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気にしてたんだ

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気にしてたんだ2

キーンコーンカーンコーン…


悠里『やぁぁあっとお昼だー!!!』

両手をあげて大きく伸びる
4時間目が終わり、クラスのみんながガタガタと机を並べかえている。

壬晴『…ゆう、はやく机…』

ぽそっと隣の席の友人、壬晴が言った
壬晴はおっとりしてるのにしっかり者なんだよなぁ…

ちっちゃいお母さんみたい

そう思いながら悠里も机を並べ始めた

悠里『今日は給食なにかなー…』

壬晴『…今日は、ゆうの好きなアルファベットのマカロニのスープ…』

悠里『まーーーじ!!うれぴい!!!』

きゃっきゃとする悠里
その隣でジロジロみながら

晴人『うるせぇよ!今日当番だったろ!牛乳!』

晴人がそう言った

悠里は目をまん丸にして驚いたような顔をして突っ立っていた


壬晴『…はやく、牛乳当番…』

はっとした悠里は給食着を持ってガタガタと教室を出ていった

悠里『わーすーれーてたーーーー!!!』

クスクスと晴人の後ろで笑っている水樹
晴人が呆れたような顔でため息をついている

水樹『さぁすが、悠里だねぇ』

晴人『あーいつ、ほんっとに悠人がいないと何もできねぇよなぁ』

水樹『しょうがないじゃない、小さい頃からずっとそうなんだもの』

壬晴『……悠人が甘やかし過ぎなだけ…』


そんな会話をしていた

悠里(うぇぇ、また忘れてたよぅ)

そう考えながらバタバタ走っていると後ろから声がした
いつもの、私の安心する、あの声

悠人『悠里!?走ってどこいくの、』

心配そうな顔をして歩いてくる悠人
……安心するなぁ、悠人の声

悠人『…ちょっと、きいてる?』

悠里の顔を覗き込むように聞いてくる

悠里『ふぇっ!?うっ…うん!あのね、牛乳を』
悠人『牛乳倉庫は二階じゃなくて、一階だけど?』

呆れたようにそう言った

悠里『そうじゃん!!!また間違えちゃった!』

少し汗をかきながら笑う

…私、やっぱダメだなぁ

悠人がいないと上手くいかない
はぁ…

悠人『…僕がいなきゃダメなんだ?』

首を傾げながらドヤ顔をして悠人が言う
自分の心を呼んだかのように鋭い答え

…!?

ビックリしながら悠里が

悠里『な、、なんで』

悠人『…声に出てたよ』

そう、思ったことが声に出ていたのだ
~~~恥ずかしいっ!!!

悠人『…はやく』

悠里『??はやくって、どこに…』

悠人『いくんでしょ?…倉庫。』

悠里の手を引っ張る悠人
力強く引っ張る悠人の手は、少し暖かくて、しっかりしていた
倉庫の方に向かって二人で歩いていた


悠人『…気にしてたんだね。』


悠里『………え?』

悠人『僕がいなきゃ悠里がダメってこと』

悠里『う、、、』

悠人『気にしなくていいんだよ、まだ小学生なんだし』

そう、まだ小学生

でも、それでも、あと少しで中学生なんだから、

ちゃんとしなきゃ

悠人が立ち止まってこっちを向いた

悠人『悠里には僕がいるから、僕が何でもしてあげるから、』

悠人『………そのままの、悠里でいて?』

少し困ったように笑う悠人

どこか寂しげで、悲しそうな、

その笑みは、何かを伝えているような

そんな笑みだった

悠里は首を縦に振り、下を向いた

……悠人と目が合わせれない

悠人『…いい子。はやくとりにいこっか。』

ゆっくりと歩く悠人

悠人の後ろを歩いて、倉庫に向かった


悠里『…悠人、ありがとう。』

へらっと笑いながらそう言うと

悠人は少し顔を赤らめて

『どういたしまして』

そう言った。

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