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御供物
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最近は甘い香りが漂い続ける
ネコ獣人族の村であるが、
周りの街からは、
パティシエの村というものもいる。
先日女神ノルンへの御供物として
捧げたショコラケーキが好評で、
女神ノルンから神龍にもあげて欲しいと
サラが神託を受けた途端、パイロの
パティシエ魂に火がついて
直径40mを超える巨大なケーキを
作成している。
「いや、大き過ぎだろこれ。
自分で錬成しておいて言うのも何だけど
オーブンも大き過ぎて地面凹んでるんだけど。
水平になってないとか言われてもなぁ。。」
今は焼き上がったケーキの上に
ふんわりとした粉砂糖を振りかけているところだ。
飛び散って粉雪のように降っている。
ネコ獣人族の子供達に混じって
牛人族、羊人族の子供達も粉雪の中を
両手を上げて走り回って喜んでいる。
パティシエの魅力、いや引力が非常に強く
周りの村からの移住者が増えて賑やかになっている。
子供達の笑顔は村の宝物だねとパイロも嬉しそうに
言いながら、わざと荒っぽく作業を進めていく。
「完成~!
じゃ、セブン 収納お願い。」
「はいはい、お任せあれっと。」
セブンのアイテムボックスに巨大なガトーショコラが消えると
子供達のため息が溢れた。
「はーい、
子供達にはこっちのケーキがあるよ~。
あれは神龍様のお供物だからね、
こっちも美味しいよ。」
先に作っておいたカットケーキを子供達に配り始める
パイロとカイに村を任せて、セブンとサラはフライングユニットの
ジョイントシークエンスを始めるのであった。
神龍様のお山の真上からゆっくりと降り立った
セブンとサラは、大きな湖の畔でくつろいでいる感じの
神龍にゆっくりと近寄って行った。
「よく来た、神徒セブン、巫女のサラも。
無理をさせたな。
これ、娘子よ。
所望の甘い物を持って来てくれたぞ。」
そう神龍が声を掛けると、神龍の少し前で寝転がっていた
煌びやかな装いの女戦士がゆらりと立ち上がった。
「待ち兼ねたぞ。ノルン様を魅了したと言う甘い物、
このブリュンヒルドが吟味してくれよう。」
何かとても偉い感じの戦士様のようだ。
「あー、あのですね。
ノルン様から神龍様に作ってあげてと
神託がありましたので、
実は、神龍様向けのサイズなんですが。。」
「かまわぬ。
山ほどのものであろうと喰らい尽くしてくれよう。」
「ほう、我にも少し分けて欲しいのものだな、
娘子よ。」
「よかろう、少し分け与えてやろうぞ。」
「では、出しますねっと。」
ポフンっという感じで錬成した石の皿の上に
乗った巨大なガトーショコラが現れた。
ブリュンヒルドと名乗った女戦士があまりの大きさに
呆然としている。
「うむ、一口サイズであるな。
どうした?娘子よ。」
「あ・・・ありえんだろう!
流石にこれ全部は無理じゃ。
この100分の1であっても、
飛べなくなりそうじゃ。」
よく見ると、女戦士の背中あたりに光の粒子で
形作られた翼のようなものがあった。
「えっと、恐れ入りますが、
ブリュンヒルド様は天翼族の戦士様ですか?」
「あんな連中と一緒にせんで貰いたいものだ。
私は由緒正しいバルキュリヤである。
ノルン様と共に戦う戦士である。
そなたがセブンであるな。
同じ戦士として、これからも頼むぞ。
神龍よ、私はこれだけあれば十分だ。
残りは好きにすると良いぞ。」
物言いは偉そうだが、綺麗な所作で切り分けて、
上品に食べ始めた。
一口食べて、硬直した。
手元のケーキをじっくりと見つめて
もう一口食べると、残りが掻き消えた。
「これは巫女のサラが作り上げたのか?」
「いえ、私は手伝いまでしかしておりません。
作ったものは村の方に残っております。
何かお気に召しませんでしたでしょうか?」
「逆である。是非とも会って礼を申したい。
村の方に行っても良いか?」
「それは有難いことでございます。
作ったものはパイロと申しまして、
女神様の炎のバルキュリヤになります。」
「おおっ!炎のバルキュリヤであったか。
是非とも連れて行って欲しいものだ。」
慌ただしくなったが、神龍様に暇を乞うて、
自力で飛行するというブリュンヒルドと共に
村に向けて飛び立つセブン達であった。
ブリュンヒルドが村に永住を即断したのは
パイロの引力のせいのようだ。
近頃はこの村の名前はパティシエの村で
定着しているそうだ。
ある日の夕刻、血のように赤い夕焼けの中を
ふらふらになった馬が村に辿り着いた。
その背には血だらけの獣人兵が気力を振り絞って
しがみ付いていた。
「フェイズ様、助力を・・」
フェイズを見とめた兵士はそれだけ言うと
馬から滑り落ちていった。
空の色が不安感をさらに強くしていた。
ネコ獣人族の村であるが、
周りの街からは、
パティシエの村というものもいる。
先日女神ノルンへの御供物として
捧げたショコラケーキが好評で、
女神ノルンから神龍にもあげて欲しいと
サラが神託を受けた途端、パイロの
パティシエ魂に火がついて
直径40mを超える巨大なケーキを
作成している。
「いや、大き過ぎだろこれ。
自分で錬成しておいて言うのも何だけど
オーブンも大き過ぎて地面凹んでるんだけど。
水平になってないとか言われてもなぁ。。」
今は焼き上がったケーキの上に
ふんわりとした粉砂糖を振りかけているところだ。
飛び散って粉雪のように降っている。
ネコ獣人族の子供達に混じって
牛人族、羊人族の子供達も粉雪の中を
両手を上げて走り回って喜んでいる。
パティシエの魅力、いや引力が非常に強く
周りの村からの移住者が増えて賑やかになっている。
子供達の笑顔は村の宝物だねとパイロも嬉しそうに
言いながら、わざと荒っぽく作業を進めていく。
「完成~!
じゃ、セブン 収納お願い。」
「はいはい、お任せあれっと。」
セブンのアイテムボックスに巨大なガトーショコラが消えると
子供達のため息が溢れた。
「はーい、
子供達にはこっちのケーキがあるよ~。
あれは神龍様のお供物だからね、
こっちも美味しいよ。」
先に作っておいたカットケーキを子供達に配り始める
パイロとカイに村を任せて、セブンとサラはフライングユニットの
ジョイントシークエンスを始めるのであった。
神龍様のお山の真上からゆっくりと降り立った
セブンとサラは、大きな湖の畔でくつろいでいる感じの
神龍にゆっくりと近寄って行った。
「よく来た、神徒セブン、巫女のサラも。
無理をさせたな。
これ、娘子よ。
所望の甘い物を持って来てくれたぞ。」
そう神龍が声を掛けると、神龍の少し前で寝転がっていた
煌びやかな装いの女戦士がゆらりと立ち上がった。
「待ち兼ねたぞ。ノルン様を魅了したと言う甘い物、
このブリュンヒルドが吟味してくれよう。」
何かとても偉い感じの戦士様のようだ。
「あー、あのですね。
ノルン様から神龍様に作ってあげてと
神託がありましたので、
実は、神龍様向けのサイズなんですが。。」
「かまわぬ。
山ほどのものであろうと喰らい尽くしてくれよう。」
「ほう、我にも少し分けて欲しいのものだな、
娘子よ。」
「よかろう、少し分け与えてやろうぞ。」
「では、出しますねっと。」
ポフンっという感じで錬成した石の皿の上に
乗った巨大なガトーショコラが現れた。
ブリュンヒルドと名乗った女戦士があまりの大きさに
呆然としている。
「うむ、一口サイズであるな。
どうした?娘子よ。」
「あ・・・ありえんだろう!
流石にこれ全部は無理じゃ。
この100分の1であっても、
飛べなくなりそうじゃ。」
よく見ると、女戦士の背中あたりに光の粒子で
形作られた翼のようなものがあった。
「えっと、恐れ入りますが、
ブリュンヒルド様は天翼族の戦士様ですか?」
「あんな連中と一緒にせんで貰いたいものだ。
私は由緒正しいバルキュリヤである。
ノルン様と共に戦う戦士である。
そなたがセブンであるな。
同じ戦士として、これからも頼むぞ。
神龍よ、私はこれだけあれば十分だ。
残りは好きにすると良いぞ。」
物言いは偉そうだが、綺麗な所作で切り分けて、
上品に食べ始めた。
一口食べて、硬直した。
手元のケーキをじっくりと見つめて
もう一口食べると、残りが掻き消えた。
「これは巫女のサラが作り上げたのか?」
「いえ、私は手伝いまでしかしておりません。
作ったものは村の方に残っております。
何かお気に召しませんでしたでしょうか?」
「逆である。是非とも会って礼を申したい。
村の方に行っても良いか?」
「それは有難いことでございます。
作ったものはパイロと申しまして、
女神様の炎のバルキュリヤになります。」
「おおっ!炎のバルキュリヤであったか。
是非とも連れて行って欲しいものだ。」
慌ただしくなったが、神龍様に暇を乞うて、
自力で飛行するというブリュンヒルドと共に
村に向けて飛び立つセブン達であった。
ブリュンヒルドが村に永住を即断したのは
パイロの引力のせいのようだ。
近頃はこの村の名前はパティシエの村で
定着しているそうだ。
ある日の夕刻、血のように赤い夕焼けの中を
ふらふらになった馬が村に辿り着いた。
その背には血だらけの獣人兵が気力を振り絞って
しがみ付いていた。
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空の色が不安感をさらに強くしていた。
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