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激しく舌を絡ませながら、ツヴァイは瞳を閉じる。
ゲルトがツヴァイの相手をするようになったのは、ツヴァイが天幕を訪れる女性たちを再起不能にするまで乱暴に扱い続け、とうとう人の口には戸が立てられないような状態に陥る直前のことだった。
「女性は繊細です。もっと大切に扱ってください」
ゲルトは無表情で、ツヴァイにそう言った。
「僕は人に触られることが嫌いなんだよ。そう公言しているのに、寄って来るほうが悪いと思うんだけど」
いつもニコニコとして穏やかに話すツヴァイから、まさかそんな仕打ちを受けるとは女性たちも思っていないに違いない。
ゲルトはそう思ったが、確かにツヴァイは必ず女性たちに「優しくできないよ」と前もって言っていることを知っているため、なんとも言えない気分になる。
「では、この際断ってはいかがですか」
「うーん、それだと性欲発散できなくなるからなあ。あ、じゃあ、ゲルトが相手をしてくれるならいいよ」
名案だ、というツヴァイの前で、いつも無表情なゲルトは驚きに目を見張った。
「はは、ゲルトのそんな顔初めて見たかも」
喜びで頬を緩めるツヴァイを前に、ゲルトは一度目を瞑って考える。
そして結局、自分だったらどんなに乱暴にしても壊れないから、という理由で、ツヴァイの名声を守るためだけにゲルトは自分の身体を差し出した。
ゲルトの恋愛対象は、女性だった。
ツヴァイは恋愛をしたことがなかった。
「自分から他人に触れたのって、これが初めてかも」
ツヴァイはそう笑って言いながら、ゲルトの身体を引き寄せて硬く結んだ唇に自分のそれを押し当てた。
一向に開かない唇を自分の舌で探るようにして滑り込ませ、自分から舌を差し込むのも初めてかも、と思いながらゲルトの服を脱がせる。
「俺は男だから、男の相手なんてしたことがない」
「大丈夫だよ。ローションならたくさんあるから」
女を感じさせる努力をしたことがないツヴァイは、ローションを性器に纏わせて突っ込むことしかしない。
ツヴァイから言わせれば、ただ穴の位置がやや違うだけだ。
いつも通りに突っ込めば、その穴の狭さと締め付けにツヴァイは驚いた。
後ろから獣のように身体を繋げている間、ゲルトはただ顔をシーツに埋めて、ツヴァイの律動を受け止めることしかしなかった。
今まで抱いた女たちのように、わざとらしい嬌声をあげることもない。
むしろ声を漏らさないように、耐えているように見えた。
天幕にはただ腰を打ち付ける乾いた音だけが響き、ツヴァイはずっと、ゲルトはどんな表情をしているのかが気になった。
同じ女を抱くことはなかったのに、次はゲルトの顔を見ながらやろうとばかり考えていた。
ゲルトがツヴァイの相手をするようになったのは、ツヴァイが天幕を訪れる女性たちを再起不能にするまで乱暴に扱い続け、とうとう人の口には戸が立てられないような状態に陥る直前のことだった。
「女性は繊細です。もっと大切に扱ってください」
ゲルトは無表情で、ツヴァイにそう言った。
「僕は人に触られることが嫌いなんだよ。そう公言しているのに、寄って来るほうが悪いと思うんだけど」
いつもニコニコとして穏やかに話すツヴァイから、まさかそんな仕打ちを受けるとは女性たちも思っていないに違いない。
ゲルトはそう思ったが、確かにツヴァイは必ず女性たちに「優しくできないよ」と前もって言っていることを知っているため、なんとも言えない気分になる。
「では、この際断ってはいかがですか」
「うーん、それだと性欲発散できなくなるからなあ。あ、じゃあ、ゲルトが相手をしてくれるならいいよ」
名案だ、というツヴァイの前で、いつも無表情なゲルトは驚きに目を見張った。
「はは、ゲルトのそんな顔初めて見たかも」
喜びで頬を緩めるツヴァイを前に、ゲルトは一度目を瞑って考える。
そして結局、自分だったらどんなに乱暴にしても壊れないから、という理由で、ツヴァイの名声を守るためだけにゲルトは自分の身体を差し出した。
ゲルトの恋愛対象は、女性だった。
ツヴァイは恋愛をしたことがなかった。
「自分から他人に触れたのって、これが初めてかも」
ツヴァイはそう笑って言いながら、ゲルトの身体を引き寄せて硬く結んだ唇に自分のそれを押し当てた。
一向に開かない唇を自分の舌で探るようにして滑り込ませ、自分から舌を差し込むのも初めてかも、と思いながらゲルトの服を脱がせる。
「俺は男だから、男の相手なんてしたことがない」
「大丈夫だよ。ローションならたくさんあるから」
女を感じさせる努力をしたことがないツヴァイは、ローションを性器に纏わせて突っ込むことしかしない。
ツヴァイから言わせれば、ただ穴の位置がやや違うだけだ。
いつも通りに突っ込めば、その穴の狭さと締め付けにツヴァイは驚いた。
後ろから獣のように身体を繋げている間、ゲルトはただ顔をシーツに埋めて、ツヴァイの律動を受け止めることしかしなかった。
今まで抱いた女たちのように、わざとらしい嬌声をあげることもない。
むしろ声を漏らさないように、耐えているように見えた。
天幕にはただ腰を打ち付ける乾いた音だけが響き、ツヴァイはずっと、ゲルトはどんな表情をしているのかが気になった。
同じ女を抱くことはなかったのに、次はゲルトの顔を見ながらやろうとばかり考えていた。
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