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交易
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神龍が元の力を取り戻し、
乾きで瀕死状態だった大地に
恵みの雨が降るようになると、
あらゆる生き物が一気に活性化した。
「セブン殿、今日も大収穫でしたね。
魔力は大丈夫ですか?」
平原から少し森に入った辺りで
狩りを行っていたセブン達は、
連日大量の魔獣を狩れ、村の
保冷倉庫の備蓄が面白いように
増えていた。
「いやーファーラさん達の探知魔法の
お陰ですよ。
認識阻害魔法で隠れている魔獣まで
見つけるのは俺には一苦労なので。」
そう、ファーラ達ネコ獣人族の中には
認識阻害魔法を使っているものですら
発見できる探知魔法の使い手がいた。
セブンは狩りに同行し、ビッグファングや
ビッグボアといった魔獣を狩っていた。
この世界では動物の体内に魔石が出来ると
魔獣と化すらしい。
魔物は魔石の力で異形のものと
化したものをそう称して分類しているそうだ。
彼らの使う弓矢の矢じりには魔石が使われており、
弱めの魔法防御であれば貫通する威力があった。
(あのエルフ達の矢も喰らってたら
ヤバかったんだな。アブねぇ~。)
少しこの世界の戦闘力を見直したセブンであった。
森の方まで狩りに出たのは訳があった。
ファーラの父、フェイズが魚と交換する交易を
行いたいから魔獣の肉をたくさん手に入れたいと
仲間に狩りの提案をしたためだ。
何でも獣人国にいた頃は定期的に南の方にある
町に出向いて力比べでレートを決めて交易する
習わしがあったそうだ。
人族の侵攻によって途絶えていたが、
セブン達が、小さいながらも村の護衛に
残ってもらえるなら安心して交易に出れると
考えたとのことだ。
もちろん、交易にはセブンが護衛で
付き添いして行くつもりであったが、
フェイズから笑いながら大丈夫と言われると
せめて狩りだけでもと同行している次第だ。
(そうだよな、これまでずっと平原から
南の方まで交易に出ていたんなら、
護衛は自分たちで出来てたよな。)
狩りの練度、解体の手早さを見ていると
確かに大丈夫そうだなと思うセブンであった。
「セブン殿、その小さな飛行型ゴーレムは
便利そうですな。」
フェイズからそう声をかけられたセブンは、
錬成で作り上げた低空飛行用バーニアを
身につけていた。
「そうだ、これなら皆さんでも使えるように
調整できますよ。使ってみませんか?
あの木の上くらいまでなら飛び上がれますよ。」
セブンの場合、眼内モニターから自動制御で
飛行できるのだが、一般兵でも視線制御で
飛行できるように調整が可能なユニットだ。
「考えておこう。」
解体を終えた魔獣をアイテムボックスに収納し
セブン達一行は村へ戻ることとなった。
「戻りました~」
「遅くなりました。」
村の入り口にあるセブン達の拠点に
セブンとファーラが帰ってきた。
「「おかえりなさい。」」
サラ、クロ、カイの合唱で出迎えられた。
狩りの後の恒例となった、拠点の中で、
テーブルについてカイの淹れてくれた
紅茶を飲むひと時だ。
「ふぅ~いつ飲んでも美味しいお茶だな。
心が温まる感じだ。」
かわいいネコミミをピョコピョコさせながら
ファーラが紅茶を飲む姿を見ていると
何か癒されるセブンであった。
「その目線はどうかと思うのだけれど。
ところで、ファーラさん。
その交易なのだけれど、金貨とかの貨幣は
使わないのかしら?」
「ああ、古くからの習わしで続けてる
お祭りのようなものなのだ。
平原の代表と海の代表で試合をして
勝った方が多めの交換レートになるのだ。
その試合に出ることも戦士の誉れなのだ。
国があったころは街の中で使っていたが、
今は皆無一文なのだ。
海の街で魔獣の肉や皮などを売って
銀貨に交換する予定なのだ。」
「まぁ、そういうことだったのですね。
私も海の街に行ってみたくなりましたわ。」
「出来れば、次の交易の時についてきてくれると有難い。
次は私も行く予定なのだ。
サラ殿がいると心強いのだ。」
「あー俺も行きたいなぁ~」
「うむ、セブン殿には今まで通り、
村の畑の水やりとかのお世話をお願いしたいのだ。
村の皆がとても助かっているのと、
作物の成長がいつもよりいいようなのだ。
引き続きお願いできないだろうか?」
くりくりした目でお願いされたら断れんよな。
「了解です。引き続き農夫として頑張りますよ。」
セブンが村の畑で使う水魔法は
海神の水弾 の威力を弱めて
空から広範囲に降らせるものだが、
水の中に神気が混じっており、
作物が活性化されているようだ。
この小雨を降らせる時には、
村の子供達がこぞって外に出てくるので
事前に通達の上、行使するようになっていた。
「では、行ってくる。
ファーラ、留守を頼む。」
薄青い色の体でスカイブルーのきれいな目をした
角のある馬に騎乗したフェイズが、
村に残るファーラにそう声をかけて、
荷馬車の一団と共に海の街へと旅立って行った。
「さて、フェーズさん達も行かれたことだし。
今日も水やりして、狩りに出てきますかね。」
畑に向かうセブンの背中を、
この平穏な日々が続いて欲しいと願う
サラの瞳が見つめていた。
乾きで瀕死状態だった大地に
恵みの雨が降るようになると、
あらゆる生き物が一気に活性化した。
「セブン殿、今日も大収穫でしたね。
魔力は大丈夫ですか?」
平原から少し森に入った辺りで
狩りを行っていたセブン達は、
連日大量の魔獣を狩れ、村の
保冷倉庫の備蓄が面白いように
増えていた。
「いやーファーラさん達の探知魔法の
お陰ですよ。
認識阻害魔法で隠れている魔獣まで
見つけるのは俺には一苦労なので。」
そう、ファーラ達ネコ獣人族の中には
認識阻害魔法を使っているものですら
発見できる探知魔法の使い手がいた。
セブンは狩りに同行し、ビッグファングや
ビッグボアといった魔獣を狩っていた。
この世界では動物の体内に魔石が出来ると
魔獣と化すらしい。
魔物は魔石の力で異形のものと
化したものをそう称して分類しているそうだ。
彼らの使う弓矢の矢じりには魔石が使われており、
弱めの魔法防御であれば貫通する威力があった。
(あのエルフ達の矢も喰らってたら
ヤバかったんだな。アブねぇ~。)
少しこの世界の戦闘力を見直したセブンであった。
森の方まで狩りに出たのは訳があった。
ファーラの父、フェイズが魚と交換する交易を
行いたいから魔獣の肉をたくさん手に入れたいと
仲間に狩りの提案をしたためだ。
何でも獣人国にいた頃は定期的に南の方にある
町に出向いて力比べでレートを決めて交易する
習わしがあったそうだ。
人族の侵攻によって途絶えていたが、
セブン達が、小さいながらも村の護衛に
残ってもらえるなら安心して交易に出れると
考えたとのことだ。
もちろん、交易にはセブンが護衛で
付き添いして行くつもりであったが、
フェイズから笑いながら大丈夫と言われると
せめて狩りだけでもと同行している次第だ。
(そうだよな、これまでずっと平原から
南の方まで交易に出ていたんなら、
護衛は自分たちで出来てたよな。)
狩りの練度、解体の手早さを見ていると
確かに大丈夫そうだなと思うセブンであった。
「セブン殿、その小さな飛行型ゴーレムは
便利そうですな。」
フェイズからそう声をかけられたセブンは、
錬成で作り上げた低空飛行用バーニアを
身につけていた。
「そうだ、これなら皆さんでも使えるように
調整できますよ。使ってみませんか?
あの木の上くらいまでなら飛び上がれますよ。」
セブンの場合、眼内モニターから自動制御で
飛行できるのだが、一般兵でも視線制御で
飛行できるように調整が可能なユニットだ。
「考えておこう。」
解体を終えた魔獣をアイテムボックスに収納し
セブン達一行は村へ戻ることとなった。
「戻りました~」
「遅くなりました。」
村の入り口にあるセブン達の拠点に
セブンとファーラが帰ってきた。
「「おかえりなさい。」」
サラ、クロ、カイの合唱で出迎えられた。
狩りの後の恒例となった、拠点の中で、
テーブルについてカイの淹れてくれた
紅茶を飲むひと時だ。
「ふぅ~いつ飲んでも美味しいお茶だな。
心が温まる感じだ。」
かわいいネコミミをピョコピョコさせながら
ファーラが紅茶を飲む姿を見ていると
何か癒されるセブンであった。
「その目線はどうかと思うのだけれど。
ところで、ファーラさん。
その交易なのだけれど、金貨とかの貨幣は
使わないのかしら?」
「ああ、古くからの習わしで続けてる
お祭りのようなものなのだ。
平原の代表と海の代表で試合をして
勝った方が多めの交換レートになるのだ。
その試合に出ることも戦士の誉れなのだ。
国があったころは街の中で使っていたが、
今は皆無一文なのだ。
海の街で魔獣の肉や皮などを売って
銀貨に交換する予定なのだ。」
「まぁ、そういうことだったのですね。
私も海の街に行ってみたくなりましたわ。」
「出来れば、次の交易の時についてきてくれると有難い。
次は私も行く予定なのだ。
サラ殿がいると心強いのだ。」
「あー俺も行きたいなぁ~」
「うむ、セブン殿には今まで通り、
村の畑の水やりとかのお世話をお願いしたいのだ。
村の皆がとても助かっているのと、
作物の成長がいつもよりいいようなのだ。
引き続きお願いできないだろうか?」
くりくりした目でお願いされたら断れんよな。
「了解です。引き続き農夫として頑張りますよ。」
セブンが村の畑で使う水魔法は
海神の水弾 の威力を弱めて
空から広範囲に降らせるものだが、
水の中に神気が混じっており、
作物が活性化されているようだ。
この小雨を降らせる時には、
村の子供達がこぞって外に出てくるので
事前に通達の上、行使するようになっていた。
「では、行ってくる。
ファーラ、留守を頼む。」
薄青い色の体でスカイブルーのきれいな目をした
角のある馬に騎乗したフェイズが、
村に残るファーラにそう声をかけて、
荷馬車の一団と共に海の街へと旅立って行った。
「さて、フェーズさん達も行かれたことだし。
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サラの瞳が見つめていた。
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