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魔法って
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願望を具現化したようなセクシー系アンドロイドの実体に
しっかりと収まった本来3Dホロナビゲーターのサラに見送られ、
電脳兵のセブンは拠点から木立の中へと降り立った。
「水魔法から使ってみたいけど、名称がやばいから小川の下流に向かって
ぶっ放すかな。
えーっと、どうやるんだろ?
名称を思い浮かべてみるか。
天空の瀑布 だっけ。」
思い浮かべると同時に、からりとしていた空に黒い雲が一気に沸き立ち
あたりを暗くさせ始めた。不安感で気分も暗くなりそうだ。
「やばいんじゃね、これ。マジで半端なくやばいんじゃね。」
そう思う途中から、黒い雲から爆音と共に木立を圧し折るような
強烈な勢いで滝が叩き落され始めた。
「やば過ぎだろ!何にも見えねぇし、聴覚制御吹っ飛びそうだよ!
ディープインパクト過ぎて滝なんて生易しもんじゃなくて水の隕石だよ!
森が滅んだらどうすんだ!加減ってもんがないのかよ!」
と思った途端に、
幻だったかのように滝と共に空の雲は消え去り、
水煙にむせぶ瑞々し過ぎる森が生き残っているのが、
霞の向こうに見えだした。
「いやいやいや、何か丁寧なお辞儀をしている木が
たくさんいらっしゃるんですけど!
一歩先から小川が大河になって氾濫してるんですけど!
やっちゃったよ、やっぱりだよ!」
焦りまくっていると、いつものサラの声が電脳内に響いてきた。
『セブン、あなたには再調整をお勧めするわ。
どうしていつもそうなのかしら?
確認するように言ったはずだわ。
メインメモリーがオーバーフローしているのではなくて?
ステータスから使う魔法の名称を確認するだけで
使い方の説明も同時にインストールされる
スムーズな設定なのだけれど。
設定した担当の人に謝るべきよ。
当然なのだけれど、あなたが折り曲げた木の修復作業と
辺り一面に溢れ出た水の蒸発作業が最優先事項よ。』
あー、はい、反省します。(´・ω・`)
お、そういえば蘇生の魔法で治せるかな?
使っちゃおうかな?
『セ・ブ・ン!』
はい、強化アームとマイクロウェーブパルサーで地道に頑張ります、サラ先生。
それからしばらくの間、スペースチタンの超硬度ボディの丸くならない背中が
丸まったような雰囲気を醸し出しながら、木の修復と水の乾燥に勤しむ
思慮の浅い電脳兵の姿が見られたという。
ーーーーーその迷惑行為発生前のこと。----ー
世界樹の前では族長のグランを囲むようにエルフ達十数名が
困惑の表情を浮かべていた。
「族長、このところ続いている好天で世界樹様もお困りなのでしょうが
里の者にも水不足が深刻になっています。
頼みの川は細すぎて汲み上げるにも苦労するほどで、皆弱っています。
ヒクイドリの肉のおかげで体力は回復できても、水だけはどうにもなっていません。
水魔法の使い手さえいれば、こんな苦労せずにすむのです。」
「それは重々承知している。
里の魔法士には水魔法の使い手がいないのは致し方ないことだ。
草原の先まで行けば、泉があるかもしれないが、
われらの戦闘能力は草原向きではないのだ、
魔獣との連戦になりやすい草原越えは、犠牲が出るのが目に見えている。
許可はできん。
今は精霊様に祈る以外ない。
忍耐もまた自然と共に生きるわれらの誇りとして受け止めてくれ。」
「それでも子供達の体も拭くのも考えてしまうような状況になっているんですよ。
偵察だけでも出してもらえませんか?」
「だめだ、無用の期待を偵察に出した者たちにかぶせることになる。
耐えてくれ。今はこれしか言えん。」
この世界の新年の日から、セブンが落ちてくるまで3か月の間、
この世界樹の森には一滴の雨も降っておらず、
間の悪いことに昨冬には山の積雪も少なく、
雪解け水すら心許ない深刻な水不足に追い込まれていたのだった。
『あの異邦人、セブンといったか、彼に依頼すれば良かっただろうか。』
とグランが少し悩んだその時、
それまで恨めしいほどに晴れ渡り続けていた空が
一気に雲で黒く染まった。
そして、見たこともない勢いで雨とは呼べない水の弾丸が
森に恨みでもあるかのように打ち出され始めた。
「「「あ、雨だぁーーー!!」」」
思わず全員が声を合わせて絶叫する。
一目散に各家に戻り、水をためる甕やら桶やら貯められるものは
すべて外に出して受け止め始めた。
数分で急に止んだものの、潤沢過ぎるほどに水の恵みを受けれていた。
(これで、しばらく水の不安はなくなったな。
しかし、降り方が妙だ。
こんな激しい水魔法は見たことも聞いたこともない。
あの異邦人の向かった先あたりから降り始めたようだったが、
まさか彼が?いや、誰であれ今は感謝しかないな。)
やらかした本人には自覚できなくとも、誰かの役に立っていたようです。
「あー、やっと終わった。
12時間もかかったよ。
次からは 確認 しっかりしようっと。
防御系はまたでいいか。
でもまぁ魔法ってすげぇな。
こんな広範囲に影響出せるとは。
こっちに来る直前の改良型燃料気化爆弾並みだな。
あれから向こうはどうなったんだろ?
俺の貴重なスペースチタン製ボディ回収出来なくて悔しがってるかな?
ざまぁだな。」
ここに来る直前のことを思い出して、過去の回想を始めたセブンであった。
しっかりと収まった本来3Dホロナビゲーターのサラに見送られ、
電脳兵のセブンは拠点から木立の中へと降り立った。
「水魔法から使ってみたいけど、名称がやばいから小川の下流に向かって
ぶっ放すかな。
えーっと、どうやるんだろ?
名称を思い浮かべてみるか。
天空の瀑布 だっけ。」
思い浮かべると同時に、からりとしていた空に黒い雲が一気に沸き立ち
あたりを暗くさせ始めた。不安感で気分も暗くなりそうだ。
「やばいんじゃね、これ。マジで半端なくやばいんじゃね。」
そう思う途中から、黒い雲から爆音と共に木立を圧し折るような
強烈な勢いで滝が叩き落され始めた。
「やば過ぎだろ!何にも見えねぇし、聴覚制御吹っ飛びそうだよ!
ディープインパクト過ぎて滝なんて生易しもんじゃなくて水の隕石だよ!
森が滅んだらどうすんだ!加減ってもんがないのかよ!」
と思った途端に、
幻だったかのように滝と共に空の雲は消え去り、
水煙にむせぶ瑞々し過ぎる森が生き残っているのが、
霞の向こうに見えだした。
「いやいやいや、何か丁寧なお辞儀をしている木が
たくさんいらっしゃるんですけど!
一歩先から小川が大河になって氾濫してるんですけど!
やっちゃったよ、やっぱりだよ!」
焦りまくっていると、いつものサラの声が電脳内に響いてきた。
『セブン、あなたには再調整をお勧めするわ。
どうしていつもそうなのかしら?
確認するように言ったはずだわ。
メインメモリーがオーバーフローしているのではなくて?
ステータスから使う魔法の名称を確認するだけで
使い方の説明も同時にインストールされる
スムーズな設定なのだけれど。
設定した担当の人に謝るべきよ。
当然なのだけれど、あなたが折り曲げた木の修復作業と
辺り一面に溢れ出た水の蒸発作業が最優先事項よ。』
あー、はい、反省します。(´・ω・`)
お、そういえば蘇生の魔法で治せるかな?
使っちゃおうかな?
『セ・ブ・ン!』
はい、強化アームとマイクロウェーブパルサーで地道に頑張ります、サラ先生。
それからしばらくの間、スペースチタンの超硬度ボディの丸くならない背中が
丸まったような雰囲気を醸し出しながら、木の修復と水の乾燥に勤しむ
思慮の浅い電脳兵の姿が見られたという。
ーーーーーその迷惑行為発生前のこと。----ー
世界樹の前では族長のグランを囲むようにエルフ達十数名が
困惑の表情を浮かべていた。
「族長、このところ続いている好天で世界樹様もお困りなのでしょうが
里の者にも水不足が深刻になっています。
頼みの川は細すぎて汲み上げるにも苦労するほどで、皆弱っています。
ヒクイドリの肉のおかげで体力は回復できても、水だけはどうにもなっていません。
水魔法の使い手さえいれば、こんな苦労せずにすむのです。」
「それは重々承知している。
里の魔法士には水魔法の使い手がいないのは致し方ないことだ。
草原の先まで行けば、泉があるかもしれないが、
われらの戦闘能力は草原向きではないのだ、
魔獣との連戦になりやすい草原越えは、犠牲が出るのが目に見えている。
許可はできん。
今は精霊様に祈る以外ない。
忍耐もまた自然と共に生きるわれらの誇りとして受け止めてくれ。」
「それでも子供達の体も拭くのも考えてしまうような状況になっているんですよ。
偵察だけでも出してもらえませんか?」
「だめだ、無用の期待を偵察に出した者たちにかぶせることになる。
耐えてくれ。今はこれしか言えん。」
この世界の新年の日から、セブンが落ちてくるまで3か月の間、
この世界樹の森には一滴の雨も降っておらず、
間の悪いことに昨冬には山の積雪も少なく、
雪解け水すら心許ない深刻な水不足に追い込まれていたのだった。
『あの異邦人、セブンといったか、彼に依頼すれば良かっただろうか。』
とグランが少し悩んだその時、
それまで恨めしいほどに晴れ渡り続けていた空が
一気に雲で黒く染まった。
そして、見たこともない勢いで雨とは呼べない水の弾丸が
森に恨みでもあるかのように打ち出され始めた。
「「「あ、雨だぁーーー!!」」」
思わず全員が声を合わせて絶叫する。
一目散に各家に戻り、水をためる甕やら桶やら貯められるものは
すべて外に出して受け止め始めた。
数分で急に止んだものの、潤沢過ぎるほどに水の恵みを受けれていた。
(これで、しばらく水の不安はなくなったな。
しかし、降り方が妙だ。
こんな激しい水魔法は見たことも聞いたこともない。
あの異邦人の向かった先あたりから降り始めたようだったが、
まさか彼が?いや、誰であれ今は感謝しかないな。)
やらかした本人には自覚できなくとも、誰かの役に立っていたようです。
「あー、やっと終わった。
12時間もかかったよ。
次からは 確認 しっかりしようっと。
防御系はまたでいいか。
でもまぁ魔法ってすげぇな。
こんな広範囲に影響出せるとは。
こっちに来る直前の改良型燃料気化爆弾並みだな。
あれから向こうはどうなったんだろ?
俺の貴重なスペースチタン製ボディ回収出来なくて悔しがってるかな?
ざまぁだな。」
ここに来る直前のことを思い出して、過去の回想を始めたセブンであった。
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