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『割り込みしないで下さい!』(『駅』ホラー)
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仕事帰り、駅のプラットホームに立ち、電車を待つ。いつも同じ場所だ。
私は確実に座りたいので、いつも電車が来るずいぶん前から並ぶ。今日は一番前に並ぶことができた。
一番前に並ぶとこの駅が始発なので、確実に電車で座ることができる。
疲れているから早く座りたいと思いつつスマホを見ながら、時間が経って電車が来るのを待つ。
すると、列の一番前にいる私のすぐ傍に、制服姿の学生たちが近づいてくるのが目端に映った。
私は警戒した。この子たちは電車が来て扉が開いたとき、さりげなく私より先に、電車に乗り込むつもりなのではないか。
と思っている間に、電車がホームに来ると言うお知らせが聞こえた。
私の近くにいる学生たちがまた少し、列ににじり寄った。
やはり割り込むつもりのようだ。
どうしよう……
私は列の一番前にいるから、学生が数人、私の前に割り込んだところで、私が座れないと言うことはないだろう。
けれど、やっぱり不快だし、ここは一番傍に居る私が注意すべきだ……
でも……
正直言って、大人だけれど学生の集団は苦手で、何も言えない……
と、そのときだった。
「割り込みしないで、ちゃんと列に並んで下さい!」
そんな声が、私の後ろの方から聞こえたのは。
学生たちは一瞬顔をしかめたが、列から離れていった。
誰かが注意してくれたら、素直に従う子たちなのだ。
私は注意できなかったけれど。
私は、私の後ろに並ぶ、『注意してくれた人』に心の中で感謝した。
――
それから数日後、私は同じく、駅にいた。
いつもの時間に、いつもの場所に並ぶつもりで向かう。
まだ、誰もいなかった。
今日も一番前に並ぶことができた。確実に電車で座ることができると思い、嬉しい。
良かった、と思って、電車のドアが開くと言う看板のすぐ下に、並び始める。
すると、突然、後ろから声が聞こえた。
「割り込みしないで、ちゃんと列に並んで下さい!」
私はビックリ仰天した。
誰も並んでいないと思っていたのに、いつの間にか人がいたのだろうか?
私は人が既にいることに気付かずに、『割り込み』してしまったのか。
「すみません!」
慌てて振り返りつつ、言う。
しかし
「え……」
誰も、いなかった。
列に並んでいるのは私一人……
私は、呆然と、狐につままれたような気分になったが、
『きっと空耳だったんだ。
それか、遠くの場所で誰かが言った声がここまで届いたんだ』
と思い直して、心を落ち着かせ、正面を向いて、列に並んでいると……
再び聞こえた。
ハッキリとした声が、すぐ後ろの方から。
「割り込みしないで、ちゃんと列に並んで下さい!」
私は振り返って誰も居ないことを確認することもせずに、その場所から早足で逃げた。
――
それ以来、私はあの場所に並ぶのをやめた。
もしかすると再び、私には見えない存在が並んでいるのに気付かずに『割り込み』してしまい、注意を受けるかも知れないから。
「割り込みしないで、ちゃんと列に並んで下さい!」
と……
――終――
私は確実に座りたいので、いつも電車が来るずいぶん前から並ぶ。今日は一番前に並ぶことができた。
一番前に並ぶとこの駅が始発なので、確実に電車で座ることができる。
疲れているから早く座りたいと思いつつスマホを見ながら、時間が経って電車が来るのを待つ。
すると、列の一番前にいる私のすぐ傍に、制服姿の学生たちが近づいてくるのが目端に映った。
私は警戒した。この子たちは電車が来て扉が開いたとき、さりげなく私より先に、電車に乗り込むつもりなのではないか。
と思っている間に、電車がホームに来ると言うお知らせが聞こえた。
私の近くにいる学生たちがまた少し、列ににじり寄った。
やはり割り込むつもりのようだ。
どうしよう……
私は列の一番前にいるから、学生が数人、私の前に割り込んだところで、私が座れないと言うことはないだろう。
けれど、やっぱり不快だし、ここは一番傍に居る私が注意すべきだ……
でも……
正直言って、大人だけれど学生の集団は苦手で、何も言えない……
と、そのときだった。
「割り込みしないで、ちゃんと列に並んで下さい!」
そんな声が、私の後ろの方から聞こえたのは。
学生たちは一瞬顔をしかめたが、列から離れていった。
誰かが注意してくれたら、素直に従う子たちなのだ。
私は注意できなかったけれど。
私は、私の後ろに並ぶ、『注意してくれた人』に心の中で感謝した。
――
それから数日後、私は同じく、駅にいた。
いつもの時間に、いつもの場所に並ぶつもりで向かう。
まだ、誰もいなかった。
今日も一番前に並ぶことができた。確実に電車で座ることができると思い、嬉しい。
良かった、と思って、電車のドアが開くと言う看板のすぐ下に、並び始める。
すると、突然、後ろから声が聞こえた。
「割り込みしないで、ちゃんと列に並んで下さい!」
私はビックリ仰天した。
誰も並んでいないと思っていたのに、いつの間にか人がいたのだろうか?
私は人が既にいることに気付かずに、『割り込み』してしまったのか。
「すみません!」
慌てて振り返りつつ、言う。
しかし
「え……」
誰も、いなかった。
列に並んでいるのは私一人……
私は、呆然と、狐につままれたような気分になったが、
『きっと空耳だったんだ。
それか、遠くの場所で誰かが言った声がここまで届いたんだ』
と思い直して、心を落ち着かせ、正面を向いて、列に並んでいると……
再び聞こえた。
ハッキリとした声が、すぐ後ろの方から。
「割り込みしないで、ちゃんと列に並んで下さい!」
私は振り返って誰も居ないことを確認することもせずに、その場所から早足で逃げた。
――
それ以来、私はあの場所に並ぶのをやめた。
もしかすると再び、私には見えない存在が並んでいるのに気付かずに『割り込み』してしまい、注意を受けるかも知れないから。
「割り込みしないで、ちゃんと列に並んで下さい!」
と……
――終――
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