真実の愛なんてクソ喰らえ

月宮雫

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第二章

愛と復讐⑥+

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「…泣くな…。泣かないでくれ…」

「…っ、ひっ、ぅ、」

「あれは雅姫の所為じゃない…。
それに雅姫がここに来てから、俺は毎日楽しいんだ」





怪我とかどうでもいい。

とにかく今は、この子を抱き締めてあげたい。

俺は肩を震わせて泣く雅姫を両手で強く抱き締め、安心出来るように囁く。

要らない子に優しくしないで…。

前にそう言われたのを思い出し、雅姫がどんな思いで呟いたのかを理解して、グッと唇を噛み締める。



「だから…自分を責めないでくれ…。雅姫には笑っていて欲しいんだ…」




雅姫がこの家に来てから、毎日が明るくなった。

それは本当だ。

傍に居ると寂しさも何も感じず、彼女を愛する日々が楽しくて。

たとえ雅姫に嫌がられていても、諦めずにアプローチする中で自分の想いを伝えていく事の大切さを知った。





「ほら、アップルパイも冷めてしまう。涙を止めて行こう」

「…ぅっ、うぅ、」

「雅姫…」






だが、いくら慰めても雅姫は泣き止まず、俺の背中に腕を回したまま、顔を上げなくなってしまった。

胸元が濡れていくのを感じながら、家族の肖像画の前で彼女を抱き締める。

全ては、この肖像画の所為だ。

雅姫の目に届く場所にこれを置いたからいけなかった。

明日には燃やしておこう…。







「…雅姫。アップルパイはまた明日にして、今日は部屋でゆっくり休もうか。」






俺は泣き続ける彼女を抱き上げ、そう呟いた。

右手の怪我は治ったも同然だ。

雅姫を抱いたまま身体の向きを変えて、先程とは別方向に歩き出す。






「…腰も痛いだろう?」

「…、」

「右手は心配しなくていい。もう治っている」

「…、」





こんな時でも彼女は俺の顔を見て、心配そうに瞳を揺らがせている。

俺への憎しみは徐々に無くなり、元の純粋さと優しさが戻り始めている雅姫。この子が安心出来る環境になるまで、後少しだ。

家の中にある肖像画は燃やして、英家は社会的抹殺にでもしようか。

元々、愛しいこの子を泣かせた原因は全て消し去ると決めているからな。





「アップルパイは…食べたい…」

「…、そうか、じゃあ部屋に持ってこさせよう」

「うん…」






お前が安心出来る環境を作って、毎日平和に過ごせるように努力をするから…。

それまで、待っていてくれ…。







月城 ギンside 終
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