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第二章
狼の寵愛②
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それからの事は、あまりよく覚えていない。
断片的に残っているのは濃い血の香りと、顔に擦り寄られる感覚だった。
「…、」
気が付くと目の前で血を大量に流している黒豹が倒れていて、顔を覗けば安らかな表情で眠っていた。
鎖はいつの間にか解けていて、呆然とそれを見つめる。
「…」
怒りに身を任せて心臓を一突きしたらしく、獣の左胸にサバイバルナイフが突き刺さっていた。
顔に付いた血を左手で拭い、真っ赤に染まった手の平を見る。
そこでようやく理解した。
ああ、私はーー。
この手で人を、殺したのだと。
「…」
“愛する者に殺されるのは、悪い気分じゃない”
何故か、その言葉が耳に残っている。
聞いた覚えのない言葉に戸惑いと疑問を抱きながら、ふらりと立ち上がる。
グッ、ズヌッ…
ピシャッ、
「…」
動かなくなった黒豹の左胸からそれを抜き取ると、生温かい血が周りに飛び散った。
無感情のまま床に広がった血を眺め、私は少しずつ実感する。
嗚呼、ようやく私は復讐相手の一人を殺す事が出来たのだと。
もう二度とロウに会う事は無いのだと分かり、ケタケタと壊れた笑い声をあげる。
「……さようなら、ロウ。」
彼の両手を腹部に置き、その手にサバイバルナイフを握らせる。
最後の最後まで、彼は同じ姿勢を貫いた。
優しさなんて見せずに、私を試すような言葉を吐いていたのを覚えている。
まさか、わざとーー?
…なんて、そんなわけがない。
私に殺されたのに、何度見てもその表情は安らかで。最後までロウの感情がよく分からなかった。
「…、」
私も死んだ後は地獄行きだ。
どうせ、ここで待っていても警察に捕まるだけだ。捕まる前にシャワーを浴びて、出来るだけ生活出来るようにお金も持って行かないと。
まずはこの家のお金を盗んで、生活に必要なものを持ってここから出ないとだ。
「……、」
思い立って地下室から出ると、そこに意識を失ったギンさんが転がっていた。
このまま首を絞めたら、きっとギンさんは死ぬだろう。
ここでギンさんを殺せば、私があと復讐をするのは英家だけだ。
断片的に残っているのは濃い血の香りと、顔に擦り寄られる感覚だった。
「…、」
気が付くと目の前で血を大量に流している黒豹が倒れていて、顔を覗けば安らかな表情で眠っていた。
鎖はいつの間にか解けていて、呆然とそれを見つめる。
「…」
怒りに身を任せて心臓を一突きしたらしく、獣の左胸にサバイバルナイフが突き刺さっていた。
顔に付いた血を左手で拭い、真っ赤に染まった手の平を見る。
そこでようやく理解した。
ああ、私はーー。
この手で人を、殺したのだと。
「…」
“愛する者に殺されるのは、悪い気分じゃない”
何故か、その言葉が耳に残っている。
聞いた覚えのない言葉に戸惑いと疑問を抱きながら、ふらりと立ち上がる。
グッ、ズヌッ…
ピシャッ、
「…」
動かなくなった黒豹の左胸からそれを抜き取ると、生温かい血が周りに飛び散った。
無感情のまま床に広がった血を眺め、私は少しずつ実感する。
嗚呼、ようやく私は復讐相手の一人を殺す事が出来たのだと。
もう二度とロウに会う事は無いのだと分かり、ケタケタと壊れた笑い声をあげる。
「……さようなら、ロウ。」
彼の両手を腹部に置き、その手にサバイバルナイフを握らせる。
最後の最後まで、彼は同じ姿勢を貫いた。
優しさなんて見せずに、私を試すような言葉を吐いていたのを覚えている。
まさか、わざとーー?
…なんて、そんなわけがない。
私に殺されたのに、何度見てもその表情は安らかで。最後までロウの感情がよく分からなかった。
「…、」
私も死んだ後は地獄行きだ。
どうせ、ここで待っていても警察に捕まるだけだ。捕まる前にシャワーを浴びて、出来るだけ生活出来るようにお金も持って行かないと。
まずはこの家のお金を盗んで、生活に必要なものを持ってここから出ないとだ。
「……、」
思い立って地下室から出ると、そこに意識を失ったギンさんが転がっていた。
このまま首を絞めたら、きっとギンさんは死ぬだろう。
ここでギンさんを殺せば、私があと復讐をするのは英家だけだ。
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