卒業させてください、できないので

ばみ

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警察の威信

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 佳子の取調べを終えた捜査第一課の佐味 雪乃ゆきのと捜査第三課の那古 周作しゅうさくが部屋から出る。ここで疑問に思うのは一課の刑事と三課の刑事が共に取調べをしていることだろう。

「一課のことはよく分からないんですけど、ここまで聴取出来たからもう送致しちゃって良くないですか」

「いや、ちょっと待ってほしい」

「送致しても身柄は警察にあって、取調べもまだできますよ」

「わかっているけど、まだしないで」

「それより、一課の皆さんはどうしてこんな事件に絡むのですか、窃盗ですよ、強盗じゃありませんよ」

 那古は佐味に色々と尋ねてみるが、返事はかえって来ない。

「それより、周りからチヤホヤされているとあんな風になっちゃうんですかね」

 佐味は那古のこの疑問についても無反応であった。その後、佐味がようやく口を開いた。

「那古くん、三課の皆で南 佳子の同級生を調べてくれない、小中高全て」

「事件に何か関係があるですか」

「できるだけ詳しくお願い」

 やっぱり、佐味は那古の疑問には何も返さない。そして、言いたいことを言った佐味は那古を置いて一人廊下を歩いていく。一課の次世代エースと三課の梵人は広がるばかりである。

翌日、取調室、

 昨日に引き続き佳子は自分の犯したことを言っていくだけだと思っているのか、死んだ魚の目に少しばかりの潤いが感じられる。

「今日もよろしく、じゃあ、昨日の続きからお願いします」


 昨日は、万引きまで話したと思います。そこからは一人では犯罪を犯してはいません。名前は言えませんが、仲間と詐欺をやっていました。詐欺の種類はですね、私は男を釣ってました。一人で隣の市街地の駅前にいるとよくナンパをされるんですね。それでナンパ相手と付き合って、男に貢がせてお金を騙し取ってました。最終的には何十人もの男を貢がせてました。そうして、男のお金は無くなってきたら切って新しい男を作ってまた貢がせるみたいなことをやってました。

 それはハラハラやドキドキは万引きよりありましたか

 いや、全くありませんでした。その頃はただお金が欲しかったので。私がいた詐欺グループは色々な詐欺をやってたくさんのお金が入ってきていたので詐欺を始めてからはお金には全く困りませんでした。

 あなたの犯罪を犯す源はハラハラやドキドキを満たすことではなかったのですか

 はい、そうです、でも、これは、、、。

 どうかしましたか

 いいえ、何でもありません、これについては話したくはありません。

 
「そうですか、早いけど一回、ここで休憩にしましょう」

 佳子は何かに怯えている表情をしていた。しかし、ここで黙ってしまわれてては一課の刑事たちが何もできなくなると思い、休憩をとった佐味の考えは褒めても褒めきれない。

 そして一度、取調室から出た佐味と那古は佳子の様子について話し合った。

「佐味さん、どう思います、南 佳子のあの様子」

「あぁ、多分だけど、万引きをしていたことで詐欺グループの誰かに弱みを握られていたのかもしれない」

「じゃあ、そうなると一体誰が彼女を詐欺の世界に引き込んだんですかね」

「その前に昨日頼んだ資料はできた」

「高校の分だけですができています」

 那古は佐味に広辞苑並の厚さがある佳子の通う高校の資料を渡す。

「あと、今、三課の刑事が高校へ南 佳子の交友関係を調べに行っています」

「了解、ありがとう」

 資料を見ながら佐味は那古に礼を伝える。那古は付け足すように口から佐味が飛びつくネタを発した。

「そういえば、南 佳子が1年の時に少年院に入れられた子がこの高校に2年生として在席していました」

「那古、そいつの資料はどこだ、名前を教えろ」

 佐味の資料をめくるスピードが格段に上がった。

「えー、名前は、何だっけなぁ、あぁ、河村、河村 勇輝です」

「河村か、か、わ、、む、ら、、あった」

 佐味が探し当てた河村 勇輝のページを二人共覗き込んだ。

「那古、高校に行っている三課の刑事に河村 勇輝についても調べるように伝えてくれ」

「はい、今すぐ」

 那古がポケットに入っている携帯を取り出そうとしたその時、突然、那古の携帯の着信音が取調室前の廊下に鳴り響いた。
 
〈はい、那古です、上地さんどうかしましたか 〉

〈そこに一課の刑事さんも一緒にいるか〉

〈はい、一緒に居ます〉

〈南 佳子には唯一、小中高と一緒のやつが居た〉

〈その子は同級生ですか〉

〈あぁ、同級生だ、名前は勇斗とかいったやつだ、今からそいつに会う予定だ〉

って大河の河に市区町村の村ですか〉

〈あぁ、その河村だ〉

 佐味と那古は目を合わせる、そして資料をめくり河村 勇斗のページを探す。

〈おい、聞こえてるか、何か応えろ〉

「佐味さん、これもしかしたら繋がるかもしれませんね」

「繋がればこっちの目的も達成できる」 

「そういえば、一課が南 佳子に関わる目的ってなんですか」

 佐味は那古の言葉を聞くことなくどこかへ行ってしまった。ここまで二人の間は狭まってきたようであったが、まだ間は変わらず広がっているままのようだ。

〈おーい、那古!那古ーーーーー!〉
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