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第二章
愛と復讐①
しおりを挟む「さっき携帯のニュースで見たんだけどね、英 雅姫みやびちゃんっていう女の子が3年前に行方不明になったんですって…。ちょうどルビーちゃんと同い歳くらいよね…。」
そう言えば、と時雨さんが何かを思い出したように紡いだ言葉も私を追い詰めるようなものだった。
数年ぶりに聞いた自分の本名をまるで噂話のように耳元で囁かれ、背筋が凍りつく。
もうそこまで嘘の話が広まっているのか…。
「ただおかしいのは、今まで一度もニュースで見かけた事も無かったのに…最近になって急に英家の当主がその子を探し始めたみたいなのよ…。」
一体何なのかしらね、なんて時雨さんは言うけれど。私には父親の魂胆が少しだけ分かってしまった。
それは2つのパターンがあって。1つは、父親が私に何らかの利用価値を見出したか。
もう1つは、英家の恥として生かしてはおけないという血の繋がりが強い彼等の執念だ。
どちらも私にとっては地獄なのだけれど、生きるか死ぬかの運命だとしたら前者でありたいと思う。
前者なら、それに従うふりをして父親と母親に復讐をする事が可能だから…。
母親は父親の決定した事に逆らえず、都合良く動いているに違いないだろうし。
嗚呼、二人の様子を考えるだけで呆れてしまう。
「…もしかしてその女の子って、ルビーちゃんだったりする…?」
「…」
ここで明らかな反応を見せたら、時雨さんは私をどうするのだろうか。
警察からの誤解を恐れて、簡単に私を彼等に引き渡すのだろうか。
そう考えていたら自然と黙り込んでしまい、それを肯定するような空気になった。
ああ、どうなるのやら…。
逃げるよりも先に別の問題が舞い込んできて、頭の中は大混乱だ。
「…もし、そうだとしても。簡単に警察に引き渡すなんて事はしないわよ」
「誘拐犯って疑われるかもしれないのに?」
少し間を置いて彼から話された事も信用出来ず、私は食い気味で聞き返した。
嘘はないかを確認するために彼の目を真っ直ぐに見つめて、その答えを待つ。
「そうね…」
少しだけ目を見開いて驚いた表情をした彼はうーんと唸る仕草を見せ、しばらく考えた後にこう紡いだ。
「もしルビーちゃんが本当に家出をしたならばそれを疑われるかもしれないけれど…。あの英の当主が言っている事に虚偽があるなら、ルビーちゃんの答え次第で色々変わると思うの。」
「…変わるって?」
「なんでしょうね。もしもの話よ?
ルビーちゃんが追い出された側だとして、それをテレビの前で堂々発言しちゃえば、英の印象はぐわぁっと下がると思うのよね~」
ほう、なるほど。何だか凄くいいことを聞いたような気がする。
答えになっているような、なっていないような…。
けれど、復讐するつもりの私にとってはかなり良い情報が手に入った。
英家は色んな企業と手を組んだり、経営したり。基本的に表向きでは良い顔をしている為、世間一般から莫大な信頼を得ている。
そんな英の印象を下げる行為を私がすれば、どうなるのだろうか…?
今まで大きな顔をしていた父親の間抜けな姿が見られるのではないか…?
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