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第二章
愛と復讐⑦
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確か、私が読んだページにはロウが経営していた娼婦館の事が書かれていた。
次のページには何が書かれているのかと、私は緊張を抱きながら文章に目を通す。
▽
あれから二週間が経ち、俺は何とか娼婦館の中の者と情報共有が出来ないかと思い、夜に家を抜け出して繁華街を歩いていた。
すると、娼婦館の方向から猫の獣人とβの男が腕を組んで出て来たのが見え、物陰に隠れて二人が離れるタイミングを待った。
しばらくして客と離れた女に近づいて事情を話すと、娼婦館に新人の“ルビー”という名の少女が入ったという情報を聞き出せた。
ルネという名の女は“ルビー”が初日から娼婦館のトップに調教を受け、とても哀れだったと口にしていた。
もし俺がおとぎ話として語り継がれている“運命の番”なら、“ルビー”を助け出して欲しいと。協力的な姿勢を見せた。
何とかコンタクトを取る事が出来た今日。ルネという女と連絡先を交換し、騒ぎになる前に家の中に入った。
今日、彼女について分かったのは、12歳という年齢と“ルビー”という名前だという事だけ。
明日は彼女が攫われた経緯を調べよう。
△
「…」
三日目の日記を読み終わった後、私はページを捲る手を止めて、しばらく黙っていた。
ルネさん…。
今は亡きルネさんの名前を見て、ズキンと胸が痛む。
お店の外でギンさんと出会って、私の事を伝えていたんだ。
それがロウにバレて、あんな惨い事を…。
私を娼婦館から逃がす為に…。
「…、」
ふぅ、と吐息を震わせながら、ページをゆっくり捲る。
これは決して目を逸らしてはいけない。
そう覚悟を決め、私は日記の文章に目を通す。
▽
彼女の情報を調べたところ、驚く事が判明した。娼婦館に攫われたのは、かの有名な英家のお嬢様だったのだ。
提供元は、街の裏で動いている情報屋。高い金を払い、俺は彼女の素性を全て記されたものを手に入れた。
本当の名前は英 雅姫というらしい。
年齢は12歳で、ルビーという少女と一致している。
先祖代々続く英家は血筋を大事にしている為、生まれてきた子供の性がαでは無かったと分かると、裏で始末をしていたという黒い噂があった。
そうして家を追い出されたのがあの少女だったというわけだ。
実の両親に冷たくあしらわれ、寒空の下に捨てられた悲しみは相当だったはずだ。
彼女に会いたい。
名前と事情を知ったら、より一層その気持ちが増した。
△
「ギンさん…」
そのページを読み終わった後、瞳に薄らと涙が滲んだ。
彼が私の事をかなり深くまで調べていたのだと知り、少しずつ心を凍らせていた氷が溶けていく。
次のページには何が書かれているのかと、私は緊張を抱きながら文章に目を通す。
▽
あれから二週間が経ち、俺は何とか娼婦館の中の者と情報共有が出来ないかと思い、夜に家を抜け出して繁華街を歩いていた。
すると、娼婦館の方向から猫の獣人とβの男が腕を組んで出て来たのが見え、物陰に隠れて二人が離れるタイミングを待った。
しばらくして客と離れた女に近づいて事情を話すと、娼婦館に新人の“ルビー”という名の少女が入ったという情報を聞き出せた。
ルネという名の女は“ルビー”が初日から娼婦館のトップに調教を受け、とても哀れだったと口にしていた。
もし俺がおとぎ話として語り継がれている“運命の番”なら、“ルビー”を助け出して欲しいと。協力的な姿勢を見せた。
何とかコンタクトを取る事が出来た今日。ルネという女と連絡先を交換し、騒ぎになる前に家の中に入った。
今日、彼女について分かったのは、12歳という年齢と“ルビー”という名前だという事だけ。
明日は彼女が攫われた経緯を調べよう。
△
「…」
三日目の日記を読み終わった後、私はページを捲る手を止めて、しばらく黙っていた。
ルネさん…。
今は亡きルネさんの名前を見て、ズキンと胸が痛む。
お店の外でギンさんと出会って、私の事を伝えていたんだ。
それがロウにバレて、あんな惨い事を…。
私を娼婦館から逃がす為に…。
「…、」
ふぅ、と吐息を震わせながら、ページをゆっくり捲る。
これは決して目を逸らしてはいけない。
そう覚悟を決め、私は日記の文章に目を通す。
▽
彼女の情報を調べたところ、驚く事が判明した。娼婦館に攫われたのは、かの有名な英家のお嬢様だったのだ。
提供元は、街の裏で動いている情報屋。高い金を払い、俺は彼女の素性を全て記されたものを手に入れた。
本当の名前は英 雅姫というらしい。
年齢は12歳で、ルビーという少女と一致している。
先祖代々続く英家は血筋を大事にしている為、生まれてきた子供の性がαでは無かったと分かると、裏で始末をしていたという黒い噂があった。
そうして家を追い出されたのがあの少女だったというわけだ。
実の両親に冷たくあしらわれ、寒空の下に捨てられた悲しみは相当だったはずだ。
彼女に会いたい。
名前と事情を知ったら、より一層その気持ちが増した。
△
「ギンさん…」
そのページを読み終わった後、瞳に薄らと涙が滲んだ。
彼が私の事をかなり深くまで調べていたのだと知り、少しずつ心を凍らせていた氷が溶けていく。
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