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冒険者編
神様会議と考察大会
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「さて、揃ったかな」
「おう」
「そんじゃ始めようよ~」
夜のベールに包まれた空間、星と月の明かりの元に、三原神は揃っていた。
ここはルドラの領域にある、会議用の空間だ。冥王の間とよく似た場所だが、違うのは中央に円卓があり、3つの玉座が据えられている点だろうか。そこに座る三原神、その背後には各々の補佐神が控えている。
ルドラの背後に佇むのは、ヴァルスとエルシレア。
ティニマの背後に控えるのは、美しい容貌の緑髪と白翼を持つサレン。
ヴァーベルの背後に居るのは、神界での補佐神である露出過剰な美女である。
一際明るい光に照らされながら、ルドラは重々しい口調で会議を始めた。
「まず報告だが…先日、冥府に向けて虚無の攻撃があった。ティニマは知っての通りだが、おそらく敵は例の潜んでいる虚無の欠片共だ」
「冥府の一部が裂けてて、そこから魔物がうじゃうじゃ出てきてたんだよね~。魂を食い散らかしてたし、すごかったからあたしも手伝ったけど、とんでもなかったよ~」
「そりゃぁ大変だったんだな。なんなら俺も呼べば良かったのによ」
「流石に三柱とも一つの物事にかかずらうのはリスクが大きすぎる。いつでもフリーになれる存在を残しておくのは鉄板だ。とはいえ、冥府の裂け目と魔物の進行。これらが虚無の攻撃であることは一目瞭然だ」
ルドラの言葉に、ヴァーベルは腕組みしながら天を仰ぐ。
「つくづく、ゴキブリみてぇな連中だよなぁ。潰しても潰しても次々と湧いて来るぜ。…で、裂け目は防げたのか?」
「なんとかな。とは言え、冥府は大混乱でてんてこ舞い、刑場がある次元の一部がやられたからな、死者による酷い大行列になっているぞ。100年ぶりだな、これだけ忙しいのは」
「えっとね~、裂けた冥府の空間は閉じたから、魔物はもう侵入できないはずだよ。修復するまで閉じた綻びが開かないように抑えておかなきゃいけないから、ルドラはしばらく手一杯だね」
「お陰様で大事な休暇が台無しだ。まあ、ほとんど修復は終えているから、じきに手は離せるのだが」
しかし、と、ルドラは嫌そうに鼻を鳴らす。
「下界でも虚無の干渉があったようだ。例の虚無教の仕業だがな」
「虚無教っていうと、ルドラが言ってた危険な人たちのことだよね?その人達が悪さしてたの~?」
「虚無教か…俺もあれから探ってみたんだけど、虚無教の信徒の集会場はいくつも発見できたんだが、肝心の本部の居場所がまったくわからねぇ。例の、クレイビーだっけか?その導士ってのの姿は影も形も見えねえし、信徒も知らない様子だ。…っていうか、なんか実態があやふやなんだよなぁ。虚無教の思想ははっきりしてるんだが…」
ヴァーベルの調べた通り、虚無教の目的はすなわち「世界の終末」を迎える事だ。
虚無教は終末思想を掲げ、生命とは矛盾と穢れに満ちた不自然な存在であると定義し、ひいては世界そのものの存在が間違いであると訴えている。全ての存在を否定し、全ての生命も無機物も、何もかもが或るべきでないという、実に危険思想の塊のような集団である。
「有限に存在することは痛みの連続であり、全ての生命は苦痛に塗れるために生まれてきている。死ぬために生まれた子供や、殺すために生まれた罪人、それら全ての咎は生まれた事に端を発する。故に、生存とは罪である。だからそれを否定し、全ては父なる虚無へと還るべきだ。…なんだかなぁ、俺にはよくわかんねぇ理屈だぜ」
「安心しろ、私にも理解できん。ぶっちゃけ、遅れてきた中二病レベルの痛い思想に見えるんだがな、生きることに絶望している連中の中には、この思想に染まる者もいるようだ。ほら、自分が不幸だから世界なんて滅べって感じで」
「でも、それだけじゃなくてね。子供を殺された親とか、恋人を亡くした人とか、誰かの悪意で傷ついた人たちの中で、恨むことも憎むことも苦しいって感じている人は多いんだよ。世界は不公平だって思ってる人は大勢いるの。それで、全てが破滅すれば、みんな等しく苦しみ、痛みを共有できるんだって。全てが平等になるから、そうなりたいって考えてるみたい」
「かーっ!アホくさ」
理解できないルドラはツバでも吐きそうな様子でふんぞりが返る。基本、ルドラのような利己的な者には理解できない思想である。
平等など幻想だが、だからこそ人は理想に近づけようと努力するのだ。虚無教の思想はその努力の否定でもあり、安易な現実逃避の道具として利用しているようにしか見えないのである。
「生まれてくるのは不幸せだから、みんな仲良く死んで幸せになりましょう、って?馬鹿か!死にたいんなら勝手に自分だけで死んでくれたまえ。他人や世界まで巻き込まんでもらいたいものだ。誰がこの世界を作ったと思っとるんだ、このアホンダラどもは」
笑顔で虚無教の演説をする信徒の姿は、正直見ていて不気味なものがある。あきらかに目とかやばい人たちなのだから、普通の人々は近づきもしない。
が、そういう宗教にのめり込む人間は一定数居るようで、少ないながらも活動はしているようだ。
そんな連中の名簿を一瞥し、ルドラは吐き捨てる。
「我らの世界を滅ぼすつもりならば、還元候補にでも入れてしまえ。生きるのが嫌なら消えてもらっても構わんと私は思うぞ」
「辛辣だね~ルドラは」
「辛辣にもなる。実際、こういう思想は我らとは相反する。いわば、世界の敵を手助けする連中だぞ?ただ馬鹿げた言説を流布するだけならばお目溢しもしようが、虚無連中を崇めて援護するのならば、消し飛ばすほうがよほど有益だ」
「それは…そうだな。こいつらはあまりにも危険な連中だから、俺も弾圧すべきだとは思う。ほっといて大きくなれば、テロとかしそうだし」
「後は、争いを起こして利用しようと画策する連中の玩具になる可能性もあるが。まあそこは下界の連中に任せよう」
「気が進まないけどね~」
世界の統治者でもある三柱は、虚無教排斥の為に弾圧を指示する事に決定する。
…これ以降、虚無教は徹底的な邪教として、各国で弾圧の憂き目に合うことと成るが、隠れた勢力は存在し続けていくことになる。
その決定を補佐神に伝えながら、議題は次へと向かう。
「さて、件の虚無教の幹部、現在で確認できるのは導士司祭クレイビー・カルネットと、騎士司祭アーメリーンの二名だ。ヴァルス、報告せよ」
「はい、主上」
ルドラの後ろに控えていたヴァルスは、進み出て一礼してから先日の件を報告した。
アーメリーンと赤い霧の力、それは神の干渉を遮断する特異な代物である、と。
「私が相対したところ、彼女が行使したのはおそらく虚無魔法。ティニマ様が作り出した魔法システムに干渉し、密かに作り上げていた、かの者たち独自の魔法体系と推察します」
それを聞いてティニマは口を尖らせ、ついでに頭の花が少し枯れた。
「う、う~ん!あたしのシステムが勝手に悪用されてたなんて~…!なんかくやしい!」
「虚無魔法か…何なんだろうな、それ。ルドラ、わかるか?」
「魔法はティニマの専門だろうに…ま、いいだろう。私の推察するところ、虚無魔法は虚無のエネルギーを用いて行使される、魔法に類似した疑似魔法だ」
「疑似魔法?」
首をかしげる両名へわかるように、ルドラは言葉を選びながら説明する。
「普通の魔法は、自然エネルギーと精霊のコンボで成立している。が、虚無魔法はその自然ネルギーを虚無のエネルギーで代替しているのだ」
「虚無のエネルギー?なぁにそれ」
「ふむ、以前に私はクレイビーと戦ったのだがな、ヤツは虚無の一部と繋がりを持っているらしく、魂を通じて虚無と回路をつなげ、肉体に宿していた。要は道だ。その道に流れるエネルギーは、明らかに既存のどのエネルギーとも合致しなかった。この事から、虚無と呼ばれる侵略者共が蓄えた、この次元のどこかに存在する強大なエネルギー。負の感情、精霊、それらを自らに還元したエネルギーこそが、その虚無エネルギーだ」
いうなれば、ルドラの領域に置かれている時エネルギーの砂時計と同じ代物が、どこかに存在している。それは巧みに隠され、また形も定かではない故に、神々では見つけようが無いのだ。
「虚無エネルギーは、自然エネルギーよりも巨大で凄まじい代物だ。連中が再生・増殖したり、なんらかのシステムをハッキングする為に用いられるエネルギー、と推察できる。同じように、既存の魔法という型に専用の攻撃手段として作られたのが、クレイビーらが使用していた虚無魔法だろう。…時エネルギーに匹敵するかもしれんが、しかしアレだけで神を殺すには至らぬ。我らの次元を攻略するには、虚無エネルギーだけでは力不足だ。…しかし、定命の者にとっては脅威なのも確か。虚無魔法に対抗するには時エネが必要だが、これも相手によっては効かんだろうしなぁ」
「え、そうなの?」
「そうなの。エルシレア、説明を」
「はい」
今度はエルシレアが歩み出て、三人の前の空中に半透明なスクリーンを出現させ、説明を開始した。
「虚無にはそれぞれに格があると主上は推察されまして、私達もそれに関しての実験を行いました。その結果、主上の推察どおりに魔物の格付けを定義したのです」
そして、つらつらとスクリーンに映し出される文字の羅列。
【魔物にはランクが存在している。
各ランク毎に魔物の質が変わり、性能・能力・知力などが左右される事が明らかになっている。
これら格付けを、大雑把にレベル1~3に定義した。
「レベル1」
一般的な魔物と呼ばれる存在。
分類としては低ランクであり、負傷時の再生は見られない。
・世エネは効果なし
・時エネは効果あり
・自エネは効果あり
「レベル2」
一定回数を融合した魔物、魔王、または虚無の眷属が該当する。
魔物より頑強な力を持ち、再生などの特殊能力を持っている可能性は高い。
・世エネは効果なし
・時エネは効果なし
・自エネは効果あり
「レベル3」
未知数。しかし脅威としては最高レベル。
遭遇記録としては、2度進行してきた「泥闇」「腫瘍」が該当。
あるいは「虚公」もここに該当する可能性がある。
・世エネは効果なし
・時エネは効果なし
・自エネはやや効果あり?(対象が一例のみなので確証はない) 】
「大雑把な分類となりますが、このように分かれます。もっとも留意すべき点は、全ての虚無は世界エネルギーを無効化できるという点でしょうか」
「おそらくだが、この世界に入り込んでくる虚無は全て「世界」の抵抗を通過してきた連中だ。つまり、発生している虚無の侵攻の中でも突然変異的に世界エネルギーへの抵抗力を持った連中が、この世界に入り込んでくるということだな。だから、こいつらは世界エネルギーの干渉を無効化できるのだ」
頭の痛い問題だな、とルドラはぼやく。神としてもっとも大きなアドバンテージが通じないのだから、ため息をつきたくもなる。
「じゃあ、なんで時エネも無効化できるんだろうね~。それに自然エネルギーって元素から発生するから、元素で出来てる精霊も食べちゃうんだよね?でも魔法は効くって変なの~」
「そんなもん私が知るか!…だがまぁ、時エネや自エネ無効化に関しては見当がついている。クレイビーとの戦いにて観察してわかったのだが、おそらく連中はシールド魔法のようなもので体を覆っているようだ。時エネの不意打ちでも自動発動で完全無効化。連中が虚無魔法を作り上げた際に、そんなシールド魔法でも作ったんじゃないのか?」
「むむむ~!またあたしの魔法が悪さに使われてる~!」
「で、なんで連中へ自然エネルギーが通用するんだ?」
「これも憶測だが、最も威力のある時エネを完全無効化した代償に、自エネ関連の耐性が薄いってことだろうな。この世界に居る限り、法則であるエネルギー効率に連中も習わざるを得ないのだ。だから全耐性無効化という滅茶苦茶なエネルギー運用は不可能だということかと。…魔法に関しては、連中が喰らうのは精霊・自エネであって、それから変換される魔法ではないって事だろ。池の水を飲むことが出来るが、それを熱した熱湯をぶっ掛けられたら熱いんだろ、たぶん、おそらく」
「なんか適当だな」
「私だって知らないことも多い」
推論:世界エネルギー以外の各エネルギー無効化に関しては、シールドのような結界によって無効化されている可能性あり。要検証中。
スクリーンに付け足された文字をなぞりつつ、ティニマは呆れたようにふぅっとため息を吐いている。
「けど、進化してるのか~…なんかさ、虚無の進化が続いたら怖いよね~」
「…そうだな」
敵は進化するが、こちらは不変な存在だ。そこにヒヤリとした恐れを感じ、三柱ともしばし黙する。どうにも、難題が積み重なっているように思えてならない。
そんな中で、ヴァーべルがポツリと呟いた。
「…そもそも、その虚無の眷属を自称している連中ってのは、一体何なんだ?人間なのか?」
「一応は人間とも言えるな」
ルドラは少しだけ仮面の下の表情を顰め、神妙な雰囲気で呟く。
「連中の魂に関して検索をかけたところ、奴らは元は普通の魂、人であったのだ。だが、転生の門を潜って生まれるどこかの時点で、虚無の影響によって変質してしまった」
「それって、以前にもあった領界ってののアレか?」
「そう、それ。…だが、領界は強化している。外部からの侵入ではないとすれば、元々中に居た虚無が、連中を変質させたのだろう。おそらく100年前の邪神事変の際に「腫瘍」から離れ、身を隠していた虚無こそが、例の「虚公」なのだろう」
「じゃあ、二人は完全に人間なの?」
「いいや、完全に人間ではない。いわば、半異形とも言えるな。…おそらくだが、感情とか感覚とか、どこかの器官が壊れているだろう。グリセル・アーヴェルの双子と同じく」
性質的には双子とよく似ているが、違うのは特大の虚無の種子を体に埋め込まれている、という点だろうか。
そう言えば、二人は相変わらず首を傾げているので、ルドラは種子に関して説明を行う。
「虚無の種子、と呼んでいる代物に関して、改めて定義するが……これは虚無の侵略者の一部が変質し、魂や肉体に潜りこんだ代物だ。あまりにも効果が未知数で一定しない故に予測がつかんのだが…肉体で変質した代物は、吸血鬼と呼ばれる怪物とか、あるいは魔物に近くなるようだ。魂に潜り込んだ場合、精神的・人格的な変容が予測される。どちらも何かを犠牲に特殊能力を発現する可能性が高い。まあ、出ない場合もあるが」
「へ~。それじゃ、その幹部の子達も魂に種子を宿してて、肉体や精神に影響が出てるんだね。それで、その虚無魔法や魔眼ってのが特殊能力ってやつなのかな?」
「おそらくはな」
「しかも、巨大な種子なんだろ?ようは虚無お手製の生物兵器って事か…ちっ!なんだか胸糞が悪くなるぜ!」
「その子達も、ひょっとしたら普通の人間になって生まれてたのかもしれないのにね~…なんだか可哀想かな」
「同情は結構だが、消す時まで迷うなよ?こればかりは、もうどうしようもないんだからな」
シビアな発言に無言になる会議場。
ルドラも肩を竦め、それ以上は何も言わずに、場を締めくくった。
「それでは、会議はこのへんで終わりにするか。私は引き続き下界で休暇…もとい、危機に関して監視を続ける。例の干渉を隔てる霧もあるからな。一名は下界でスタンバっておいたほうが間違いがない」
アーメリーンが霧を張った際、ヴァルスはあらかじめ内部に入り込んでいたために魔法で解除出来たが、外からでは神でも手出しが出来ないのだ。アレの厄介さを考え、ルドラは下界の監視を続けることにする。
「何かあれば、また報告しよう。「世界」の警告の時までは、我らも大きく動くことは出来んからな」
「世界の危機か。俺たちも虚無教の動きを逐一監視しておくぜ。もし下で何かあれば、頼んだぜ、ルドラ」
「頑張ってね~。あ、でも食事はほどほどにね?いっつも食べて寝てばっかりだってゲッシュが愚痴ってたから~」
「余計な世話だ!私は休暇中なんでね、デロデロさせて貰うぜ!」
「休暇か~…俺も次は休暇を取りたいもんだぜ」
言い合いながら、神々の会議は終わりを告げ、各々の領域へと去っていく。
その間際、ルドラはボソリと呟く。
「…しかし「世界」め。世界を救う英雄を集めろとは…本当に面倒な頼み事をしてくるものだな」
「おう」
「そんじゃ始めようよ~」
夜のベールに包まれた空間、星と月の明かりの元に、三原神は揃っていた。
ここはルドラの領域にある、会議用の空間だ。冥王の間とよく似た場所だが、違うのは中央に円卓があり、3つの玉座が据えられている点だろうか。そこに座る三原神、その背後には各々の補佐神が控えている。
ルドラの背後に佇むのは、ヴァルスとエルシレア。
ティニマの背後に控えるのは、美しい容貌の緑髪と白翼を持つサレン。
ヴァーベルの背後に居るのは、神界での補佐神である露出過剰な美女である。
一際明るい光に照らされながら、ルドラは重々しい口調で会議を始めた。
「まず報告だが…先日、冥府に向けて虚無の攻撃があった。ティニマは知っての通りだが、おそらく敵は例の潜んでいる虚無の欠片共だ」
「冥府の一部が裂けてて、そこから魔物がうじゃうじゃ出てきてたんだよね~。魂を食い散らかしてたし、すごかったからあたしも手伝ったけど、とんでもなかったよ~」
「そりゃぁ大変だったんだな。なんなら俺も呼べば良かったのによ」
「流石に三柱とも一つの物事にかかずらうのはリスクが大きすぎる。いつでもフリーになれる存在を残しておくのは鉄板だ。とはいえ、冥府の裂け目と魔物の進行。これらが虚無の攻撃であることは一目瞭然だ」
ルドラの言葉に、ヴァーベルは腕組みしながら天を仰ぐ。
「つくづく、ゴキブリみてぇな連中だよなぁ。潰しても潰しても次々と湧いて来るぜ。…で、裂け目は防げたのか?」
「なんとかな。とは言え、冥府は大混乱でてんてこ舞い、刑場がある次元の一部がやられたからな、死者による酷い大行列になっているぞ。100年ぶりだな、これだけ忙しいのは」
「えっとね~、裂けた冥府の空間は閉じたから、魔物はもう侵入できないはずだよ。修復するまで閉じた綻びが開かないように抑えておかなきゃいけないから、ルドラはしばらく手一杯だね」
「お陰様で大事な休暇が台無しだ。まあ、ほとんど修復は終えているから、じきに手は離せるのだが」
しかし、と、ルドラは嫌そうに鼻を鳴らす。
「下界でも虚無の干渉があったようだ。例の虚無教の仕業だがな」
「虚無教っていうと、ルドラが言ってた危険な人たちのことだよね?その人達が悪さしてたの~?」
「虚無教か…俺もあれから探ってみたんだけど、虚無教の信徒の集会場はいくつも発見できたんだが、肝心の本部の居場所がまったくわからねぇ。例の、クレイビーだっけか?その導士ってのの姿は影も形も見えねえし、信徒も知らない様子だ。…っていうか、なんか実態があやふやなんだよなぁ。虚無教の思想ははっきりしてるんだが…」
ヴァーベルの調べた通り、虚無教の目的はすなわち「世界の終末」を迎える事だ。
虚無教は終末思想を掲げ、生命とは矛盾と穢れに満ちた不自然な存在であると定義し、ひいては世界そのものの存在が間違いであると訴えている。全ての存在を否定し、全ての生命も無機物も、何もかもが或るべきでないという、実に危険思想の塊のような集団である。
「有限に存在することは痛みの連続であり、全ての生命は苦痛に塗れるために生まれてきている。死ぬために生まれた子供や、殺すために生まれた罪人、それら全ての咎は生まれた事に端を発する。故に、生存とは罪である。だからそれを否定し、全ては父なる虚無へと還るべきだ。…なんだかなぁ、俺にはよくわかんねぇ理屈だぜ」
「安心しろ、私にも理解できん。ぶっちゃけ、遅れてきた中二病レベルの痛い思想に見えるんだがな、生きることに絶望している連中の中には、この思想に染まる者もいるようだ。ほら、自分が不幸だから世界なんて滅べって感じで」
「でも、それだけじゃなくてね。子供を殺された親とか、恋人を亡くした人とか、誰かの悪意で傷ついた人たちの中で、恨むことも憎むことも苦しいって感じている人は多いんだよ。世界は不公平だって思ってる人は大勢いるの。それで、全てが破滅すれば、みんな等しく苦しみ、痛みを共有できるんだって。全てが平等になるから、そうなりたいって考えてるみたい」
「かーっ!アホくさ」
理解できないルドラはツバでも吐きそうな様子でふんぞりが返る。基本、ルドラのような利己的な者には理解できない思想である。
平等など幻想だが、だからこそ人は理想に近づけようと努力するのだ。虚無教の思想はその努力の否定でもあり、安易な現実逃避の道具として利用しているようにしか見えないのである。
「生まれてくるのは不幸せだから、みんな仲良く死んで幸せになりましょう、って?馬鹿か!死にたいんなら勝手に自分だけで死んでくれたまえ。他人や世界まで巻き込まんでもらいたいものだ。誰がこの世界を作ったと思っとるんだ、このアホンダラどもは」
笑顔で虚無教の演説をする信徒の姿は、正直見ていて不気味なものがある。あきらかに目とかやばい人たちなのだから、普通の人々は近づきもしない。
が、そういう宗教にのめり込む人間は一定数居るようで、少ないながらも活動はしているようだ。
そんな連中の名簿を一瞥し、ルドラは吐き捨てる。
「我らの世界を滅ぼすつもりならば、還元候補にでも入れてしまえ。生きるのが嫌なら消えてもらっても構わんと私は思うぞ」
「辛辣だね~ルドラは」
「辛辣にもなる。実際、こういう思想は我らとは相反する。いわば、世界の敵を手助けする連中だぞ?ただ馬鹿げた言説を流布するだけならばお目溢しもしようが、虚無連中を崇めて援護するのならば、消し飛ばすほうがよほど有益だ」
「それは…そうだな。こいつらはあまりにも危険な連中だから、俺も弾圧すべきだとは思う。ほっといて大きくなれば、テロとかしそうだし」
「後は、争いを起こして利用しようと画策する連中の玩具になる可能性もあるが。まあそこは下界の連中に任せよう」
「気が進まないけどね~」
世界の統治者でもある三柱は、虚無教排斥の為に弾圧を指示する事に決定する。
…これ以降、虚無教は徹底的な邪教として、各国で弾圧の憂き目に合うことと成るが、隠れた勢力は存在し続けていくことになる。
その決定を補佐神に伝えながら、議題は次へと向かう。
「さて、件の虚無教の幹部、現在で確認できるのは導士司祭クレイビー・カルネットと、騎士司祭アーメリーンの二名だ。ヴァルス、報告せよ」
「はい、主上」
ルドラの後ろに控えていたヴァルスは、進み出て一礼してから先日の件を報告した。
アーメリーンと赤い霧の力、それは神の干渉を遮断する特異な代物である、と。
「私が相対したところ、彼女が行使したのはおそらく虚無魔法。ティニマ様が作り出した魔法システムに干渉し、密かに作り上げていた、かの者たち独自の魔法体系と推察します」
それを聞いてティニマは口を尖らせ、ついでに頭の花が少し枯れた。
「う、う~ん!あたしのシステムが勝手に悪用されてたなんて~…!なんかくやしい!」
「虚無魔法か…何なんだろうな、それ。ルドラ、わかるか?」
「魔法はティニマの専門だろうに…ま、いいだろう。私の推察するところ、虚無魔法は虚無のエネルギーを用いて行使される、魔法に類似した疑似魔法だ」
「疑似魔法?」
首をかしげる両名へわかるように、ルドラは言葉を選びながら説明する。
「普通の魔法は、自然エネルギーと精霊のコンボで成立している。が、虚無魔法はその自然ネルギーを虚無のエネルギーで代替しているのだ」
「虚無のエネルギー?なぁにそれ」
「ふむ、以前に私はクレイビーと戦ったのだがな、ヤツは虚無の一部と繋がりを持っているらしく、魂を通じて虚無と回路をつなげ、肉体に宿していた。要は道だ。その道に流れるエネルギーは、明らかに既存のどのエネルギーとも合致しなかった。この事から、虚無と呼ばれる侵略者共が蓄えた、この次元のどこかに存在する強大なエネルギー。負の感情、精霊、それらを自らに還元したエネルギーこそが、その虚無エネルギーだ」
いうなれば、ルドラの領域に置かれている時エネルギーの砂時計と同じ代物が、どこかに存在している。それは巧みに隠され、また形も定かではない故に、神々では見つけようが無いのだ。
「虚無エネルギーは、自然エネルギーよりも巨大で凄まじい代物だ。連中が再生・増殖したり、なんらかのシステムをハッキングする為に用いられるエネルギー、と推察できる。同じように、既存の魔法という型に専用の攻撃手段として作られたのが、クレイビーらが使用していた虚無魔法だろう。…時エネルギーに匹敵するかもしれんが、しかしアレだけで神を殺すには至らぬ。我らの次元を攻略するには、虚無エネルギーだけでは力不足だ。…しかし、定命の者にとっては脅威なのも確か。虚無魔法に対抗するには時エネが必要だが、これも相手によっては効かんだろうしなぁ」
「え、そうなの?」
「そうなの。エルシレア、説明を」
「はい」
今度はエルシレアが歩み出て、三人の前の空中に半透明なスクリーンを出現させ、説明を開始した。
「虚無にはそれぞれに格があると主上は推察されまして、私達もそれに関しての実験を行いました。その結果、主上の推察どおりに魔物の格付けを定義したのです」
そして、つらつらとスクリーンに映し出される文字の羅列。
【魔物にはランクが存在している。
各ランク毎に魔物の質が変わり、性能・能力・知力などが左右される事が明らかになっている。
これら格付けを、大雑把にレベル1~3に定義した。
「レベル1」
一般的な魔物と呼ばれる存在。
分類としては低ランクであり、負傷時の再生は見られない。
・世エネは効果なし
・時エネは効果あり
・自エネは効果あり
「レベル2」
一定回数を融合した魔物、魔王、または虚無の眷属が該当する。
魔物より頑強な力を持ち、再生などの特殊能力を持っている可能性は高い。
・世エネは効果なし
・時エネは効果なし
・自エネは効果あり
「レベル3」
未知数。しかし脅威としては最高レベル。
遭遇記録としては、2度進行してきた「泥闇」「腫瘍」が該当。
あるいは「虚公」もここに該当する可能性がある。
・世エネは効果なし
・時エネは効果なし
・自エネはやや効果あり?(対象が一例のみなので確証はない) 】
「大雑把な分類となりますが、このように分かれます。もっとも留意すべき点は、全ての虚無は世界エネルギーを無効化できるという点でしょうか」
「おそらくだが、この世界に入り込んでくる虚無は全て「世界」の抵抗を通過してきた連中だ。つまり、発生している虚無の侵攻の中でも突然変異的に世界エネルギーへの抵抗力を持った連中が、この世界に入り込んでくるということだな。だから、こいつらは世界エネルギーの干渉を無効化できるのだ」
頭の痛い問題だな、とルドラはぼやく。神としてもっとも大きなアドバンテージが通じないのだから、ため息をつきたくもなる。
「じゃあ、なんで時エネも無効化できるんだろうね~。それに自然エネルギーって元素から発生するから、元素で出来てる精霊も食べちゃうんだよね?でも魔法は効くって変なの~」
「そんなもん私が知るか!…だがまぁ、時エネや自エネ無効化に関しては見当がついている。クレイビーとの戦いにて観察してわかったのだが、おそらく連中はシールド魔法のようなもので体を覆っているようだ。時エネの不意打ちでも自動発動で完全無効化。連中が虚無魔法を作り上げた際に、そんなシールド魔法でも作ったんじゃないのか?」
「むむむ~!またあたしの魔法が悪さに使われてる~!」
「で、なんで連中へ自然エネルギーが通用するんだ?」
「これも憶測だが、最も威力のある時エネを完全無効化した代償に、自エネ関連の耐性が薄いってことだろうな。この世界に居る限り、法則であるエネルギー効率に連中も習わざるを得ないのだ。だから全耐性無効化という滅茶苦茶なエネルギー運用は不可能だということかと。…魔法に関しては、連中が喰らうのは精霊・自エネであって、それから変換される魔法ではないって事だろ。池の水を飲むことが出来るが、それを熱した熱湯をぶっ掛けられたら熱いんだろ、たぶん、おそらく」
「なんか適当だな」
「私だって知らないことも多い」
推論:世界エネルギー以外の各エネルギー無効化に関しては、シールドのような結界によって無効化されている可能性あり。要検証中。
スクリーンに付け足された文字をなぞりつつ、ティニマは呆れたようにふぅっとため息を吐いている。
「けど、進化してるのか~…なんかさ、虚無の進化が続いたら怖いよね~」
「…そうだな」
敵は進化するが、こちらは不変な存在だ。そこにヒヤリとした恐れを感じ、三柱ともしばし黙する。どうにも、難題が積み重なっているように思えてならない。
そんな中で、ヴァーべルがポツリと呟いた。
「…そもそも、その虚無の眷属を自称している連中ってのは、一体何なんだ?人間なのか?」
「一応は人間とも言えるな」
ルドラは少しだけ仮面の下の表情を顰め、神妙な雰囲気で呟く。
「連中の魂に関して検索をかけたところ、奴らは元は普通の魂、人であったのだ。だが、転生の門を潜って生まれるどこかの時点で、虚無の影響によって変質してしまった」
「それって、以前にもあった領界ってののアレか?」
「そう、それ。…だが、領界は強化している。外部からの侵入ではないとすれば、元々中に居た虚無が、連中を変質させたのだろう。おそらく100年前の邪神事変の際に「腫瘍」から離れ、身を隠していた虚無こそが、例の「虚公」なのだろう」
「じゃあ、二人は完全に人間なの?」
「いいや、完全に人間ではない。いわば、半異形とも言えるな。…おそらくだが、感情とか感覚とか、どこかの器官が壊れているだろう。グリセル・アーヴェルの双子と同じく」
性質的には双子とよく似ているが、違うのは特大の虚無の種子を体に埋め込まれている、という点だろうか。
そう言えば、二人は相変わらず首を傾げているので、ルドラは種子に関して説明を行う。
「虚無の種子、と呼んでいる代物に関して、改めて定義するが……これは虚無の侵略者の一部が変質し、魂や肉体に潜りこんだ代物だ。あまりにも効果が未知数で一定しない故に予測がつかんのだが…肉体で変質した代物は、吸血鬼と呼ばれる怪物とか、あるいは魔物に近くなるようだ。魂に潜り込んだ場合、精神的・人格的な変容が予測される。どちらも何かを犠牲に特殊能力を発現する可能性が高い。まあ、出ない場合もあるが」
「へ~。それじゃ、その幹部の子達も魂に種子を宿してて、肉体や精神に影響が出てるんだね。それで、その虚無魔法や魔眼ってのが特殊能力ってやつなのかな?」
「おそらくはな」
「しかも、巨大な種子なんだろ?ようは虚無お手製の生物兵器って事か…ちっ!なんだか胸糞が悪くなるぜ!」
「その子達も、ひょっとしたら普通の人間になって生まれてたのかもしれないのにね~…なんだか可哀想かな」
「同情は結構だが、消す時まで迷うなよ?こればかりは、もうどうしようもないんだからな」
シビアな発言に無言になる会議場。
ルドラも肩を竦め、それ以上は何も言わずに、場を締めくくった。
「それでは、会議はこのへんで終わりにするか。私は引き続き下界で休暇…もとい、危機に関して監視を続ける。例の干渉を隔てる霧もあるからな。一名は下界でスタンバっておいたほうが間違いがない」
アーメリーンが霧を張った際、ヴァルスはあらかじめ内部に入り込んでいたために魔法で解除出来たが、外からでは神でも手出しが出来ないのだ。アレの厄介さを考え、ルドラは下界の監視を続けることにする。
「何かあれば、また報告しよう。「世界」の警告の時までは、我らも大きく動くことは出来んからな」
「世界の危機か。俺たちも虚無教の動きを逐一監視しておくぜ。もし下で何かあれば、頼んだぜ、ルドラ」
「頑張ってね~。あ、でも食事はほどほどにね?いっつも食べて寝てばっかりだってゲッシュが愚痴ってたから~」
「余計な世話だ!私は休暇中なんでね、デロデロさせて貰うぜ!」
「休暇か~…俺も次は休暇を取りたいもんだぜ」
言い合いながら、神々の会議は終わりを告げ、各々の領域へと去っていく。
その間際、ルドラはボソリと呟く。
「…しかし「世界」め。世界を救う英雄を集めろとは…本当に面倒な頼み事をしてくるものだな」
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