細胞がはじけた時が噛み頃です。

三角

文字の大きさ
65 / 84
その仄暗い目に

朝の贅沢

しおりを挟む
この前デートして朝日さんの部屋に泊まった次の日の朝。
寝室まで漂ってきたコーヒーの香りで目が覚めた。
香りに誘われリビングに行くと、朝日さんはPCでメールチェックをしていた。
知らなかったのだけれど朝日さんの本職はフリーライターなのだそうだ。
毎朝コーヒーを淹れながら合間に仕事のメールが届いてないか確認するのがルーティーンなのだそう。
朝の気怠そうな雰囲気でコーヒーを飲む姿が格好良すぎて目眩がした。


用意してくれた美味しいクロワッサンとサラダと目玉焼きを食べたのだけど、気が緩んでいたため暖かい朝食に色んな事を思い出してしまい泣きそうになった。
当たり前のように色々と出してくれる有り難さとか、一緒にご飯が食べれる嬉しさとか。
センチメンタルになり泣くのを堪えるのが大変だった。
何故か朝日さんの前では自分を取り繕う事が難しい。
だけれど、今泣きそうになる理由を話すのは怖い。
本当の俺には、こんな対応をして貰えるほどの価値は無いのかもしれないのだとは言えなかった。


そんな俺を見兼ねたのか、「いつでもおいで」と朝日さんが部屋の鍵をくれ提案をしてくれた。
勉強を疎かにしない程度なら好きな時に部屋を訪ねていいし、なんなら泊まってもいいし、なんでも話したい事があったら聞くからと。


「押し掛けて、際限なくベラベラ喋って、ウザくなりたくないから要らないです…。」
「俺は陽太に来て欲しいし沢山話をしたい。楽しかった事も嫌だった事も知りたい。今は要らなくても、また日を改めて提案する。陽太が決めて。」
「…ください。」


頭を撫でられ、甘い優しさで言われたら、もう我慢できなかった。
要らないなんて嘘だった。






そんなやり取りがあり。
今日も朝日さんの部屋のソファーで寛いでいる。
正確に言うとソファーに仰向けに寝そべっている朝日さんの上に重なり、うつ伏せに寝てる。
けして俺からではない。
邪魔にならないようにソファーの端に座って携帯を弄っていたら、隣に座ってPCを見ていた朝日さんが「やっと仕事終わった。ダラダラしよう。」と俺を抱えて、こういった体制にした。


ちょうど朝日さんの心臓の所に俺の耳があるため心音が聞こえて何だか落ち着く。
思わず胸元に顔をスリスリすると俺の頭を撫でてくれる。
甘すぎる時間にとても癒される。


「重くないですか?」
「全然。軽い。陽太、ちゃんと晩御飯食べたか。」
「うん、今日は焼き鳥食べました。」
「食堂に焼き鳥なんてあるんだ?」
「そう!変だよね。でも美味しかった!」


晩御飯を食堂で食べて部屋で1時間ほど勉強した後に朝日さんの部屋を訪ねた。
生徒会長の話をしたかったからだ。
廃部になるかもしれない事や、会長が来た時の事などを話した。


「それでね、二人でゴリラの真似しながらシュークリーム食べた。」
「なんだそれ。見たかった。」


くだらない話でも笑ってくれる朝日さんが好きだ。
こうやって話を聞いてくれるだけで今日の嫌な事が吹っ飛ぶ。


しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。

かとらり。
BL
 セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。  オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。  それは……重度の被虐趣味だ。  虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。  だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?  そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。  ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

処理中です...