痴漢の犯人、元彼だった件。

イセヤ レキ

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(……え?)

毎年、年に四回は夜行バスで実家に帰省する私。
新宿を夜に出発して一晩眠れば、翌朝早朝には地元の大きな駅につく。
最寄り駅まではローカル線に乗って、やっぱりポツリポツリとしか人が乗車していない電車の中で二時間程うとうとすれば、勝手に実家まで連れて行ってくるのだけど。

最近の夜行バスはとても快適で、カーテンで間仕切りが出来るようになっている。
変な人にも遭遇したこともない私は安心しきって、いつも通り愛用のアイマスクとネックピローを直ぐ様セッティングし、寝に入った。

一度眠れば、殆ど目が覚めることのない熟睡型の私なのに、違和感を感じて何となく目が覚める。

(……っ!?え!?え!?う、嘘……っっ!!)
やたらはぁはぁという熱い息が耳の傍で聞こえて、誰かが私に覆い被さっているのを感覚として知る。
(……っっ)
ひゅう、と息を吸い込んだ。
アイマスクを取って不届き者の顔を見たいけど、逆に顔を見たら何されるかわからない。
恐怖で叫びたいけど、起きていることを相手に知られたくない気持ちもあった。
心の中はパニックで、どうしたら良いのか全くわからず、叫ぶことも動くことも叶わず、歯がカチカチ鳴り出すのを食い止めるのに必死だった。

そもそも、相手の目的がわからない。
普通に考えれば、身体目的の痴漢?それとも金銭目的の強盗?
一番最悪なのが変な人だった場合。
どうしよう、殺されたくない……っっ!!
今度は身体が震えそうになり、ブランケットの中で自分の腕をグッと掴む。


色々な考えが浮かんでは消え、浮かんでは消え、凄く悩んでいる間の時間の経過は一時間位経っている感覚だけど、恐らく殆ど時間は経っていなくて、漸くその相手がブランケットを掛けていない私の胸を掌で覆った。
むに、むに、と胸の形が変わるのを楽しむかのようにその掌は私の胸を服の上から揉み続ける。

(……痴漢、かな?)

殺されたらどうしよう、とまで考えてしまった私は、変なことに相手が痴漢目的だとわかってホッとした。
刺されるよりは何倍もマシだ。

痴漢なら……アイマスク取って、冷静に「何してるんですか?」とか聞いてみる?いや、やっぱり叫ぶ?
今私が叫んで、焦った運転手さんが事故を起こしたらどうする??

私が再びぐるぐると思考を巡らせていると、ふと鼻に懐かしいオーデコロンの香りが入ってきて、それだけで自分の下半身は一気に濡れてしまった。
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