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第一章
血の味を知った者⑤
しおりを挟む「…ルビー、今日はここで寝よう。」
「…、」
「ここはあの場所から離れているし、見張りもつけた。ここならお前が抜け出す心配もない。」
説教をされながら運ばれた場所は、大きなベッドがある部屋だった。
キングサイズのベッドがあっても、コーディネートされた家具が置かれていても広々と感じる部屋を見て唖然とする。
私の家にこんなに広い場所はなかった。
英家もかなり広い家だと思っていたけれど、月城家の中はそれを余裕で越えてしまうほどだ。
「それに、アイツを殺すのはまだ早い。」
「…どういう意味?」
「十分に苦しんでいない男を簡単に死なせては楽しくないだろう…?」
「…、」
私を抱き上げたままベッドに腰掛けたギンさんは静かに言った。
後数日の命だと語っていたロウを簡単に殺してしまうのは“楽しくない”と。
その時、彼が見せた笑みに私はゾワリとした。
普段の甘い優しさをまるで感じられないような、冷たい微笑み。
ロウから聞いた拷問の話は本当の事だったのかもしれない、と今実感する。
では、本当にギンさんがロウに拷問を…?
そう思うと、どちらが本当のギンさんなのか分からなくなり酷く戸惑ってしまう。
優しい笑みを持つ彼と、酷く冷淡で怖い彼ーー…。
「お前は何も気にしなくて良いんだ、ルビー」
「…、そんなの、嫌、」
「その時になったら、俺の手で必ず…。」
「嫌っ、」
「ルビー、」
急にギンさんの腕の中が寒くなり、拒絶を始めた私に彼は切ない顔をする。
その時になったら俺の手で必ず、“アイツを殺すから”。
そう言った彼も許せなくて泣きながら暴れると、肩の傷に痛みが走った。
貴方が復讐をしたって、何の意味もない。
私がやる事で意味があるのに。
「お前の手は絶対に汚させない…。絶対にだーー、」
何故、そんなに酷い事を言うの…?
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