水芭蕉

尊命

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約束

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連れられた部屋には赤い髪と金の髪揺らし慌てて礼を取る2人の女が居た。

「そちは?」
そう問うと
「お初にお目にかかります。ミランダ・ラ・テューダー、王妃でございます。」
燃える様な赤髪に欲に歪んだ蛇の様な金の目、真っ赤な紅を引いた気の強そうな女がそう言う。
「そうか。そちは?」
「お初にお目にかかります。私はアデル・ラ・テューダー...側妃でございます。」
絹のような金の髪に草原の様な翠の目、穏やかな表情の女
「ふむ。」
アデルはセシルにどことなく似ているな...母親はアデルだろう。
アデルを見つめているとミランダが声を発する。
「この度は「御託はよい。ミランダ、そちは好かん。」····っ、!」

何だろうか?この女の目から邪心しか感じない。
貪欲に全てを欲する目だのう....
「のう?ミランダ。目は口ほどに物を言うという言葉を知らんのか?」
「っ、」


興味をなくした私は王妃から視線を移す。


「っ、り離宮の準備が整いましたので、案内致します...」
唇を噛み締めていた王妃は歪む口元を必死に上げ微笑みを浮かべる。
「ミランダ...そち、腹に子が居るであろう。もう遅い。体に触るからそちは控えよ。」
一瞬、グッと眉間に皺を寄せたミランダは
「お気遣い、ありがたく頂戴いたします。」
と言い、礼を取る。




......




ゾロゾロとセシル、アレクサンダー、アデル、そして大勢の騎士とメイドを引き連れて歩く。
離宮に着き部屋の中を見渡す
......ベッドは要らんのだがな...
ちらっと視界に入る寝室。



「さて、紹介しておこう。ココ、ルル」
両手を広げ、左右の手からシュルシュルと実体化させた水竜が出てくる。

「白竜がココで、青竜がルルじゃ。」
そう呟き2匹の背を撫でる。

「...水竜には名前があるのですね。」
王が感心した様に問いてくる

「この子らが生まれて1000年程は名前が無かったのじゃがな、今から2、3000年程前に我が名前を付けたのじゃよ。ココもルルも遠い国の言葉で【可愛い子】【愛しい子】という意味じゃよ。」

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