真実の愛なんてクソ喰らえ

月宮雫

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第二章

愛と復讐④+

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幸せだと感じる一方で、とある疑問が浮かぶ。

ルビーがベッドで跳ねていたのは何故だろう?

何か天井の方に取りたいものがあったとか、何処まで跳ねるのかを確かめたかったとか。必ずしもその行動に理由があるはずだろう。





「どうして、跳ねていたんだ?」

「…」




腕の中にいるルビーに問い掛けても、顔を胸板に埋めたまま、答えは返って来ない。

身体を離そうとしたらイヤイヤと首を振る為、表情すら確認出来ずに終わる。ベッドで跳ねていたぐらいで、別に怒らないのにな。

柔らかい亜麻色の髪を撫でながら、ルビーが落ち着くまで抱き締めていると…。



「暇だったから…」



腕の中にいたルビー少し経ってから、小さく答えた。

なるほど、そう来たか。

どうやらルビーは暇だったからベッドの上を跳ねていたらしい。意外にもそんな子供らしいところがあるのか、少し笑う。




「…、笑わないでっ、」

「あっ、」




すると、それが恥ずかしかったのか、ルビーは俺の胸板を押してベッドの中に隠れてしまった。

何なんだ、あの可愛い生き物は。

掛け布団を頭から被って丸まったその子を見て、またクスリと笑う。






「ルビー、笑ってすまなかった。
お前が可愛くてしょうがなかったんだ…」




こんなに可愛らしい子を、英の当主は金銭の目的で利用しようとしている。

三年前に挨拶として顔を出した時はこちらが若造だからという理由で偉そうな態度をとり、「勝手に持っていけ」と言っていた癖に。

俺が経営や権利を引き継いだ途端、態度を変えてゴマをすってきたが…。

その手を取らずに黙々と仕事をしていた俺を気に食わないと思ったのか、良い父親の振りをしてルビーを探し始め、今に至る。

多方、俺が手を組んでいる企業の者や名誉を手に入れる為に起こした行動だろう。

そして俺を誘拐犯と仕立て上げ、地の底に落とす策略と見ていい。






「…必ず、守ってやるからな。」





だが、そんな者に簡単に地に落とされるような俺ではない。

何故なら俺は、相手が絶対に言い逃れ出来ない証拠を持っているからな。

三年前に学んだのだ。

ルビーが娼婦館に捕らわれた祭に証拠を残しておかなかった時の後悔を元に。今度こそは確実な証拠を残し、ルビーを守る事をーー。





「…愛してる」





俺は羽毛布団に包まった彼女にそう囁き、布越しに身体を撫でる。

ここからルビーは少しずつ俺に心を開いてくれると見ていいだろう。

なら後は、二度と後悔しないように動くだけだ。









月城ギンside 終
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