20 / 30
第20話 世界樹が語る「創世の真実」
しおりを挟む
冥府を抜けたリオたちは、地の底から伸びる一筋の光に導かれ、永劫の森へと足を踏み入れていた。
それは天と地の境目――世界の中心にして、創世以前から存在する唯一の生ける神木《世界樹ユグリシア》。
「これが……世界樹。」
リリアーナが息を呑む。
枝は雲を突き抜けて天に消え、根は冥府の奥底まで延びている。葉一枚一枚が淡い光を放ち、空気そのものが鼓動しているようだった。
だが、その光はどこか痛々しく揺れていた。
「世界樹が……泣いてる?」
リュミエルが小さく呟いた。
エリスは唇を噛む。「神々の崩壊と冥府の乱流で、世界の“核循環”が限界なのです。創世のバランスが完全に壊れる前に、何かをしなければ」
リオはうなずくと、樹幹にそっと手を触れた。
――その瞬間、光景が一変した。
目に映るのは、果てしない虚無の空間。
リオは仲間たちと離れ、一人きりでそこに立っていた。
足元に浮かぶ光の粒が、彼の意識を包み込む。
「ようやく来たか、創世の器よ。」
声が、世界樹の奥から響いた。
それは人の声ではなかった。
だが懐かしい響きがあった――自分の中に昔から在った何かが、呼びかけている。
「お前は誰だ」
「我はお前だ。そして、お前ではない。」
光が形を取り、無数の影が現れる。
それは“リオ”の姿をした存在たち。過去の彼の断片、創世の記憶、そして失われた意志。
「記憶の残滓……俺の欠片か。」
「そう。創世の主は一人ではなかった。
お前が生を創れば、もう一人が死を導く。
お前が愛を芽吹かせれば、もう一人が憎しみを抱く。
この世界は“対になる二つの神”によって形作られた。」
リオの瞳が揺れる。
「じゃあ……アミシアと俺のことか?」
「否。彼女はお前の願いから生まれた“愛の具現”。
真に対をなす存在は、かつて世界を滅ぼしかけた破壊神――闇の王ノクス。」
その名に、リオは息を呑んだ。
「俺の中の闇、あれは……別の神格だったってことか。」
「その通りだ。お前たちは二柱で一つ。創る者と壊す者。
しかし、形成が歪んだ。お前が世界を守りたいと願い、ノクスが滅びを望んだ。
その偏りが、神々を生み、歪んだ理をもたらしたのだ。」
光の世界が激しく揺れる。
過去の映像が流れ込む。
彼とアミシアが神々を創り、世界を循環させ、やがて神々が人を支配しはじめ――そして、リオ自身が“創世の法”を封じた瞬間。
「……すべて、俺が生んだ因果か。」
「罪ではない。これが生命の形だ。」
「だが、このままでは終われない。人が神を求めなくても生きられる世界を作る。それが俺の責任だ。」
世界樹の声が穏やかに笑う。
「それが、お前の“創世の真実”だ。
創るとは、絶望の中で光を見つけること。
だからこそ、最後の権能を授けよう。」
眩い光がリオを包み込む。
足元から金色の紋章が広がり、天と地を繋ぐ光柱が立ち上がる。
「創世再結合――コード・ジェネシス。」
その瞬間、リオの体に刻まれた紋章が完全な円になった。
左手には光輪、右手には黒炎。生と死、始まりと終わり――相反する二つの力がひとつに溶け合う。
「感じる……これが“本来の俺”か」
「決して使うな。この力は世界を超える。だが、もしすべてを終える時が来たなら、その名を呼べ。」
声が遠ざかる。
次の瞬間、虚無が弾け、視界が戻った。
リオが目を開けると、仲間たちが彼を囲んでいた。
「リオ、どうしたの!? 体が……光ってるわ」
「大丈夫だ。ただ、思い出しただけだ。」
リリアーナが不安げに眉を寄せた。
「思い出したって……何を?」
「創世の真実。俺とノクスが、同時に世界を創った神であることを。」
「あなたと、あの闇が……」エリスが言葉を失う。
リュミエルが静かに手を握った。
「それでも、あなたはリオだよね? 私たちのリオだよね?」
リオは微笑む。
「俺はリオだ。創るも壊すも、全部含めて俺だ。」
世界樹の葉が輝きを放ち、遥か天へと風が流れる。
その輝きの先に、一滴の黒が混ざった。
ノクスの意志が、再び動き出している。
「リオ……!」
エリスが叫ぶ。「この反応、冥府の向こうの空間! あなたの分身が完全に覚醒する!」
「行くぞ。これが最後の戦いになる。」
リリアーナが剣を抜き、風が彼女の髪を揺らした。
「どんな神だって、もう止められない。あなたが創った世界を、私たちが一緒に守るわ!」
「戦うのではない――終わらせるんだ。」
リオの掌に、白と黒の光が宿る。
天へ向かって伸びるその光は、やがて一点へ収束していく。
空が裂け、そこから覗くのは夜のような星界。
裂け目の中央に、ひとつの影が浮かんでいた――闇の王ノクス。
その姿はリオと同じ。だが瞳だけが漆黒に染まっている。
「待っていたぞ。我が片割れよ。」
リオが微笑む。
「今度こそ、決着をつけよう。」
「創るか、滅ぼすか――それが運命だ。」
風が荒れ、世界樹の枝葉が旋風のように舞う。
光と闇が混ざり合い、天地が反転する。
仲間たちが息を呑む中、リオは身を翻した。
「終わりがあるなら、それは“始まり”に変わる。
それが、この世界が俺に教えてくれた真実だ!」
閃光が走る。
永遠を超える戦いの幕が、今――ゆっくりと上がった。
それは天と地の境目――世界の中心にして、創世以前から存在する唯一の生ける神木《世界樹ユグリシア》。
「これが……世界樹。」
リリアーナが息を呑む。
枝は雲を突き抜けて天に消え、根は冥府の奥底まで延びている。葉一枚一枚が淡い光を放ち、空気そのものが鼓動しているようだった。
だが、その光はどこか痛々しく揺れていた。
「世界樹が……泣いてる?」
リュミエルが小さく呟いた。
エリスは唇を噛む。「神々の崩壊と冥府の乱流で、世界の“核循環”が限界なのです。創世のバランスが完全に壊れる前に、何かをしなければ」
リオはうなずくと、樹幹にそっと手を触れた。
――その瞬間、光景が一変した。
目に映るのは、果てしない虚無の空間。
リオは仲間たちと離れ、一人きりでそこに立っていた。
足元に浮かぶ光の粒が、彼の意識を包み込む。
「ようやく来たか、創世の器よ。」
声が、世界樹の奥から響いた。
それは人の声ではなかった。
だが懐かしい響きがあった――自分の中に昔から在った何かが、呼びかけている。
「お前は誰だ」
「我はお前だ。そして、お前ではない。」
光が形を取り、無数の影が現れる。
それは“リオ”の姿をした存在たち。過去の彼の断片、創世の記憶、そして失われた意志。
「記憶の残滓……俺の欠片か。」
「そう。創世の主は一人ではなかった。
お前が生を創れば、もう一人が死を導く。
お前が愛を芽吹かせれば、もう一人が憎しみを抱く。
この世界は“対になる二つの神”によって形作られた。」
リオの瞳が揺れる。
「じゃあ……アミシアと俺のことか?」
「否。彼女はお前の願いから生まれた“愛の具現”。
真に対をなす存在は、かつて世界を滅ぼしかけた破壊神――闇の王ノクス。」
その名に、リオは息を呑んだ。
「俺の中の闇、あれは……別の神格だったってことか。」
「その通りだ。お前たちは二柱で一つ。創る者と壊す者。
しかし、形成が歪んだ。お前が世界を守りたいと願い、ノクスが滅びを望んだ。
その偏りが、神々を生み、歪んだ理をもたらしたのだ。」
光の世界が激しく揺れる。
過去の映像が流れ込む。
彼とアミシアが神々を創り、世界を循環させ、やがて神々が人を支配しはじめ――そして、リオ自身が“創世の法”を封じた瞬間。
「……すべて、俺が生んだ因果か。」
「罪ではない。これが生命の形だ。」
「だが、このままでは終われない。人が神を求めなくても生きられる世界を作る。それが俺の責任だ。」
世界樹の声が穏やかに笑う。
「それが、お前の“創世の真実”だ。
創るとは、絶望の中で光を見つけること。
だからこそ、最後の権能を授けよう。」
眩い光がリオを包み込む。
足元から金色の紋章が広がり、天と地を繋ぐ光柱が立ち上がる。
「創世再結合――コード・ジェネシス。」
その瞬間、リオの体に刻まれた紋章が完全な円になった。
左手には光輪、右手には黒炎。生と死、始まりと終わり――相反する二つの力がひとつに溶け合う。
「感じる……これが“本来の俺”か」
「決して使うな。この力は世界を超える。だが、もしすべてを終える時が来たなら、その名を呼べ。」
声が遠ざかる。
次の瞬間、虚無が弾け、視界が戻った。
リオが目を開けると、仲間たちが彼を囲んでいた。
「リオ、どうしたの!? 体が……光ってるわ」
「大丈夫だ。ただ、思い出しただけだ。」
リリアーナが不安げに眉を寄せた。
「思い出したって……何を?」
「創世の真実。俺とノクスが、同時に世界を創った神であることを。」
「あなたと、あの闇が……」エリスが言葉を失う。
リュミエルが静かに手を握った。
「それでも、あなたはリオだよね? 私たちのリオだよね?」
リオは微笑む。
「俺はリオだ。創るも壊すも、全部含めて俺だ。」
世界樹の葉が輝きを放ち、遥か天へと風が流れる。
その輝きの先に、一滴の黒が混ざった。
ノクスの意志が、再び動き出している。
「リオ……!」
エリスが叫ぶ。「この反応、冥府の向こうの空間! あなたの分身が完全に覚醒する!」
「行くぞ。これが最後の戦いになる。」
リリアーナが剣を抜き、風が彼女の髪を揺らした。
「どんな神だって、もう止められない。あなたが創った世界を、私たちが一緒に守るわ!」
「戦うのではない――終わらせるんだ。」
リオの掌に、白と黒の光が宿る。
天へ向かって伸びるその光は、やがて一点へ収束していく。
空が裂け、そこから覗くのは夜のような星界。
裂け目の中央に、ひとつの影が浮かんでいた――闇の王ノクス。
その姿はリオと同じ。だが瞳だけが漆黒に染まっている。
「待っていたぞ。我が片割れよ。」
リオが微笑む。
「今度こそ、決着をつけよう。」
「創るか、滅ぼすか――それが運命だ。」
風が荒れ、世界樹の枝葉が旋風のように舞う。
光と闇が混ざり合い、天地が反転する。
仲間たちが息を呑む中、リオは身を翻した。
「終わりがあるなら、それは“始まり”に変わる。
それが、この世界が俺に教えてくれた真実だ!」
閃光が走る。
永遠を超える戦いの幕が、今――ゆっくりと上がった。
2
あなたにおすすめの小説
転生辺境の雑用兵、知らぬ間に世界最強になっていた件 〜追放されたけど美女たちに囲まれて安寧生活〜
eringi
ファンタジー
辺境軍の雑用兵として転生した青年・レオン。異世界に転生したのに、剣も魔法も地味でパッとしない日々。ところが彼の“地味な努力”が、実は世界の理をゆるがすほどの能力だと気づく者が次々と現れる。貴族令嬢、魔族の姫、神官少女──気づけばハーレム状態に。追放された元仲間が破滅していく流れの中、本人だけは「俺、そんな強いかな?」と首をかしげる。無自覚最強×ざまぁ×追放後スローライフ×英雄伝説が交錯する、異世界逆転ストーリー。
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
辺境追放された「植物魔導師」の領地開拓 ~枯れ果てた死の大地は、俺の魔力で聖域(楽園)へと変貌する~
リーフレット
ファンタジー
「植物魔法? ああ、農作業にしか使えないあの地味な魔法か」
帝国騎士団の専属魔導師だったアルトは、無能な二世皇太子レオンによって、一方的に追放を言い渡された。
アルトがどれほど魔導植物を駆使し、帝国の食糧難を裏から支えていたかを知らぬまま、彼は「戦闘に役立たない役立たず」という烙印を押されたのだ。
帝国を出て行き着いた先は、魔物が跋扈し、草一本生えないと言われる最果ての荒野。
死を待つだけの地。しかし、アルトは絶望するどころか、晴れやかな顔で笑っていた。
「やっと、気兼ねなく『植物』を愛でられる。……よし、ここを世界一の庭(楽園)にしよう」
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
転生したら最強の神具を持っていた!~無自覚英雄は今日ものんびり街を救う~
にゃ-さん
ファンタジー
ブラック企業で過労死した青年・タクトが転生した先は、魔法と剣が息づく異世界。
神から与えられた“壊れ性能”の神具を片手に、本人は「平穏に暮らしたい」と願うが、なぜか行く先々でトラブルと美女が寄ってくる。
魔物を一撃で倒し、王族を救い、知らぬ間に英雄扱いされるタクト。
そして、彼を見下していた貴族や勇者たちが次々と“ざまぁ”されていく…。
無自覚最強系×コミカルな日常×ほのぼのハーレム。テンプレの中に熱さと癒しを込めた異世界活劇、ここに開幕!
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる