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約束
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しおりを挟むゴポゴポと水の音が聞こえる
水の流れに揺らめく銀色の髪に
震える銀色のまつ毛、
ゆっくりと開く透明度の高い碧い瞳
何年寝ていたのだろう…
たぶん50年くらいってところだろう…
人間や動物と違い、私達神の時間感覚はとても緩やかだ。
人間でいう100年何てボーッとしていればすぐ〝だった″。
久しぶりに目が覚めた私は水の底から水面の輝きを眺める
水神という存在である私だけど、神にも一応寿命、私達神でいう消滅がある。
私という個体がそろそろ限界を迎えている事を鼻で笑う。
とはいっても、力が弱まってきては居るものの、今すぐ消滅する訳ではない。
本来神は眠らない。
だが私が1000年程前に仕出かした事で自分の魂を削ってしまったのだ。
その出来事以来、緩やかな死を進んでいる。
自業自得だな。と未熟だった己に苦笑いを零す。
まぁ私が消滅した所で新たな水神が誕生するだけだ。
本来、器であるこの個体が消滅したとしても、新たに誕生する個体に元々存在するこの魂が記憶を無くしたまま入るだけなのだが、今回の場合そうでは無いだろう。
…私が消滅すれば、新たな魂が創造(つく)られるのだ
キラキラと輝く水面から顔を出し辺りを見渡す
あぁ、そうか、私は森の奥の湖で寝ていたんだったな
そのまま水から出て水面を歩く。
起きたところでする事もないし、とりあえず50年で変わった事が無いか見に行こう
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