サンタに捧ぐ贈り物

春野わか

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「体型も上手く作ってくれるわ。凄い技術よ。私も彼女にして貰った事あるから」

「君も? 」

「そう、以前にね。あ、これ美味しそう」

 丸く焼いたクッキーの中央の窪みにラズベリージャムやマーマレードを載せたハッロングロットル。
 丸く捏ねたチョコレートにココナッツをまぶしたショクラッドボッレ。
 チョコと緑色のマジパンで包んだダムスーガーレ。
 手に持ったトレーの上にカラフルにラッピングされたチョコやハート型のヴァニリヤルタンも載せていく。

 レジで量って貰って会計を済ませ、ぶらぶらウィンドウショッピングを楽しみながらリース通りを進むと、右手に広大なパークが見えた。

「あそこで食べながら一休みしよう」

 パークに植えられた樹木の葉は鮮やかさを競い、葉の隙間から覗く空は青く澄んでいる。
 ランニングやサイクリング、軽食を持ち込み噴水の回りで寛ぐ人々、ボールを投げたり蹴ったりして遊ぶ子供達。
 遠くにある活気と身近な樹木が醸す静けさとのハーモニーが二人を和ませた。

 銀杏の木の下のベンチに腰を下ろして伸びをする。
 
「サンタ役は諦めたって言ってたけど、クインもオーディション受けたらいいのに。メイクして体型作れば俺と同じだろ?あ、でも最強のライバルになっちゃうかな。はは! 」

 クインは紙袋からダムスーガーレを取り出し一口齧った。

「もういいの。私には無理って分かったから。私では多くの子供達に夢を届けて上げられない」

「そんな事はないよ」

 マシューはショクラッドボッレを口に放り込み噛み砕いた。

「サンタの格好でソリに乗ってみたら転倒してしまって。着膨れしてるから感覚掴めなくて、ただでさえ私ソリの操縦そんなに得意じゃないし」

「そんな。ソリの操縦練習すればいいだけだろ? 」

「マシューだってオペレーターは無理って言ってたじゃない。向き不向きがあるのよ」

「サンタのイメージが壊れちまえばいいのに。その癖、若い奴が選ばれるって変じゃないか」

「寒い冬の夜をソリで駆け抜け、夜明け前までにプレゼントを届けるには若さと体力とスピードが必要なのよ。あなたの曾お祖父さんの時代とは違うわ。自分がサンタ役をやりたいからってイメージを壊すのは何か違うし。あなたの操縦技術なら着膨れしててもスピードは落ちない筈よ」

 四歳ぐらいの女の子が三輪車を漕ぎながら目の前を通り過ぎた。

「ふふ、あの子、サンタが今、目の前にいるの知らないのね」

「まだ受かってもいないよ」

「絶対受かるわよ。頑張って」

 クインは顎を上向けてマシューを見詰めた。
 二人の唇が重なる。
 クインのスモーキーレッドのコートの裾がふわりと風で靡き、足元で銀杏の葉が手を繋いだように連なり、螺旋状に舞い上がった。


 

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