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僕には四人の姉がいる。
一人だけ男だった僕は小さな頃からとても可愛がられた。
そして彼女たちにとって僕は、オモチャのような立ち位置だった。
僕は小さな頃から彼女たちの着せ替え人形だったし、成長期を迎えても身長も伸びず童顔だった僕は、大きくなっても彼女たちの着せ替え人形だった。
一番上の姉は二次の同人誌好きで、二番目の姉は同人誌の描き手で、三番目の姉はコスプレイヤーで、四番目の姉は針子だった。
着せ替え人形だった僕は、色んなキャラクターをさせられてはイベントに連れて行かれ、写真を撮られた。
最初の頃は、男キャラだけだった。
それがいつの間にか、女キャラのコスまでさせられるようになった。
それもおねぇたちが喜ぶから、嫌なわけではなかった。
ただ、女装をしていた僕が着替え室で撮り子に襲われそうになったことは、軽くトラウマになった。
おねぇたちのいないところに行きたくて入った高校は男子校で、更に寮生活が出来て、最高だった。
女性に比べて男は表裏がないし、本音で話すことが多いし、とてもわかりやすい。
その男子校で知り合った海霧は特に気が合って、仲良くしてもらった。
僕が寮生活になると、おねぇたちはイベント会場に僕を連れて行くことは諦め、代わりにコスプレをした写真を自撮りして共有するようにお願いされた。
高額なバイト代を貰わなければ、多分やらなかった。
基本的に顔出しはしたくなかったけれども、化粧は自分でも出来るし、カツラまですればほぼ別人で僕だと気付く人はいない。
おねぇが寮に送り付けた衣装を着て、ああでもないこうでもないとカメラのアングルに悩んでいた時、鍵をかけ忘れた僕の部屋に入ってきたのが、海霧だった。
「うん、きちんと『未来ちゃん』だな。もうちょい、杖の角度を変えて……ああ違う、逆、逆、顔に近付ける感じで」
「こう?」
「いいね、バッチリ」
あの日以来、海霧はすっかり、レイヤーとして色々なキャラクターを演じる僕の専属カメラマンに落ち着いてしまった。
見つかったのが海霧で心から良かったと思う。
まさか、海霧がアニメオタクだとは思わなかったけど。
寮でコスプレした僕をしばらく凝視したまま呆けていた海霧だったが、直ぐに我に返って部屋の扉を閉め、僕に状況説明を求めた。
そして、写真を撮るのに四苦八苦している僕の当時の状況を知り、おねぇたちに送る写真を俺が撮るよと自ら志願してくれたのだ。
渡りに船すぎた。
一度お願いしてみたら、カメラアングルが完璧なイメージ通りの仕上がりに、僕は感激してしまった。
海霧から誰にも言わないから自分の推しのコスもして欲しいと言われて、僕はこれからも海霧が撮影に協力することを条件に頷いた。
僕たちは、ウィン・ウィンの関係だった。
でも最近、ほんの少し、そんな僕たちの関係が代わり始めていた。
「……こんな感じ?」
「うん、すげぇエロ可愛い」
きっかけは、おねぇが送り付けてきた、ほぼ裸に近い十八禁のような衣装だった。
こんな衣装を男の僕が着て誰得なんだと思ったのだが、「男の娘」という需要があるらしい。
女コスだと思っていたら、男の娘コスだった。
おねぇたち本当にあり得ない、と愚痴りながらも無駄毛の処理をして、その衣装を着てみたところ、海霧が挙動不審になっていることに気づいた。
海霧は、女の子が好きなはずだ。
だから僕に好きなキャラクターの衣装を着せて、嬉しそうな顔で僕を撮るのだ。
なのに、どうして男の娘コスをした僕に欲情したかわからない。
海霧は隠そうとしたけど、その時なんとなく、僕は良い気分になったんだ。
だから僕は、海霧の前で、目のやり場に困りそうな際どい衣装を着て、えっちなポーズで誘惑する。
一人だけ男だった僕は小さな頃からとても可愛がられた。
そして彼女たちにとって僕は、オモチャのような立ち位置だった。
僕は小さな頃から彼女たちの着せ替え人形だったし、成長期を迎えても身長も伸びず童顔だった僕は、大きくなっても彼女たちの着せ替え人形だった。
一番上の姉は二次の同人誌好きで、二番目の姉は同人誌の描き手で、三番目の姉はコスプレイヤーで、四番目の姉は針子だった。
着せ替え人形だった僕は、色んなキャラクターをさせられてはイベントに連れて行かれ、写真を撮られた。
最初の頃は、男キャラだけだった。
それがいつの間にか、女キャラのコスまでさせられるようになった。
それもおねぇたちが喜ぶから、嫌なわけではなかった。
ただ、女装をしていた僕が着替え室で撮り子に襲われそうになったことは、軽くトラウマになった。
おねぇたちのいないところに行きたくて入った高校は男子校で、更に寮生活が出来て、最高だった。
女性に比べて男は表裏がないし、本音で話すことが多いし、とてもわかりやすい。
その男子校で知り合った海霧は特に気が合って、仲良くしてもらった。
僕が寮生活になると、おねぇたちはイベント会場に僕を連れて行くことは諦め、代わりにコスプレをした写真を自撮りして共有するようにお願いされた。
高額なバイト代を貰わなければ、多分やらなかった。
基本的に顔出しはしたくなかったけれども、化粧は自分でも出来るし、カツラまですればほぼ別人で僕だと気付く人はいない。
おねぇが寮に送り付けた衣装を着て、ああでもないこうでもないとカメラのアングルに悩んでいた時、鍵をかけ忘れた僕の部屋に入ってきたのが、海霧だった。
「うん、きちんと『未来ちゃん』だな。もうちょい、杖の角度を変えて……ああ違う、逆、逆、顔に近付ける感じで」
「こう?」
「いいね、バッチリ」
あの日以来、海霧はすっかり、レイヤーとして色々なキャラクターを演じる僕の専属カメラマンに落ち着いてしまった。
見つかったのが海霧で心から良かったと思う。
まさか、海霧がアニメオタクだとは思わなかったけど。
寮でコスプレした僕をしばらく凝視したまま呆けていた海霧だったが、直ぐに我に返って部屋の扉を閉め、僕に状況説明を求めた。
そして、写真を撮るのに四苦八苦している僕の当時の状況を知り、おねぇたちに送る写真を俺が撮るよと自ら志願してくれたのだ。
渡りに船すぎた。
一度お願いしてみたら、カメラアングルが完璧なイメージ通りの仕上がりに、僕は感激してしまった。
海霧から誰にも言わないから自分の推しのコスもして欲しいと言われて、僕はこれからも海霧が撮影に協力することを条件に頷いた。
僕たちは、ウィン・ウィンの関係だった。
でも最近、ほんの少し、そんな僕たちの関係が代わり始めていた。
「……こんな感じ?」
「うん、すげぇエロ可愛い」
きっかけは、おねぇが送り付けてきた、ほぼ裸に近い十八禁のような衣装だった。
こんな衣装を男の僕が着て誰得なんだと思ったのだが、「男の娘」という需要があるらしい。
女コスだと思っていたら、男の娘コスだった。
おねぇたち本当にあり得ない、と愚痴りながらも無駄毛の処理をして、その衣装を着てみたところ、海霧が挙動不審になっていることに気づいた。
海霧は、女の子が好きなはずだ。
だから僕に好きなキャラクターの衣装を着せて、嬉しそうな顔で僕を撮るのだ。
なのに、どうして男の娘コスをした僕に欲情したかわからない。
海霧は隠そうとしたけど、その時なんとなく、僕は良い気分になったんだ。
だから僕は、海霧の前で、目のやり場に困りそうな際どい衣装を着て、えっちなポーズで誘惑する。
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