世界一の鍛冶師を目指して!〜不遇スキル『鍛冶』と前世の知識の組み合わせが最強だった件〜

福寿草真@異世界エステ1巻12/25発売

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2章 町と仲間と成長と

1話 冒険者登録と初依頼

 あれから悩みに悩んだ結果、僕は冒険者ギルドで冒険者登録をすることにした。

 もちろん冒険者証という身分証明書を手に入れるという目的もあるが、1番はこれから生きていくための日銭を稼ぐには、まずは冒険者が最適だと考えたからである。

 そんなこんなで館から歩くこと十数分。僕は人生2度目となる冒険者ギルドへと到着した。

「よし、行くか」

 言葉の後、僕はすぐさま冒険者ギルドへと入る。瞬間、中にいた冒険者たちからさまざまな視線を向けられた。
 
 ……うぅ、結構こわいな。頼むから絡んでこないでくれよ。

 僕はビクビクしながらも受付へと近づく。

 入口正面にある受付では現在2人の受付嬢が対応をしていた。どちらも綺麗なお姉さんで、対応を受けている冒険者は皆デレデレとしている。

 と、その様子を眺めていると、丁度僕から見て右端の受付が開いたようなので急いでそこへと向かう。

 結果的に僕は誰にも絡まれることなく、受付へ辿り着くことができた。

 そのことにまずは安堵しつつ、続いて別の懸念が浮かぶ。

 はたして10歳の子供──見た目は8歳か9歳でも通用するほど幼い──相手でも冒険者登録をさせてくれるのかと。

 僕は一抹の不安を覚えながらも、受付のお姉さんの目の前へと行くと、彼女は突然子供が現れたことに驚いたのか、少しだけ目を見開いた後、柔和な表情をこちらへと向けてきた。

「あら、可愛らしいお客様ですね。本日はどのような御用向きでしょうか」

 子供だからと邪険にせず、他冒険者と変わらない対応をしてくれることに安堵しながら僕は口を開く。

「あの、冒険者登録をお願いしたいです」

「冒険者登録ですね。登録には銀貨1枚が必要になりますが、よろしいですか?」

「はい」

 言って、僕は袋からじゃらじゃらと硬貨を取り出す。

 ここでこの国の貨幣制度についてまとめておこうと思う。
 まず使用されている硬貨は、鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、大金貨の5種類である。

 最も価値の低い鉄貨が日本円にしておよそ100円であり、貨幣はそれぞれ10枚で一つ上の貨幣と同じ値段となる。
 つまり銅貨は1枚1000円、今回の冒険者登録に必要な銀貨1枚の値段は10000円というわけだ。

「すみません、少しだけお待ちください」

「ふふっ、ゆっくりで構いませんよ」

 ニコリと微笑む受付嬢の柔らかい声に安心しつつ、僕は取り出した貨幣から銅貨10枚を用意し、彼女へと手渡した。

「これでお願いします」

 回収した受付嬢はうんと頷いた後「では、冒険者登録をいたします。まずは一部情報を教えていただきたいので、これからする私の質問に正直にお答えください」と言う。

 そして続けるように出身地等の情報を聞かれたため、僕はこれらに一つずつ答えていった。

 受付嬢はうんうんと頷きながら、それらを何やら円柱形の魔道具──以前ボッケさんの冒険者証を読み取る際に使用したものと同様のものだ──に入力をしていく。

 こうして入力が完了した所で、受付嬢はその魔道具をこちらへと寄越した。

「はい、ありがとうございます。では最後にこちらに手をかざしていただけますか」

 どうやら最後に手をかざすことで冒険者登録が完了するらしい。

 ちなみにこの手をかざす行為で、名前や年齢、犯罪歴等一部の情報が読み取られるらしい。

 ずいぶんとハイテクだなと思いつつ、僕は魔道具に手をかざす。するとなにやら淡い光が発生したり、謎の異音が聞こえた後、すぐに2枚のカードが出てきた。

 ……おお、魔道具ってすごい。

 全く仕組みがわからないが、とにかく魔道具の技術の高さに浸っていると、受付嬢が冒険者証を取り出し、こちらへと視線を向けてきた。

「はい。登録は完了いたしました。こちらが冒険者証になります。……ギルドの方で予備を確保しておきますが、大事なモノですので無くさないようにお気をつけ下さいね」

 言葉の後、先程作成されたカードの一方を僕に渡してくれるので、それを受け取る。

「……ところで冒険者についてはどの程度ご存知ですか」

「うーん。正直まったくわからないです」

 僕の言葉に受付嬢は優しく頷いた後「では、順に説明していきますね──」と言う言葉に続いて説明をはじめた。

 それらをまとめるとこうだ。

 冒険者には魔物と同様にランクが存在する。ランクFをスタートとし、依頼の達成数などに応じ、E、D、C、B、A、Sと上がっていく。

 依頼は壁に貼り付けてある依頼書を受付に持って行くことで受けることができる。
 依頼書にはそれぞれに推奨ランクや期限などが設定されている。

 ランクに沿わない場合は依頼の受理はされず、また期限を過ぎてしまった場合は依頼失敗となり、ペナルティが課せられてしまうらしい。
 ただし例外が存在し、常時依頼というものには期限やランク制限は無いようだ。

 また冒険者は複数人で集まってパーティーを組むことができ、このパーティーについても冒険者と同じランクが設定されているとのこと。

 他にも禁則事項等受付嬢のお姉さんはこれでもかというくらい丁寧に説明をしてくれた。

「──といったところでしょうか。他になにか知りたいことなどはございますか?」

「いえ、大丈夫です。あの、詳細でわかりやすい説明をありがとうございました」

「いえいえ…………ってあっ…………」

 僕のお礼にふふっと微笑んだ後、受付嬢は何かを言おうとし──ハッとした表情を作る。突然のことに僕が首を傾げると、彼女は少しだけ恥ずかしそうに頬を赤らめながら再度口を開いた。

「申し遅れました。私、冒険者ギルド、ガルドの町支部受付嬢のリマと申します。以後、お見知り置きを……」

 それを受け、僕もハッとする。

 前世のファンタジー小説の記憶では、冒険者登録と言えば、紙に情報を記しそれを受付嬢が目にすることで名前を覚えて貰っていたが、この世界では名前等の情報は魔道具が処理してしまう。
 また、作成された冒険者証には表面に謎の模様が刻まれているが、直接見て名がわかるような箇所はない。

 つまりは、直接名を伝えなければいけないわけで──

「あぁすみません、僕も忘れていました。……ファンです。これからよろしくお願いします、リマさん」

 ……という事で心優しく──少しだけ天然? な受付嬢リマさんの元で冒険者登録が完了することができた。

 ◇

 その後僕は早速依頼書が貼ってある壁の前へとやってきた。

「えっと、僕でも受けられる依頼はっと……」

 ぶつぶつとそう呟きながら依頼書へと視線を向けるも、どうやらFランク向けの依頼はないようであった。

 ……うーん、やっぱりないかぁ。となると常時依頼ってやつを受ける感じかな。

 内心そう思いつつ、僕は常時依頼の依頼書へと目を向ける。そこには常時依頼というだけあり、かなり難易度の低い依頼が並んでいた。

 それらを眺め、うーんと悩むこと数秒。僕はとある依頼を受けることに決めた。

「よし、これにしよう」

 それは常時依頼でも中程度の難易度である依頼──ゴブリンの討伐である。

 ゴブリンであれば討伐経験がある上、なにより報酬が1匹あたり銅貨1枚と他に比べて良い。
 もちろんはぐれを狙うため効率は良くないが、レベルアップも考えればこれが最善であろう。

 もちろんゴブリンの討伐をメインで進めるというだけで、他の常時依頼が受けられなくなるわけではない。

 そのためたとえば常時依頼にもあるツノウサギと遭遇した場合には狩るし、薬草を見つけた場合には採取する。

 そこはまぁ臨機応変に対応していく感じだ。

 ……よし。受ける依頼も決まったことだし、早速討伐に向かうか!

 常時依頼であれば依頼書を受付に持っていく必要はない。そのため僕はその足のまま冒険者ギルドを後にし、町の外へと向かった。

 ◇

 ゴブリンの生息地は近くの森──ガルドの森と言うらしい──とのことだったため、早速そこへと向かう。

「とりあえず今回の討伐目標は4匹かなぁ」

 体力的にもそこが限界というのもあるが、何よりも本日分の宿の代金を考えるとここが最低限のラインであった。

 ちなみに宿に関しては銅貨1枚で泊まれる場所も存在する。ただしその宿は個別の部屋がある訳ではなく、大部屋にスペースが与えられるだけ──つまり雑魚寝スタイルというわけだ。

 金額を考えれば魅力的ではあるが、さすがに10歳の僕が1人で泊まるには危険すぎる環境のため、これは避けたい。

 となると部屋が割り与えられる宿を選ぶ必要があるのだが、その最低ラインがなんと1泊銅貨4枚。ちょうどゴブリン4匹分というわけだ。

 ……一応今の手持ちを合計すれば銅貨5枚程度はある。ただ、今後のことを考えるとこの銅貨5枚は保険として持っておきたい。

 そんなこんなで絶対ではないが、できれば狩りたいというのが今の本音だ。

「まぁ気負いすぎずに、でもある程度気合いは入れて頑張ろう」

 僕はそう口にしながら、森へと歩みを進める。

 およそ10分ほど経過したところで、僕は目的地へと到着した。

「よーし、やるか」

 言葉の後、僕は森の中へと入る。もちろん入り口として選んだのは、先人が何度も歩み固めたことでできた自然の道だ。

 ……これを辿れば基本的に迷うことはないしね。

 思いながら慎重に森の奥へと進む。

 ──と、ここで僕は数十m先に緑色の肌をした二足歩行の生物を発見する。

 ……これは運がいい。早速はぐれゴブリン、それも武器なしだ。

 小さく微笑むが、しかしすぐさま突撃はしない。本当にはぐれか、周囲に他の魔物の気配はないか確認するためだ。

 ……他にゴブリンの気配はない。別の魔物も……よし、居なそうだな。

 僕は1人うんと頷くと、剣をギュッと握った。そしていつも通り構えをとると、タイミングを見てゴブリンへと接近した。

 ◇

「これで4匹目っと」

 およそ3時間後。僕は目的である4匹のゴブリンを狩り終えた。
 すぐさま討伐証明である右耳を切り取ると、その場から離れる。

 もちろん血の匂いを嗅ぎつけた他の魔物に遭遇することを防ぐためだ。

 僕は森の入り口付近へ向けてゆっくりと歩みを進めつつ、思考をする。

 ……うーん、思ったより早く終わったな。時間的にもやろうと思えばまだ狩れそうだけど……初日だし今日は無理せずここでやめておくか。

 内心そう決心すると、僕は町に向けて歩き出した。

 ──と。その時であった。

「だ、誰か!」

 森の遠方から、唐突にそんな声が聞こえてきた。

「なんだ今の……もしかして助けを呼ぶ声?」

 突然の出来事に僕は驚きつつ、脳内を整理していると、再び「誰か!」という声が僕の耳に届く。

「行かなきゃ!」

 そこでかなり急を要する状況だと判断した僕は、自身の戦闘力ではなんの役にも立たないだろうことを理解しながらも、ほぼ反射的に声の方向──森の奥地へと駆け出した。
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