35 / 41
十六夜家
第35話 取り引き
しおりを挟む
「そ、そんなの、嘘だ!! なら、何故話を持ち込んだ時に桔梗家の者は否定をしなかった。知ったような事を口にするな!」
「俺様は、桔梗家の次女、美月を嫁にもらっておると言ったはずだ。少なからず、桔梗家については十六夜家より知っているぞ」
心内で「勝手に調べただけだけどな」と呟き、雅は言葉を続けた。
「桔梗家の力、治癒は小さな怪我を治すだけのもの。医師に匙を投げられた病を治すほどの力はない」
「そ、そんな……」
顔を真っ青にし、へなへなと上げた腰を下ろす。放心状態となった朝陽に、雅は目を細めた。
「それなら、我々が今までしてきたことは、何だと言うのか……。鬼神家へ攻めるため、様々な武器を購入し、武士を雇い、有り金をほとんど使ったというのに……」
それほどまでに本気で妹を治したいと思っているのだなと、雅は思わず笑みを浮かべた。
自分のことを馬鹿にした笑みだと思い、朝陽は怒りを露わにし怒鳴り散らし始めた。
「なにを笑っている!!」
「おっと、すまない。朝陽は、優しい者なのだなと、ついな」
雅が素直に言うと、目を丸くした。
そんな朝陽など気にせず、雅は立ちあがった。
「――――さて、話は分かった。礼を言いたいところだが、言葉だけではお互いの得にはならん」
笑みを浮かべる雅は、朝陽に一つの提案をした。
「そんなこと……」
最初は信じられず、頷けなかった朝陽だったが、雅の強い瞳と、必ず治してみせるという意思に負け、提案に乗ることにした。
※
提案に乗った朝陽は、まず事前に妹に会いたいという雅の言葉に従い、部屋へと案内した。
襖へと声をかけ、開けた。
「朝、桔梗家の現当主、雅様がお越しくださっている」
中は、話し合いしていた部屋と作りは同じ。
唯一違うのは、真ん中に布団が敷かれているところ。
布団の中では女性が一人、目を閉じ眠っていた。だが、朝陽の声により、朝と呼ばれた女性は目を開け、顔を少しだけ傾けた。
滅紫色の長い髪、薄紅色の瞳。
朝陽と瓜二つの妹の名前は、十六夜朝。
雅の姿を見た朝は、微かに目を開き体を起こそうとした。
だが、すぐに朝陽が止める。
「動かない方がいい」
「で、ですが……。来客とならば……」
鈴の音のような声は、今にも消えてしまいそうな程弱弱しい。
それだけで、もう命は長くないことが雅にもわかった。
雅も「寝ていて構わない」と伝え、朝陽の隣に座った。
まだ申し訳ないと口にしている朝を横にし、眉間に深い皺を寄せる。
「確かに、これは危険な状態かもしれぬな。桔梗家の力に縋りたくなるのもわかる」
「そうなのだ」
二人の会話を耳にし、朝は不安そうに朝陽を見上げた。
「あ、朝陽兄さま。これは、あの…………」
「大丈夫だ、朝。朝の病を見てもらっているだけだから、安心してくれ」
朝陽が伝えると、朝の瞳に影が差す。
「そう」と、すべてを諦めたような表情を浮かべ、顔を逸らした。
今まで、複数の医師に診てもらったが、治せなかった。
今のような態度を取るのも無理は無い。
だが、雅に焦りはない。
その理由は一つ、思い当たる医師がいるから。
それは、ここから遠く離れた国の医師。
雅は、その医師について伝える。
「――――期待するようなことは言えないが、桔梗家よりは信用できる医師を一人、知っている。そやつを寄越そうと考えているのだが、貴様的にどうだ」
反応は無い。これだけではさすがに情報量が少なすぎるかと、雅は詳細を伝えた。
雅が思い浮かべているその医師は、今までどのような病も治し、実績を積んでいるらしい。
その知力と手腕は、どこの国も認めるほど。
朝陽は、朝に「どうだろうか」と問いかけ、答えを促した。
朝陽は、朝なら当たり前のように頷いてくれると信じて疑わなかったが、彼女からの返答は予想外な言葉だった。
「無理ですよ」
その場の空気が一言、発せられただけで凍る。
顔を引きつらせていた朝陽は、なんとか気を取り直す。
「えっ、な、なぜ、だい?」
聞くと、朝はもう聞きたくないというように顔を逸らし、雅を拒絶した。
「今までの医師が無理だったのです。数人ではありません。もう、二桁に到達しているでしょう。それでも、誰も治せなかった。もう、諦めるしかないのです」
朝の言葉に、朝陽は顔を俯かせた。
重くなる空気に雅は優しく微笑み、目を細めた。
「朝とやら。もう、人生を諦めておるのなら、最後の医師――――ダレーンにその命、任せてはくれんか?」
「…………もう、期待はしたくありません。私の病は治らない。そう思っていた方が、何倍も楽なのです」
「そうか、悪かった。なら、言い方を変えよう」
雅の言葉に朝は、視線だけを向ける。
今もまだ淡い笑みを浮かべている雅を見て、目を丸くした。
「鬼神家のためにお主の諦めた命、使わせてもらいたい」
「――――え」
「なっ! 何を言っている貴様!!」
感情的になった朝陽は雅の胸ぐらを掴み、怒声を浴びせる。
雅は朝から目線を逸らすことなく、「どうする?」と、問いかけた。
そのことに、さらに怒りが沸き上がる朝陽は、とうとう拳を振り上げた。
だが、朝の瞳から涙が流れていることに気づき、唖然とし、自然と手が止まる。
「朝……?」
振り上げた手を下ろし、彼女の名前を呼ぶと、縋るような瞳で、朝は雅を見つめた。
「……本当、ですか? 私の命、貴方のために使えるのですか?」
朝からの問いかけに雅は、迷いなく頷き、「約束しよう」と、伝えた。
「私、人のために、誰かを守れる命を、持っていたの、ですか?」
「当たり前だ。誰かのために、その命は存在する。それは自分の為、家族の為、友人の為、様々だ。今回は、その命、俺様のために使ってほしい。後悔はさせん」
雅の覚悟を目の前にし、朝と朝陽は数回瞬きした。
その言葉だけでは理解ができない朝陽は、詳細を求めた。
「どういうことだ、鬼神家当主よ」
「簡単な話だ。俺様はダレーンに今回の件を持っていく。もし、診てもらえることになったのなら、十六夜家は鬼神家との戦争を中止してくれ」
相手の弱みを握り、自分の利益を考えているような提案なため、雅は苦虫を潰したような表情を浮かべる。
だが、こうでも言わない限り朝は、生きる事を諦めてしまう。
せめて、ダレーンだけには見せたい。
必ず治せると確信を持てるから。
「――――わかりました」
「朝、いいのか?」
「うん。でも、桔梗家との話は聞いているから、そこだけは心配かな」
雅は、その言葉を待っていましたと言うように笑った。
「それに関しては問題ない。俺様は今、桔梗家に対して怒りが芽生えている。もう、容赦はしないつもりだ」
よくわからないことを言われ朝陽は質問しようと雅を見るが、閻魔様のようなどす黒い笑みを浮かべている彼を目にすると、口を開くことが出来なかった。
「では、善は急げだ。あとはこちらに任せてほしい」
「あ、あぁ…………」
それだけ言い残すと、雅は十六夜家を後にしようと立ち上がる。
そんな時、襖の奥から一人の女中が声をかけた。
『朝陽様。鬼神家から手紙が届いております』
その言葉に、雅と朝陽はただただ目を合わせ、困惑するしかなかった。
「俺様は、桔梗家の次女、美月を嫁にもらっておると言ったはずだ。少なからず、桔梗家については十六夜家より知っているぞ」
心内で「勝手に調べただけだけどな」と呟き、雅は言葉を続けた。
「桔梗家の力、治癒は小さな怪我を治すだけのもの。医師に匙を投げられた病を治すほどの力はない」
「そ、そんな……」
顔を真っ青にし、へなへなと上げた腰を下ろす。放心状態となった朝陽に、雅は目を細めた。
「それなら、我々が今までしてきたことは、何だと言うのか……。鬼神家へ攻めるため、様々な武器を購入し、武士を雇い、有り金をほとんど使ったというのに……」
それほどまでに本気で妹を治したいと思っているのだなと、雅は思わず笑みを浮かべた。
自分のことを馬鹿にした笑みだと思い、朝陽は怒りを露わにし怒鳴り散らし始めた。
「なにを笑っている!!」
「おっと、すまない。朝陽は、優しい者なのだなと、ついな」
雅が素直に言うと、目を丸くした。
そんな朝陽など気にせず、雅は立ちあがった。
「――――さて、話は分かった。礼を言いたいところだが、言葉だけではお互いの得にはならん」
笑みを浮かべる雅は、朝陽に一つの提案をした。
「そんなこと……」
最初は信じられず、頷けなかった朝陽だったが、雅の強い瞳と、必ず治してみせるという意思に負け、提案に乗ることにした。
※
提案に乗った朝陽は、まず事前に妹に会いたいという雅の言葉に従い、部屋へと案内した。
襖へと声をかけ、開けた。
「朝、桔梗家の現当主、雅様がお越しくださっている」
中は、話し合いしていた部屋と作りは同じ。
唯一違うのは、真ん中に布団が敷かれているところ。
布団の中では女性が一人、目を閉じ眠っていた。だが、朝陽の声により、朝と呼ばれた女性は目を開け、顔を少しだけ傾けた。
滅紫色の長い髪、薄紅色の瞳。
朝陽と瓜二つの妹の名前は、十六夜朝。
雅の姿を見た朝は、微かに目を開き体を起こそうとした。
だが、すぐに朝陽が止める。
「動かない方がいい」
「で、ですが……。来客とならば……」
鈴の音のような声は、今にも消えてしまいそうな程弱弱しい。
それだけで、もう命は長くないことが雅にもわかった。
雅も「寝ていて構わない」と伝え、朝陽の隣に座った。
まだ申し訳ないと口にしている朝を横にし、眉間に深い皺を寄せる。
「確かに、これは危険な状態かもしれぬな。桔梗家の力に縋りたくなるのもわかる」
「そうなのだ」
二人の会話を耳にし、朝は不安そうに朝陽を見上げた。
「あ、朝陽兄さま。これは、あの…………」
「大丈夫だ、朝。朝の病を見てもらっているだけだから、安心してくれ」
朝陽が伝えると、朝の瞳に影が差す。
「そう」と、すべてを諦めたような表情を浮かべ、顔を逸らした。
今まで、複数の医師に診てもらったが、治せなかった。
今のような態度を取るのも無理は無い。
だが、雅に焦りはない。
その理由は一つ、思い当たる医師がいるから。
それは、ここから遠く離れた国の医師。
雅は、その医師について伝える。
「――――期待するようなことは言えないが、桔梗家よりは信用できる医師を一人、知っている。そやつを寄越そうと考えているのだが、貴様的にどうだ」
反応は無い。これだけではさすがに情報量が少なすぎるかと、雅は詳細を伝えた。
雅が思い浮かべているその医師は、今までどのような病も治し、実績を積んでいるらしい。
その知力と手腕は、どこの国も認めるほど。
朝陽は、朝に「どうだろうか」と問いかけ、答えを促した。
朝陽は、朝なら当たり前のように頷いてくれると信じて疑わなかったが、彼女からの返答は予想外な言葉だった。
「無理ですよ」
その場の空気が一言、発せられただけで凍る。
顔を引きつらせていた朝陽は、なんとか気を取り直す。
「えっ、な、なぜ、だい?」
聞くと、朝はもう聞きたくないというように顔を逸らし、雅を拒絶した。
「今までの医師が無理だったのです。数人ではありません。もう、二桁に到達しているでしょう。それでも、誰も治せなかった。もう、諦めるしかないのです」
朝の言葉に、朝陽は顔を俯かせた。
重くなる空気に雅は優しく微笑み、目を細めた。
「朝とやら。もう、人生を諦めておるのなら、最後の医師――――ダレーンにその命、任せてはくれんか?」
「…………もう、期待はしたくありません。私の病は治らない。そう思っていた方が、何倍も楽なのです」
「そうか、悪かった。なら、言い方を変えよう」
雅の言葉に朝は、視線だけを向ける。
今もまだ淡い笑みを浮かべている雅を見て、目を丸くした。
「鬼神家のためにお主の諦めた命、使わせてもらいたい」
「――――え」
「なっ! 何を言っている貴様!!」
感情的になった朝陽は雅の胸ぐらを掴み、怒声を浴びせる。
雅は朝から目線を逸らすことなく、「どうする?」と、問いかけた。
そのことに、さらに怒りが沸き上がる朝陽は、とうとう拳を振り上げた。
だが、朝の瞳から涙が流れていることに気づき、唖然とし、自然と手が止まる。
「朝……?」
振り上げた手を下ろし、彼女の名前を呼ぶと、縋るような瞳で、朝は雅を見つめた。
「……本当、ですか? 私の命、貴方のために使えるのですか?」
朝からの問いかけに雅は、迷いなく頷き、「約束しよう」と、伝えた。
「私、人のために、誰かを守れる命を、持っていたの、ですか?」
「当たり前だ。誰かのために、その命は存在する。それは自分の為、家族の為、友人の為、様々だ。今回は、その命、俺様のために使ってほしい。後悔はさせん」
雅の覚悟を目の前にし、朝と朝陽は数回瞬きした。
その言葉だけでは理解ができない朝陽は、詳細を求めた。
「どういうことだ、鬼神家当主よ」
「簡単な話だ。俺様はダレーンに今回の件を持っていく。もし、診てもらえることになったのなら、十六夜家は鬼神家との戦争を中止してくれ」
相手の弱みを握り、自分の利益を考えているような提案なため、雅は苦虫を潰したような表情を浮かべる。
だが、こうでも言わない限り朝は、生きる事を諦めてしまう。
せめて、ダレーンだけには見せたい。
必ず治せると確信を持てるから。
「――――わかりました」
「朝、いいのか?」
「うん。でも、桔梗家との話は聞いているから、そこだけは心配かな」
雅は、その言葉を待っていましたと言うように笑った。
「それに関しては問題ない。俺様は今、桔梗家に対して怒りが芽生えている。もう、容赦はしないつもりだ」
よくわからないことを言われ朝陽は質問しようと雅を見るが、閻魔様のようなどす黒い笑みを浮かべている彼を目にすると、口を開くことが出来なかった。
「では、善は急げだ。あとはこちらに任せてほしい」
「あ、あぁ…………」
それだけ言い残すと、雅は十六夜家を後にしようと立ち上がる。
そんな時、襖の奥から一人の女中が声をかけた。
『朝陽様。鬼神家から手紙が届いております』
その言葉に、雅と朝陽はただただ目を合わせ、困惑するしかなかった。
1
あなたにおすすめの小説
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】生贄として育てられた少女は、魔術師団長に溺愛される
未知香
恋愛
【完結まで毎日1話~数話投稿します・最初はおおめ】
ミシェラは生贄として育てられている。
彼女が生まれた時から白い髪をしているという理由だけで。
生贄であるミシェラは、同じ人間として扱われず虐げ続けられてきた。
繰り返される苦痛の生活の中でミシェラは、次第に生贄になる時を心待ちにするようになった。
そんな時ミシェラが出会ったのは、村では竜神様と呼ばれるドラゴンの調査に来た魔術師団長だった。
生贄として育てられたミシェラが、魔術師団長に愛され、自分の生い立ちと決別するお話。
ハッピーエンドです!
※※※
他サイト様にものせてます
家族から邪魔者扱いされた私が契約婚した宰相閣下、実は完璧すぎるスパダリでした。仕事も家事も甘やかしも全部こなしてきます
さくら
恋愛
家族から「邪魔者」扱いされ、行き場を失った伯爵令嬢レイナ。
望まぬ結婚から逃げ出したはずの彼女が出会ったのは――冷徹無比と恐れられる宰相閣下アルベルト。
「契約でいい。君を妻として迎える」
そう告げられ始まった仮初めの結婚生活。
けれど、彼は噂とはまるで違っていた。
政務を完璧にこなし、家事も器用に手伝い、そして――妻をとことん甘やかす完璧なスパダリだったのだ。
「君はもう“邪魔者”ではない。私の誇りだ」
契約から始まった関係は、やがて真実の絆へ。
陰謀や噂に立ち向かいながら、互いを支え合う二人は、次第に心から惹かれ合っていく。
これは、冷徹宰相×追放令嬢の“契約婚”からはじまる、甘々すぎる愛の物語。
指輪に誓う未来は――永遠の「夫婦」。
【完結】仕事のための結婚だと聞きましたが?~貧乏令嬢は次期宰相候補に求められる
仙桜可律
恋愛
「もったいないわね……」それがフローラ・ホトレイク伯爵令嬢の口癖だった。社交界では皆が華やかさを競うなかで、彼女の考え方は異端だった。嘲笑されることも多い。
清貧、質素、堅実なんていうのはまだ良いほうで、陰では貧乏くさい、地味だと言われていることもある。
でも、違う見方をすれば合理的で革新的。
彼女の経済観念に興味を示したのは次期宰相候補として名高いラルフ・バリーヤ侯爵令息。王太子の側近でもある。
「まるで雷に打たれたような」と彼は後に語る。
「フローラ嬢と話すとグラッ(価値観)ときてビーン!ときて(閃き)ゾクゾク湧くんです(政策が)」
「当代随一の頭脳を誇るラルフ様、どうなさったのですか(語彙力どうされたのかしら)もったいない……」
仕事のことしか頭にない冷徹眼鏡と無駄使いをすると体調が悪くなる病気(メイド談)にかかった令嬢の話。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる
藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。
将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。
入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。
セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。
家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。
得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。
【完結】そして異世界の迷い子は、浄化の聖女となりまして。
和島逆
ファンタジー
七年前、私は異世界に転移した。
黒髪黒眼が忌避されるという、日本人にはなんとも生きにくいこの世界。
私の願いはただひとつ。目立たず、騒がず、ひっそり平和に暮らすこと!
薬師助手として過ごした静かな日々は、ある日突然終わりを告げてしまう。
そうして私は自分の居場所を探すため、ちょっぴり残念なイケメンと旅に出る。
目指すは平和で平凡なハッピーライフ!
連れのイケメンをしばいたり、トラブルに巻き込まれたりと忙しい毎日だけれど。
この異世界で笑って生きるため、今日も私は奮闘します。
*他サイトでの初投稿作品を改稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる