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俺自身を超えた先に
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これ無理じゃねぇか!
俺は今スキルを封じられた空間で
俺自身と戦っている。
一瞬驚いたけど俺と同じ技を
ためらいなく放ってくる。
まぁ、俺は俺が嫌いなところが
たくさんあるから躊躇いなく
斬りかかれるんだけど、
当然ながらそれは向こうも同じだ。
厄介だな。
攻撃の型が同じだとこうも
やりにくいのか。
どうすりゃいいんだ。
そんな事を考えているカケルの
体はあちこちに裂傷を負っている。
対するカケルの分け身にも同じく
裂傷が散見される。
舞う速度、攻撃する速さが
速いだけに周りに血飛沫が
舞うようになっている。
こうなったら、もっと速く
斬り込むしかない。
薙刀の切先3寸で斬るイメージを
強めていく。
即死は狙わない。
致命傷を負わせて勝つ道筋を
思い描いていく。
自然と斬り込む速度と力が
増していく感じがした。
同時に斬られる傷も深くなる。
それでも引かない。
もう相手を倒す事しか頭になかった。
首筋を狙う。
打ち払われる。
逆刃ですぐに振り戻し、
突き込んだ。
一瞬の返し突きが勝負を決めた。
刃先は首筋にのめり込んでいる。
もう一人の俺の目元が微笑んだように
見えたが、すぐに白い霧となって
掻き消えていった。
ついに俺は俺自身を超えた。
「よくやったのじゃ。
それ 大回復 っと。
これで元通り以上じゃろ?
どうじゃ?
其方自身の攻撃を喰らって?
感じたであろう、
思い知ったであろう。
まだまだ未熟なのだと。
うむ、良い顔つきじゃ。
よし、次は我が相手を
してやるのじゃ。
己自身を超えたのであれば、
我にも挑めよう。
参れ!!
遠慮などいらぬ!!」
俺は可愛く胸をそらす小天狗様に
薙刀の切先を向けると、
かわしてくれよと願いながら
突き込んだ。
!!
切先が動かない。
いや、小さな小天狗様の
より小さな指先に切先を挟まれ
身動きできなくなっていた。
「なんて力だ。
びくともしない。」
「当然じゃ。
我はこう見えても
其方より遥かに力が
あるのじゃ。
どうじゃ?
真剣に打ち込む気に
なったか?
無論我も打ち返すが、
今の其方では、
そこに留まることも
出来んじゃろう。
今は受け止めるだけじゃ。
さ、かかって参れ!」
もう迷いはなかった。
徐々に薙刀を加速しながら
打ち込んでいく。
それでも全く届く感じがしない。
壁を打ち据えているようだった。
的が小さいと攻めの動きが
間合いも短く小さくなってしまう。
その分、動きが遅くなり、
威力も落ちるという悪循環だ。
ダメだ、これじゃあダメだ。
もっと威力を上げるしかない。
そう思って、大きく振ろうとした瞬間、
「スキだらけなのじゃ!!」
小さな扇子の角で額を打たれた。
かなりの衝撃が襲ってきた。
頭がクラクラする。
なんとか踏ん張って立っているのが
やっとな程だ。
「うーむ、これではいかんのじゃ。
困ったものじゃ。
まず、聞かせてもらうのじゃが、
其方、何故其方の間合いで
攻めて来ぬのじゃ?」
えっ?何をいってるんだろう?
「いや、失礼ながら、
的が小さいので接近した方が
当たりやすいだろうなと
思ったからですけど。」
小天狗様は顰めっ面になって、
困った感じの雰囲気になった。
「うーん、そうか、そうじゃったか。
其方、斬り合いには不慣れであったか。
うむ、それは相手の懐に入って
相手の間合いで戦う不利な状況に
なるのじゃ。
其方は間合いを狭めたばかりに、
攻撃の威力は落ちる、振り戻しの動作も
ぎこちなくなる、当然早さも落ちて、
避けられるは、打ち込まれるはの
散々な目に遭うのが見えているのじゃ。
あくまで、其方の間合いの中で
戦わねばならぬ。
其方の攻撃のリズムも
おかしくなるのじゃ。
それでは本来の力でまともに
戦えぬのも道理じゃろう。
もう一つ、聞かせてもらうのじゃが、
其方、何故切先三寸でのみ
切ろうとするのじゃ?」
「え、いや、
これも確か、ちゃんと切れるのは
先の3寸くらいまでって、
聞いたことがあるから。」
一つ大きく首肯して小天狗様は、
話し始めた。
「うむ、
その認識は間違いではないのじゃ。
じゃがな、その薙刀の先にあるものは
全てが刃なのじゃ。
確かに刃先以外では、
しっかりと切れぬであろうが、
そこ以外でも、押し当てて
斬ったりすれば、血の道を絶って
致命傷を負わせることも
できるのじゃ。
其方の戦い方は綺麗すぎるのじゃ。
お手本のような攻め方では簡単に
読まれてしまうのじゃ。
よく分かった。
今の其方に足らぬものは、実戦じゃ。
さて、我がまた作り出しても
良いのじゃが、結界の外の娘達に
聞いて見るのも良いな。
今日はここまでとしよう。
其方の攻撃のくり出し方は悪くない。
もっと経験が必要じゃな。
それ 大回復 っと。
結界から出るぞ。」
小天狗様がそう言うと、
今まで聞こえなかった、
人の声とかが耳に入ってきた。
今まで音のしない静かな
結界の中にいたのかと、
今頃気付くあたりなのも、
まだまだ未熟なんだろうなと
思ったカケルであった。
「カケル様、ご主人様。
外に、国王陛下と神殿長様の馬車が
無事に到着したそうです。
ダンジョン討伐隊のノブマサ様以下
討伐隊の皆様も護衛として参られて
おられます。
時間がございませんので、
こちらの上着を羽織って
お出迎えのご用意を頂きたく存じます。
小天狗様、
シロミズチ様は下でカケル様と一緒に
お出迎えをされるそうですが、
如何されますでしょうか?」
「うむ、この湖の女神が出迎えるのであれば、
この世界では森の精霊として扱われておる
我も共に出迎えの列に
混じっていても良いじゃろう。
ふむ、其方、カケルであったな、
カケルの衣装はこれでどうじゃ?」
小天狗様が扇子を振ると、
俺の着ていたアーミースーツが
白い作務衣の上に陣羽織を羽織った姿に
早変わりした。
着ているから見えないけど、陣羽織には
桜の木と舞い散る花びらの中、花見をしている
男女の姿の刺繍があるそうだ。
見たいな。。。
お急ぎくださいというザラさんの声に
背中を押されて、小天狗様と一緒に
一階のホールの外まで出て行った。
丁度討伐隊の皆さんの騎馬隊の列に続いて
豪華な馬車が一台向かってくるところだった。
シロミズチ様の横でエレンさんとアイラさんの
聖女様が並んでいる。
エレンさんの間に小天狗様が
ふよふよと飛んでいって並んだ形になった時、
エレンさんとアイラさんが声をあげて驚いた。
「「も、森の精霊様!?」」
俺は今スキルを封じられた空間で
俺自身と戦っている。
一瞬驚いたけど俺と同じ技を
ためらいなく放ってくる。
まぁ、俺は俺が嫌いなところが
たくさんあるから躊躇いなく
斬りかかれるんだけど、
当然ながらそれは向こうも同じだ。
厄介だな。
攻撃の型が同じだとこうも
やりにくいのか。
どうすりゃいいんだ。
そんな事を考えているカケルの
体はあちこちに裂傷を負っている。
対するカケルの分け身にも同じく
裂傷が散見される。
舞う速度、攻撃する速さが
速いだけに周りに血飛沫が
舞うようになっている。
こうなったら、もっと速く
斬り込むしかない。
薙刀の切先3寸で斬るイメージを
強めていく。
即死は狙わない。
致命傷を負わせて勝つ道筋を
思い描いていく。
自然と斬り込む速度と力が
増していく感じがした。
同時に斬られる傷も深くなる。
それでも引かない。
もう相手を倒す事しか頭になかった。
首筋を狙う。
打ち払われる。
逆刃ですぐに振り戻し、
突き込んだ。
一瞬の返し突きが勝負を決めた。
刃先は首筋にのめり込んでいる。
もう一人の俺の目元が微笑んだように
見えたが、すぐに白い霧となって
掻き消えていった。
ついに俺は俺自身を超えた。
「よくやったのじゃ。
それ 大回復 っと。
これで元通り以上じゃろ?
どうじゃ?
其方自身の攻撃を喰らって?
感じたであろう、
思い知ったであろう。
まだまだ未熟なのだと。
うむ、良い顔つきじゃ。
よし、次は我が相手を
してやるのじゃ。
己自身を超えたのであれば、
我にも挑めよう。
参れ!!
遠慮などいらぬ!!」
俺は可愛く胸をそらす小天狗様に
薙刀の切先を向けると、
かわしてくれよと願いながら
突き込んだ。
!!
切先が動かない。
いや、小さな小天狗様の
より小さな指先に切先を挟まれ
身動きできなくなっていた。
「なんて力だ。
びくともしない。」
「当然じゃ。
我はこう見えても
其方より遥かに力が
あるのじゃ。
どうじゃ?
真剣に打ち込む気に
なったか?
無論我も打ち返すが、
今の其方では、
そこに留まることも
出来んじゃろう。
今は受け止めるだけじゃ。
さ、かかって参れ!」
もう迷いはなかった。
徐々に薙刀を加速しながら
打ち込んでいく。
それでも全く届く感じがしない。
壁を打ち据えているようだった。
的が小さいと攻めの動きが
間合いも短く小さくなってしまう。
その分、動きが遅くなり、
威力も落ちるという悪循環だ。
ダメだ、これじゃあダメだ。
もっと威力を上げるしかない。
そう思って、大きく振ろうとした瞬間、
「スキだらけなのじゃ!!」
小さな扇子の角で額を打たれた。
かなりの衝撃が襲ってきた。
頭がクラクラする。
なんとか踏ん張って立っているのが
やっとな程だ。
「うーむ、これではいかんのじゃ。
困ったものじゃ。
まず、聞かせてもらうのじゃが、
其方、何故其方の間合いで
攻めて来ぬのじゃ?」
えっ?何をいってるんだろう?
「いや、失礼ながら、
的が小さいので接近した方が
当たりやすいだろうなと
思ったからですけど。」
小天狗様は顰めっ面になって、
困った感じの雰囲気になった。
「うーん、そうか、そうじゃったか。
其方、斬り合いには不慣れであったか。
うむ、それは相手の懐に入って
相手の間合いで戦う不利な状況に
なるのじゃ。
其方は間合いを狭めたばかりに、
攻撃の威力は落ちる、振り戻しの動作も
ぎこちなくなる、当然早さも落ちて、
避けられるは、打ち込まれるはの
散々な目に遭うのが見えているのじゃ。
あくまで、其方の間合いの中で
戦わねばならぬ。
其方の攻撃のリズムも
おかしくなるのじゃ。
それでは本来の力でまともに
戦えぬのも道理じゃろう。
もう一つ、聞かせてもらうのじゃが、
其方、何故切先三寸でのみ
切ろうとするのじゃ?」
「え、いや、
これも確か、ちゃんと切れるのは
先の3寸くらいまでって、
聞いたことがあるから。」
一つ大きく首肯して小天狗様は、
話し始めた。
「うむ、
その認識は間違いではないのじゃ。
じゃがな、その薙刀の先にあるものは
全てが刃なのじゃ。
確かに刃先以外では、
しっかりと切れぬであろうが、
そこ以外でも、押し当てて
斬ったりすれば、血の道を絶って
致命傷を負わせることも
できるのじゃ。
其方の戦い方は綺麗すぎるのじゃ。
お手本のような攻め方では簡単に
読まれてしまうのじゃ。
よく分かった。
今の其方に足らぬものは、実戦じゃ。
さて、我がまた作り出しても
良いのじゃが、結界の外の娘達に
聞いて見るのも良いな。
今日はここまでとしよう。
其方の攻撃のくり出し方は悪くない。
もっと経験が必要じゃな。
それ 大回復 っと。
結界から出るぞ。」
小天狗様がそう言うと、
今まで聞こえなかった、
人の声とかが耳に入ってきた。
今まで音のしない静かな
結界の中にいたのかと、
今頃気付くあたりなのも、
まだまだ未熟なんだろうなと
思ったカケルであった。
「カケル様、ご主人様。
外に、国王陛下と神殿長様の馬車が
無事に到着したそうです。
ダンジョン討伐隊のノブマサ様以下
討伐隊の皆様も護衛として参られて
おられます。
時間がございませんので、
こちらの上着を羽織って
お出迎えのご用意を頂きたく存じます。
小天狗様、
シロミズチ様は下でカケル様と一緒に
お出迎えをされるそうですが、
如何されますでしょうか?」
「うむ、この湖の女神が出迎えるのであれば、
この世界では森の精霊として扱われておる
我も共に出迎えの列に
混じっていても良いじゃろう。
ふむ、其方、カケルであったな、
カケルの衣装はこれでどうじゃ?」
小天狗様が扇子を振ると、
俺の着ていたアーミースーツが
白い作務衣の上に陣羽織を羽織った姿に
早変わりした。
着ているから見えないけど、陣羽織には
桜の木と舞い散る花びらの中、花見をしている
男女の姿の刺繍があるそうだ。
見たいな。。。
お急ぎくださいというザラさんの声に
背中を押されて、小天狗様と一緒に
一階のホールの外まで出て行った。
丁度討伐隊の皆さんの騎馬隊の列に続いて
豪華な馬車が一台向かってくるところだった。
シロミズチ様の横でエレンさんとアイラさんの
聖女様が並んでいる。
エレンさんの間に小天狗様が
ふよふよと飛んでいって並んだ形になった時、
エレンさんとアイラさんが声をあげて驚いた。
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