無情の電脳傭兵 異世界で再起動する

graypersona

文字の大きさ
45 / 164

郷に入っては

しおりを挟む
アトランティス帝国の侵攻を抑え込めたセブン達は、
ネコ獣人族の村の拠点で村長を務めているフェイズ、
その娘のファーラを交え、今後の防衛策などについて
話をしていた。

 「次の攻撃があるとして、敵の攻撃能力が
  今回と同じレベルとは断定できないのだわ。」

 「この拠点からの砲撃だけでは対応策は限定されてしまいます。
  セブン様たちが不在の場合、私だけでは厳しい状況になると
  考えられます。
  防衛力の向上策を検討する必要があります。」

 「うむ、あのような攻撃をしてくる相手となると、
  確かに厳しいでしょうな。

  我々いつでも戦えるような心構え、
  覚悟をしてこれまで生き抜いてきております。
  
  まれにある事ですが、ワイバーンなどの襲撃にあって
  滅ぶことも時の運と考えるものです。

  今回見事に守って頂いたことは有難くもあるのですが、
  我々も村を守るために戦いたかったとも思っております。

  次の攻撃が来た時には、我々も全力で立ち向かい、
  その結果、力及ばず滅ぶことになろうとも
  力の無さ故と、無念ではありますが、
  致し方のない事と考えるものです。
  
  城などの防衛力を高めるという事は、
  かえって強い敵を呼び込むものと我々は考え、
  獣人国には城を築いていなかったほどです。

  今のままで十分でございます。
  我々には我々にあった生き方、戦い方で
  この先もここで生きていきたいと考えます。

  助力いただけるだけで有難い事、感謝の念に堪えません。」

 「私もお父様と同じ思いだ。
  ここにいる者は皆、お父様と同じく獣人国の誇りをもって
  集っているのだ。

  セブン殿から見れば我らは弱い力しかないかもしれぬが、
  それでも戦わねばならない時は死力を尽くして戦い、
  引いて機を伺えるのであれば、潔く引く。
  
  だから、もし、次の攻撃で我らが滅ぶことになろうとも
  セブン殿が気に病むことなはい。
  それは我らの生き方だからだ。」

 「うん、ここの皆さんの生き方は理解したよ。
  でも、俺は出来ることがあるのに何もしないままの
  自分自身を許せないんだ。
  勝手かもしれないけど、俺に出来る限りこの村を守っていたいんだ。
  
  前の世界では、俺はいつも攻め込む側だった。
  命令だけに従って、抵抗力のない相手でも無慈悲に殺してきたんだ。
  
  その償いじゃないんだけど、俺の意思でやりたいことをしたいんだ。
  そうしていると、俺もこの世界で生きていていいんだって思えるんだ。
  自分にいいように思っているだけなんだろうけど、
  俺には戦う事しか出来ないから。」

 「どうしてそういう考えになるのかしら?
  あなたは 錬成 という能力を身につけたのでしょう。
  その力でこの村の皆さんを笑顔にすることも出来るのだわ。

  この世界にあった生き方に変えればいいのよ。
  何か物を作って、育てて、調理して、味わって、
  この村の人たちと同じ目線で生きることも出来るはずよ。

  まずは、家の補修、補強から頑張ってほしいのだわ。」

 「うむ、サラ殿の言われるとおりだ。
  セブン殿、この村で共に力を合わせて参りましょう。
  家の補修・補強は助力いただけると有難い。
  我らには鍛冶のできる者がおらぬので不自由しておったのだ。」

 「サラ様の仰る通りですが、セブン様、
  私が横について助言させて頂きますのでご安心を。」

 「いや、補修、補強は 錬成 で出来る簡単なお仕事だから
  一人できるけど?」

 「「ダメです(なのだわ)」」
 
サラとカイに単独作業禁止を言い渡される信頼のないセブンであった。



~巨大大陸の東方にあるアトランティス帝国~

 「プロフェッサーに続いてカルヴィ大尉まで失ったとなれば
  残る 勇者 は先日異界召喚したばかりの、あの娘のみか。
  あの娘、魔法が使えぬ欠陥品と聞くが、
  どう使うつもりであるか?」

玉座から声が発せられた。

 「はっ、プロフェッサーがいないため詳細は調べられませんでしたが、
  あの娘は、潜入・暗殺に特化したメタルゴーレムのような
  体を有しておるようです。
  魔法は使えませぬが、逆に魔力感知魔法にでも見つからぬ、
  特殊な認識阻害の術が使える様子。
  強力な火魔法のスクロールを持たせれば、先住民共の塒を
  焼き払うのは容易い事と存じます。」

 「そうであるか。
  しかし、参謀長バルティアスよ、惜しい事であるが、
  その任には副参謀のマッケインが就く。
  大儀であった。」

 「お、お待ちください!陛下!
  どうか私めに今一度お任せください!
  陛下!お待ちください! へ・陛下・・・」

バルティアスという名の男の首が
その日のうちに転がることとなった。
 
 
 「さぁ、お仕事をしていただきますよ、お嬢様。
  なに、先住民共を暗殺するだけの簡単なお仕事ですよ。

  明日の朝には出立しますので、ご用意の方お願いしましたよ。」

 「えーーだるいんだけどー。
  先住民とか近寄るのも勘弁なんだけどー。
  マッケインがやればいいじゃん。
  あたいがやる意味ないじゃん。
  暗殺とかどうでもいいんだけど。」

 「おやおや、ではもうスイーツは食べたくない という事でしょうかね?
  では、パイロさんの分は私が頂きましょうかね。」

 「あーーわかったぁ~。わかったから、行きゃいいんでしょ行きゃ。
  やぁーっと自分の好きなこと出来るようになったのにぃ~。」


燃えるような真っ赤な髪と瞳と口紅を塗った目つきの鋭い娘が、
足部の反重力ユニットを稼働させて静かに、しっかりと立ち上がった。
フル装備のアーミースーツ姿で、バックパックにはSPTー11と
型番が刻まれた電脳兵、パイロであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身、動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物や魔法、獣人等が当たり前に存在する異世界に転移させられる。 彼が送るのは、時に命がけの戦いもあり、時に仲間との穏やかな日常もある、そんな『冒険者』ならではのスローライフ。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練とは如何なるものか。 ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~

ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆ ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

異世界転移物語

月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

処理中です...