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婚約破棄されたら聖女になりました。今さら破棄は誤解と言われましても。
04.庭園
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ラズロは、すべてを失った。
爵位も財産も、そして名誉も。
彼を庇う者は、ただのひとりもいなかった。
一件の報告を受けた国王は、即座に処罰を命じた。
ラズロは侯爵家から籍を抜かれ、身一つで辺境の僧院へと送られた。表向きは『修行』と名づけられたが、実際には王都からの永久追放に他ならない。
私のことを終わったと言った、ラズロの方が終わりを迎えた。
だけど、胸に残ったのは怒りや憎しみじゃない。
あの夜、絶望の底で差し出された、温かな手のひら。
寄り添い、守ってくれた彼の声が、心の奥に深く刻まれていた。
カイン王子殿下──いえ、彼という一人の男性への想いだけが。
夕暮れの星のように、胸の奥で静かに光り続けていた。
***
カイン様と私は、共に政を学び、共に戦い、幾つもの難題に立ち向かった。
時に声を荒らげて言い争い、時に他愛もないことで肩を揺らして笑った。
ある日、山岳の魔獣討伐の帰り、激しい雨に遭い、私たちは洞窟に身を寄せた。
濡れた外套を火のそばに掛け、焚き火の明かりが壁に揺れている。
湿った空気の中、カイン様がぽつりと呟いた。
「……貴女が笑うと、俺は本当に救われるんだ」
ただの言葉以上の重みを感じて、私の胸はきゅうと締めつけられた。
カイン様の隣にいると、自分は自分でいられる。
誇り高く、まっすぐに、恥じることなく──。
火がぱちりと弾ける音がした。
しばらくの沈黙のあと、彼はふいに言った。
「……実はな。貴女がラズロと婚約していた時から、ずっと気になっていた」
その言葉に、私は思わず顔を向ける。
「え……?」
彼は焚き火を見つめたまま、ほんの少し目を伏せる。
横顔が、どこか寂しげだった。
「社交の場で見かけた。貴女はいつも完璧だった。言葉遣いも、立ち居振る舞いも、貴族の理想みたいだった。でも……その奥に、無理をしているような目をしていた」
あの頃の私は、婚約者として振る舞い、ただ正しくあろうとしていた。
婚約者として、家の誇りを背負って、失敗の許されない立場で。
誰にも、弱さを見せずに。
「でも、そんな中でも困っている人にはさりげなく手を貸して、笑っていた。貴女のそういうところが、ずっと気になって──忘れられなかった」
ゆっくりと、彼の視線が私に向けられる。
「だから……婚約破棄された時、胸が痛んだ。どうして、君が傷つかなきゃならないのかと」
その瞳に宿るまっすぐな想いに、息が止まりそうになった。
「聖女として目覚めた貴女が、誰より強く、美しく見える今でも。……俺にとっては、あの時からずっと変わらない、特別な存在だ」
胸の奥が、あたたかく、じわりと滲む。
見せたことのなかった私を、
気づかれないと思っていた私を、
彼は、ずっと見ていてくれた。
「……そんなふうに思ってくれていたなんて、知らなかった」
震えた声が、火の揺らめきに紛れて消える。
それでも、彼は穏やかに微笑んだ。
「ようやく言えたよ。あの頃は、立場が許さなかったからな」
当時言えなかった想いが、今ようやく繋がって──。
私たちの間にあった距離が、そっと縮まった気がした。
いつしか私は、誰より深く、彼の隣にいたいと願うようになっていた。
***
出会ってから一年の春。
王宮の庭園が柔らかな光に包まれる季節、カイン様は夜の帳の下、私を呼び出した。
「セリア。……貴女に見せたい場所がある」
カインに連れられて辿り着いたのは、宮廷の奥にひっそりと残された古い庭園。
かつて王妃の私的な空間として使われていたと聞いていたけど……そんなところになんの用が?
そう思った瞬間、私は目を疑った。
そこには風に揺れる白と紫の花々──アーモンドとアイリスが咲き乱れている。
「わぁ……素敵……」
ほうっと漏れる感嘆の息。
誰の記憶にも留まっていないその場所はもう、『忘れられた場所』ではなかった。
まるで夜空の星々と共に、私たちの歩みを祝福してくれているよう。
なんて、言い過ぎかしら。
「一年かけて、こっそり庭師たちに頼んで整えた。……最初から、貴女と見ると決めてたんだ」
「一年前って……もしかして」
カイン様が静かにうなずく。
その眼差しがあまりにも優しくて、胸の奥がじんと熱くなった。
一年も前から、この日を思い描いてくれていた。
一年後の未来にも、私が隣にいると、信じてくれていた。
白と青の花々に囲まれながら、カイン様はゆっくりと向き直る。
風にそよぐ花の香りの中、真っ直ぐな声が響いた。
「俺は王になる。けれど、未来を語る前に、まず一人の男として言わせてくれ」
その手に握られていたのは、王家に代々受け継がれる誓いの剣──
王太子が婚約を申し込むとき、ただ一人に捧げる証。
カイン様はその剣を地に伏せ、片膝をついた。
夜風が花々を揺らす中、カイン様の声が静かに響く。
「セリア。俺は、貴女を心から尊敬している。強くて、誠実で、誰よりも優しい貴女を。……どうか、俺の隣に立ってほしい。王としてではなく、一人の男として、人生を共に歩んでほしい」
瞳の奥に、熱が溢れた。
胸の奥からせり上がる想いが、止められない。
「セリア、愛している」
胸がつまって、息ができなかった。
ずっと、聞きたかったはずなのに。
言葉があふれそうで、なのにうまく出てこなくて。
「……そんなの、ずるいです。あなたばっかり、全部言ってしまって」
私はいつも貴方に救われている。
何度も支えられ、励まされ、笑わせてもらった。
いつの間にか、心はすっかり──カイン様のものだった。
「私があなたの隣に立っていいのかと、ずっと悩んでました。けど……」
「いいに決まっている」
カインが私の手を優しく取る。
温もりが、指先から心へと広がっていく。
「貴女じゃなきゃ……駄目なんだ」
カイン様……やっぱり、ずるいです。
そんなこと言われたら、涙が我慢できないではないですか……。
私の頬から滑り落ちていく、涙。
そんな私を、愛おしい瞳で見つめてくれるカイン様が……大好きなんです。
私の方こそ、あなたでないと、駄目なんです。
私は涙を拭うと、愛する人に最高の笑みを向ける。
「……はい。生涯、あなたの隣に立たせてください」
その瞬間、風が丘を包み、花びらがふわりと舞い上がった。
星々がそれを照らし、私たちの誓いを静かに見守っている。
そっと、優しく、温かい腕が私を抱きしめた。
心の奥まで、静かな光が満ちていくようで──言葉なんて、もういらなかった。
見上げると、カイン様が柔らかく微笑んでいた。
その笑みに、すべてが報われた気がして、胸がきゅっと熱くなる。
星空の下で、ふたつの影がゆっくりと、ひとつに重なる。
きっとこの先も、私はこの手を離さない。
あなたとなら、どんな未来も歩いていけるから。
爵位も財産も、そして名誉も。
彼を庇う者は、ただのひとりもいなかった。
一件の報告を受けた国王は、即座に処罰を命じた。
ラズロは侯爵家から籍を抜かれ、身一つで辺境の僧院へと送られた。表向きは『修行』と名づけられたが、実際には王都からの永久追放に他ならない。
私のことを終わったと言った、ラズロの方が終わりを迎えた。
だけど、胸に残ったのは怒りや憎しみじゃない。
あの夜、絶望の底で差し出された、温かな手のひら。
寄り添い、守ってくれた彼の声が、心の奥に深く刻まれていた。
カイン王子殿下──いえ、彼という一人の男性への想いだけが。
夕暮れの星のように、胸の奥で静かに光り続けていた。
***
カイン様と私は、共に政を学び、共に戦い、幾つもの難題に立ち向かった。
時に声を荒らげて言い争い、時に他愛もないことで肩を揺らして笑った。
ある日、山岳の魔獣討伐の帰り、激しい雨に遭い、私たちは洞窟に身を寄せた。
濡れた外套を火のそばに掛け、焚き火の明かりが壁に揺れている。
湿った空気の中、カイン様がぽつりと呟いた。
「……貴女が笑うと、俺は本当に救われるんだ」
ただの言葉以上の重みを感じて、私の胸はきゅうと締めつけられた。
カイン様の隣にいると、自分は自分でいられる。
誇り高く、まっすぐに、恥じることなく──。
火がぱちりと弾ける音がした。
しばらくの沈黙のあと、彼はふいに言った。
「……実はな。貴女がラズロと婚約していた時から、ずっと気になっていた」
その言葉に、私は思わず顔を向ける。
「え……?」
彼は焚き火を見つめたまま、ほんの少し目を伏せる。
横顔が、どこか寂しげだった。
「社交の場で見かけた。貴女はいつも完璧だった。言葉遣いも、立ち居振る舞いも、貴族の理想みたいだった。でも……その奥に、無理をしているような目をしていた」
あの頃の私は、婚約者として振る舞い、ただ正しくあろうとしていた。
婚約者として、家の誇りを背負って、失敗の許されない立場で。
誰にも、弱さを見せずに。
「でも、そんな中でも困っている人にはさりげなく手を貸して、笑っていた。貴女のそういうところが、ずっと気になって──忘れられなかった」
ゆっくりと、彼の視線が私に向けられる。
「だから……婚約破棄された時、胸が痛んだ。どうして、君が傷つかなきゃならないのかと」
その瞳に宿るまっすぐな想いに、息が止まりそうになった。
「聖女として目覚めた貴女が、誰より強く、美しく見える今でも。……俺にとっては、あの時からずっと変わらない、特別な存在だ」
胸の奥が、あたたかく、じわりと滲む。
見せたことのなかった私を、
気づかれないと思っていた私を、
彼は、ずっと見ていてくれた。
「……そんなふうに思ってくれていたなんて、知らなかった」
震えた声が、火の揺らめきに紛れて消える。
それでも、彼は穏やかに微笑んだ。
「ようやく言えたよ。あの頃は、立場が許さなかったからな」
当時言えなかった想いが、今ようやく繋がって──。
私たちの間にあった距離が、そっと縮まった気がした。
いつしか私は、誰より深く、彼の隣にいたいと願うようになっていた。
***
出会ってから一年の春。
王宮の庭園が柔らかな光に包まれる季節、カイン様は夜の帳の下、私を呼び出した。
「セリア。……貴女に見せたい場所がある」
カインに連れられて辿り着いたのは、宮廷の奥にひっそりと残された古い庭園。
かつて王妃の私的な空間として使われていたと聞いていたけど……そんなところになんの用が?
そう思った瞬間、私は目を疑った。
そこには風に揺れる白と紫の花々──アーモンドとアイリスが咲き乱れている。
「わぁ……素敵……」
ほうっと漏れる感嘆の息。
誰の記憶にも留まっていないその場所はもう、『忘れられた場所』ではなかった。
まるで夜空の星々と共に、私たちの歩みを祝福してくれているよう。
なんて、言い過ぎかしら。
「一年かけて、こっそり庭師たちに頼んで整えた。……最初から、貴女と見ると決めてたんだ」
「一年前って……もしかして」
カイン様が静かにうなずく。
その眼差しがあまりにも優しくて、胸の奥がじんと熱くなった。
一年も前から、この日を思い描いてくれていた。
一年後の未来にも、私が隣にいると、信じてくれていた。
白と青の花々に囲まれながら、カイン様はゆっくりと向き直る。
風にそよぐ花の香りの中、真っ直ぐな声が響いた。
「俺は王になる。けれど、未来を語る前に、まず一人の男として言わせてくれ」
その手に握られていたのは、王家に代々受け継がれる誓いの剣──
王太子が婚約を申し込むとき、ただ一人に捧げる証。
カイン様はその剣を地に伏せ、片膝をついた。
夜風が花々を揺らす中、カイン様の声が静かに響く。
「セリア。俺は、貴女を心から尊敬している。強くて、誠実で、誰よりも優しい貴女を。……どうか、俺の隣に立ってほしい。王としてではなく、一人の男として、人生を共に歩んでほしい」
瞳の奥に、熱が溢れた。
胸の奥からせり上がる想いが、止められない。
「セリア、愛している」
胸がつまって、息ができなかった。
ずっと、聞きたかったはずなのに。
言葉があふれそうで、なのにうまく出てこなくて。
「……そんなの、ずるいです。あなたばっかり、全部言ってしまって」
私はいつも貴方に救われている。
何度も支えられ、励まされ、笑わせてもらった。
いつの間にか、心はすっかり──カイン様のものだった。
「私があなたの隣に立っていいのかと、ずっと悩んでました。けど……」
「いいに決まっている」
カインが私の手を優しく取る。
温もりが、指先から心へと広がっていく。
「貴女じゃなきゃ……駄目なんだ」
カイン様……やっぱり、ずるいです。
そんなこと言われたら、涙が我慢できないではないですか……。
私の頬から滑り落ちていく、涙。
そんな私を、愛おしい瞳で見つめてくれるカイン様が……大好きなんです。
私の方こそ、あなたでないと、駄目なんです。
私は涙を拭うと、愛する人に最高の笑みを向ける。
「……はい。生涯、あなたの隣に立たせてください」
その瞬間、風が丘を包み、花びらがふわりと舞い上がった。
星々がそれを照らし、私たちの誓いを静かに見守っている。
そっと、優しく、温かい腕が私を抱きしめた。
心の奥まで、静かな光が満ちていくようで──言葉なんて、もういらなかった。
見上げると、カイン様が柔らかく微笑んでいた。
その笑みに、すべてが報われた気がして、胸がきゅっと熱くなる。
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