魔族を拾った僕の日常

イセヤ レキ

文字の大きさ
2 / 8

2 変異種なのかもしれない

しおりを挟む
「う~ん、やっぱりこの本にルキのことは書いてないみたいだなぁ……」

僕は街で購入した魔族辞典を開きながら、僕を後ろから抱きしめたままうなじをペロペロと舐めるルキの頭をよしよしと撫でた。


何故か最近、ルキは僕を抱っこしたがる。

椅子が壊れる様子もないのでルキの好きにさせていたけれども、余りにも頻繁に僕のうなじを舐めるようになってきたので、そろそろ止めさせなければとは思っている。


「ルキは変異種なのかな? 似たような特徴を持つ魔族もいるみたいだけど、人型じゃないんだよなぁ……」

ある犬型の魔族は番を見つけると、種付のために成長ホルモンが一気に分泌されて幼体から成体へと変化する。

また毒素を体内で分解し、それを精液に混ぜ込み媚薬とする特殊な植物型の魔族は、雌雄関係なく相手を孕ませることができる。

そしてオーク型の魔族は常識改変という術式を展開する個体もいるので、その紅い瞳を長く見てはいけない。

ルキの特性と似通っていて参考になりそうなこともいくつか書いてあったけれども、どれも人型ではなかった。
オークが極めて人型に近いけれども、ルキのように人間と間違えるほどの姿ではない。


ルキが正しく成長してくれているのならばいいのだが、魔族の育児本なんて何処にも置いてないから困ってしまう。

こんな田舎では情報収集するのも一苦労で、成長の過程でルキに何かあったらどうしよう、と最近ではそれが専らの悩みだ。


テーブルに頬杖をついて困った僕のうなじを舐めていたルキは、同じ場所をかぷかぷと甘噛みしだす。

「ルキ、噛まないで~」


先日野良猫の交尾を見てからというもの、ルキは僕の首にじゃれつくようになった。
きっと、メスの首にオスが噛みついているのを見て、自分もやってみたくなったのだろう。

魔族にも発情期というものがあるのか、僕のお尻の辺りには、しっかりと成長したルキの性器がちょうど当たっている。

三年前まで幼子だったのに、二メートルになった今ではもう立派な成人済みの魔族なのだろう。
もしかすると、生きた年齢で言えばルキは出会った頃から弟ではなく兄だったのかもしれない。

魔族はどうやって性欲を発散するのだろうと思いながら分厚い本をパタンと閉じると、僕はルキの膝の上でくるりと向きを変えてルキを見た。

「僕はオス、ルキもオスなんだから、交尾は出来ないよ?」

僕の言葉を理解出来ないルキは、首を傾げる。

そして視線が交わったままルキの顔が近付いて、僕にキスをした。

魔族のキスにはどんな意味が込められているのだろうか。
ルキの頬を押さえて距離を取ろうとしたが、逆に頭を押さえつけられて上手くいかない。

「ルキ、ちょっと……んんっ」

ルキの長い舌が入り込んで口内を這いずり回り、僕は目を白黒させる。
意味が分からないまま、しかし誤って噛んでしまわないよう、僕は口を開けていた。

僕にとって長い時間が経過したあと、やがて満足したのかルキの舌が去って行く。

「もう、人間はそんなことしないんだよ」

僕が注意しても、ルキは首を傾げるばかり。

「あ、こら」

ルキは僕の頬を舐め、鎖骨を舐めた。
いつか僕は、弟のように可愛がっているルキに食べられてしまうのではないかと、ちょびっと不安になった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。

山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。 お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。 サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。

できる執事はご主人様とヤれる執事でもある

ミクリ21 (新)
BL
執事×ご主人様。

陥落 ー おじさま達に病愛されて ー

ななな
BL
 眉目秀麗、才ある青年が二人のおじさま達から変態的かつ病的に愛されるお話。全九話。  国一番の璃伴士(将棋士)であるリンユゥは、義父に温かい愛情を注がれ、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。  そんなある日、一人の紳士とリンユゥは対局することになり…。

王太子が護衛に組み敷かれるのは日常

ミクリ21 (新)
BL
王太子が護衛に抱かれる話。

気絶したと思ったら闇落ち神様にお持ち帰りされていた

ミクリ21 (新)
BL
闇落ち神様に攫われた主人公の話。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

強面龍人おじさんのツガイになりました。

いんげん
BL
ひょんな感じで、異世界の番の元にやってきた主人公。 番は、やくざの組長みたいな着物の男だった。 勘違いが爆誕しながら、まったり過ごしていたが、何やら妖しい展開に。 強面攻めが、受けに授乳します。

「レジ袋はご利用になりますか?」

すずかけあおい
BL
仕事帰りに寄る、いつものコンビニで五十嵐 歩(いがらし あゆむ)はイヤホンをつけたまま会計をしてしまい、「――――?」なにかを聞かれたけれどきちんと聞き取れず。 「レジ袋はご利用になりますか?」だと思い、「はい」と答えたら、実際はそれは可愛い女性店員からの告白。 でも、ネームプレートを見たら『横山 天志(よこやま たかし)』…店員は男性でした。 天志は歩に「俺だけのネコになってください」と言って…。

処理中です...