の実態を知るきっかけとなった、懇意にしていた孤児院の子どもたちこそ、まさにアダンとジウズだったのだ。
別れた頃はまだ少年のようだった彼らは、今や筋肉隆々とした立派な若者として、カリストの前に現れた。
時が経つのは早いものだな、と思いながらカリストは眩しそうに目を細めて、二人を見る。
「はい、俺たちはあの街を出てから傭兵として身を立て、国中を転々としていました」
黒髪短髪のアダンが、軽快に笑いながら胸を叩く。
「もう一生働かなくても普通に生活できるくらいには稼いだので、カリスト様のお手伝いをしたくてこの村に来たのですよ」
赤髪癖っ毛のジウズが、頭を掻きながら長い前髪の隙間からカリストを上目遣いで見る。
「ふふ、二人とも、身体は大きくなったのに変わりませんね。どうぞ、お入りください。質素なものしかお出しできませんが、精一杯おもてなしをいたしましょう」
カリストは指先で涙を拭いながら、二人の来訪者を歓迎した。
元気に戻ってきてはくれたものの、二人の身体には一生治ることのないだろう傷が、あちこちに見てとれる。
言うほど楽な仕事では決してなかっただろう。
何度も死線をくぐり抜けてきたに違いない。
それでもこうして五体満足で成長した姿をわざわざ見せにきてくれたのだ。
貯蔵庫に入れておいたお肉はまだあったかな、などと思いながらカリストは足取り軽く、二人を招き入れたのだった。
「カリスト様、戻って参りました!」
名前を呼ばれたカリストは、落ち葉を掻き集めていた箒の動きを止めて、振り返る。
大きく手を振りながら近付いてくるその青年たちを目にした彼は一度首を傾げたあと、その二人の姿をまじまじと見ながら瞳を大きく見開いた。
「もしかして、君は……アダン、ですか? わぁ、久しぶりですね。それと、ジウズ? 二人とも、こんなに大きくなって……!」
カリストはいったん箒を木に立て掛けると、笑顔で両腕を広げる。
二人の青年たちは代わる代わるその腕に飛び込み、その存在を確認するかのようにキツく、ギュッと抱き締めた。
以前はカリストのほうが背が高かったはずなのに、今では頭ひとつ分、青年たちのほうが背が高い。
背が高いだけでなく、かなり鍛えているのか筋肉が付き体格も良くなっている。
「君たちが孤児院を出て行ってから、もう四年……いや、五年は経つのかな? 二人とも、本当に立派になりましたね」
カリストは、その綺麗な青い瞳に涙を滲ませながら微笑んだ。
カリストがこの辺境の地にある教会に身を寄せることになった理由は、彼らにあった。
もう少し詳しく説明すれば、この村から一番近い人口五万人程度の街の教会に在籍していたカリストが、孤児院で日常的に行われていた虐待を領主に告発し、最終的には孤児院で行われていた横領やら人身売買やらが露見することとなったのだ。
この事件は領民を巻き込んでの大騒動となったため、領主はその孤児院を厚遇するようになったが、この騒動をきっかけにカリストはすっかり有名人になってしまった。
そのため、その教会に在籍した責任者である高位聖職者が、もっとカリストが落ち着いて仕事ができるよう、また他者からの好奇の目にこれ以上晒されることのないよう配慮した結果が、この辺境にある村の教会への異動だったのだ。
そして街の教会に在籍していた時、カリストが虐待の実態を知るきっかけとなった、懇意にしていた孤児院の子どもたちこそ、まさにアダンとジウズだったのだ。
別れた頃はまだ少年のようだった彼らは、今や筋肉隆々とした立派な若者として、カリストの前に現れた。
時が経つのは早いものだな、と思いながらカリストは眩しそうに目を細めて、二人を見る。
「はい、俺たちはあの街を出てから傭兵として身を立て、国中を転々としていました」
黒髪短髪のアダンが、軽快に笑いながら胸を叩く。
「もう一生働かなくても普通に生活できるくらいには稼いだので、カリスト様のお手伝いをしたくてこの村に来たのですよ」
赤髪癖っ毛のジウズが、頭を掻きながら長い前髪の隙間からカリストを上目遣いで見る。
「ふふ、二人とも、身体は大きくなったのに変わりませんね。どうぞ、お入りください。質素なものしかお出しできませんが、精一杯おもてなしをいたしましょう」
カリストは指先で涙を拭いながら、二人の来訪者を歓迎した。
元気に戻ってきてはくれたものの、二人の身体には一生治ることのないだろう傷が、あちこちに見てとれる。
言うほど楽な仕事では決してなかっただろう。
何度も死線をくぐり抜けてきたに違いない。
それでもこうして五体満足で成長した姿をわざわざ見せにきてくれたのだ。
貯蔵庫に入れておいたお肉はまだあったかな、などと思いながらカリストは足取り軽く、二人を招き入れたのだった。
あなたにおすすめの小説
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
2025/09/12 ★1000 Thank_You!!
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。