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「よぉ、久しぶりだなリェン」
郵便局へいくつかの封書を投函し、仕事場へ向かう路地裏。
数年前まで毎日聞いていた低音が背後から聞こえた様な気がして、つい足を止めてしまった。
ここは首都である。
国境近くの隣国との前線にいる筈の人物がこんなところにいる訳がない。
そして、偶然にも昔馴染みと遭遇する様な可能性は万が一にもない程に、この辺りの人口は非常に多い。
だからこそ辺境の村でなく、あえて路地の入りくんだこの地帯に居を構えたのだ。
私は、振り返る事なく一旦止めてしまった足を再度動かした。
人並みを縫いながら、するすると進んで行く。
気のせいだ、気のせい。
「おい、薄情なヤツだな。まぁ、お前が消えた時にそんな事はわかりきってたけど」
……
どうやら、気のせいではなかったらしい。
しかし、今の私はリェンではない。
素知らぬふりして、この場から去ろう──
けれども、私がいくら早足で路を急いでも、喧しい声は何時までも着いてくる。
「都合が悪くなると、さっさと逃げようとするのリェンの悪い癖だよな」
……無視。
「リェン、お前、普通の娘がそんな足音消して歩くと思ってんの?」
……無視無視。
「お前さー、随分髪伸びたな。身長は全く伸びてないけど」
私は足を止めた。
駄目だ、やはりコイツはしつこい。
全くもって、変わってない。
振り向いて、約三年ぶりに見る元親友だか同僚だかを見上げた。
……頭の位置が、大分高くなっている。
以前は私より少し高い位だったのに。
「……どちら様でしょう?」
コイツには見せた事のない、余所行きの笑顔を顔に貼り付けた。
「お、お前そうして笑ってると、本当に女みてぇ」
「はい。私は女です。名前も違います。人違いですので、他をあたって頂けませんか?」
私がそう言えば、目の前の男はポカンと呆けた後、クックと笑いながら言った。
「あの時の、俺を庇って出来た腹の傷痕、ついてなかったら退散してやるよ」
……どこの女が、恋人でもない男に腹を見せると思ってるんだ?
私は顔がひきつるのを止められなかった。
***
昔の私は、男性に混じって駐屯兵として働いていた。
この国は、戦争孤児を兵士として雇い、孤児を保護するのと同時に足りない兵力をそれで増強している。
8歳で孤児となった私は、身分証明がなくてもなれるという辺境の兵士として雇って貰おうと、亡き母が残してくれた僅かな財産を路銀にあてながら、何とかして目的地までたどり着いた。
今考えればそれは無謀すぎる挑戦であり、たどり着けたのは幸運以外の何物でもない。
ともあれ、私はその道中で男の子を拾った。
勿論、好きで拾った訳ではない。
たまたま私が乗り込んだ相乗り馬車の馭者に行き先を告げたところ、ぎゅうぎゅう詰めの人混みを掻き分けて「お前も辺境に行くのか?もしかして、兵士希望か?」と顔をキラキラさせながら話し掛けられただけだ。
その男の子は、私より小さかった。
よって、お荷物になりかねないと直ぐ様悟った私は無視を決め込んだのだ。
だか、その男の子は全く意に介した様子もなく私に懐きまくった。
「俺、フォルトナって言うんだ!お前は?」
「俺、アルトランタから来たんだ!お前は?」
「俺、兵士に憧れて来たんだ!お前は?」
私が全く答えないのに何も感じないどころか、やれ好きな食べ物がどうの、馬車の乗り心地がどうの、将来の夢がどうのとその男の子は語りまくっていた。
後に、それは緊張からくるものだったのかもしれないと気付いたが、その頃には私はフォルトナから「今は死んじゃった兄の名前」で勝手に呼ばれ、少しでも宿賃を下げる為に、一人部屋のベッドに二人で一緒に寝ていた。
ついでに、フォルトナの寝相は最悪だった。
何度夜中に蹴り起こされた事か。
……なんて懐かしい思い出を顧みている間にも、その男の子……出会った時には6歳で、いまは16歳になっている筈のフォルトナは昔の様に私の後をひょこひょこ着いてきていた。
このままでは、仕事場まで着いて来られかねない。
足を止め、振り向いてフォルトナを見つめる。
昔ではあり得なかった、「慈愛に満ちた優しげな」表情で。
地声よりも高く、そして鼻にかけた様な声を意識しながら発声する。
「すみませんが、私は仕事中なのです。人探しなら、警羅隊の方にお声掛けしては?」
「ふーん。……じゃあ、人探しはやめて君に仕事を頼むよ。今は、代筆屋をやってるんだよね?」
ニヤリと笑いながらフォルトナは言った。
……転職後の職業までバレているとは思わなかった。
つい地が出て、苦々しい表情をしてしまった私を見たフォルトナは、「やっぱそっちの顔のがリェンらしい」と言って笑った。
***
兵士募集の試験は常にやっていて、そこは何人もの戦争孤児で溢れていた。
フォルトナは情報収集しながら辺境を目指していたらしく、道中で私に沢山話して聞かせてくれた。
男の子と女の子は初めから試験の内容が違い、実際に武術を習えるのは男だけだと言うのを聞いて、私は驚いた。
女の子は、前線に出る兵士のケアや、食糧を用意したりという部隊に配置されるらしい。
「リェンと同じ部隊だと良いな!」
フォルトナは、短い金髪のツルペタ少女を完璧に男だと思い込んでいた。
長かった髪は、母が亡くなったと同時にバッサリ切って売っていた。
(知らなかったフリして、兵士になるか。バレたら配置転換して貰えばいいや)
私はフォルトナの勘違いをあえて否定せず、男の子用の試験にのぞんだ。
誰もが身分証明等出来ない身で、如何にも女らしい名前である本名は捨て、フォルトナがつけた名前を私は名乗る事にした。
新しい名前を考えるのも面倒だったし、男にも女にも聞こえるリェンという名前が便利だと思ったからだ。
結果、試験は適当(適度な体力がある健康な身体なら問題なし)だし、その後の訓練で裸にされる事もなかった為、私は他の男子達に混じって兵士になった。
昔からお転婆な子供だった為、身体を動かす兵士は性にあっていた。
まだ8歳という年齢もあり力の差や体力の差がそこまでは出ず、むしろ器用さが評価されて将来有望な期待株の少年というレッテルを貼られてしまう。
フォルトナの強い希望で私は彼と同じグループ、同じ部屋に配属され、「可愛い弟分だと思って面倒見てくれ」と当時の上司に頼まれてしまった。
それをうざったく感じた私は、ひょこひょこ付きまとうフォルトナを適当にいなしては、離れていかないかなー、何て思っていたが、逆効果でしかなかった。
いつの間にか、私はフォルトナの尊敬する兄貴分となっていた。
何が気に入ったのかは未だに謎だ。
そして2年もすれば、幼かった私達も、兵士としての自覚を持ち、そして──色恋沙汰に目覚めていった。
女顔の少年兵は、よく厳つい先輩兵士達に犯される……なんて事もなく、沢山の可愛い女の子達に囲まれた兵士達は、「今日配膳してくれた◯◯ちゃんが可愛い」だの「昨日看護してくれた◯◯にアタックしたい」だの、誰と誰がヤったらしいだの、早く童貞捨てたいだの、一人女が混じっている割には危険な事もなく日々は過ぎ去った。
いや、確かに危険な事はなかったが、女顔の私(当たり前だ)は、「美少年兵士がいる」といつの間にか噂の人となったらしく、顔を赤らめた女の子から告白されたり、付き合いを迫られたり、男から嫉妬されたりと困った事も増えていた。
そんなある日、12歳になった私も本当の意味で女になる日が来た。
生理である。
いくら「見て、リェン様が通るわよ!リェン様ーっ!!」と黄色い声援を送られようと、その頃には身長も伸び悩み、同い年の男と比べれば明らかに細身であり、更にツルペタだった筈の胸が逆に成長し出してきた。
何時までも、この隊にいる訳にはいかない。
そう思う時間だけが増えていく。
「おぃリェン!!配置転換の希望を出したって!?」
「ああ」
「何でだ!これから折角、お前と前線に出られると思ったのに!!」
フォルトナはまだ10歳で、口調こそ生意気に育ったが、私と互角に戦える位の腕前だった。
つまり、腕前はまだまだで、身長もまだ私より低かった。
ふぅ、とため息をついて、フォルトナに説明する。
「私は、他の者よりずっと字が綺麗らしい。兵士の中でも、どうしても報告書なんかを書く事務方が必要なんだ」
「そんなの、女に任せれば良いじゃないか!」
「前線に女性を引っ張ってくるのか?何かあったらどうする」
「そんな……そんなの……」
「あのな、フォルトナ。兵士が言った事を女性が書くのでは二度手間だ。かといって、ここの兵士が書く字はミミズがのたくった字らしいぞ」
私は、上司に見せられた、酷すぎて読めない報告書を思い出して思わず笑った。
は、と気付けば、フォルトナはそんな私をじっと見ている。
「……ともかく、私も前線に行く事は間違いない。何だったら、野営のグループも同じにしてもらおう。少し働く場所が違うだけだ」
フォルトナはブラコン過ぎるな。
そう思いながら、私はフォルトナの頭を撫でた。
***
それから、更に三年が過ぎ、私は15歳、フォルトナは13歳になった。
その頃には身長は既に抜かされていて、剣の腕も抜かされていた。
隣国との前線は小競り合い程度の激しいものではなかった為に、いっそ平和とでも言えそうな日々。
私は、隊を抜ける旨を上司に相談し、身分証を作成して頂いていた。
フォルトナは、親しい友人や仲の良い同僚が増えたにも関わらず、相変わらず私から離れる事はなかった。
むしろ、固執や執着というものが垣間見える程、私に近寄る者は男だろうが女だろうが、威嚇していた。
その頃には本人も非常にモテる部類に入るのに、「ヤりたい」と言いながら誰とも交際している風には見えなかった。
「リェンが居なくなるのは、隊にとっては大きな損失だし、主に女性陣ががっかりするだろうから本当は嫌なんだよな~」
「ありがとうございました、お世話になりました、隊長」
「後、絶対にフォルトナにだけはしっかり挨拶してけよ?リェンが何も言わずに出て行ったと知ったら……間違いなく荒れそうだからな」
「流石に私にも、それ位の常識は持ち合わせております」
懐きまくり付きまといまくるフォルトナに私が如何に塩対応なのかは、誰もが知るところだ。
しっかりと釘を刺された私は、仕方なくリュック一つという身軽な全財産を背負って、フォルトナのところまで挨拶しに行った。
「リェン!どうしたんだ、ここまで来るなんて珍しいな!」
満面の笑みを浮かべて、私をいち早く見つけたフォルトナがやって来る。
「お、フォルトナの恋人じゃねぇか」
「よう、とうとう絆されて掘られたか?」
最近は、私達を見掛けてはニヤニヤとからかったり嫌味を言ってくる「モテなそうな」輩が出てきた。
私は無表情で無視だが、フォルトナは物凄い表情で言ってきた兵士を睨む。
「いいから、フォルトナ、ちょっと」
面倒だったんで、フォルトナを連れて隊から少し離れた川に誘う。
フォルトナは、睨んでいた相手の事など忘れたかの様に、「どうした?」と嬉しそうな顔で私に着いてくる。
適当な場所を選んで、私はフォルトナを座らせた。
「私は、今日でこの仕事をやめ──」
最後まで、話は出来なかった。
「危ないっ!!」
隠れていた隣国の斥候が急に現れ、私達に──主に手前にいたフォルトナに襲い掛かったからだ。
私は咄嗟にフォルトナを庇い、腹を少し切られた。
「リェン!!」
斥候は一人ではなく、三人いた。
フォルトナが私を庇いながら戦おうとしているのがわかり、多少焦る。
いくらフォルトナの腕が多少あがったとはいえ、三人がかりの攻撃から私を守りながら戦うのはかなり厳しい。
そこに、眼下に流れる川が眼に入った。
飛び込んでも、運が良ければ死なない。
切られた腹も、傷は残るだろうが、そこまで深くはない。
フォルトナも、私がいなければ思う存分、暴れる事が出来る。
考えたのは一瞬で、次の瞬間には飛び込んでいた。
キィン、キィンという金属の弾ける音と、「リェン!?リェン!!」というフォルトナの焦った声。
それらがどんどん、遠ざかっていく。
それを最後に、私は気を失った。
***
私は無事賭けに勝ち、こうして生きている。
辺境の地から遠く離れた首都に拠点を移し、濡れたものの、かろうじて読める上司にお願いした身分証明が新たな職場を提供してくれた。
私は本名を使用する様になり、リェンであった頃を知る者とは誰とも連絡を取らなかった。
──なのに、今更。
「へぇ……ここがリェンの職場か。……あー、名前は何て言うんだっけ?」
「……カトリーナ、です」
「そうだ、カトリーナだった」
さも知っていたかの様な口振りに、片眉があがる。
「俺がどうしてリェ……カトリーナにたどり着いたか、不思議じゃない?」
頷く事はせずに無言で、客だと言うからには、お茶を入れる。
私は今、18歳だ。という事は、目の前のフォルトナは16歳。
なのに、何でだろう?
やたら大人びて見えた。
同い年か、それ以上に。
「俺は、あの時一先ず敵を全員殺して、リェンが流された川に飛び込んだ」
フォルトナの話では、こうだ。
敵なんて無視して、直ぐに飛び込めば良かったと。
まさか私が見つからないとは思わなかった。
ましてや、私が隊を抜けたばかりに、しっかりした捜索が行われなかったのは誤算だったと。
死んでいるのか生きているのかわからないまま、ただそれらしい遺体も荷物もあがらずに、2年は経過した。
「俺は、書き損じでリェンが捨てた報告書を、何となく形見かお守りがわりに持ち歩いてたんだ」
ある日、酒場でそれをぼんやり眺めていると、一人の男が声を掛けてきた。
「おや、その美しい字はどこかで見た事あるね」
「……どこかで……??」
オスターウォルドと名乗った男は、フォルトナに一縷の希望を与える。
にこりと笑った男は、フォルトナに続けて言った。
「そうですねぇ。君が私と戦って、もし勝てたら思い出してあげますよ」
フォルトナは直ぐ様その男と腕試しをしたが、結果は惨敗だった。
しかし、フォルトナと剣を交えたその男は満足そうに言う。
「そうですねぇ。もし君が私の仕事を手伝ってくれたら、ヒントをあげますよ」
フォルトナは、あっさりと兵から脱退し、オスターウォルドに着いていく事にした。
「私の仕事は首都が本拠地ですので、首都に行きましょう。そうそう、先ほどのヒントですが……その美しい字を書く方なら、首都で代筆屋をしていると思いますよ」
「……あり、がとうございます」
冗談ではなく、本当に与えられたヒントに驚きながら、フォルトナはオスターウォルドにお礼を言った。
「もし私に勝てたら、何処の誰かまで教えましたが。ヒントで我慢して下さいね」
自分で探してみろと、暗に言われた。
「……貴方は、何の為にこの地に来たんだ?」
オスターウォルドに背後を取られた時、全く気配がしなかった事と、腕試しをした時の妙な技の数々。
多少の興味が湧いて、フォルトナは本人に尋ねる。
「仕事が忙しくなってきましたので、スカウトですよ。後腐れがなく、腕の見込みある方を探していたのです」
「へぇ……」
「……日中に貴方は模擬戦をしていたでしょう?人に合わせて適当に流すのって、あれ、癖ですか?」
フォルトナは驚いた。
リェンがいた頃は、武功をあげてリェンの傍にいられなくなるのが嫌で、手を抜いていた。
そのせいで「人を守りながら三人の相手を出来る訳がない」という判断をリェン自身に下され川に飛び込まれた時は、悔やみに悔やみきれなかったが。
リェンがいなくなってからは、素直にやる気がなくて手を抜いていた。
どっちにしろ、相手に怪我をさせる位ならさっさと白旗を振るというのが、リェンと手合わせをする頃からの──つまりはごく初期からの、フォルトナの癖だった。
上司達ですら全く気付かなかったフォルトナの演技を、たった一度見ただけで目の前の男は見抜いたらしい。
郵便局へいくつかの封書を投函し、仕事場へ向かう路地裏。
数年前まで毎日聞いていた低音が背後から聞こえた様な気がして、つい足を止めてしまった。
ここは首都である。
国境近くの隣国との前線にいる筈の人物がこんなところにいる訳がない。
そして、偶然にも昔馴染みと遭遇する様な可能性は万が一にもない程に、この辺りの人口は非常に多い。
だからこそ辺境の村でなく、あえて路地の入りくんだこの地帯に居を構えたのだ。
私は、振り返る事なく一旦止めてしまった足を再度動かした。
人並みを縫いながら、するすると進んで行く。
気のせいだ、気のせい。
「おい、薄情なヤツだな。まぁ、お前が消えた時にそんな事はわかりきってたけど」
……
どうやら、気のせいではなかったらしい。
しかし、今の私はリェンではない。
素知らぬふりして、この場から去ろう──
けれども、私がいくら早足で路を急いでも、喧しい声は何時までも着いてくる。
「都合が悪くなると、さっさと逃げようとするのリェンの悪い癖だよな」
……無視。
「リェン、お前、普通の娘がそんな足音消して歩くと思ってんの?」
……無視無視。
「お前さー、随分髪伸びたな。身長は全く伸びてないけど」
私は足を止めた。
駄目だ、やはりコイツはしつこい。
全くもって、変わってない。
振り向いて、約三年ぶりに見る元親友だか同僚だかを見上げた。
……頭の位置が、大分高くなっている。
以前は私より少し高い位だったのに。
「……どちら様でしょう?」
コイツには見せた事のない、余所行きの笑顔を顔に貼り付けた。
「お、お前そうして笑ってると、本当に女みてぇ」
「はい。私は女です。名前も違います。人違いですので、他をあたって頂けませんか?」
私がそう言えば、目の前の男はポカンと呆けた後、クックと笑いながら言った。
「あの時の、俺を庇って出来た腹の傷痕、ついてなかったら退散してやるよ」
……どこの女が、恋人でもない男に腹を見せると思ってるんだ?
私は顔がひきつるのを止められなかった。
***
昔の私は、男性に混じって駐屯兵として働いていた。
この国は、戦争孤児を兵士として雇い、孤児を保護するのと同時に足りない兵力をそれで増強している。
8歳で孤児となった私は、身分証明がなくてもなれるという辺境の兵士として雇って貰おうと、亡き母が残してくれた僅かな財産を路銀にあてながら、何とかして目的地までたどり着いた。
今考えればそれは無謀すぎる挑戦であり、たどり着けたのは幸運以外の何物でもない。
ともあれ、私はその道中で男の子を拾った。
勿論、好きで拾った訳ではない。
たまたま私が乗り込んだ相乗り馬車の馭者に行き先を告げたところ、ぎゅうぎゅう詰めの人混みを掻き分けて「お前も辺境に行くのか?もしかして、兵士希望か?」と顔をキラキラさせながら話し掛けられただけだ。
その男の子は、私より小さかった。
よって、お荷物になりかねないと直ぐ様悟った私は無視を決め込んだのだ。
だか、その男の子は全く意に介した様子もなく私に懐きまくった。
「俺、フォルトナって言うんだ!お前は?」
「俺、アルトランタから来たんだ!お前は?」
「俺、兵士に憧れて来たんだ!お前は?」
私が全く答えないのに何も感じないどころか、やれ好きな食べ物がどうの、馬車の乗り心地がどうの、将来の夢がどうのとその男の子は語りまくっていた。
後に、それは緊張からくるものだったのかもしれないと気付いたが、その頃には私はフォルトナから「今は死んじゃった兄の名前」で勝手に呼ばれ、少しでも宿賃を下げる為に、一人部屋のベッドに二人で一緒に寝ていた。
ついでに、フォルトナの寝相は最悪だった。
何度夜中に蹴り起こされた事か。
……なんて懐かしい思い出を顧みている間にも、その男の子……出会った時には6歳で、いまは16歳になっている筈のフォルトナは昔の様に私の後をひょこひょこ着いてきていた。
このままでは、仕事場まで着いて来られかねない。
足を止め、振り向いてフォルトナを見つめる。
昔ではあり得なかった、「慈愛に満ちた優しげな」表情で。
地声よりも高く、そして鼻にかけた様な声を意識しながら発声する。
「すみませんが、私は仕事中なのです。人探しなら、警羅隊の方にお声掛けしては?」
「ふーん。……じゃあ、人探しはやめて君に仕事を頼むよ。今は、代筆屋をやってるんだよね?」
ニヤリと笑いながらフォルトナは言った。
……転職後の職業までバレているとは思わなかった。
つい地が出て、苦々しい表情をしてしまった私を見たフォルトナは、「やっぱそっちの顔のがリェンらしい」と言って笑った。
***
兵士募集の試験は常にやっていて、そこは何人もの戦争孤児で溢れていた。
フォルトナは情報収集しながら辺境を目指していたらしく、道中で私に沢山話して聞かせてくれた。
男の子と女の子は初めから試験の内容が違い、実際に武術を習えるのは男だけだと言うのを聞いて、私は驚いた。
女の子は、前線に出る兵士のケアや、食糧を用意したりという部隊に配置されるらしい。
「リェンと同じ部隊だと良いな!」
フォルトナは、短い金髪のツルペタ少女を完璧に男だと思い込んでいた。
長かった髪は、母が亡くなったと同時にバッサリ切って売っていた。
(知らなかったフリして、兵士になるか。バレたら配置転換して貰えばいいや)
私はフォルトナの勘違いをあえて否定せず、男の子用の試験にのぞんだ。
誰もが身分証明等出来ない身で、如何にも女らしい名前である本名は捨て、フォルトナがつけた名前を私は名乗る事にした。
新しい名前を考えるのも面倒だったし、男にも女にも聞こえるリェンという名前が便利だと思ったからだ。
結果、試験は適当(適度な体力がある健康な身体なら問題なし)だし、その後の訓練で裸にされる事もなかった為、私は他の男子達に混じって兵士になった。
昔からお転婆な子供だった為、身体を動かす兵士は性にあっていた。
まだ8歳という年齢もあり力の差や体力の差がそこまでは出ず、むしろ器用さが評価されて将来有望な期待株の少年というレッテルを貼られてしまう。
フォルトナの強い希望で私は彼と同じグループ、同じ部屋に配属され、「可愛い弟分だと思って面倒見てくれ」と当時の上司に頼まれてしまった。
それをうざったく感じた私は、ひょこひょこ付きまとうフォルトナを適当にいなしては、離れていかないかなー、何て思っていたが、逆効果でしかなかった。
いつの間にか、私はフォルトナの尊敬する兄貴分となっていた。
何が気に入ったのかは未だに謎だ。
そして2年もすれば、幼かった私達も、兵士としての自覚を持ち、そして──色恋沙汰に目覚めていった。
女顔の少年兵は、よく厳つい先輩兵士達に犯される……なんて事もなく、沢山の可愛い女の子達に囲まれた兵士達は、「今日配膳してくれた◯◯ちゃんが可愛い」だの「昨日看護してくれた◯◯にアタックしたい」だの、誰と誰がヤったらしいだの、早く童貞捨てたいだの、一人女が混じっている割には危険な事もなく日々は過ぎ去った。
いや、確かに危険な事はなかったが、女顔の私(当たり前だ)は、「美少年兵士がいる」といつの間にか噂の人となったらしく、顔を赤らめた女の子から告白されたり、付き合いを迫られたり、男から嫉妬されたりと困った事も増えていた。
そんなある日、12歳になった私も本当の意味で女になる日が来た。
生理である。
いくら「見て、リェン様が通るわよ!リェン様ーっ!!」と黄色い声援を送られようと、その頃には身長も伸び悩み、同い年の男と比べれば明らかに細身であり、更にツルペタだった筈の胸が逆に成長し出してきた。
何時までも、この隊にいる訳にはいかない。
そう思う時間だけが増えていく。
「おぃリェン!!配置転換の希望を出したって!?」
「ああ」
「何でだ!これから折角、お前と前線に出られると思ったのに!!」
フォルトナはまだ10歳で、口調こそ生意気に育ったが、私と互角に戦える位の腕前だった。
つまり、腕前はまだまだで、身長もまだ私より低かった。
ふぅ、とため息をついて、フォルトナに説明する。
「私は、他の者よりずっと字が綺麗らしい。兵士の中でも、どうしても報告書なんかを書く事務方が必要なんだ」
「そんなの、女に任せれば良いじゃないか!」
「前線に女性を引っ張ってくるのか?何かあったらどうする」
「そんな……そんなの……」
「あのな、フォルトナ。兵士が言った事を女性が書くのでは二度手間だ。かといって、ここの兵士が書く字はミミズがのたくった字らしいぞ」
私は、上司に見せられた、酷すぎて読めない報告書を思い出して思わず笑った。
は、と気付けば、フォルトナはそんな私をじっと見ている。
「……ともかく、私も前線に行く事は間違いない。何だったら、野営のグループも同じにしてもらおう。少し働く場所が違うだけだ」
フォルトナはブラコン過ぎるな。
そう思いながら、私はフォルトナの頭を撫でた。
***
それから、更に三年が過ぎ、私は15歳、フォルトナは13歳になった。
その頃には身長は既に抜かされていて、剣の腕も抜かされていた。
隣国との前線は小競り合い程度の激しいものではなかった為に、いっそ平和とでも言えそうな日々。
私は、隊を抜ける旨を上司に相談し、身分証を作成して頂いていた。
フォルトナは、親しい友人や仲の良い同僚が増えたにも関わらず、相変わらず私から離れる事はなかった。
むしろ、固執や執着というものが垣間見える程、私に近寄る者は男だろうが女だろうが、威嚇していた。
その頃には本人も非常にモテる部類に入るのに、「ヤりたい」と言いながら誰とも交際している風には見えなかった。
「リェンが居なくなるのは、隊にとっては大きな損失だし、主に女性陣ががっかりするだろうから本当は嫌なんだよな~」
「ありがとうございました、お世話になりました、隊長」
「後、絶対にフォルトナにだけはしっかり挨拶してけよ?リェンが何も言わずに出て行ったと知ったら……間違いなく荒れそうだからな」
「流石に私にも、それ位の常識は持ち合わせております」
懐きまくり付きまといまくるフォルトナに私が如何に塩対応なのかは、誰もが知るところだ。
しっかりと釘を刺された私は、仕方なくリュック一つという身軽な全財産を背負って、フォルトナのところまで挨拶しに行った。
「リェン!どうしたんだ、ここまで来るなんて珍しいな!」
満面の笑みを浮かべて、私をいち早く見つけたフォルトナがやって来る。
「お、フォルトナの恋人じゃねぇか」
「よう、とうとう絆されて掘られたか?」
最近は、私達を見掛けてはニヤニヤとからかったり嫌味を言ってくる「モテなそうな」輩が出てきた。
私は無表情で無視だが、フォルトナは物凄い表情で言ってきた兵士を睨む。
「いいから、フォルトナ、ちょっと」
面倒だったんで、フォルトナを連れて隊から少し離れた川に誘う。
フォルトナは、睨んでいた相手の事など忘れたかの様に、「どうした?」と嬉しそうな顔で私に着いてくる。
適当な場所を選んで、私はフォルトナを座らせた。
「私は、今日でこの仕事をやめ──」
最後まで、話は出来なかった。
「危ないっ!!」
隠れていた隣国の斥候が急に現れ、私達に──主に手前にいたフォルトナに襲い掛かったからだ。
私は咄嗟にフォルトナを庇い、腹を少し切られた。
「リェン!!」
斥候は一人ではなく、三人いた。
フォルトナが私を庇いながら戦おうとしているのがわかり、多少焦る。
いくらフォルトナの腕が多少あがったとはいえ、三人がかりの攻撃から私を守りながら戦うのはかなり厳しい。
そこに、眼下に流れる川が眼に入った。
飛び込んでも、運が良ければ死なない。
切られた腹も、傷は残るだろうが、そこまで深くはない。
フォルトナも、私がいなければ思う存分、暴れる事が出来る。
考えたのは一瞬で、次の瞬間には飛び込んでいた。
キィン、キィンという金属の弾ける音と、「リェン!?リェン!!」というフォルトナの焦った声。
それらがどんどん、遠ざかっていく。
それを最後に、私は気を失った。
***
私は無事賭けに勝ち、こうして生きている。
辺境の地から遠く離れた首都に拠点を移し、濡れたものの、かろうじて読める上司にお願いした身分証明が新たな職場を提供してくれた。
私は本名を使用する様になり、リェンであった頃を知る者とは誰とも連絡を取らなかった。
──なのに、今更。
「へぇ……ここがリェンの職場か。……あー、名前は何て言うんだっけ?」
「……カトリーナ、です」
「そうだ、カトリーナだった」
さも知っていたかの様な口振りに、片眉があがる。
「俺がどうしてリェ……カトリーナにたどり着いたか、不思議じゃない?」
頷く事はせずに無言で、客だと言うからには、お茶を入れる。
私は今、18歳だ。という事は、目の前のフォルトナは16歳。
なのに、何でだろう?
やたら大人びて見えた。
同い年か、それ以上に。
「俺は、あの時一先ず敵を全員殺して、リェンが流された川に飛び込んだ」
フォルトナの話では、こうだ。
敵なんて無視して、直ぐに飛び込めば良かったと。
まさか私が見つからないとは思わなかった。
ましてや、私が隊を抜けたばかりに、しっかりした捜索が行われなかったのは誤算だったと。
死んでいるのか生きているのかわからないまま、ただそれらしい遺体も荷物もあがらずに、2年は経過した。
「俺は、書き損じでリェンが捨てた報告書を、何となく形見かお守りがわりに持ち歩いてたんだ」
ある日、酒場でそれをぼんやり眺めていると、一人の男が声を掛けてきた。
「おや、その美しい字はどこかで見た事あるね」
「……どこかで……??」
オスターウォルドと名乗った男は、フォルトナに一縷の希望を与える。
にこりと笑った男は、フォルトナに続けて言った。
「そうですねぇ。君が私と戦って、もし勝てたら思い出してあげますよ」
フォルトナは直ぐ様その男と腕試しをしたが、結果は惨敗だった。
しかし、フォルトナと剣を交えたその男は満足そうに言う。
「そうですねぇ。もし君が私の仕事を手伝ってくれたら、ヒントをあげますよ」
フォルトナは、あっさりと兵から脱退し、オスターウォルドに着いていく事にした。
「私の仕事は首都が本拠地ですので、首都に行きましょう。そうそう、先ほどのヒントですが……その美しい字を書く方なら、首都で代筆屋をしていると思いますよ」
「……あり、がとうございます」
冗談ではなく、本当に与えられたヒントに驚きながら、フォルトナはオスターウォルドにお礼を言った。
「もし私に勝てたら、何処の誰かまで教えましたが。ヒントで我慢して下さいね」
自分で探してみろと、暗に言われた。
「……貴方は、何の為にこの地に来たんだ?」
オスターウォルドに背後を取られた時、全く気配がしなかった事と、腕試しをした時の妙な技の数々。
多少の興味が湧いて、フォルトナは本人に尋ねる。
「仕事が忙しくなってきましたので、スカウトですよ。後腐れがなく、腕の見込みある方を探していたのです」
「へぇ……」
「……日中に貴方は模擬戦をしていたでしょう?人に合わせて適当に流すのって、あれ、癖ですか?」
フォルトナは驚いた。
リェンがいた頃は、武功をあげてリェンの傍にいられなくなるのが嫌で、手を抜いていた。
そのせいで「人を守りながら三人の相手を出来る訳がない」という判断をリェン自身に下され川に飛び込まれた時は、悔やみに悔やみきれなかったが。
リェンがいなくなってからは、素直にやる気がなくて手を抜いていた。
どっちにしろ、相手に怪我をさせる位ならさっさと白旗を振るというのが、リェンと手合わせをする頃からの──つまりはごく初期からの、フォルトナの癖だった。
上司達ですら全く気付かなかったフォルトナの演技を、たった一度見ただけで目の前の男は見抜いたらしい。
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