真実の愛なんてクソ喰らえ

月宮雫

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第一章

突き付けられた運命④

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ルビーが起きたのは、それから数時間が経った頃だった。

空はすっかり闇に飲まれ、辺りも静まり返っていた時間に隣にあるものがモゾモゾと動く気配があり、俺も目を覚ます。

暗い部屋の中でも夜目が利く俺は、ルビーの姿をハッキリ捉える事が出来る。草食動物の血が入った獣人には出来ない事だろう。




「お母さん…」

「…」




ルビーは寝惚けているのか、傍にあった掛け布団を抱き締めながら、母親への恋しさを呟く。

瞳から零れ落ちた涙を黙って見ていると、暗闇の中で何も見えないルビーは、また呟いた。





「…お母さん…捨てないで…」

「…」





捨てられた過去を思い出すように。

否、とても寂しそうに。

昔から語られてきた絵本に出てくる貧しいルビーという少女には、最終的に王子となる存在が現れ、その苦しい状況を抜け出す事が出来る。

だが、目の前にいるルビーはどうだろうか。

もしも、自分と重ねてその名前を語ったのなら、何処かでまだ王子が現れると希望を抱いているのではないのかと勘ぐってしまう。

そう考えた時、胸の辺りに針を刺されたような、変な痛みが走った。






「…お父さん…要らない子って…言わないで…」

「…」

「…うぅ、ぐすっ、うぇぇ…っ」

「…」







傍で寂しそうに泣くそいつを、ただ、見ている事しか出来なかった。

もしここで自分が触れたら、この指先で零れ落ちる涙を拭うものなら、ルビーは怖がり逃げて行くのだろうと、何処かで考えていた。

父親と母親に愛されなかったΩ、ルビー。

ここまで堕ちてきたこの少女は、まだ純粋すぎたのだ。






「…」

「…大嫌い…っ、ぐすっ、うぅっ、ぇぇっ」
















暗闇の中に浮かぶ少女の泣き顔を見た時、獣は悟った。

自身がこの少女の運命ではなく。むしろ、その運命から遠ざける邪魔者であることを。

身の内にある想いが何なのかも分からない今、獣は一人憂鬱な気持ちに浸るのだったーー。









火神 ロウside 終
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