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約束
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しおりを挟む手を天に上げる
するとサァー…と雨が降る
…初めは助ける気はなかったんだがのう…
どうせ消えゆく魂だ。少しの間くらい無駄にしてもいいだろう
ハァと溜息をつく。
「あ、めだ……雨だっ」
またホロホロと泣き出す子供にまったく。と苦笑いを零す。
「水神様ありがとうございますっ」
王が頭を下げ、それを見た子供と騎士達は慌てて頭を下げる
「よいのじゃ。」
ふと池の端の枯れた木に目を向ける
「あれはりんごの木か?」
そう問えば
「はい。今は枯れてしまっていますが、また実を付けるしょう。」
子供が答える
「そうか…そなたリンゴは好きかの?」
あやつもリンゴが好きだったな…とふと思い出す。
我々神は味覚を持たないから食事をする事もない。
だがリンゴは食べた事がある。味は分からなかったが懐かしい感覚だ。
「え、えぇ。最近は手に入らないので食べていませんが、以前は良く食べていました」
子供は懐かしそうにそう言った。
私はふうん…と相槌、スタスタと木に近付いた。
「…木の。木の聴こえるか。ここら辺一帯の枯れた植物を咲かせておくれ。」
答える代わりに次々と草木や花が生気を取り戻した。
木や草は青々と、花は沢山の色彩に咲いた。
リンゴの木も普通だったら有り得ないがみるみるうちにりんごの実をつける。
…あやつ答えぬと言う事は相当怒ってるのう…
そうぼんやりと考えながらリンゴを1つ取る。
そのまま子供の元へ歩き唖然と口を開ける子供にリンゴを渡す
「詫びじゃ。」
とリンゴを押し付ける。
「え、あっありがとうございます…」
と呟きリンゴをまじまじと見る子供
「なんじゃ。毒は入っておらんよ。それじゃ、我は帰る。」
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