僕のお見合い相手が元クラスメイトのヤンキーだった

イセヤ レキ

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22  なんの話?

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「世那、最近何か嫌なことでもあったか?」
「え? ううん、特にないけど」

カウチソファに座っていた僕の背中へ覆いかぶさるようにして抱き締めつつ、清流が尋ねてきた。

「ならいいけど。何かあったら、直ぐに言えよ」
「うん、ありがとう」

それから更に一週間、清流は普段と何も変わらなかった。
人と会う約束があるから、とか言われれば聞くタイミングも掴めるのに、そんな素振りも全くない。

噂で聞いたんだけど、とこちらから尋ねるのは躊躇ためらいがあった。
だってきっと清流は、自分の目じゃなくて人の話や噂を信じて決めつけてかかる人を、嫌うから。

三ヶ月前なら逆に、聞けたかもしれない。
けど今の僕は、清流に軽く聞けるほど、彼からどう思われてもいいわけじゃなかった。
嫌われたくないからこそ、聞けないのだ。

「……あのさ。もしかして世那、あの女から何か余計なこと、聞いた?」
「えっ」

清流から逆に問われ、僕の肩はビクッと跳ねる。
そんな僕の様子に、清流は「わかりやすいな」と言いながら苦笑した。

「心配しなくても大丈夫だ。高校時代に俺の素行が悪かった件で確かに色々言われたが、こっちも相手の弱味はいくつか握ってたからな。脅し返して、お互い不可侵という話で決着はついたから」
「えーっと……なんの話?」

僕は目を数回瞬くと、首を傾げて真横にある清流の顔を見る。
今度は清流がわかりやすく、硬直する。

「……俺が、会社の女性社員に告は……アプロ―……呼び出されて脅された件じゃないのか?」
「その話、もっと詳しく」

逃げようとする清流の腕をガシッと掴み、僕はにっこりと笑う。
清流はしまった、という顔をしながら、観念して僕に白状してくれた。

ようは、どれだけ熱心に口説いても全く靡かない清流に腹を立てたプライドの高い美人社員が、僕と仲の良い高校時代の同級生だという話を聞いて少し調べたらしい。

それで、清流が過去にヤンキーだったと知って、「社内外に知れたらまずいんじゃないですか」とか、「天海課長を脅して今のポジションを奪ったと思われても仕方がないですよね」などと言って、口外されたくなければ自分の言うことを聞け、と脅してきたという。

……なんかごめん、社内にそんな女性社員がいて、としか言えない。

「その人、どうしたの? もう辞めさせた?」
もしかしたら、清流だけじゃなくて他の社員にも似たようなことをしているかもしれない。
そう思って聞いてみたけど、清流は「いや、まだ辞めさせてない」と言った。

「ああいうタイプは今辞めさせたら根に持ったり暴露したりするだろうからな。目の届くところにしばらく置いていたほうが安全だ。ほとぼりが冷めたら、自己都合で退社させるさ」
「そ、そう……」
自己都合で辞めさせる計画があるなら、僕が口を出せば逆に余計なお世話になってしまうかもしれない。

そこで、はっと気づいた。
もしかして、その脅してきた女性とやらが、例のベタベタしていた美人な女性だったのだろうか。
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