聖職者たちの性処理事情

イセヤ レキ

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4 聖職者の性処理事情

その日の夜。
食事を囲みながら夕食をいただいている時、カリストは信仰について二人から様々な質問を受けた。
因みに信仰の根幹にあるのは、質素・倹約・節制である。

「ですから基本的には、生活、お金、心の管理の三方面で控えめに生きる、という理念で動けば問題ありませんよ」
カリストは優しく、二人に教えを説いた。

「カリスト様、我々聖職者は性行為も禁止されているじゃないですか」
「ええ、そうですね」
「もしなったら、どうしているのですか?」
「したく?」

二人の言葉に、カリストはきょとんとする。

「勃起した時です。自慰とかですませるのですか?」
「我々の神は、自慰も不適切な行為だと教えています。性的な意味合いを持って、自分や異性の性器に触れてはならないということですね」
「では具体的に、どうやって収めるのですか?」
「それは人によって様々です。煩悩が去るまでじっと待つ人が多いみたいですが、私の場合は冷水を浴びますよ」
「冷水、ですか……」

カリストの返答に、二人は顔を見合わせた。
そして、アダンが再び口を開く。

「俺たち、教会では聖職者同士がをすると耳に挟んだのですが」
「ああ、同性の聖職者が複数いるところは、そうだと聞きますね」

カリストは頷いた。

教典が明確に禁止しているのは、自分や異性の性器に触れることである。
だから同性であればセーフ、という抜け道を使ったような解釈が、聖職者たちの間では暗黙の了解とされていた。

「ですがすみません、私は経験がないので、君たちにその方法を教えてあげられないのですよ」
「えっ……!?」
「カリスト様は、街に在籍していた時も、そうした経験がないのですか?」

二人はカリストの言葉に驚いて、思わず詰め寄る。

「ええ、ありません」

カリストは何をそんなに驚いているのだろうと思いながら再び頷き、説明を加えた。

孤児院のあった街では、まだ第二次性徴を迎えていない聖職者候補は、男女とも聖職者の共同棟に住まいを構える。
そして、男性は精通、女性は月経を迎えた時に、それぞれ性別で分けられた専用の棟に住まいを移すのだ。

普通は十三歳になれば男性専用棟に移動することが多かったが、カリストに至っては精通を迎えたのが十六歳と遅かった。
そしてそのタイミングで、カリストは高位聖職者から村への異動を言いつけられたのだ。

「ですから私は、専ら冷水です」

そんなカリストの話を聞いて、アダンとジウズは喜びを隠せずに満面の笑みを浮かべる。
目の前にいる見目麗しいカリストが誰にも汚されていないことが、奇跡だと思った。

「そういえば、当時あの街の教会の高位責任者は、女性の方でしたっけ」
「はい、とても尊敬できる、崇高なお方です」

こくりと頷いたカリストの言葉は、その女性への深い信頼を感じられるものだった。

もしかしたら、ほかの男の聖職者たちからカリストの身を守るために、辺境の地にある教会へやったのかもしれないな、と二人は推測した。

それは二人にとって、とても幸運なことだった。
しかしその高位責任者に感謝こそしたものの、今後のカリストの貞操を守る気など、二人にはまったくなかった。
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