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第二章
愛と復讐④
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それにしても社交パーティーって、何か引っ掛かるなぁ。
もしかして小さい頃に豪華客船に呼ばれてドレス着させられたあの場がそうなのかな?
あれはお父様の知り合いの人が主催したパーティーって聞いていたけれど…。
「財産目当ての令嬢に言い寄られたり、さらには親からも推薦されたり…。」
「…面倒だね」
「ああ。本当に…。跡取り候補に嫁ぎたがる令嬢が多くて嫌になるくらいだ。」
「…ん、」
「すまない。こんな話をしていたらせっかくのケーキが不味くなってしまうな、」
「良いよ。」
「…ありがとう。」
話も流れたし、まあ、良いか。
私がまだ家に居た頃。パーティの二週間前からダンスレッスンでかなり扱かれた為、嫌な記憶として頭の中に残されている。
遠い目をしながら愚痴を漏らすギンさんを見て、かなり面倒だったのだと見受けられる。
「ルビーは甘いものなら何でも好きなのか?」
「…ん、」
甘いものなら、いくらでも食べられる。
ひと口サイズのタルトを食べながら頷くと、ギンさんは嬉しそうに目を細め、ティーカップに口を付ける。
片腕を怪我しているから食べづらそうなのに、一切そういう素振りを見せない完璧な姿。
やっぱりこの人も色々乗り越えてきたのか、なんて分析の真似事をして私はケーキを食べていた。
「今度ケーキ屋に食べに行こうと思ったが…。まずはルビーの両親を押さえなければならないな…」
けれど、その優雅な空気はギンさんの落とした言葉によりガラリと変わる。
私の、両親…。
ギンさんから飛び出した単語に驚き、思わずフォークを持つ手が止まる。
思い出したのは、時雨さんの家で見てしまったあのニュースで。恥さらしだと言って私を捨てた癖に、その時の事を忘れたように白々しく現れた両親。
「…っ、」
怒りに我を失い、握っていたフォークをテーブルに叩きつけそうになったのをグッと堪える。
今は、駄目だ。
今は、やってはいけない。
何度もその言葉を繰り返し、癇癪を起こしそうになった自分を抑えた。
「…ルビー。」
一瞬で変わった部屋の空気に耐え切れず、足もガタガタと震え始める。
それが振動で伝わったのか、席を立って心配するように傍に来たギンさんを私は黙って見上げた。
駄目だ。
泣きそうになる。
「…ギン、さん、」
彼の美しい金色の瞳が優しく私を見下ろしたまま、何かを待っている。
名前を呼ぶと頬擦りをされて、慰められた。
もしかして小さい頃に豪華客船に呼ばれてドレス着させられたあの場がそうなのかな?
あれはお父様の知り合いの人が主催したパーティーって聞いていたけれど…。
「財産目当ての令嬢に言い寄られたり、さらには親からも推薦されたり…。」
「…面倒だね」
「ああ。本当に…。跡取り候補に嫁ぎたがる令嬢が多くて嫌になるくらいだ。」
「…ん、」
「すまない。こんな話をしていたらせっかくのケーキが不味くなってしまうな、」
「良いよ。」
「…ありがとう。」
話も流れたし、まあ、良いか。
私がまだ家に居た頃。パーティの二週間前からダンスレッスンでかなり扱かれた為、嫌な記憶として頭の中に残されている。
遠い目をしながら愚痴を漏らすギンさんを見て、かなり面倒だったのだと見受けられる。
「ルビーは甘いものなら何でも好きなのか?」
「…ん、」
甘いものなら、いくらでも食べられる。
ひと口サイズのタルトを食べながら頷くと、ギンさんは嬉しそうに目を細め、ティーカップに口を付ける。
片腕を怪我しているから食べづらそうなのに、一切そういう素振りを見せない完璧な姿。
やっぱりこの人も色々乗り越えてきたのか、なんて分析の真似事をして私はケーキを食べていた。
「今度ケーキ屋に食べに行こうと思ったが…。まずはルビーの両親を押さえなければならないな…」
けれど、その優雅な空気はギンさんの落とした言葉によりガラリと変わる。
私の、両親…。
ギンさんから飛び出した単語に驚き、思わずフォークを持つ手が止まる。
思い出したのは、時雨さんの家で見てしまったあのニュースで。恥さらしだと言って私を捨てた癖に、その時の事を忘れたように白々しく現れた両親。
「…っ、」
怒りに我を失い、握っていたフォークをテーブルに叩きつけそうになったのをグッと堪える。
今は、駄目だ。
今は、やってはいけない。
何度もその言葉を繰り返し、癇癪を起こしそうになった自分を抑えた。
「…ルビー。」
一瞬で変わった部屋の空気に耐え切れず、足もガタガタと震え始める。
それが振動で伝わったのか、席を立って心配するように傍に来たギンさんを私は黙って見上げた。
駄目だ。
泣きそうになる。
「…ギン、さん、」
彼の美しい金色の瞳が優しく私を見下ろしたまま、何かを待っている。
名前を呼ぶと頬擦りをされて、慰められた。
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