117 / 137
アリシア編
96.どうにかなりそうだわ!
しおりを挟む
シャッという、カーテンの開かれる音で目が覚めた。
朝日がアリシアの目に入り、眉を寄せて薄目を開ける。
「う、眩しいわ……」
「おはよう、母さん。そろそろ起きて支度しないと、間に合わないわよ!」
「うー……今何時?」
「七時半」
「うっそ! 後三十分で始業じゃない!!」
アリシアはベッドから飛び降り、服を着替え始める。
「もう~、どうしてもっと早く起こしてくれなかったのよぉおお」
「自分で起きてくるかと思って。ご飯できてるわよ」
「助かるわ、ありがとう!」
すでにテーブルの上には朝食が置いてあって、アリシアはすぐさま口の中に詰め込み始めた。
「アンナはもう食べたの?」
「ええ、ぐっすり寝たせいかお腹が空いて、先にいただいちゃったわ」
「よく……眠れたの?」
「久々に、たっぷり」
「そう」
アリシアは目を細めてアンナを見た。が、のんびりしている暇はなく、せわしなく手と口を動かす。
「母さん、部屋から必要な物を持ってきてあげるわ。もっとゆっくり食べて」
「悪いわね。じゃあ私の剣と、クローゼットから騎士服を持ってきてちょうだい。あと、机の上に書類の入った封筒が置いてあるからそれも。中は見ないでね」
「わかってる」
アンナに必要な物を持って来てもらい、食事を終えると騎士服に袖を通した。髪をとかして準備ができると、ほっと一息つく。
「よかった、間に合いそうだわ」
「じゃあ母さん、私も行くから、また後でね」
「ええ」
二人はアンナの部屋を出て、それぞれの執務室に向かった。急いで準備をし過ぎたせいか、いつもより早い時間だ。
アリシアが己の執務室の扉を開けると、そこにはいつもの銀髪の男の姿はなかった。しかし、代わりに黒髪の男が立っている。
「おはよう、筆頭」
「おはよう、ジャン。ルーシエは?」
「昨日、フラッシュと飲んでるところに来て、ここの鍵を渡してくれた。だから今日は、始業ギリギリまで来ないと思う」
昨日ジャンはフラッシュに自分の思いを教えたのだろう。フラッシュがどういう反応をしたのかが気になる。
「フラッシュは、なにか言ってた?」
「なんか……よくわからない理由をつけて、散々飲み食いしてきた」
「よくわからない理由?」
「筆頭と付き合いたいなら、懐のでかさを見せろとか」
「それって、ただ食べたかっただけじゃない?」
「多分ね。次の日が休みだったら、俺が破産するまで食べてただろうな」
どうやら相当お金を使ってしまったようである。やっぱり、と言ったところだろうか。
「ふふ、災難だったわね」
「俺の方はいいよ。それより、アンナはなんて……?」
若干不安気なジャンに、アリシアは笑顔を向けた。
「付き合っていいかって聞いたら、もちろんよってあっさりだったわ」
「……本当に?」
「ええ、本当よ。まだ相手があなただとは言ってないから、今度一緒に行って驚かせちゃいましょう!」
「うん……いいね」
ジャンが嬉しそうに、髪を掻き上げながら笑みを漏らしている。それだけで、アリシアはもう止まらなくなる。
ジャンが愛おしい。今すぐに縛りつけて自分の物にしたい。
「長い間待たせてごめんなさい、ジャン! これからはずっと私と一緒にいて! 私があなたを幸せにしてあげるわ! 私と結婚してちょうだい!」
その言葉にジャンは目を見開いたが、直後に苦虫を噛み潰したような顔に変わる。あれ? とアリシアは首を捻らせた。
「ごめん、断る」
「えっ!?」
告白すれば百パーセント成功だと思っていたアリシアは、狼狽えた。まさか、今まで待たせてしまった復讐をしているのだろうか。同じ期間待たせられては、おばあちゃんになってしまう。
さぁてどうしようかと仁王立ちで腕組みをすると、ジャンはそっと息を吐いた。
「どうして筆頭が言っちゃうかなぁ……。プロポーズくらい、俺にさせて。男らしく決めたいと、ずっと考えてたんだからさ」
そう言うとジャンはゆっくりとこちらに近づいてくる。そしてアリシアの手を取ると、そっと跪いた。
その姿を見るだけで、アリシアの鼓動が波打つ。
「ジャン……どうしよう、心臓が破裂しそうだわ」
「倒れないでよ。俺の言葉、ちゃんと最後まで聞いて」
アリシアがこくこくと頷くと、ジャンはいつものようにクスっと笑った。キュンと鳴く胸を、アリシアは逆の手で抑える。
ジャンはそんなアリシアの姿を見て微笑み、そして真顔になった。
「アリシア。ずっとあなたが好きだった。ずっとあなたと一緒にいたいと思ってた。そしてこれからもずっとそばにいて、あなたを守りたい。あなたと共に生きたい」
「ジャン……」
「俺と結婚して。アリシア」
アリシアの顔がカッと熱くなった。脳に酸素が回っていない気がする。頭がクラクラして、本当に倒れそうだ。
「……どうしよう……」
「まさか、また悩んでるんじゃないよね……」
「嬉しくて、どうにかなりそうだわ!」
立ち上がったジャンに、アリシアは勢いよく飛びつく。
「おっと」
「ありがとう、ジャン! 私、結婚するわ! あなたと!」
「……アリシアッ」
そのままジャンに強く抱き締められる。その腕の、そして指の力の強さが、ジャンの心の喜びを表しているかのようで。
それを感受したアリシアは、己の気持ちを知らせるために、ジャンの背中に優しく手を巻き付ける。
互いに抱擁を交わしたジャンは、絞り出すような声を出した。
「ようやく……ようやく、手に入れられた……!」
ジャンの言葉に痛切な思いを感じたアリシアは、言葉を詰まらせながらも伝える。
「本当に長く待たせてしまったわね……あなたより年上の私は、どうしたってあなたより先に逝ってしまうんでしょうけど……死ぬまで、あなたのそばにいさせてちょうだい」
「うん……アリシアの最期は、俺が看取るよ。一生そばにいるから。安心して長生きして」
一生そばにいる。彼は、雷神のようにいきなり消えてしまったりはしないだろう。
アリシアは、自然と涙が溢れた。安心感というものは人に涙を流させるものだということを、初めて知って。
「アリシア……」
「ごめんなさい。なんだか胸がいっぱいになっちゃって……」
「……うん」
頷きながら、ジャンは時計と扉を気にしていた。もう始業時刻だ。ルーシエたちが中に入れず、困っているかもしれない。アリシアは涙を拭うと、ジャンを見上げていつものようにニッと微笑んだ。
「さぁ、仕事の時間よ! 詳しい話は後でしましょう!」
「わかった。扉を開けるよ」
「ええ、お願いするわ」
許可を得たジャンが扉を開けると、そこにはルーシエ、フラッシュ、それにマックスとルティーが立っていた。皆一様にこちらに向かってニコニコ、ニヤニヤしている。
「やっぱりいたのか……」
「わはははっ! やるなぁ、ジャン! 見直したぜっ」
ジャンがあきれるように言うと、フラッシュはなんの悪気もなくバシバシとジャンの背中を叩き続ける。
「フラッシュ、こういう時は何事もなかったように入るのが礼儀だろ!」
「いいじゃねーの! 祝い事なんだし」
マックスに叱責を食らってもフラッシュはものともせず、笑みを絶やしていない。
「そうですね。こういう時に、心から祝福するのはいいでしょう」
「じゃあ、言っていいんですね!?」
歓喜の声を上げて尋ねるルティーに、ルーシエは頷きを見せた。するとルティーは嬉しそうに大きく口を広げる。
「アリシア様、ジャンさん! ようございました! おめでとうございます!」
その言葉を皮切りに、部下たちが次々と祝いの言葉を口にしてくれる。
「おめでとうございます、筆頭!」
「筆頭、結婚してもまた奢ってください!」
「アリシア様のご決意、胸に響きました。心からお祝い申し上げます」
「アリシア様! 結婚式をなさるなら、ドレス選びのお手伝いをさせてくださいませ!」
結婚式。まだちゃんと考えていないが、できればしたい。別に今すぐというわけではなく、結婚して落ち着いてからでもいいのだ。特に急ぐ必要はないのだから。
「そうね。その時には、ルティーにも一緒に選んでもらうわ」
嬉しそうに「ありがとうございますっ」とルティーが頭を下げる隣で、ルーシエは「よかったですね」と柔和な笑顔をジャンに向けていた。
朝日がアリシアの目に入り、眉を寄せて薄目を開ける。
「う、眩しいわ……」
「おはよう、母さん。そろそろ起きて支度しないと、間に合わないわよ!」
「うー……今何時?」
「七時半」
「うっそ! 後三十分で始業じゃない!!」
アリシアはベッドから飛び降り、服を着替え始める。
「もう~、どうしてもっと早く起こしてくれなかったのよぉおお」
「自分で起きてくるかと思って。ご飯できてるわよ」
「助かるわ、ありがとう!」
すでにテーブルの上には朝食が置いてあって、アリシアはすぐさま口の中に詰め込み始めた。
「アンナはもう食べたの?」
「ええ、ぐっすり寝たせいかお腹が空いて、先にいただいちゃったわ」
「よく……眠れたの?」
「久々に、たっぷり」
「そう」
アリシアは目を細めてアンナを見た。が、のんびりしている暇はなく、せわしなく手と口を動かす。
「母さん、部屋から必要な物を持ってきてあげるわ。もっとゆっくり食べて」
「悪いわね。じゃあ私の剣と、クローゼットから騎士服を持ってきてちょうだい。あと、机の上に書類の入った封筒が置いてあるからそれも。中は見ないでね」
「わかってる」
アンナに必要な物を持って来てもらい、食事を終えると騎士服に袖を通した。髪をとかして準備ができると、ほっと一息つく。
「よかった、間に合いそうだわ」
「じゃあ母さん、私も行くから、また後でね」
「ええ」
二人はアンナの部屋を出て、それぞれの執務室に向かった。急いで準備をし過ぎたせいか、いつもより早い時間だ。
アリシアが己の執務室の扉を開けると、そこにはいつもの銀髪の男の姿はなかった。しかし、代わりに黒髪の男が立っている。
「おはよう、筆頭」
「おはよう、ジャン。ルーシエは?」
「昨日、フラッシュと飲んでるところに来て、ここの鍵を渡してくれた。だから今日は、始業ギリギリまで来ないと思う」
昨日ジャンはフラッシュに自分の思いを教えたのだろう。フラッシュがどういう反応をしたのかが気になる。
「フラッシュは、なにか言ってた?」
「なんか……よくわからない理由をつけて、散々飲み食いしてきた」
「よくわからない理由?」
「筆頭と付き合いたいなら、懐のでかさを見せろとか」
「それって、ただ食べたかっただけじゃない?」
「多分ね。次の日が休みだったら、俺が破産するまで食べてただろうな」
どうやら相当お金を使ってしまったようである。やっぱり、と言ったところだろうか。
「ふふ、災難だったわね」
「俺の方はいいよ。それより、アンナはなんて……?」
若干不安気なジャンに、アリシアは笑顔を向けた。
「付き合っていいかって聞いたら、もちろんよってあっさりだったわ」
「……本当に?」
「ええ、本当よ。まだ相手があなただとは言ってないから、今度一緒に行って驚かせちゃいましょう!」
「うん……いいね」
ジャンが嬉しそうに、髪を掻き上げながら笑みを漏らしている。それだけで、アリシアはもう止まらなくなる。
ジャンが愛おしい。今すぐに縛りつけて自分の物にしたい。
「長い間待たせてごめんなさい、ジャン! これからはずっと私と一緒にいて! 私があなたを幸せにしてあげるわ! 私と結婚してちょうだい!」
その言葉にジャンは目を見開いたが、直後に苦虫を噛み潰したような顔に変わる。あれ? とアリシアは首を捻らせた。
「ごめん、断る」
「えっ!?」
告白すれば百パーセント成功だと思っていたアリシアは、狼狽えた。まさか、今まで待たせてしまった復讐をしているのだろうか。同じ期間待たせられては、おばあちゃんになってしまう。
さぁてどうしようかと仁王立ちで腕組みをすると、ジャンはそっと息を吐いた。
「どうして筆頭が言っちゃうかなぁ……。プロポーズくらい、俺にさせて。男らしく決めたいと、ずっと考えてたんだからさ」
そう言うとジャンはゆっくりとこちらに近づいてくる。そしてアリシアの手を取ると、そっと跪いた。
その姿を見るだけで、アリシアの鼓動が波打つ。
「ジャン……どうしよう、心臓が破裂しそうだわ」
「倒れないでよ。俺の言葉、ちゃんと最後まで聞いて」
アリシアがこくこくと頷くと、ジャンはいつものようにクスっと笑った。キュンと鳴く胸を、アリシアは逆の手で抑える。
ジャンはそんなアリシアの姿を見て微笑み、そして真顔になった。
「アリシア。ずっとあなたが好きだった。ずっとあなたと一緒にいたいと思ってた。そしてこれからもずっとそばにいて、あなたを守りたい。あなたと共に生きたい」
「ジャン……」
「俺と結婚して。アリシア」
アリシアの顔がカッと熱くなった。脳に酸素が回っていない気がする。頭がクラクラして、本当に倒れそうだ。
「……どうしよう……」
「まさか、また悩んでるんじゃないよね……」
「嬉しくて、どうにかなりそうだわ!」
立ち上がったジャンに、アリシアは勢いよく飛びつく。
「おっと」
「ありがとう、ジャン! 私、結婚するわ! あなたと!」
「……アリシアッ」
そのままジャンに強く抱き締められる。その腕の、そして指の力の強さが、ジャンの心の喜びを表しているかのようで。
それを感受したアリシアは、己の気持ちを知らせるために、ジャンの背中に優しく手を巻き付ける。
互いに抱擁を交わしたジャンは、絞り出すような声を出した。
「ようやく……ようやく、手に入れられた……!」
ジャンの言葉に痛切な思いを感じたアリシアは、言葉を詰まらせながらも伝える。
「本当に長く待たせてしまったわね……あなたより年上の私は、どうしたってあなたより先に逝ってしまうんでしょうけど……死ぬまで、あなたのそばにいさせてちょうだい」
「うん……アリシアの最期は、俺が看取るよ。一生そばにいるから。安心して長生きして」
一生そばにいる。彼は、雷神のようにいきなり消えてしまったりはしないだろう。
アリシアは、自然と涙が溢れた。安心感というものは人に涙を流させるものだということを、初めて知って。
「アリシア……」
「ごめんなさい。なんだか胸がいっぱいになっちゃって……」
「……うん」
頷きながら、ジャンは時計と扉を気にしていた。もう始業時刻だ。ルーシエたちが中に入れず、困っているかもしれない。アリシアは涙を拭うと、ジャンを見上げていつものようにニッと微笑んだ。
「さぁ、仕事の時間よ! 詳しい話は後でしましょう!」
「わかった。扉を開けるよ」
「ええ、お願いするわ」
許可を得たジャンが扉を開けると、そこにはルーシエ、フラッシュ、それにマックスとルティーが立っていた。皆一様にこちらに向かってニコニコ、ニヤニヤしている。
「やっぱりいたのか……」
「わはははっ! やるなぁ、ジャン! 見直したぜっ」
ジャンがあきれるように言うと、フラッシュはなんの悪気もなくバシバシとジャンの背中を叩き続ける。
「フラッシュ、こういう時は何事もなかったように入るのが礼儀だろ!」
「いいじゃねーの! 祝い事なんだし」
マックスに叱責を食らってもフラッシュはものともせず、笑みを絶やしていない。
「そうですね。こういう時に、心から祝福するのはいいでしょう」
「じゃあ、言っていいんですね!?」
歓喜の声を上げて尋ねるルティーに、ルーシエは頷きを見せた。するとルティーは嬉しそうに大きく口を広げる。
「アリシア様、ジャンさん! ようございました! おめでとうございます!」
その言葉を皮切りに、部下たちが次々と祝いの言葉を口にしてくれる。
「おめでとうございます、筆頭!」
「筆頭、結婚してもまた奢ってください!」
「アリシア様のご決意、胸に響きました。心からお祝い申し上げます」
「アリシア様! 結婚式をなさるなら、ドレス選びのお手伝いをさせてくださいませ!」
結婚式。まだちゃんと考えていないが、できればしたい。別に今すぐというわけではなく、結婚して落ち着いてからでもいいのだ。特に急ぐ必要はないのだから。
「そうね。その時には、ルティーにも一緒に選んでもらうわ」
嬉しそうに「ありがとうございますっ」とルティーが頭を下げる隣で、ルーシエは「よかったですね」と柔和な笑顔をジャンに向けていた。
0
あなたにおすすめの小説
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした
ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。
彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。
そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。
しかし、公爵にもディアにも秘密があった。
その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。
※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています
※表紙画像はAIで作成したものです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる