無情の電脳傭兵 異世界で再起動する

graypersona

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混沌

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白い靄が広がった世界、そこは音すらも飲み込んで
静寂を保とうとするかの如く静まり返っていた。

その靄を掻き分けるかのように現れた黒い靄が
人の形に蠢いていた。

異質に感じられるその黒い靄に向かって
声が掛けられた。

 「我らの世界へようこそ、
  混沌の巨人、スルト様。」

 「連れてきておいて何を言うか。
  まぁ、心地よいところではあるか。
  
  ここからあの戦士の事を見守っておるのか。」

 「ふふふっ、彼だけではありませんわ。
  あの世界はこれから更に激しく変化をするでしょう。
  それを受け入れるもの、拒絶するもので
  動乱が始まるのですわ。

  ここから彼らの選ぶ道を見守るのも
  少しだけ先を示すのも一興ですわよ。」

黒い靄となったスルトはウルズに並び、
セブン達のいる巨大大陸の辺りに意識を向けた。

 「あの戦士の神気はそなたの与えた力か?」

 「いいえ、彼はこことは異なる世界から召喚された者、
  その世界の神の加護の力なのです。
  かなり効きましたでしょう?」

 「ふん、心が晴れ渡るまで神気で洗われてしまったな。
  我ら混沌の巨人すら落ち着かせるあの戦士の力、
  この世界にどう影響を与えていくのか。
  確かに気になるな。」

 「ふふふっ、そうでしょう。
  私達の見通せる未来すら変えてしまう彼の力、
  たまに呆れるようなこともありますが、楽しいですわよ。

  スルト様はそのままのお姿でよろしいのでしょうか?」

 「これが元々の姿だ。
  形など、お前たちの創り上げた世界に合わせるための
  入れ物に過ぎん。
  我らはただの存在するものだ。

  そういえば、ロキの奴はどうした?
  小賢しいことを企んでおったようだが。」

 「あー、ロキ様は今他の神々からお説教を受けておられます。
  数百年は続くと思いますわ。」

 「そ、そうか。俺には関係のないことだな。
  さて、見守らせてもらうとするか。
  異界神の加護を持つ戦士よ。
  この世界に新たな混沌を生み出してくれると
  良い余興もありそうだな。」

黒い靄は少し周りの白さを取り込み
影が薄くなったような雰囲気がしていた。


 「セブン、
  よく戻ってきたわね。
  ちょっとそこに座りなさい。」

黒い巨人の龍人族扇動事変の対応を終えて、
拠点に戻ったセブンを待ち構えていたサラが、
フライングユニットのカタパルトデッキ横の金属の床を
指差して、いつもより3倍は速そうな早口でそう言った。

 (ヤバイよこれ、ゲキオコな感じ何だけど。)

項垂れながら座ったセブンにサラが一気に話し、・・
いや、お説教が始まった。

何でもセブンが手加減せずに黒い巨人に叩き続けていた
豪雨魔法の影響で海面が上昇し、
至る所で高潮被害が発生したのだそうだ。

中でも完成間近であったメガフロートのアトランティス帝国の
人工島は完全に水没し、作業者達は泣きながら
防潮堤のかさ上げをしているそうだ。
漁港に至っては桟橋の高さ調整や、卸場を高台に移動するなどの
迷惑を被っているそうだ。

人様に多大な迷惑をかけてしまった肉親の失態に
完全にキレてしまったサラの説教は拠点内に
静寂をもたらすほどの激しさであった。

8時間くらい経った時に、クロがお茶はどうかな?
と声を掛けに行ってやっと治ったのであった。


体験者であるカーラは、人ごとと思えす、
拠点内で落ち着かない気分に陥っていた。

 セブンがやらかしたのは些細なことなのです。
 海の中の生き物が生き生きとして更なる成長を遂げたのです。
 普通のイカがダイオウイカサイズになったり、
 サバが大マグロと見間違うくらいになったり、
 ハマグリが蜃のサイズになった程度なのです。。。

 ま、まぁ港がいろいろな意味で賑やかになったので
 結果オーライなのです。

 えっ?海だけでなく陸上はどうなのか気になるのです?
 陸上には、物理攻撃が全く効かない硬い甲羅のカニや
 エビに似た魔物が増えたという影響くらいしかなかったので
 大きな問題はなかったということにするのです。

セブンが1階のテーブルに戻ってくるまで
落ち着かないカーラなのであった。

拠点の出口付近には、セブンが作成した標語が掲げられていた。

 「魔法を使う時は、
   一度冷静になって、
    よく考えてから使いましょう。

    魔法行使は冷静に。」
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