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「男性の方が見た目に拘る傾向があり、好きなアイドルや女優に似せてという要望が多いようです。後は知人女性等。知人女性に似せる場合は好きな相手と憎い相手と二種類いるようです。勿論、女性にも見られる傾向ではありますが。それがまた新たな問題を生んでいます」
「そりゃあ、自分の容姿やイメージをウリにしてる連中にしてみれば、セクサロイドの顔が自分に瓜二つなんて悪夢でしかないからなあ。しかも、そうしたセクサロイドとの性行為の映像が出回ったりでもしたら──」
「実際に芸能事務所が所有者を訴える例が増えています」
「風俗では、MKJ《マジカワ女子》の誰それに似たのがいるなどと看板に掲げる店もあったり。正直、セクサロイドに対する規制をそろそろ設けないと、健全な人間の生活が脅かされかねません」
国土交通大臣の水沢が苦々しい口調で言った。
「肖像権の侵害辺りで取り締まれないものか」
「そこは巧妙にたまたま似ていたとか、黒子を付けるだとか、完全に似せないという方法で始めから予防策を打ってるんですよ。なので芸能事務所側が敗訴してしまう」
「セクサロイドの製造を全て禁止したらどうでしょうか? 」
尾形が提案した。
「セクサロイドを完全に失くしてしまうのもなあ。昔から、その手のはあるだろう。ラブドールとかいって」
「まあ、昨今のセクサロイドと大昔のラブドールとでは、色んな点で比べ物にならないでしょうがね」
防衛大臣の桜井がズレ掛けた眼鏡を持ち上げつつ真面目な顔つきで言った。
「試してみた事があるのかね? 」
「ふっふふ、勿論ありませんよ」
「私はその程度の事で目くじらたてたりはしないよ。セクサロイドは合法なんだから大いに抱きなさい。大っぴらにする事じゃあないが、知られたところで世間も気にはすまい。『男性とはそうしたものだ』とね。本当に不倫されるよりはいいんだから、奥さんだって相手が人形で良かったと胸を撫で下ろすだろう。大体、女性にだって需要があるんだから」
「ははは! 」
どこか人工的で渇いた笑いが起こる。
尾形には一瞬皆同じ顔に見えた。
「女性の場合問題化しづらいのは、個人的なお楽しみを共有しようという気持ちが男性と比べて余りないからでしょう」
外務大臣の田村が言った。
「女性の方が共有したがると思っていたが」
園田が首の皺を引っ張りながら目を見開く。
「何を食べたとか、こんな洋服を買ったとか夫の愚痴などの些細な事は共有したがりますが、性的な趣向や映像を分かちあいたがるのは断然男性です」
「意外だな。男の方が口が軽いのか」
「セクサロイドを個人的なお楽しみとして使用するだけなら許容範囲ですが、人間には適用される規則に奴等を嵌められないのも難点です」
「例えば? 」
「風俗での本番行為もセクサロイドの場合は現在の規定では取り締まり対象外となります」
「確かになあ。規制する理由がそもそもない」
「風俗や性的な映像では、どう見ても少女にしか見えなくても言い逃れが出来てしまう為、内容はどんどん過激化しています。後、自分の所有であれば尚更誰も被害者はいないと主張出来てしまう。購入者が購入した物をどう扱おうと自由ですし、所詮アンドロイドは家電扱いですから。熟女や人妻をウリにする風俗店は昔からありますが、セクサロイドによって一見ローティーンにしか見えない少女とのセックスを合法的に楽しめるようになってしまったので生身の成人女性よりも少女型のセクサロイドを指名する客が増えているそうです」
「十歳未満に見えるのは禁止としたらどうでしょう」
防衛大臣の桜井が眼鏡を拭きながら発言した。
「十歳未満?じゃあ12歳なら性的対象としても良いと言っているようなものじゃないですか。ローティーンならいいと? 」
尾形が少し語調を強めた。
「そう言っている訳ではないが、10歳と12歳、17歳と18歳の区別なんてどうやってつける?ダメと言われるとやりたくなるんだなあ」
「極めてリアルですからね──現状でも相当精巧ですが、特にそうした需要が増えれば、セクサロイドの容姿は益々人間との区別がつかなくなるでしょう」
「うーむ。規制の範囲が難しいからなあ。ああ、じゃあ本番行為は紛らわしいから人間だろうが人形だろうが禁止させろ。問題は見た目だな。 ローティーンにしか見えない少女型が風俗店で働いたりAVが出回ったりしたら、この国の美しいイメージが損なわれる」
「海外でも同じ問題が起きているようです。セクサロイドはあくまでも個人のお楽しみのみ可として、金銭を儲ける為に使用するのは禁止としたら如何ですか? 」
国家公安委員長の猪倉が提案した。
「そうだな。それがいいだろう。セクサロイドを用いての風俗営業、或いはAV、又は個人の撮った映像でも性的な内容のものをアップするのは禁止にしよう。これも風営法に加えればいいな」
「金銭を得る目的でセクサロイドを用いるのは禁止、あくまでも個人的お楽しみのみ可、と」
官房長官の村井が素早く記録する。
「セクサロイドの外見上にも規定を設けますか?幼女ではなく、少女の場合という意味ですが──」
「そりゃあ、自分の容姿やイメージをウリにしてる連中にしてみれば、セクサロイドの顔が自分に瓜二つなんて悪夢でしかないからなあ。しかも、そうしたセクサロイドとの性行為の映像が出回ったりでもしたら──」
「実際に芸能事務所が所有者を訴える例が増えています」
「風俗では、MKJ《マジカワ女子》の誰それに似たのがいるなどと看板に掲げる店もあったり。正直、セクサロイドに対する規制をそろそろ設けないと、健全な人間の生活が脅かされかねません」
国土交通大臣の水沢が苦々しい口調で言った。
「肖像権の侵害辺りで取り締まれないものか」
「そこは巧妙にたまたま似ていたとか、黒子を付けるだとか、完全に似せないという方法で始めから予防策を打ってるんですよ。なので芸能事務所側が敗訴してしまう」
「セクサロイドの製造を全て禁止したらどうでしょうか? 」
尾形が提案した。
「セクサロイドを完全に失くしてしまうのもなあ。昔から、その手のはあるだろう。ラブドールとかいって」
「まあ、昨今のセクサロイドと大昔のラブドールとでは、色んな点で比べ物にならないでしょうがね」
防衛大臣の桜井がズレ掛けた眼鏡を持ち上げつつ真面目な顔つきで言った。
「試してみた事があるのかね? 」
「ふっふふ、勿論ありませんよ」
「私はその程度の事で目くじらたてたりはしないよ。セクサロイドは合法なんだから大いに抱きなさい。大っぴらにする事じゃあないが、知られたところで世間も気にはすまい。『男性とはそうしたものだ』とね。本当に不倫されるよりはいいんだから、奥さんだって相手が人形で良かったと胸を撫で下ろすだろう。大体、女性にだって需要があるんだから」
「ははは! 」
どこか人工的で渇いた笑いが起こる。
尾形には一瞬皆同じ顔に見えた。
「女性の場合問題化しづらいのは、個人的なお楽しみを共有しようという気持ちが男性と比べて余りないからでしょう」
外務大臣の田村が言った。
「女性の方が共有したがると思っていたが」
園田が首の皺を引っ張りながら目を見開く。
「何を食べたとか、こんな洋服を買ったとか夫の愚痴などの些細な事は共有したがりますが、性的な趣向や映像を分かちあいたがるのは断然男性です」
「意外だな。男の方が口が軽いのか」
「セクサロイドを個人的なお楽しみとして使用するだけなら許容範囲ですが、人間には適用される規則に奴等を嵌められないのも難点です」
「例えば? 」
「風俗での本番行為もセクサロイドの場合は現在の規定では取り締まり対象外となります」
「確かになあ。規制する理由がそもそもない」
「風俗や性的な映像では、どう見ても少女にしか見えなくても言い逃れが出来てしまう為、内容はどんどん過激化しています。後、自分の所有であれば尚更誰も被害者はいないと主張出来てしまう。購入者が購入した物をどう扱おうと自由ですし、所詮アンドロイドは家電扱いですから。熟女や人妻をウリにする風俗店は昔からありますが、セクサロイドによって一見ローティーンにしか見えない少女とのセックスを合法的に楽しめるようになってしまったので生身の成人女性よりも少女型のセクサロイドを指名する客が増えているそうです」
「十歳未満に見えるのは禁止としたらどうでしょう」
防衛大臣の桜井が眼鏡を拭きながら発言した。
「十歳未満?じゃあ12歳なら性的対象としても良いと言っているようなものじゃないですか。ローティーンならいいと? 」
尾形が少し語調を強めた。
「そう言っている訳ではないが、10歳と12歳、17歳と18歳の区別なんてどうやってつける?ダメと言われるとやりたくなるんだなあ」
「極めてリアルですからね──現状でも相当精巧ですが、特にそうした需要が増えれば、セクサロイドの容姿は益々人間との区別がつかなくなるでしょう」
「うーむ。規制の範囲が難しいからなあ。ああ、じゃあ本番行為は紛らわしいから人間だろうが人形だろうが禁止させろ。問題は見た目だな。 ローティーンにしか見えない少女型が風俗店で働いたりAVが出回ったりしたら、この国の美しいイメージが損なわれる」
「海外でも同じ問題が起きているようです。セクサロイドはあくまでも個人のお楽しみのみ可として、金銭を儲ける為に使用するのは禁止としたら如何ですか? 」
国家公安委員長の猪倉が提案した。
「そうだな。それがいいだろう。セクサロイドを用いての風俗営業、或いはAV、又は個人の撮った映像でも性的な内容のものをアップするのは禁止にしよう。これも風営法に加えればいいな」
「金銭を得る目的でセクサロイドを用いるのは禁止、あくまでも個人的お楽しみのみ可、と」
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