無情の電脳傭兵 異世界で再起動する

graypersona

文字の大きさ
126 / 164

一線を越えしもの

しおりを挟む
電脳兵のセブンは魔物討伐の依頼を受け、
サンドワームとの戦闘を開始していた。

 「卜伝さんの光の刃はいいよな。
  俺もできるようになれるといいんだけど。

  ・・・周りに人はいないし、練習台になって
  もらおうかな。悪いな、サンドちゃん。」

 (卜伝さんの話はメモリーに永久保存かけてるけど、
  出来るかな、俺に。
  もう一度じっくりと聞いてみるか。)

 『刀で斬れるのは刃先3寸、
  これは間違いない。じゃがな、
  それは直接斬るのであれば ということじゃ。

  刀を振るうと生じる刃の切れ味、力じゃな。
  それを離れた相手に叩きつけるように放つのじゃ。
  当たる頃合いでもう一押しの力を伝え、
  押し切るような刃を解き放つのじゃ。

  これは言われて出来るものではないのじゃ。
  頭ではなく、己の体で覚えるものじゃ。
  古臭いと言われようが、こればかりは
  鍛錬のみとしか言えんのじゃ。


  あのような刀が通らぬ硬い体の魔物であっても、
  この力の刃であれば斬れるのじゃ、
  いや、斬らねばならん。
  そのために鍛錬を重ねておるのじゃ。

  この技は間違いなく己の体と心で放つものじゃ。
  
  刀は直接斬り合えば、すぐに切れ味が落ちるものじゃ。
  じゃが、この力の刃は己の身一つで放てるもの、
  切れ味は己次第なのじゃ。

  お前さんは基本は出来ておる、あとは己の体に
  この技を覚えさせるまでじゃよ。

  そうじゃな、お前さんなら居合抜きの要領で
  鍛錬してみるのが良いかもしれぬ。」

 (居合抜きか、やってみるか。)

セブンは荒れ狂うサンドワームから少し離れて、
右腕のスペースチタンブレードを左の腰のあたりに
ブレードの背を当てると、腰を少し落とし、
タメを作り始めた。

無の境地の心で精神集中を高めていく。

届かない、いや、これではない。
そう感じたセブンは一度軽く居合抜きのイメージで
ブレードを振って仕切り直すことにした。

今度はさらにサンドワームから離れて、
磁鉄鉱の砂の上に正座をし、右腕のブレードを
先ほどと同じ左の腰のあたりに据えた。

視覚センサーを落とし、黙想の状態からためを作り始めた。

これも違う、そう思うと同時に、セブンは正座の姿勢を崩し、
足を組んで結跏趺坐の体勢になった。

さらに集中を高め、体内のチャクラを意識して回し始めた。
セブンの頭の周りに神気が少しずつ溢れて
頭の後ろで後光のように輪を描いて回り始めた。

 (見える!いや、刃が放てる!)

ブレードの周りにも神気が渦を巻いて絡みついていた。

 (これだ!これを放つんだ!

   むんっ!!)

座禅を組んだ姿勢のままでセブンは、
ブレードを見にも止まらぬ速さで振ったようだ。

振り抜く時にセブンは頭の後ろの神気も
ブレードに込めて、同時に押し出すイメージで
やってみたのだった。

 ズルッ!

と言う嫌な音がしたと思ったら、
サンドワームの体が上下に分かれていったのだった。

 (まだまだだな、これでは実戦で使えない。
  もっと鍛錬を積み上げないと。)

意外にもセブンはあっさり一線を越えて
力の刃を放ってしまった。
普通の人の一線を越えたようだ。
いや、とっくに人ではなくなっているので
っここであれば、メタルゴーレムの一線を
越えた存在になったと言えるだろう。

それからしばらくの間、セブンは
この北の砂漠地帯一帯の魔物を狩り続けていた。

ギルドに持ち込んだ素材が武器の店に
大量に出回ることになり、冒険者たちの生還率アップの
効果に寄与していたのだった。

 「むんっ!」

直立した体勢から抜刀する勢いでブレードを振り抜き、
キラキラと煌く光の刃を放ち、サンドワームをあっさりと
上下に切り分けた。

(うん、いい感じだ。普通の姿勢からでも
 放てるようになってきたな。

 でも、まだ押し込むような力を加えて、
 力の刃の後押しが出来ていない。

 まだまだ未熟だな。
 頑張るとするか。)

拠点に戻らず鍛錬という名の討伐をやり続けるセブンの姿は、
時間を忘れて友達たちと遊び回る子供のように見えた。


その頃、拠点では少し込め髪がひくついているサラの姿があった。

何となく背筋に冷たいものが流れる気がするセブンであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~

ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆ ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

安全第一異世界生活

ファンタジー
異世界に転移させられた 麻生 要(幼児になった3人の孫を持つ婆ちゃん) 新たな世界で新たな家族を得て、出会った優しい人・癖の強い人・腹黒と色々な人に気にかけられて婆ちゃん節を炸裂させながら安全重視の異世界冒険生活目指します!!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身、動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物や魔法、獣人等が当たり前に存在する異世界に転移させられる。 彼が送るのは、時に命がけの戦いもあり、時に仲間との穏やかな日常もある、そんな『冒険者』ならではのスローライフ。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練とは如何なるものか。 ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

【第一部完結】転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!

DAI
ファンタジー
【第一部完結!】 99回のさよならを越えた、究極の『ただいま』 99回転生した最強エルフは、のんびり暮らしたいだけなのに――なぜか家族が増えていく。 99回も転生したエルフの魔法使いフィーネは、 もう世界を救うことにも、英雄になることにも飽きていた。 今世の望みはただひとつ。 ――森の奥の丸太小屋で、静かにのんびり暮らすこと。 しかしその願いは、 **前世が日本人の少女・リリィ(12歳)**を拾ったことで、あっさり崩れ去る。 女神の力を秘めた転生少女、 水竜の神・ハク、 精霊神アイリス、 訳ありの戦士たち、 さらには―― 猫だと思って連れ帰ったら王女だった少女まで加わり、 丸太小屋はいつの間にか“大所帯”に!? 一方その裏で、 魔神教は「女神の魂」と「特別な血」を狙い、 世界を揺るがす陰謀を進めていた。 のんびり暮らしたいだけなのに、 なぜか神々と魔王と魔神教に囲まれていくエルフ。 「……面倒くさい」 そう呟きながらも、 大切な家族を守るためなら―― 99回分の経験と最強の魔法で、容赦はしない。 これは、 最強だけど戦いたくないエルフと、 転生1回目の少女、 そして増え続ける“家族”が紡ぐ、 癒しと激闘の異世界スローライフファンタジー。 ◽️第二部はこちらから https://www.alphapolis.co.jp/novel/664600893/865028992

異世界転移物語

月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……

処理中です...