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限界令嬢は、今日もココロが騒がしい。
後編
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ルチアは、気づいていた。
──最近、ノアが少し、よそよそしい。
話しかければ笑ってくれるし、いつも通りの口調で返してくれる。
でも、なんというか……踏み込んでこなくなった。
前は、髪のことを褒めてくれた。
ふざけて肩を寄せてきたり、時には、心臓を射抜くような甘い冗談を投げてきたのに。
──最近のノアは、まるで壁を作っているみたいだった。
(もしかして……嫌われちゃったのかな)
舞踏会の日の翌朝。
ノアの「惚れそうになった」って言葉に、少しだけ期待してしまった。
勇気を出して、自分も言おうとして──でも言えなくて。
(私が勇気を出せずにいたから……)
勝手に期待して、勝手に浮かれて、勝手に失望して。
ルチアは、自分のことが嫌になりそうだった。
ある放課後。人気のない渡り廊下の片隅で、ルチアはそっと膝を抱えて座り込んだ。
じん、と胸が痛くて、ついに目からぽろぽろと涙がこぼれた。
(もう、顔も見たくないのかな……)
「──泣いてるのか?」
思わず涙を拭ったとき、声が落ちた。
振り向くと、そこにはノアが立っていた。
「……ルチア?」
ルチアは、慌てて立ち上がった。
でも、すぐに目が合ってしまって、ごまかせるわけもなくて──
「……違うの、べつに……なんでもない……!」
「なんでもない顔じゃねぇよ。目、真っ赤だぞ」
「泣いてないってば!!」
ルチアはぷいっと顔をそらした。
視界が歪んで、涙がまた溢れそうになるのを必死にこらえながら。
ノアは、静かに彼女を見つめた。
「……俺が、なんかした?」
ルチアは答えなかった。
「距離、取ったのは……俺だけど……」
ノアはゆっくり言葉を選ぶように、続けた。
「ごめん。ルチアのこと、泣かせるつもりなんて、なかった」
その言葉に、ルチアはぴくりと肩を揺らした。
「……泣いてない。別にノアのせいじゃないから」
「……ほんとに?」
「ほんとに!!」
語気を強めたルチアの目には、まだ涙が光っている。
「私はただ、ただ……ちょっと眠くて、目にゴミ入っただけ! だから気にしないで!」
明らかに嘘だとわかる言葉を並べて、ルチアは強がった。
──けれど、その姿があまりに健気で、痛ましくて。
ノアは、息を飲むように呟いた。
「……泣かせたの、俺……?」
その声は、自分でも驚くほど、かすれていた。
ルチアは、またそっぽを向いて、黙り込んだ。
夕暮れの光が、二人の間に長い影を落とす。
すぐに言えたはずの「ちがうよ」も、「ほんとは寂しかったの」も──
どちらも、言えなかった。
そしてその沈黙が、ふたりの間に、確かなすれ違いを生んだ。
***
夕暮れの屋上。風が吹き抜ける静かな時間。
ノアは、柵に肘をついてぼんやりと空を見上げていた。
茜色に染まる雲が流れていく。けれど、心は重いままだ。
あの時の、ルチアの涙。
言い訳のように「違う」と言われた言葉。
それでも、はっきり覚えている。あの目は、確かに悲しんでいた。
(俺、やっぱ──やっちまったよな)
よかれと思って距離を取った。
変に意識して、余計な言葉を言わないようにして。
だけど、それが一番傷つけていたなんて、気づきもしなかった。
「──女泣かせといて、ぼーっとしてる場合か?」
背後から爽やかな声がした。
振り返ると、セドリックが立っていた。制服を綺麗に着こなしている彼は、ノアを見下ろしている。
「……なんで知ってんだよ」
「たまたま通りがかっただけだ。……お前、ルチアの顔、ちゃんと見たか?」
ノアは押し黙る。
「……見てないな。見てたら、あんな顔させたまま立ち尽くしてるはずない」
言葉は冷たいのに、声は静かで、まるで誰よりも悔しそうだった。
「お前さ」
風が吹いた。
セドリックが、ノアの背中をドンッと押す。
「もう、気づいてるんだろ?」
「……なにを」
「とぼけるな。どうでもいい子にそんな顔、しないだろ? お前は」
ノアの肩が、びくりと動く。
「“ルチアみたいな子”じゃない。“ルチアがいい”んだろ? ノア」
言われて初めて、自分の心が、あまりにもはっきりと見えた。
「……泣かせるなよ、これ以上」
セドリックはそれだけ言って、ふっと背を向けた。
「……お前が泣かせるなら、今度は俺がもらうからな」
それは冗談のようで、冗談に聞こえなかった。
ノアは、言葉もなく立ち尽くす。
けれど──胸の奥で、何かが確かに動き出していた。
(……泣かせない……だったら俺のすべきことは──!!)
夕焼けを前に、ノアはようやく決意を固めたのだった。
***
放課後の中庭には、淡い夕日が射し込んでいた。
石畳に長く伸びるふたつの影。そのうちのひとつが、静かに口を開く。
「ルチア」
名前を呼ばれて、ルチアはぴくりと肩を震わせた。
振り返れば、そこにはノアが立っていた。
いつも通りの笑顔ではない。少しだけ、不器用な表情。
「話、していいか?」
予想外の言葉に、ルチアは目を伏せる。
「……嫌われたのかと思ってた」
ぽつりとこぼしたルチアの言葉に、ノアは目を見開いた。
「違う。違うんだ……俺、怖かったんだ」
「え?」
「ルチアのこと、気になって仕方なかったのに。言葉にしたら壊れる気がして……でも、気づいた。離れてる方が、ずっと、ずっと苦しいって」
ルチアの瞳が揺れる。
「泣かせたの、俺だったんだよな……ごめん」
ノアは深く頭を下げた。そんなノアに、ルチアは首を振る。
「私ね……ノアにかわいいって言われるの、嬉しかった」
「……本当に?」
予想外の言葉にノアは顔を上げるも、ルチアは眉を下げたままだ。
「でもそれが……ノアにとってはただのからかいの言葉でしかなかったんだって思うと悲しかった……もしかしたら、ノアも私のこと好きなのかも──なんて、勘違いした自分が嫌だった……!」
ノアはその言葉を聞いて、大きく目を見開いた。
「それってもしかして」
「本当は、私……ずっと、ノアのことが好きだった」
初めて声に出すその言葉に、ルチアの唇は震えている。
ノアはそんなルチアへと、ゆっくり一歩、近づいた。
「俺もだよ。ルチアが好きだ。誰よりも、ずっと前から」
「ノア……本当に?」
「本当」
そう言って差し出された手を、ルチアは震えながら握り返した。
そっと指が重なる。
それは、すれ違いの果てに、ようやくたどり着いた両想いのかたち。
「ノア……嬉しい、信じられない……! 夢じゃ、ないよね?」
「はは、俺も夢みたいだ。でも、夢じゃない」
「……うんっ」
微笑み合う二人を、夕陽が優しく包み込む。
背後では、少し離れた物陰から、そっと様子を見守る人の姿。
彼は小さく息をつくと、そっとその場から歩き去っていった。
その背中に、どこか清々しい覚悟滲ませて。
優しく穏やかな風が抜けていき、ノアはふっと目を細める。
「夕暮れの風って、なんか落ち着くよな」
「う、うん」
「……ほんと、落ち着く」
(私は落ち着かないんだけど!?)
ふたりで並んでいるだけなのに、心臓の音だけがやたらと大きく響いている。
「なあ、今日が終わんなきゃいいのにな」
「ど、どうして……?」
「ルチアと一緒にいられる時間が終わるの、なんか寂しい」
(もう私の方が終わりそうなんですが!?!?)
そんな風に言われて、無事でいられるわけがない。
でも、ノアは気づいているのかいないのか、いつもの調子で。
「なあ、ちょっと手、貸せ」
「え、えっ!?」
「別に意味ないけど、握りたくなった」
(意味しかないよ!?!?)
突然すぎて思考が止まる。けれど、彼の手は温かくて優しくて。
拒めるはずなんて、なかった。
「このまま、繋いで帰ろうぜ」
にぱっと笑うノアに、もうルチアは今日こそ、限界で。
……その時、不意に彼の目がまっすぐ自分を見つめてきた。
いつもの笑顔じゃなく、少しだけ、真剣なまなざしで。
「ルチア」
「え?」
「近いうちに、正式に婚約しにいくから」
「ふぁ、ふぁい……っ!」
毎日限界を迎えていた令嬢の心は、今日もまた、騒がしい。
──最近、ノアが少し、よそよそしい。
話しかければ笑ってくれるし、いつも通りの口調で返してくれる。
でも、なんというか……踏み込んでこなくなった。
前は、髪のことを褒めてくれた。
ふざけて肩を寄せてきたり、時には、心臓を射抜くような甘い冗談を投げてきたのに。
──最近のノアは、まるで壁を作っているみたいだった。
(もしかして……嫌われちゃったのかな)
舞踏会の日の翌朝。
ノアの「惚れそうになった」って言葉に、少しだけ期待してしまった。
勇気を出して、自分も言おうとして──でも言えなくて。
(私が勇気を出せずにいたから……)
勝手に期待して、勝手に浮かれて、勝手に失望して。
ルチアは、自分のことが嫌になりそうだった。
ある放課後。人気のない渡り廊下の片隅で、ルチアはそっと膝を抱えて座り込んだ。
じん、と胸が痛くて、ついに目からぽろぽろと涙がこぼれた。
(もう、顔も見たくないのかな……)
「──泣いてるのか?」
思わず涙を拭ったとき、声が落ちた。
振り向くと、そこにはノアが立っていた。
「……ルチア?」
ルチアは、慌てて立ち上がった。
でも、すぐに目が合ってしまって、ごまかせるわけもなくて──
「……違うの、べつに……なんでもない……!」
「なんでもない顔じゃねぇよ。目、真っ赤だぞ」
「泣いてないってば!!」
ルチアはぷいっと顔をそらした。
視界が歪んで、涙がまた溢れそうになるのを必死にこらえながら。
ノアは、静かに彼女を見つめた。
「……俺が、なんかした?」
ルチアは答えなかった。
「距離、取ったのは……俺だけど……」
ノアはゆっくり言葉を選ぶように、続けた。
「ごめん。ルチアのこと、泣かせるつもりなんて、なかった」
その言葉に、ルチアはぴくりと肩を揺らした。
「……泣いてない。別にノアのせいじゃないから」
「……ほんとに?」
「ほんとに!!」
語気を強めたルチアの目には、まだ涙が光っている。
「私はただ、ただ……ちょっと眠くて、目にゴミ入っただけ! だから気にしないで!」
明らかに嘘だとわかる言葉を並べて、ルチアは強がった。
──けれど、その姿があまりに健気で、痛ましくて。
ノアは、息を飲むように呟いた。
「……泣かせたの、俺……?」
その声は、自分でも驚くほど、かすれていた。
ルチアは、またそっぽを向いて、黙り込んだ。
夕暮れの光が、二人の間に長い影を落とす。
すぐに言えたはずの「ちがうよ」も、「ほんとは寂しかったの」も──
どちらも、言えなかった。
そしてその沈黙が、ふたりの間に、確かなすれ違いを生んだ。
***
夕暮れの屋上。風が吹き抜ける静かな時間。
ノアは、柵に肘をついてぼんやりと空を見上げていた。
茜色に染まる雲が流れていく。けれど、心は重いままだ。
あの時の、ルチアの涙。
言い訳のように「違う」と言われた言葉。
それでも、はっきり覚えている。あの目は、確かに悲しんでいた。
(俺、やっぱ──やっちまったよな)
よかれと思って距離を取った。
変に意識して、余計な言葉を言わないようにして。
だけど、それが一番傷つけていたなんて、気づきもしなかった。
「──女泣かせといて、ぼーっとしてる場合か?」
背後から爽やかな声がした。
振り返ると、セドリックが立っていた。制服を綺麗に着こなしている彼は、ノアを見下ろしている。
「……なんで知ってんだよ」
「たまたま通りがかっただけだ。……お前、ルチアの顔、ちゃんと見たか?」
ノアは押し黙る。
「……見てないな。見てたら、あんな顔させたまま立ち尽くしてるはずない」
言葉は冷たいのに、声は静かで、まるで誰よりも悔しそうだった。
「お前さ」
風が吹いた。
セドリックが、ノアの背中をドンッと押す。
「もう、気づいてるんだろ?」
「……なにを」
「とぼけるな。どうでもいい子にそんな顔、しないだろ? お前は」
ノアの肩が、びくりと動く。
「“ルチアみたいな子”じゃない。“ルチアがいい”んだろ? ノア」
言われて初めて、自分の心が、あまりにもはっきりと見えた。
「……泣かせるなよ、これ以上」
セドリックはそれだけ言って、ふっと背を向けた。
「……お前が泣かせるなら、今度は俺がもらうからな」
それは冗談のようで、冗談に聞こえなかった。
ノアは、言葉もなく立ち尽くす。
けれど──胸の奥で、何かが確かに動き出していた。
(……泣かせない……だったら俺のすべきことは──!!)
夕焼けを前に、ノアはようやく決意を固めたのだった。
***
放課後の中庭には、淡い夕日が射し込んでいた。
石畳に長く伸びるふたつの影。そのうちのひとつが、静かに口を開く。
「ルチア」
名前を呼ばれて、ルチアはぴくりと肩を震わせた。
振り返れば、そこにはノアが立っていた。
いつも通りの笑顔ではない。少しだけ、不器用な表情。
「話、していいか?」
予想外の言葉に、ルチアは目を伏せる。
「……嫌われたのかと思ってた」
ぽつりとこぼしたルチアの言葉に、ノアは目を見開いた。
「違う。違うんだ……俺、怖かったんだ」
「え?」
「ルチアのこと、気になって仕方なかったのに。言葉にしたら壊れる気がして……でも、気づいた。離れてる方が、ずっと、ずっと苦しいって」
ルチアの瞳が揺れる。
「泣かせたの、俺だったんだよな……ごめん」
ノアは深く頭を下げた。そんなノアに、ルチアは首を振る。
「私ね……ノアにかわいいって言われるの、嬉しかった」
「……本当に?」
予想外の言葉にノアは顔を上げるも、ルチアは眉を下げたままだ。
「でもそれが……ノアにとってはただのからかいの言葉でしかなかったんだって思うと悲しかった……もしかしたら、ノアも私のこと好きなのかも──なんて、勘違いした自分が嫌だった……!」
ノアはその言葉を聞いて、大きく目を見開いた。
「それってもしかして」
「本当は、私……ずっと、ノアのことが好きだった」
初めて声に出すその言葉に、ルチアの唇は震えている。
ノアはそんなルチアへと、ゆっくり一歩、近づいた。
「俺もだよ。ルチアが好きだ。誰よりも、ずっと前から」
「ノア……本当に?」
「本当」
そう言って差し出された手を、ルチアは震えながら握り返した。
そっと指が重なる。
それは、すれ違いの果てに、ようやくたどり着いた両想いのかたち。
「ノア……嬉しい、信じられない……! 夢じゃ、ないよね?」
「はは、俺も夢みたいだ。でも、夢じゃない」
「……うんっ」
微笑み合う二人を、夕陽が優しく包み込む。
背後では、少し離れた物陰から、そっと様子を見守る人の姿。
彼は小さく息をつくと、そっとその場から歩き去っていった。
その背中に、どこか清々しい覚悟滲ませて。
優しく穏やかな風が抜けていき、ノアはふっと目を細める。
「夕暮れの風って、なんか落ち着くよな」
「う、うん」
「……ほんと、落ち着く」
(私は落ち着かないんだけど!?)
ふたりで並んでいるだけなのに、心臓の音だけがやたらと大きく響いている。
「なあ、今日が終わんなきゃいいのにな」
「ど、どうして……?」
「ルチアと一緒にいられる時間が終わるの、なんか寂しい」
(もう私の方が終わりそうなんですが!?!?)
そんな風に言われて、無事でいられるわけがない。
でも、ノアは気づいているのかいないのか、いつもの調子で。
「なあ、ちょっと手、貸せ」
「え、えっ!?」
「別に意味ないけど、握りたくなった」
(意味しかないよ!?!?)
突然すぎて思考が止まる。けれど、彼の手は温かくて優しくて。
拒めるはずなんて、なかった。
「このまま、繋いで帰ろうぜ」
にぱっと笑うノアに、もうルチアは今日こそ、限界で。
……その時、不意に彼の目がまっすぐ自分を見つめてきた。
いつもの笑顔じゃなく、少しだけ、真剣なまなざしで。
「ルチア」
「え?」
「近いうちに、正式に婚約しにいくから」
「ふぁ、ふぁい……っ!」
毎日限界を迎えていた令嬢の心は、今日もまた、騒がしい。
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******
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